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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年12月27日

黒い少女と「僕」の純愛系ミステリ『SHI-NO 愛の証明』

発熱地帯を始めて3年、「ゲームの次世代」を考察しつつ続けてきましたが、携帯ゲーム機中心の時代の到来で、誰の目にも未来が見えてきました。そういう意味では、『ドラクエ9』のDSでの発売決定は、今年1年を締めくくるにふさわしい象徴的な事件でした。

ひと区切りということで、移転&リニューアルしようかなと思ってます。ぶっちゃけ、そろそろ話のネタが無くなってますしね。PS3もXBOX360もWiiも所詮は、携帯ゲーム機に対するサブ市場ですから。大局に変化は無いと思います。
移転先については、特にトラブルが無ければ、年内には告知したいと思います。


SHI-NO 愛の証明

放っておけば最悪の殺人鬼になる魂と断言された黒い少女志乃と、年の離れた幼なじみである大学生の「僕」の2人の物語。その第4巻にして、第一部完。

シリーズの中で最も緊迫した状況が展開します。
狂信的な自殺サイト「デッドエンドコンプレックス」の残党からつけ狙われていた志乃は、「僕」と共にデパートに閉じ込められ、あと2時間で毒ガス付きの時限爆弾が爆発する状況に追い詰められます。志乃は最悪でも、「僕」だけは助けると断言します。それは、誰であろうと、自分であろうと必要であればためらわず殺して、僕を助けるという事。

普通なら小学生の少女がそんな事できるはずがないし、考えるはずがないと一笑に付す話。けれども年の離れた幼なじみである大学生の「僕」は、彼女が本気なことを知っています。志乃は普通である僕の理解できない、黒い魂を持っています。かつて兄弟同然の幼なじみで、再会してからも同様に、家族のように暮らしている「僕」だから気づけた事。

この巻で、ついに「僕」は志乃ちゃんとどう係わり、生きていくのかを決意します。殺人鬼の魂をもつ彼女の全てを、その理解できないほど黒い精神を、僕はすべて肯定して生きていくのか。彼女は僕に愛されるために自分の魂を殺して、生きた抜け殻として在ることを願うのか。それとも・・・・。
そして「僕」と志乃ちゃんは歩き出す、最悪を回避するために、次の一歩へ。

生きる事の意味をわりと真っ向から、愚直に書いた部分が多いので、リアル中高生でないと青臭いというか拍子抜けするかもしれませんが、そういう読者は志乃ちゃんに萌えればいいと思います。(結局、それか、俺orz
支倉志乃といえば、ライトノベル3大小学生ヒロインの1人ですからね!
(他の2人は『紅』の九鳳院紫、『円環少女』の鴉木メイゼル)

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2006年12月26日

あとがき女王の最新作『GOSICK 6 仮面舞踏会の夜』

GOSICK 6 仮面舞踏会の夜

欧州オカルト界の秘奥たる灰色狼一族の血を引く、恐るべき頭脳をもったヴィクトリカと、日本から欧州の小国に留学に来た一弥の2人が、奇怪な事件に巻き込まれていくミステリー第5弾。

ベルゼブブの頭蓋と呼ばれた修道院から脱出した帰りの列車の中で、ヴィクトリカと一弥の2人は奇妙な乗客と一緒になります。一同は互いの正体を隠して、<孤児><公妃><木こり><死者><灰色狼><家来>を名乗ります。それは全員が偽りの仮面をかぶる仮面舞踏会ともいえるシチュエーション。しかし一夜かぎりのたわいも無い嘘だったはずが、乗客たちはあたかも真実であるかのような奇妙な振る舞いを始め・・・・そして、列車内で起こる殺人事件。
はたしてヴィクトリカと一弥は、一夜の幻想のような奇怪な事件を解決し、学園に帰れるのでしょうか。

今回は、探偵を巻き込んで事件が起こる「仮面舞踏会」と、探偵役が関係者の証言を聞いていく「宴のあと」の二部構成になっていて、ミステリ度が高くなっています。また、拳銃のシーンを筆頭に、ヴィクトリカと一弥の絆の強さを感じさせる場面が何度もあるので、ニヤニヤすることしきり。やっぱり最大の謎は「愛」なのか、ミステリー=愛なのか。さすがはゴシック、伊達に富士ミスを代表する小説じゃないぜ!

(富士見ミステリー文庫はもともとミステリー風ライトノベルを目指していましたが、売上不振のため、途中から「LOVE!」をテーマに掲げるようになった謎のレーベルです。)

第1次大戦の傷跡が癒えつつあり、しかし第2次大戦の暗い影の気配が忍び寄っている時代。2人は厳しい嵐に巻き込まれるのでしょう。もしかすると引き離されてしまうのかもしれません。不安は強まっています。でもこの2人なら大丈夫かも・・・・と思うのですね。大人たちの起こす嵐から、子供たちは逃げ延びることができるのか。読者としては、やきもきしながら、続きを待つばかり。


ま、それはそれとして、富士見ミステリー文庫におけるあとがき女王、桜庭一樹の最新作はやっぱり面白い。あとがきも読み逃せない作家です。

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2006年12月22日

リレーノベルは破綻する、どうせならクロスオーバーが良かった『ネコのおと』

ネコのおと リレーノベル・ラブバージョン

富士見書房および富士見ミステリー文庫が誇る7人の作家によるリレー小説。2話目までは普通に『ROOM No.1301』と『まぶらほ』をやってるんですが、3話目で作者自身が登場してからタガが外れたような暴走が始まります。リレー小説に名作無し。つーか、累乗的に矛盾点が増えていき、最後に破綻に向かう運命なのか。

  • 新井 輝  『ROOM No.1301』シリーズ
  • 築地 俊彦  『まぶらほ』シリーズ
  • 水城 正太郎  『東京タブロイド』シリーズ
  • 師走 トオル  『タクティカル・ジャッジメント』シリーズ
  • 田代 裕彦  『キリサキ』シリーズ
  • 吉田 茄矢  『BAD×BUDDY』シリーズ
  • あざの 耕平  『Dクラッカーズ』シリーズ
まー、この企画は「秋葉原エンタまつり2005」の富士ミスのイベントで生まれたもの。思いつき、お祭り的なものなんで、突っ込むだけ疲れるような内容です。7人の作家のうち、読んだことのある作家が過半数を超えていたら、フトコロとココロに余裕のある人は買ってもいいかもしれません。『ROOM No.1301』と『まぶらほ』のファンの人は、比較的ふつうに楽しめると思います。

しかしどうせならリレー小説じゃなくて、クロスオーバーを書いてほしい気がするんですが、ダメですかねー。同人的なノリ&お祭り的趣旨としては、そっちの方がいいんじゃないかなー。その場合は、リレー体制ではなく、1人の作家が中心になって執筆しないと完成しなさそうですが。

ところでクロスオーバーの最古って、ルパン対ホームズでいいんでしょうかね?

Posted by amanoudume at 00:43 個別リンク | Comments (4) | TrackBack(0)

2006年12月18日

読者から市場へ『すぐに稼げる文章術』

すぐに稼げる文章術

ブログが流行った影響か、文章術についての本は需要が高いです。実際、うちのブログで本を紹介しても、文章術の本は購入率が高いです。これまで紹介してきた本はどれも、よりわかりやすく、より伝わりやすく、より上手く文章を書くための手引きでした。

しかしこの本は、まぁそういう文章作法的な話も載ってはいるのですが、基本的には文章をお金にする方法や心構えに重きを置いています。筆者の日垣隆氏が自分のサイトで有料メルマガをやっていたり、本以外の商品を売っていたりするため、「文章で稼ぐ」ことの説得力は確かなものがあります。

既存のマスメディアでも、「日刊ゲンダイ」は通販サイトを作り、読者にモノを買わせています。私もメルマガを通じ、これまでオーダーメイドシャツや塩や本棚や椅子などいろいろなものを売ってきました。私の場合、まだ小さい市場ではありますが、たとえ小さくても自分の市場を持っていれば、モノを売ることができます。
(略)
朝日新聞は購読者が800万人いると威張っていながら、その800万人の購読者名簿すらもっていない。購読者の名簿をもっているのは販売店です。こんなことは、モノを売る側にとっては異常なことだと知るべきでしょう。
(略)
サイトに日垣の本の注文が入ると、すぐに名前を検索してメルマガの定期購読者か否かを調べます。注文者が岡山の方でしたら、「岡山では昨日の台風はいかがでしたか?」など、何かしら個人に宛てた一文を添える。もし注文者がメルマガの購読者でなければ、メッセージとともに「よろしければ本が届くまでお楽しみください」とメルマガを2号ほどサンプルとして送ります。こうした工夫をするだけで、一度でも私の本を注文した人がメルマガの購読者になる割合は58%にものぼるのです。


マーケットを意識するトレーニングとしてのブログ

では、この本は文章で食べていく人以外には価値が無いのかというと、そうではありません。
そこそこの規模のブログを持っている人なら、アクセス解析やコメント欄での反応などから読者層の推定を行っているはずです。基本的にブログは無料でやっていると思いますが、初歩的なマーケティングに通じる行動といえます。

ボクもブログを割りと長いことやってますから、自分のブログでこういう話題を取り上げると、どれぐらいアクセスがあるかというのは大体読めるようになっています。ライトノベルの書評は人気が無いとかも、まぁわかるわけです(笑 発熱地帯ならではの売りもなく、踏み込みも浅い。出版やケータイ小説の「市場論」のほうがよっぽど人気が高いです。ただ、ボクが増やしたいのはゲームではなくてライトノベルなので、最近比率が増えているわけですね。「売りたい」商品と「売れる」商品の違いです(実際に売っているわけではありませんが)。

最近だと『薔薇のマリア』の紹介記事のアクセス数が飛び抜けてよかったのですが、これは単純に、『ウィザードリィ』と絡めた書評だったので、関心を引いたんでしょうね。うちのブログの読者層は、ゲームに関心があるファミコン世代の人が多いようなので、ふだんはライトノベルの記事をスルーする人の目にも止まったのでしょう(年齢構成を正確に分析する手段はありませんが、長いこと色々な記事を掲載していれば、大雑把な読者層は感覚的に掴めます)。

アフィリエイトをやっていると、さらに市場を意識することになります。全体に占める比率でいうと、映画のDVDみたいにまったく紹介してない物が案外、売れるんですけどね。要はそのブログがポータル的に機能していたり、アマゾン内部でのオススメ機能が効果的に機能しているということです。ただ、商品1個あたりの売上は紹介している物が高く、書評の質がある程度判断できます。

「市場」をもつという考え方は、何も本に限ったことではなく、PC美少女ゲームの会社では自社サイトで通販している所が多いですし、ファンクラブを運営したり、購入後のアンケートを送るとファンディスクを送付するなど、ユーザーを囲い込む努力をしています。ユーザー向けのイベントに熱心な会社がいくつもあります。一方、コンシューマーゲーム機は市場規模の大きさや、既存の流通システムに大きく依存していて、あえて悪く言えば、かなり甘えているので、そこまで「売る」ことに熱心になりきれてないし、「市場」を意識できてない感じですね。

参考1
日垣隆公式サイト 「ガッキィファイター」

参考2
人の心を動かす文章術

純粋な文章術の本としてオススメできるのはこちら。添削指導をしていた方だけあって、修正前と修正後の文章が載っていて、どこをどう直すべきか非常に明快で実践的な本です。

Posted by amanoudume at 06:31 個別リンク | Comments (4) | TrackBack(0)

2006年12月11日

西尾維新版・学校の怪談か、ギャルゲー小説か。『化バケモノ物ガタリ語』

化物語 上・下

西尾維新、最新作『化物語』。
中高生向けのハードカバー、あるいはライトノベル世代へのハードカバー、講談社BOX。試みは面白いものの、書店では割と置き場所に困っている風にも見えますね。ハードカバーの棚には置けないし、結局ノベルスと同じあたりに置いてあって、あんまり意味無い気が少し。値段に見合う中身があるとも思えず、敷居を上げてしまったような。出版社にとっては単価が上がって利益率が上がる方がうれしいのかもしれませんが。

内容は西尾版『学校の怪談』といったところです。
『ひたぎクラブ』『まよいマイマイ』『するがモンキー』『なでこスネイク』『つばさキャット』の計5編の短編連作で、怪異に取り憑かれて困っている女の子を、「僕」=阿良々木暦(あららぎ・こよみ)が助けていきます。主人公の周りに女の子が増えていく構造なので、5人で止めておかないと、収拾がつかなかったかもしれません。

主人公はいーちゃんの「いい人」っぽい部分だけを抽出したようなキャラクター。また他の人も基本的にいい人ばかりなので、作者が趣味で書いたというように、読者も気軽に読める1作。女の子との漫才的な掛け合いが多く、脱線する会話がとても楽しい。

女の子と主人公の関係といい、脱線する日常会話といい、西尾維新によるギャルゲー小説といっていいでしょう。作中でも、「一番難易度の高いキャラ、もう攻略しちまってるからさ」「虹色町」等々、かなり自覚的に自己言及しています。

参考:Wikipedia 化物語

Posted by amanoudume at 00:40 個別リンク | TrackBack(1)
化物語(下)
Excerpt: 化物語(下)
Weblog: 本の紹介ページ
Tracked: 2006年12月30日 05:39

2006年12月08日

フィギュアスケート小説『銀盤カレイドスコープ』完結

銀盤カレイドスコープ 8 コズミック・プログラム:Big time again!

銀盤カレイドスコープ 9 シンデレラ・プログラム:Say it ain’t so

女子フィギュアスケートを題材にした『銀盤カレイドスコープ』がついに完結。
デビュー作(1巻と2巻)の時点では16歳、オリンピック出場の座をかけて、日本のライバルたちと争っている未熟な1人のスケーターでした。才能こそあるものの、本番が苦手で、人形のように表情が硬く、一言余計な性格が災いして、マスコミを敵に回しがち。敵を作りやすい桜野タズサはとある出会いをきっかけに、さらに爆弾を抱え込んでしまうのですが、やがてそれが良いきっかけに・・・・。

コメディ調の少女小説のように見えて、じつはスポ根小説。スケートの演技シーンは圧倒的な躍動感で描かれていて、作者のスケートへの強い愛情がうかがえます。フィギュアに詳しくなくても、最低限の解説はありますし、生き生きとした描写で、スケーター1人1人の演技の様子が目に浮かぶようです。

それから4年、今や世界的なスケーターになったタズサはついに、フィギュア界に君臨する不敗の天才スケーター、女帝リア・ガーネット・ジュイティエフに宣戦布告します。桜野タズサを天才とするなら、リアは神に愛でられし天才。タズサを始めとする、同時代の世界的スケーターは誰もリアに勝てません。

言ってしまえば、『修羅の門』における陸奥に挑む海堂晃や片山右京たちの立場であり、『YAWARA』における本阿弥さやかやジュディ、テレシコワたちの立場です。柔の父、猪熊 虎滋郎はかつて本阿弥さやかにこう言いました、凡人が天才に勝つには天才をはるかに上回る努力とそして運が必要なのだ、と。努力だけで勝てるような相手を天才とは言いません。しかし神に愛でられし天才は、その運さえも軽々と超えていきます。

『修羅の門』や『YAWARA』では、主人公は神に愛でられし天才の側でした。しかし『銀盤』7〜9巻における桜野タズサは天才に翻弄される凡人の側です。リアの元コーチ、マイヤ・キーフラの元にいき、一流スケーターが続々とやめていった過酷なトレーニングを続けます。しかし女帝の逆鱗に触れたタズサは、怒れる圧倒的天才によって打ちのめされ、翻弄され、蹂躙されます。

「なんでなのよ……」
 リアが現れただけで、突然何もかもがおかしくなるなんて――
「あり得ない……」
 こんな種類の失望感は初めてだった。
 不眠――ここまで積み上げてきた全てが、こんな理由でオジャンになろうとしている。リンクに乗る前に、決着がつこうとしている。
(略)
「一睡もできなかったわ」
 投げやりな心情、投げやりな口調で事実を告げた。さぞかし呆れ返られるだろうと予期しながら。
「そうですか。それで?」
「……ダメかもしれないわね」
「マイヤッ……」
 必死で背後を顧みた。
 なに? あれはなにっ!? ……声にならない。
「タスザ、落ち着きなさ―」
「――あれはなにっ!?」
去年の夏――
 女帝リアは、私の腕の中であどけない寝顔を晒していた。
 ……それでよかった。それでよかったのだ。
 だって今は。今は……。
 「なんで……」
 なんで、壊しちゃったんだろう。
世界トップクラスのアスリートがリアの本気を前にして、自分を保てない。かつてない重圧と戦いながら、桜野タズサはオリンピックにて、女帝リアとついに対決します。はたして桜野タズサはリアに勝つことができるのか!
 ・・・・いや、しかしまさかこんな展開になるとは。

その先の展開はまさに神がかっているとしか。9巻の物語を締めるにすさわしい、片時も目を離せない展開が続きます。1巻、2巻の時点ではスポ根の装いをもった少女小説でした。しかし3巻以降、少女小説的における王子様的な要素は、周到に排除されていき、タズサを取り巻くアスリートたちを描いたのち、8巻、9巻では幼い頃から勝ち続ける女帝リアと彼女に挑むタズサの姿を描き出します。少女小説から、自分の力で戦うスケーターを描いたアスリート小説に見事に「化け」ました。

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2006年12月07日

負け犬とネクラ少女

戦闘城塞マスラヲ 1巻 負け犬にウイルス

就職のために上京したものの34社すべてに書類で落とされ、ひきこもりをすること2年間、親からの仕送りも止められ、死のうと決意した川村ヒデオ20歳。極悪なアンチウイルスソフトの目から逃れるため、ノートパソコンに潜んでいたものの、ノートパソコンごとゴミ捨て場に廃棄されてしまった、超愉快型極悪感染ウイルスのウィル子。

ヒデオは負け犬を返上するため、ウィル子は電子世界の神になるため、ペアを組んで究極の武闘大会「聖魔杯」に参加します。

優勝者には世界を律する権利が与えられるこの大会には、武闘家、軍人、吸血鬼、魔族、警官、正義の味方、・・・・世界中からあらゆる種族の強者が集まっていました。3024人、1512組の参加者の中、ひきこもりで負け犬な、最弱のヒデオは勝ち進んでいけるのでしょうか。

1巻ではスニーカー連載の4話と書き下ろし1話が収録されています。スニーカー最新号には連載第5話が掲載中。前作である『お・り・が・み』の最重要キャラクターたちもついに登場して、ますます先の展開が読めなくなってきました。

ボクは『スニーカー』は買ってなかったんですが、『マスラヲ』のためにしばらく買ってみようかなと思ってます。1月号では初特集が載りますし。『マスラヲ』単独でも楽しめますが、『お・り・が・み』もおさえておけば、2倍に面白い。

ネクラ少女は黒魔法で恋をする 1〜3

自分の容姿に自信が無い、クラスでも存在感が皆無で空気みたいな存在感、嫌なことも押し付けられやすく、内心すんごいウルトラ毒舌を吐いているけど、口には出せない。いつも背を曲げてうつむいて歩いているし、家ではローブを着て黒魔法に凝っている。なにしろあだ名が黒魔法(本名が空口真帆で、クウロまほで黒魔法)。対照的に明るくて運動が得意な妹に悪口を言われるけど、気にしない。

極まったネクラ少女の真帆は、クラスメイトを見返すために黒魔法を使い、悪魔を呼び出すことに成功する。悪魔の出した条件はただ一つ。誰も好きになってはいけない。「そんなこと、全然OKです!」と簡単に契約して、可愛い姿を手に入れたものの・・・・。

フォーマットとしては完全にベタな少女小説(シンデレラ・フォーマット)です。
萌えライトノベルではありません。イラストはともかく、本文はそのままコバルト文庫に入れることも可能です。話の筋は典型的ではあるものの、この小説が面白さは、文体にあります。主人公・真帆の一人称が非常に魅力にあふれているからです。超内弁慶の毒舌少女の心のつぶやきは、1ページ目から、自分と自分を取り巻くすべてに対する呪詛に満ちています。まさに黒魔法少女の内面。陰鬱きわまりない。しかし、ゆえにその後の彼女の内面の成長がダイレクトに伝わってくるのです。

Posted by amanoudume at 00:45 個別リンク | TrackBack(0)

2006年11月22日

ウィザードリィ小説を継ぐライトノベル『薔薇のマリア』

薔薇のマリア 1巻 夢追い女王は永遠に眠れ

法無き都市の下にある巨大な地下迷宮。そこに巣食う怪物と眠るお宝。
一攫千金を夢見た無謀な若者が集まり、地下迷宮に降りていく。彼らは侵入者(クラッカー)と呼ばれていた。侵入者の1人、マリアローズは仲間たちと共にパーティを組み、死者の徘徊する迷宮――黄昏の魔導女王レディ・麟霊が眠る喪神街を探索していたが・・・・。

ウィザードリィの世界をライトノベル的に再構築したような作品です。
名作『隣り合わせの灰と青春』を始め、かつてウィザードリィの小説やコミックにハマった人には、まちがいなくオススメの小説。地下迷宮の描写は細部がしっかりしていて、リアリティがあります。ひたすらダンジョンという、下手すると飽きかねない舞台設定も、良いタイミングでハプニングが起こることで、程よく緊張感が続きます。何にもまして、あのゲームを遊んでいるような感覚が再び、本で味わえます。

未読なのですが、2巻以降はまた違った展開があるみたいで、楽しみです。

Posted by amanoudume at 22:39 個別リンク | Comments (7) | TrackBack(0)

2006年11月19日

史上空前のエスカレート小説『お・り・が・み』

再びゲーム離れの日々です。ライトノベルに溺れる日々です。
起動されない白豚1号と黒豚2号が泣いてるよ?

『リッジ7』は遊んでいるうちに、なんでもう1回『6』をやらないといかんのかな〜という気持ちになって、総プレイ時間3時間。『ガンダム』は30分。
『リッジ』の体験版が落とせたんだから、ゲーム買わなくてもよかったよな・・・・。
金をどぶに捨てたようなもんですな。
まー、他のゲーム機、例えばDS Liteにしたって、買ってから1時間ぐらいしか使ってないんですがね。ゲームをやる気が起きませんorz
適当に床の上に置いてある本を開いて読み始めるのって1秒程度。ゲームはかったるくって。役に立たないし、かといってゲーム機で勉強したいとも思わないしなあ。

お・り・が・み 1巻 天の門
お・り・が・み 2巻 竜の火
お・り・が・み 3巻 外の姫
お・り・が・み 4巻 獄の弓
お・り・が・み 5巻 正の闇
お・り・が・み 6巻 光の徒
お・り・が・み 7巻 澱の神


史上空前のエスカレート小説、『お・り・が・み』。
作者自らアドリブでここまで書いたという、先の読みにくい展開と怒涛の勢いっ!
1巻の頃は、まだライトノベルにあちがちなメイドアクション物でしたが、2巻、3巻と巻を経ていくにつれて、世界の全貌と裏側とキャラの強さがエスカレートっ!

莫大な借金を抱えた不幸な少女、鈴蘭が借金のカタにバラされて臓器を売られかけた所を、悪の組織を名乗る男に助けられ・・・・最終的には世界の仕組みを改変するに至るまで、怒涛の勢いで、不幸の連鎖が続きます。状況に流されがちだった鈴蘭が覚悟を決めて動き出す3巻からグーっと面白くなるので、1巻で投げ出さずにぜひ。基本的に、巻を追うごとに面白くなっていきます。伸び盛りの作家の出世作には、そういう魅力がありますね。

戦闘城塞マスラヲ 1巻 負け犬にウイルス

『お・り・が・み』の続編に当たる作品。
強さのエスカレートの次はハッタリと運のエスカレート!?
今度の主人公はかわいい薄幸メイド少女などではなくて、無職で貧乏、対人恐怖症で、人生負け犬ダメ人間ひきこもりのヒデオ。たまたま拾ったノートPCに寄生していた、電子精霊を名乗るコンピュータウイルス(?)のウィル子に感染され、勝てば世界が手に入るという究極の武闘大会「聖魔杯」に参戦することに。武闘家、軍人、吸血鬼、魔族、警官、正義の味方、等々3024人の強者が集うなか、人生一発逆転、負け犬返上をかけて、ヒデオはハッタリだけで勝ち進んでいけるのでしょうか。

このシリーズから読み始めることも可能ですが、『お・り・が・み』の登場人物が出演しているので、両方読んだ方がいっそう楽しめるのは間違いありません。『お・り・が・み』の1巻で挫折したけど、『マスラヲ』を読んで、再挑戦したという人も結構いるみたいです。

ちなみに林トモアキの処女作『ばいおれんす☆まじかる!』も世界観としてはつながっています。残念ながら3巻で打ち切られてしまっているのですが、林トモアキワールドにハマった人には、ファンとして一読をオススメしておきます。

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2006年10月25日

チマチマ読んでます

部屋の本の処分をチマチマ進めながら、チマチマと新刊を読んでます。

狼と香辛料 3

北方の故郷をめざしていっしょに旅を続ける狼神ホロと行商人ロレンスは、冬の祭りに賑わうクメルスンへの道中、魚商人のアマーティに出会います。才気にあふれた若い商人はひと目見て、ホロに惚れてしまったらしく、あれやこれやと世話を焼いてくれます。ホロに信頼されていると思っていたロレンスは、始めは若い彼の熱意を微笑ましく見ていました。用事のある自分のかわりに、ホロの祭りの案内をアマーティに頼んでしまうほど。

しかし油断大敵。若いがやり手のアマーティは予想外の大胆な手で、ホロを自分のものにしようと動きます。それでも、これまでの旅でつちかった信頼関係なら大丈夫と高をくくっていたロレンスですが、タイミング悪くロレンスとホロはちょっとした誤解から大きくすれ違うことに・・・・。

結末は当然決まっているわけですが、やっぱり雌に翻弄されるのが雄のサガなんでしょうね。妙に自信を持って足元すくわれてオタオタするのも、呆れるぐらいに自信を失って駆けずり回って落ち込んでドツボにはまるのも、どちらも雄の習性。最後は二人の関係を再確認する、良い話でした。

ホロの故郷の情報も出てきたし、5、6巻あたりで終わりそうですが、二人の旅の終わりはどうなるのか。二人とも漠然と不安を感じているのでしょうが、読者としても非常に気になります。続きが早く読みたいですね。

アンダカの怪造学 4 笛吹き男の夢見る世界

眼球を切り、狂乱家族日記を切り、残る日日日作品は『アンダカの怪造学』。これもそのうち切るかもしれませんが。
それはともかく、いよいよ第二部に突入。
設定が色々と増えてますが、次巻あたりからハードな展開になるんでしょうかね?
強そうな雰囲気を漂わせていて、そのじつ本当に強い魅神香美(ゾンビ系大好き娘)が活躍したので、よしとしましょう。大公といい、ナイト君、肉体道楽といい、上級一位を越えた連中が増加中なのは、良い強さインフレですね。

キノの旅 10

今回はどれも微妙かも。
「歌姫のいる国」はここまで引っ張るほどの話には思えないんだけどなあ・・・・。
一番良かったのは「ティーの一日」。グレネードランチャーを装備しての大活躍を期待します(そのための伏線だと信じて)。

ヤクザガール・ミサイルハート

ボーイミーツガールの直球。
昨今の「現代学園異能」モノと違って、主人公は特に鬱屈してないし、素直に楽しめます。
美少女とバトルと刀が好きな人にはオススメです。
後半はバトル、バトル、バトルの連続でした。この二人、痛快なまでに強すぎです。
今回明かされていない設定がまだまだありそうで、今回は登場編、次巻以降で物語が本格化すると考えればいいのかな。

Posted by amanoudume at 07:59 個別リンク | TrackBack(0)

2006年10月12日

エロとエロいは違うことを証明した小説『Room No.1301』

なんだか最近、ゆんゆん電波系ブロガーへの道をひた走ってる気がしてなりません。
そろそろマジメなネタの1つも振っておくべきなのかもしれませんが、ゲームについては、今とくに言及するようなことは何もないんですよねえ・・・・。
というわけで、マジメにライトノベルの話をしましょう。

Room No.1301 8巻 妹さんはオプティミスティック!

この巻でシーナ編(窪塚姉妹編)に決着がついて、次巻からは「あとがきとプロローグだけで、本編には1度も登場しない」というキャラ設定の九条鈴璃がいよいよ登場・・・・となるはずでしたが、まだ続きます、シーナ編。まあボクはシーナが好きだから、それはそれでいいんだけども。

それにしても、つくづく思うのですが、この小説は何とも珍しい立ち位置です。
エロ小説では絶対にない(エロ小説の愛読者のボクが言うのだから間違いない)。かといってエッチ小説かというと、うーん、どうも違う気がします。ここでいうエッチ小説は昔流行ったパンチラ漫画みたいなレベルを想定しています。

エロ小説でも、エッチ小説でもなく、そしてお色気小説でもない。
あえて言えば、エロい小説。
青春小説といってもいいんですが、どうも普通の青春小説とはフォーマットが違う。変人小説というには、誰もが共感できる部分があります。

この歳になってわかるのは、「エロい」のは若い人間の特権だということ。20歳を越えたら、大人はみんな「エロ」ですよ。中高生ぐらいです、「エロい」領域に留まれるのは。そういう「エロい」を描ききっているのがこのシリーズの最大の特徴です。エロでも、萌えでも、青春でも、恋愛でもない、何か。

「佳奈ちゃんは自分の胸に触って、こう思うんだよ。シーナさん、私みたいな小さい胸は触る気にもならないのかなあ――って」
「まあ、思うかもなあ」
「そうなったらどうなるかわかるか」
「いや、わからない」
「そしたら自分で揉み始めるに決まってるだろ」
「……そう?」
 とてもじゃないが賛同できない。でもシーナにとっては絶対的な真実だったらしい。
「佳奈ちゃんはクラスの女の子が話しているのを聞いてるんだよ。胸は揉むと大きくなるってな。それで俺のために大きくしようと思って揉むんだよ。そりゃもう真剣にっ」
(略)
「って健一、聞いてるのか?」
「……いや、ごめん、途中で意識が遠のいてた」
「お前、俺の用意周到な作戦をなめてるな?」
「……作戦だったんだっ!?」
「作戦じゃなくてなんで、揉みたいのを我慢したと思ってるんだ、お前は!」
一見、高校男子ふたりのエロトークのようですが、じつはエロい妄想を力説しているのが男装の女の子で、実は佳奈の・・・・というあたりが、Room No.1301の油断ならない「らしい」ところです。

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2006年10月07日

買った本を読めない日が続いているわけですが

むー。
ゲーム買ってるヒマも遊ぶヒマもないわけですが、本は積まれていくのでした。『BLACK BLOOD BROTHERS 6 九牙集結』はしっかり読んでます。しかしそれ以外の本を読む前に、早くも10日、すなわち電撃文庫の毎月の新刊の日がやってくるのです。

BLACK BLOOD BROTHERS 6巻 九牙集結

九龍王の九兄弟、敵が全員そろって、いよいよ香港聖戦の再戦が勃発。おそらく次巻では、米軍と結託した吸血鬼、剛王がもっと本格的に絡んでくるでしょうし、戦いにつぐ戦いが続きそうです。

敵の親玉の名前もわかったことで、賢者の血統との間になにやら因縁もありそうな予感。
人の血を吸い、人を襲い、乱を好み、人との戦いこそが人との共存だと信じる九龍の血統。赤い血と黒い血が共に同じ場所で暮せる世界を信じる賢者の血統。吸血鬼と人間をめぐる2つのイデオロギーの対立が見えてきましたね。

もっともそれと同時に、ジローをめぐる3人の女性の物語でもあります。ミミコ(人間)、アリス(賢者イブ)、カーサ(九龍の血統)。ジローとミミコの関係に1つの進展がありましたが、ミミコにとって最強の敵は最大の理解者でもあるという。


以下、今月発売予定の逃せない新刊。

とある魔術の禁書目録 11巻

右手で触れるだけで超能力や魔術といった異能の力を打ち消す『幻想殺し(イマジンブレイカー)』をもつ上条当麻は、神様の恩恵さえ打ち消してしまうのか、生まれついての不幸体質。今日も今日とて災難続き。そんな当麻が海外旅行の福引を引き当てて・・・・。

表紙からすると、インデックスが前面に出てくる、つまり魔術結社サイドの話だと思われますが。前巻の最後でアレイスターが意味深な事をつぶやいていただけに、全世界に分散配備された1万人の妹達(シスターズ)が絡む事件かも? それとも再びローマ正教会の陰謀なのか。
Wikipedia 「とある魔術の禁書目録」

それはそうと、イラストレーターの灰村キヨタカ氏が原画を担当した美少女ゲーム『ユメミルクスリ』のオープニングムービーを改造したMADアニメがYouTubeに上がっているようですね。
「ユメミルクスリ」と「とある魔術の禁書目録」のニコイチMAD
ゲーム化、アニメ化、アニメ化、アニメ化!!!!!
とダキニは胸の昂ぶりを必死におさえて、顔を赤く染めて願望を述べるにとどめます。


Room No.1301 8巻 妹さんはオプティミスティック!

『ROOM NO.1301』の主成分はピロートークです。
全編ピロートークでできているという評は納得の極み。エロい小説とエロ小説の違いとでもいうんでしょうか。新井輝の小説はエロくはあるけど、エロではないんですよね。何気ない会話によって、登場人物の微妙な性格を描き出す作風は独特で、固定ファンがついています。ボクも好き。物語の展開はじつはどうでも良かったりするんですよね、この人の作品。

今回は、双子の姉が大好きで、男装して町を出歩いている妹シーナのエピソードに区切りがつくはず。彼女の関心をひくために男装して路上ボーカルを始めてみれば、人気は上々。姉はシーナの熱烈なファンになり、デートに行ってきたばかりか、初めてのキスもいただきました。しかし結果はすでに見えているだけに・・・・。
(Room No.1301シリーズは各巻の冒頭で、物語本編の数年後を描くという構成を取っています)
個人的にはシーナが大好きなだけに幸せになってほしいんですがねー。

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2006年09月27日

最近の読書

日曜日に読んだ本1冊、気になる本が色々と・・・・。
ライトノベルを追いかけきれないのがもどかしい・・・・。

TOY JOY POP

大学生、OG、高校生が何の目的もなく集まって、くだらないバカ話をしている文系サークルの日常を描いた小説です。と書くと、「ああ、げんしけんみたいなもんですか? それとも文系サークル青春モノ?」と思われるかもしれませんが、とんでもない。

ライトノベル界に名高い(悪名高い)、『されど竜は罪人と踊る』の浅井ラボの新作ですよ?
最初はいわゆる饒舌なダラダラ会話。飛び出る毒舌や、鬱屈モラトリアムな理屈っぽい長台詞など、なかなか面白い。しかし浅井ラボの小説がそのまま終わるわけがなく、だんだんおかしな方向へ分岐していきます。そう、おかしな方向としか書きようがありません。

浅井ラボ作品の登場人物は、鬱屈度がライトノベル最高濃度。正直、好き嫌いが分かれるでしょうね。
しかしこの小説で何といっても外せないのは、生ける都市伝説「関節ババァ」こと金澤銀子です。問答無用というのはこの人のためにある言葉。間違いなく、ライトノベル最強婆ぁの1人でしょう。かなり変な小説ですが、面白いのは確かです。


これ以下は読みたいけど、買えてない・・・・

ヤクザガール・ミサイルハート

今一番気になっている本。
近所の書店に無かったんでまだ読めてません。
あの元長柾木が書いた小説で、絵師が緒方剛志というだけで、目をひきます。タイトルも表紙もかなり直球ですね。

黄色い花の紅

スーパーダッシュ文庫大賞受賞作。
スーパーダッシュは全体としてはともかく、『よくわかる現代魔法』の桜坂洋、『銀盤カレイドスコープ』の
海原零、『電波的な彼女』の片山憲太郎、『戦う司書と恋する爆弾』の山形石雄など、逸材を輩出している文庫。つーか懐が広いですね。

さて次の企画はさんや、まいじゃー推進委員会!さんの感想記事を読んで興味が高まってます。

ゼロの使い魔 9 双月の舞踏会

MOON PHASE雑記さんトコの感想(バレあり)を読んで、早く読みたくなってしまいました。
しかしあのルイズがねえ・・・・。

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2006年09月04日

週末の読書

ひかりをすくう

現在読んでいるところ。小説が上手くなっていくというのはどういうことか。この作家の作品を順に追っていけば、よくわかるかも。『毛布おばけと金曜日の階段』『猫泥棒と木曜日のキッチン』『流れ星が消えないうちに』『ひかりをすくう』。

文学少女と飢え渇く幽霊

物語を食べちゃうぐらい愛している文学少女・天野遠子さんと、元天才少女作家である井上心葉くんが、不思議な怪事件に巻き込まれる学園ミステリー第2弾。そろそろ心葉くんの過去話が知りたくなってきましたよ。不器用ツンデレの名をほしいままにする琴吹ななせ。永遠に幸せになれそうにないなあ。

デュラララ!! ×3

せこくてズルい小悪党から肝の据わった大悪党、性根の腐った悪魔まで、悪役を書くのが相変わらず上手いですね。高校生3人の話はこの巻でケリがついて、いよいよ次巻からは主人公セルティが中心になる?
ホントに?

火目の巫女3

触手があれば他には何も要りません。
・・・・うそです。ごめんなさい。
部分的なギミックの話は置いといて・・・・。
前巻までは割とへたれっぽかったものの、さすがに3巻ともなると、ちゃんと成長してますね、ヒロイン。
徐々に戦うべき相手もはっきりしてきました。

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2006年08月30日

ちょっと本を読めてないな・・・・


日曜日に『DEATH NOTE ANOTHER NOTE』を1冊読んだきり。デスノートファン向けというより、西尾維新ファン向けかな、これは。次はノベライズじゃなくて、オリジナルが読みたいなあ。上手いし、それなりに面白くはあるんですが、西尾維新の真骨頂はキャラクターの動かし方だと思うんですよね。やっぱり他人のキャラクターでは、思うままに好き放題やるわけにはいかないでしょうし。

読みたい本はたまっていて。

ROOM No.1301 (8) 妹さんはオプティミスティック!

半分の月がのぼる空8

デュラララ!! ×3

火目の巫女3

ゲームの方は『ひぐらし』が終わった今、特に遊びたい物は無いから、さほど問題はない。年末近辺は、次世代機が発売されたり、いよいよDS向けのソフトメーカー各社のソフトが出揃うとあって、色々と、たくさん、いっぱい・・・・・・・・・あるの? 読みたくてしょうがない本の量にため息を。遊びたくてしょうがないゲームの量にため息を。

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2006年06月27日

ライトノベル感想(6月前半?)

ずっと掲載し忘れてました。
書きかけで放置したままの記事、書いたけどアップしてない記事って、けっこうあるんですよね。そういう記事は週1ぐらいで出てきます。もったいないんですけど。なかなか。

1.されど罪人は竜と踊る
2.灰よ、竜に告げよ
3.災厄の一日
4.くちづけでは長く、愛には短すぎて
5.そして、楽園はあまりに永く

『され竜』シリーズについに手を出しましたが、噂どおりの鬱度ですな。
ライトノベルは登場人物に少年少女が多めなんですが、この作品は大人が多いです。仲が悪そうで、しっかり結びついたガユスとギギナのコンビ、二人の将来の危うさを誤魔化しながら、揺れ続けるガユスとジヴの大人の恋人関係。主人公は心に挫折感を抱いていますし、事実、許されない失敗をおかした過去を持っています。すげー幸薄そう。全体的に渋くて苦くて欝で・・・・たまにクリーミィな話も・・・・あれ、無いかも。

化学式を組み込んだ独特の魔術理論や、濃度の濃いバトル、独自の世界観など、魅力たっぷりですが、萌えを期待する人には真逆の作品なので、読まない方がいいでしょう。鬱な話が苦手な人も向きません。5巻の欝っぷりは・・・・。電波、黒ヒロイン、鬱エロゲーが大好きな人にはオススメします。魔女皇ジヴーニャは最高ですよ(違

6.SHI-NO アリスの子守唄

ミステリとしてのオチがこじんまりとしているのが難点ですね。もっとも、富士見ミステリーにミステリ小説を期待するな、というのは大宇宙の真理的法則です。富士見ミステリにおけるミステリ分は、ご飯にかける「ふりかけ」ぐらいに認識しておいた方がいいでしょう。しかし個人的には、文庫としての方向性が迷走しているがゆえの混沌感は、割と気に入ってます。電撃は最近、なんでもかんでも学園異能にし過ぎてますからね。

7.狼と香辛料

1巻で信頼関係を確立したロレンスとホロの2人の掛け合いが読んでいて楽しい。それでも人間と狼、微妙に揺れる部分もありますよね。その機微が細やか。早くも筆力が安定してきた印象。欲をかきすぎて失敗したロレンスの最後の決断も、ホロには甘いと呆れられながらも、納得のいくもの。電撃大賞のレベルの上昇、受賞作の豊作ぶりを実感させられます。一方で、小説としては荒削りながら、パワーを感じさせる作品が少なくなっている気がするのは、ちょっとした懸念材料かもしれませんが。

8.半分の月がのぼる空 7

短編集第1弾。後日談を描いた短編『雨(前編)』と、これまで電撃hpやドラマCD向けに執筆してきた短編が収録されています。8巻も短編集で、それで半月は完全に終了だそうです。5巻の時点で物語としては終わっているので、蛇足といえば蛇足なんですが、電撃の人気シリーズとしてはあっさり終えた方でしょう。物語を終わらせるか、終わらせないかは難しい問題です。読者の中にも、矛盾した思いがあるでしょうし。
終わる物語と終わらない物語についてはこの辺を

しかし同人の二次創作まで視野に入れてしまえば、もはや消費者が飽き尽くすまで、物語は終われないような気がします。作り手が同人市場を意識しているケースは少なくないでしょうし。少なくともオタク向けのストーリーメディアでは、「終わる物語」と「終わらない物語」を内包する構造がかなり普及、浸透しています。
(参考:作り手が終わらせても、物語は終わらない時代

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2006年06月08日

ライトノベル関連ニュース(6月8日)

1.DS電撃文庫、第2弾は『イリヤの空、UFOの夏』
早くも続巻が発売決定ですか。
電子書籍そのものは、DS向きだと思います。『脳トレ』はいわば『脳ドリル』をうまくゲーム化した例といえますが、先日発表された『日本常識力検定協会監修 今さら人には聞けない 大人の常識力トレーニング DS』にしても、「常識力」本が売れているという下地があるわけです。ただ、ライトノベルに限れば、大人の購入者が増えているとはいっても、中高生が買い支えているので、DS向きなのかどうかは若干判断に悩むところです。(参考:インタラクティブ産業は「本」の市場を取り込むのか

PSPで出る『かまいたちの夜2』なんかは今の市場を考えると、DSで出した方がいいと思うんですが。実際、全然売れてないみたいですし。まぁDSだと、さすがに容量がきついですかね。シナリオ担当の我孫子武丸氏は、PS2『かまいたちの夜×3』についてのインタビューでDSについて語りまくってますが。どのハードで出すかは作り手が決められるわけではありませんから・・・・。それが正しい市場分析に基づいているならいいんですけど、作り手の気持ちに反して、なおかつ見当違いの市場分析によるものだとしたら、救いようが無いです。

DS市場はあまりに任天堂が強すぎるので、ソフトメーカーが目立ってません。ですが、その状況に便乗して、儲かってないかのようなイメージを植えつけようとしている人たちもいらっしゃいます。しかしソフト市場そのものが小さいPSPと比べれば、ずっとビジネスが回りやすいんですよね。例えば、SCEJが大量のCMを投下したPSP『カズオ』と全然プロモーションしていないハドソンのDS『数独』に大した差が無いとか。

なんでこういう事が起きるかというと、ユーザー層が違うからです。きわめて大雑把に市場を分けると、PSP=中高生男子、DS=その他全部という状況なのですよね。そのソフトを買いそうなユーザーが多いハードで出すなら宣伝は少なくて済みますが、そのソフトを買いそうにないユーザーが多いハードで出すと、大量の宣伝でもなかなか動きません。

中高生がPSPを買っているのは、1)任天堂から「卒業」したい(背伸び需要)、2)萌えとエロ(美少女ゲーム移植、アダルトUMD、落としたエロ動画鑑賞)の2つの理由からでしょう。ボクが中学生の頃だと「エロ本」でしたが、今の中高生はPSPだと。技術の進化を感じますねえ。別にゲームのために買ってるわけではないので、普及台数の割りにソフト市場が小さいわけです。ユーザーの幅が狭いので、逆にいえば、狙いやすいともいえますが。乱暴にいえば、エロとバイオレンスが強いゲームがいいんじゃないでしょうか。

そういえば、PS2『Fate /stay night』にはPSPソフトが同梱されるらしいですね。まぁこれは単純な話、高い価格のパッケージを作りたいだけでしょう。商売っ気が見えすぎですが、まぁ客層的にはこの組合せは間違いではないでしょう。惜しむらくは、テレビアニメと時期が全然合っていないことと、テレビアニメの出来がイマイチなことですね。『月姫』も『真月譚』以後、人気が低下しましたからね。京アニが作り直してくれないものか。

2.『護くんに女神の祝福を!』、テレビアニメ化決定!
割と無難な選択かも。
しかし平和すぎる話だから、アニメで見ると若干退屈になりそうな気もするんですが。『アリソン』『とある魔術の禁書目録』『9S』等々、電撃はアニメ化できそうな候補が多いですね。この分だと『乃木坂春奈の秘密』あたりもありそうですが。

冬枯れの街:アニメ関連各社の株価はここ1ヶ月でガタガタでもうなんといったらいいのかよく分からない状況なのですが…。

現在、テレビアニメ番組はCS放送などを含め週100本を超え、作品同士の競争は激しさを増す。ここ数年、成長をけん引してきたDVD販売も出荷本数の伸びが鈍化。深夜に放送し、DVD販売で回収するアニメ制作の収益モデルは崩れ始めた。各社はネット配信など新たな収益源を確保する必要に迫られている。
アニメも本数が増えすぎて(週100本!)、競争が激化してますから、目立つのはなかなか大変でしょうけど。今期は『ハルヒ』一人勝ちの様相を呈してますし。

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2006年05月28日

週末の読書(2006年5月27〜28日)

1.夏期限定トロピカルパフェ事件

米澤穂信の小市民シリーズ第2巻。日常の謎を解いていくタイプのミステリー。
依存関係にはなく、お互いを利用しあうだけの互恵関係を結んでいる、小鳩くんと小佐内さん。2人がケーキを巡って知恵比べする第1章「シャルロットだけはぼくのもの」は、観察力を問う倒叙もので、良く出来ています。途中で読むのを止めて、謎解きに参加してみるのも一興。

また短編連作の形式を取っていた1巻と違い、今回は短編が長編の一部を構成しています。第1章と第2章はそれぞれ読切短編として雑誌掲載されただけに、単独でも気の利いたミステリーですが、それらの話が結びついて最後に1つの長編が浮かび上がるという趣向が見事です。第1章の2人の知恵比べが、この巻全体の本質を暗喩している点も秀逸。

またこの2巻が優れているのは、キャラクターの性格が1冊の長編としての謎を解く上で鍵になっていること。小鳩くんと小佐内さん、お互いをよく知っているがゆえに、お互いの嘘を見抜けます。そしてお互いの嘘をよく見抜きすぎたために、2人の関係は1つの大きな変化を迎えることになります。はたして『秋期』以降、2人はどうなっていくのか、過去のトラウマとどう折り合いをつけていくか、気になります。

キャラクターの性格が謎に絡むといえば、第1巻の第3話「ココアの作り方」でも、謎が解き明かされると同時に、小鳩くんの友人堂島健吾の性格が浮き彫りになりました。こうしたキャラの性格と謎をからめた手法は、単なるロジックだけの解明以上に、納得感がありますね。


2.神様のパズル

人工授精で生み出された天才少女の穂瑞と、留年寸前の学生の綿さんが、現代物理学がいまだ答えに到達していない「神様のパズル」に挑戦します。はたして人間に「宇宙を作ることはできるのか?」。2人は大学の研究室のゼミで、宇宙が作れる事を証明しなければなりません。しかし巨大粒子加速器”むげん”の完成をめぐって、基礎理論を提唱した穂瑞への風当たりはしだいに強くなっていき・・・・。

ハードSFでありながら、舞台が少し未来なことを除けば、理系ミステリのようでもあり、昨今のライトノベルに通じるキャラクター性の高い小説であり、しかし最終的には「自分とは何か?」を真剣に悩んでいる少女を描く青春小説です。やってることはえらく地味で、登場人物は現代物理学の議論ばかりしています。扱っている題材のディープさの割に、おそろしくライトなこの本なら、SFをあまり読まない人でも楽しく読めるでしょう。映像化しやすいとはお世辞にも言えないのですが、すでに角川春樹事務所とエイベックス・エンターテインメントによる劇場化が決定しているそうです。

それにしても最近、SFと青春小説の接近を感じます。新城カズマ『サマー/タイム/トラベラー』も時間旅行能力者を題材にした一級の青春SFエンタでした。


3.SHI-NO 黒き魂の少女

うたい文句どおりの「純愛系ミステリー」かどうかは怪しいのですが、まあ何故か最近テーマが「L・O・V・E!」になっている富士見ミステリーに、論理的な宣伝文句を期待してもしかたありません。混沌と迷走だけならライトノベル最強のレーベルですから。

大学一年の僕の部屋に、小学5年生の支倉志乃ちゃんが毎日やってきます。兄妹でもないのに。それというのも志乃ちゃんは、両親が忙しくてほとんど家にいなかったから、小さい頃に僕の家で預かっていたため。つまり兄妹でなくても、兄妹のような関係。

無口でクールで大人しい志乃ちゃんは、手がかからない良い子。でも猟奇事件や怪事件に異常に興味を示すのがただ1つの心配の種。でも事件に近づかなければ、美少女小学生探偵シノシノには変身できないんですね〜、仕方ない。
正直、この本のテーマ自体はちょっと微妙ですが。森博嗣あたりなら、もっと詩的にエレガントに書けるんでしょうけど。

気がつけば、ライトノベル4大・小学生ヒロインを制覇してるじゃないかorz
    『紅』  紫(7歳)
    『円環少女』  メイゼル(12歳)
    『BLOOD LINK』  カンナ(9歳)
    『SHI-NO』  志乃(11歳)

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2006年05月23日

「本」を中心にしたニュースクリップ

角川書店がアニメファンド設立・20億円規模
テレビと映画をあわせて、今後5年間で35本のアニメを制作する計画があることから、関係者以外の出資をつのるファンドを設立。
かなりの本数ですが、ライトノベル原作のアニメが増えている現状を考えれば。

「タイトル先決め」の携帯文学賞、候補となった面白タイトルは
本来ならタイトルの前に内容が先にあるべきですが、あえてタイトルから先に決めることで、新しい着想に至るというアプローチもありでしょうね。もっとも、この候補の中から読者投票で選ばれたものは、割と無難なものばかりなような・・・・。

新書戦争はゲリラ戦である
出版社が新書に力を入れる理由と、ブームの要因を簡単に説明しています。
機動力+低コストで制作ってのはやはり良いですね。

ブックオフ、パート出身の橋本真由美常務が社長に
パートから店長、正社員、取締役、常務、そして社長に。まさに究極の叩き上げの経営者。トップが現場を知っているというのは、かなり大切ですよね。

「中学生はこれを読め」 書店主が推薦リスト、全国波及
書店、口コミといえばPOP。

アマゾンの売上トップ10で9冊を角川が独占
5月1日〜7日の週の販売で、1位の『ハリーポッター』最新巻を除いてすべて角川。
『涼宮ハルヒ』が6冊に、 『ダ・ヴィンチ・コード』の上中下巻がランクイン。
ハルヒとダ・ヴィンチ・コードの成功で、角川は笑いが止まらないでしょうね。

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2006年05月21日

週末の読書(2006年5月20〜21日)

1.ZOO

乙一の短編集。10編の奇妙な短編と1編の不思議な読後感のショートショートから構成されていますが、文庫化の際に2冊に分冊されています。最近は文庫化の時に分冊されることが多いです。なんでも、今時の読者は薄い本を好んでいるからだそうですが。うーん、そんなものなのか。出版社も分けたほうが儲かるんでしょうが。ふーん。そういえば、文字ちょっと大きいですね。

10編の短編には統一感がありません。切ない話、恐ろしい話、感動的に美しい話、おぞましい話、ユーモアな毒に満ちた話。ミステリー、SF、ファンタジー、ホラー、おそろしい童話。しかしそうやって分類するのはちょっと馬鹿馬鹿しいです。何故ならどの話も、奇妙というほかない読書感をもたらすからです。

本来なら10編を両方読んだほうがいいのですが、せっかく2冊に分かれているので、あえてどちらか1冊をオススメするとしたら1巻です。『SEVERN ROOMS』はたった69ページ分の物語とは思えないほど、1つの凄惨な世界を描き出しています。『陽だまりの詩』はオーソドックスな舞台設定から始まりますが、美しい世界がそこにあります。1巻に収録された5編の方が普通に共感し、納得し、楽しめる作品が多いと思います。2巻に収録された短編は毒のあるユーモアが色濃くなっていて、若干好き嫌いを選ぶかもしれません。

2.バッテリー 1

児童文学の世界から一般小説の世界へと躍り出た、あさのあつこの代表作『バッテリー』の第1巻。ハードカバー(全6巻)は教育画劇から刊行されていましたが、文庫(現在4巻まで)は角川書店から出ています。しかしまあ、見出されるべき人は見出されるんだなあ、と思うしかないですね。すさまじく面白い。

自分の才能に絶大な自信をもち、他人と協調するよりも自分を貫こうとする巧。
巧の投げる球を受け止める、彼の女房役となる豪。
病弱でありながら、兄に憧れて野球を始めようとする弟の青波。
地元の高校を何度も甲子園に連れて行った監督だが、家庭では自分の娘との衝突が絶えなかった祖父。
息子の才能を理解できないどころか、ポジションさえ把握していない文化系の父親。
病弱な弟のほうに気持ちが寄りがちな母親。

誰もがしっかり描写されていて、なるほど彼らがぶつかり合い、寄り添い合うところに生まれるのは確かに「ドラマ」でしょう。そして、主人公の巧の才能は、その気が無くても周囲の人間を「巻き込んで」いく強烈な力です。巧の母親は、弟に気をかけすぎているように見えて、巧のこともちゃんと見ています。彼女の「巻き込まないで」という言葉は、息子の才能を恐ろしいほど正確に捉えています。しかし彼が巻き込もうと思って、巻き込んだのではない。その尖った才能、尖った生き方、尖った心はどこへ向かうのか。読者はそのたどり着く先を知りたくて、やはり巻き込まれていくのです。

3.円環少女 1 バベル再臨

文章はクセが強くて非常に読みにくいものの、圧倒的に面白い異能バトル物。
登場人物たちの情念、キャラクターの魅力、物語の密度、膨大な設定、すべてを1冊に放り込んだ高密度なライトノベル。しかし高密度すぎて、小説としてやや破綻してはいるんですが。しかしなんだ、読みにくさにも関わらず、この作品に魅了される読者が少なくないのも事実。
そこを乗り越えるに値する確かな面白さがあります。

しかしこの本も小学生ヒロインなんだよな。性格がサドだけど。
ちなみにライトノベルにおける小学生ヒロインの数が増えている件について。
    『紅』  紫(7歳)
    『円環少女』  メイゼル(12歳)
    『BLOOD LINK』  カンナ(9歳)
    『SHI-NO』  志乃(11歳)

4.虚構の勇者

『抗いし者たちの系譜』シリーズ第2巻。作者の三浦良は富士見で今伸び盛りの期待の新人。
魔王と勇者の物語です、というと、おいおい今は21世紀だよ?という声が聞こえてきそうですが、読ませるだけのアイデアが練られた作品。
第1巻『逆襲の魔王』では、勇者が魔王の魔力を吸収して魔王になりかわり、人間と魔族の統一帝国を築き上げ、元・魔王は彼女への復讐を誓い、一介の剣士に身をやつして武者修行の旅をします。そして数年が経ち、新しい魔王は自分の近衛兵を選出するため、諸国から腕の立つ者を集めて武術大会を開きますが、その中にはかつての魔王の姿も。彼は復讐を果たすことができるのか、それとも元勇者の魔王の策謀が勝つのか。

そしてこの第2巻『虚構の勇者』では、「かつての勇者は魔王になった。ならば今の魔王に対する今の勇者がいるはず」という怪文書が帝国上層部に届けられ、いまだ地盤の固まりきらない帝国に、混乱と疑惑の嵐が吹き荒れます。正直、1巻で終わりになると思っていただけに、続きが出たのはそれだけ人気があったということでしょう。キャラクターに魅力があっただけに、確かにもったいなくはありました。しかし1巻の話が話なだけに、新しい敵を作るのが難しいんですよね。3巻以降、話をふくらませる手腕に期待したいところ。

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2006年05月14日

ライトノベルは青春小説化する? ライトノベル「超」入門


2年前、ライトノベル解説本ブームが巻き起こり、『ライトノベル☆めった斬り』『このライトノベルがすごい』『ライトノベルキャラクターズ完全ファイル』等々、多数の解説本が出版されました。でも正直いってボクはどれも買いませんでした。興味も起きませんでした。どのライトノベルが面白いか、とか、どの作家が注目なのか、とか、そういう情報はわざわざ本で読まなくても、自分がたくさん本を読んでいればおのずとわかりますし、評判にしたってネットで調べられるからです。

ソフトバンク新書から刊行された、この『ライトノベル「超」入門』は、そんなボクでも他人にオススメしたくなる一冊です。ライトノベル作家でありSF作家でもある新城カズマ氏が、「で、要するにライトノベルってなによ?」という疑問に簡潔かつ的確に答えています。

このブログを一昨年、去年から読んでいる人はご承知の通り、かなり内容が変わってきています。年が明けてから、ライトノベルとエロゲー(特にノベルゲーム)の比重が高くなり、4月に入るやハルヒ、ハルヒ、ハルヒ、・・・・。ゲーム系ブログの皆さんがこぞってE3について感想を書いているにもかかわらず、E3もスルー。「中の人が変わったんじゃないか?」「頭を机の角にぶつけたんじゃないか?」「変な女にネクタイを掴まれて首を絞められたんじゃないか」「奇怪な女に『活動の邪魔だから』と言われてゲーム会社辞めたんじゃないか?」・・・・と思われても仕方がない状態です。

しかしボクは昔からライトノベルをたくさん読んできましたし、エロゲーもがっちり遊んでいたわけで、今までは特に触れてこなかっただけです。では、どうして表に出すようにしたのか。その辺は、読者の方々の想像におまかせしますが、「こいつが壊れたラジオのように繰り返し書いているライトノベルって?」と少しでも興味をもった方には一読をオススメします。特に、自分ではライトノベルを読んでいる時間があまり無い、けれどもどんなものかは関心がある、という人には最適だと思います。

最終章の「ゼロジャンル」についての考察も鋭いです。最近のライトノベルの青春小説化、私小説化を感じている人たちには共感できる話だと思います。たしかにライトノベルと一般小説の隙間を埋める作品群が生まれ始めていますし、そこに一段広い読者層を獲得するチャンスがありそうな気はしますね。アニメ化ばっかりされていたライトノベルにも、実写化の路線が見えてきたわけですし。


参考
エレホン番外地: 新城カズマ『ライトノベル「超」入門』感想リンク集

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2006年05月12日

パーフェクトな虎とレジンキャストな一番長い日を大覇星祭という運動会で戌と狗ががるぐるっと人形のような少女と夏休みにお留守番して火目とεに誓って「超」入門

やー、今月は電撃文庫が豊作すぎですよ、ひぃーっ。
毎月おなじみ10日の発売日に本屋に行ったら7冊。桜庭一樹 『GOSICKs供戮盻个討泙靴燭掘2辰┐匿糠郢 『εに誓って』と、まだ買ってなかった新城カズマ 『ライトノベル「超」入門』。

1.とらドラ2!
『わたしたちの田村くん』でツンデレ小説家の最前列に躍り出た竹宮ゆゆこの新シリーズ『とらドラ』の第2巻が早くも登場。単行本の帯のコメントはなんと、虎といえばこの人、藤ねえ(藤村大河)の生みの親、奈須きのこ。

しかし2巻では、恋愛関係はまるで進展してません。新キャラの川嶋亜美のフラグが立ったぐらい。でも仮に三角関係になったとしても、『わたしたちの田村くん』以上に結果は見えているからなあ。まぁ、誰と誰がくっつくかを楽しむような小説ではありませんけどね。基本的に2巻は3巻への準備段階と捉えるべきかな。次は割と怒涛の展開が待っているはず。

とはいえ、今回の真のヒロインは、本当の天然・みのりん(櫛枝実乃梨)でしょう。ここまではっちゃけてくれるとは・・・・。凶暴でしつけの悪い虎や、性格の悪い裏表チワワより、ずっと楽しすぎ。ひょうきん懺悔室、ありえねー。作者の歳がバレますがな。それがわかる読者の歳もバレますが。

2.レジンキャストミルク3
ライトノベルは小説の一形態という認識が強い一方、ライトノベルは絵とテキストの複合メディアだという見解も存在します。絵担当がイラストレーターで、文担当が小説家という考え方です。実際、最初の1冊はイラストで買われることが多いですしね。

しかしライトノベルとひと口に言っても、最近はイラスト抜きの作品もありますし、逆に絵本のように毎ページ必ず絵が入っているビジュアルノベルもあります。なかなか定義は難しいです。ただ、その幅の広さこそ、今のライトノベルのキャパシティの広さだと言えるでしょう。メディアにおいてキャパシティは重要です。それが多様性を生み、次のヒットの種を育てるのですから。

ライトノベルはそういう性質をもつメディアなので、「作家と絵師の仲の良さ」が評価されることがあります。
    ・絵師の人の描く挿絵が、作中の効果的なシーンを抜き出したものである
    ・巻末に絵師のあとがき、メッセージが載っている
    ・絵師がキャラクターを理解している
    ・巻頭部分に、絵師によるコミックが載っている

といった項目を満たしていると、仲が良いとみなされます。人気がある作品が必ずしも「仲が良い」わけではありませんが、「仲が良い」作品は大抵人気があります。なぜなら「仲の良い」作品は基本的にキャラクターがよく立っているからです。

さて前振りからおわかりのとおり、『レジンキャストミルク』は作家と絵師が非常に仲の良い作品です。第1巻のあとがきから引用します。

企画段階からイラストレーターさんにも参加してもらい、設定の一部やキャラクターデザイン、本文内容などの面で通常よりも多くの協力をお願いした上で『イラストのある小説』という特性をできるだけ活かした本の作り方をいろいろと試みる、というものです。

たとえば、第一稿の段階で出来上がったキャラクターにイラストさんのアイデアでデザイン的なアレンジを加えてもらい、それを更に第二稿で本文へフィードバックしたりなど――そういった細かなことを、本書では各部で行っています。

実際、椋本夏夜氏はイラストだけでなく、「原作協力」とクレジットされています。

その結果かどうかはわかりませんが、レジンキャストミルクはなんというか、美少女ノベルゲームのような世界観、キャラクター構成、ストーリーになっています。もしノベルゲームで出たとしても、かなり人気を集めたんじゃないでしょうか。ただ、主人公の晶と硝子の2つの視点で書かれている点は、ややノベルゲーム向きではありませんが。

それにしても、「ほのぼの×ダーク」を謳うこの作品、作者の暗黒面が如実に発揮されてて素敵ですね。あからさまに気弱で善人だった彼まで、変態ぎみにぶっ壊れてるし。表面的には普通にほのぼのだけど、裏に回ったらまともな人間が誰1人いませんよ、この世界。
3巻と4巻は続きになっていて、4巻は来月発売予定。4巻の表紙はいよいよ舞鶴蜜(作者のページで公開されてます)。かこいい。やはり決めは戦闘服を着ないとね! 今回は、おもいっきり無様にやられた彼女の逆襲が始まるはず。燃えそうです。

3.リリアとトレイズ検.ぅストーヴァの一番長い日<下>
DS電撃文庫が発表された『アリソン』の続編が、この『リリアとトレイズ』。
『アリソン』はエピソードが3つあったから、『リリトレ』も次が最終エピソードかな。どうやら前シリーズと似たような構成になっているようですね。前シリーズも第2エピソードでは、アリソンがヴィルに告白しようとして、イクスへの旅行にさそいました。リリトレもこの第2エピソードでは、ヘタレのトレイズがリリアに自分の気持ちと隠してきた身分を告白しようとします。

次はベゼル王国の首都が舞台っぽい。なるほど。すると前シリーズでアリソンがあの人と再会したように、リリアもあの人と再会するのかな。そして大団円。トレイズがヘタレを返上できるかどうかは・・・・不明。

4.とある魔術の禁書目録10
初速が最速はいってるらしい禁書の最新刊。ボクも9巻からは初速に貢献しています。
さて10巻は、9巻に引き続き、大覇星祭。だがそんな事はどうでもいいっ!
ぉぉぉぉぉぉっっっっっっっ、■■が、あの封印され、名前を呼ばれる事さえ無くなっていた忘却の存在が、一気にクローズアップっ。フラグの立った娘たちの最前列に躍り出た! そのかわり吹寄がチャンスロスした感じですかいっ。

登場人物の際限ない増加にともない、脇道エピソードが挿まれまくりで、もはや小説としては破綻しつつあります。が、ノープロブレム。少年漫画的燃えストーリーでありながら、美少女ゲーム的なキャラ小説な禁書では、そんな問題など、あってなきがごときなりけりよ。

ところで白井黒子は不死身ですかっ。生命力だけは禁書世界最強入ってる気が。さすがはさすがは主人公の上条当麻をさしおき8巻で主役を張るだけある・・・・っていうか、最強の一方通行や、レールガンの御坂美琴よりも、主役係数が高いわけで。確かに黒子にだけは、一万人の妹達の存在を知られてはならないのかも。1人や2人は平然とお持ち帰りしそうな恐ろしいお姉さまへの執念。

しかしよく考えると、禁書ワールドではたった1つの遺伝子から、ビリビリ中学生(レールガン)、1万人の妹達(シスターズ)、打ち止め(ラストオーダー)の3人?の少女キャラが派生しているわけで、最強の萌え遺伝子かっ! でもあれだ、ビリビリはむしろ白井黒子とフラグ立ちまくりですし、打ち止め娘も鈴科百合子(実在確率不定)といい感じにフラグ立ってることを考えると、最強の百合遺伝子なのかもしれずっ。

前巻では声だけの登場だったリドヴィア=ロレンツェッティは、真面目で健気で泣き虫ドジっ娘?と勝手に想像していたんですが、大ハズレでしたねー。つか、ここまでアレなお人だったのかーっ。自分の事を「お姉さん」と言い、格好も奔放系なオリアナ=トムソンが実は物事を考え過ぎる小心なお姉ちゃんだったのとは対照的に、少ない出番でここまで変態存在感を発揮するとはっ! 再登場を期待したい。でもこんな性格、うっとうしいかも。
しかし禁書ワールドにおける十字教の最大派閥、ローマ正教って、まともなヤツが1人もいないような気がするですが? そりゃ、弱体化するわなー。

5.がるぐる!下
越佐大橋シリーズが完結。あれ、実は成田良悟のシリーズで完結したのはこれが初めて?
4巻で終わりなので、成田良悟に興味がある人はここから手を出すのもありかもしれませんね。
代表作は『バッカーノ』ですが、長いんでね、あのシリーズ。
終わる気配、まるでありませんし。

6.GOSICKs
『GOSICK』シリーズ、2冊目の短編集。今度は夏休み編。
夏休みに入り、学生たちがみんな帰省してしまった聖マルグリット学園。2人だけ残った一弥とヴィクトリカが舞い込んでくる謎を解いていきます。謎といっても、ミステリーとして読むより、ヴィクトリカの可愛らしさを堪能することに専念しましょう。木に登って下りられなくなり、置いてあったケーキを食べられてしまうヴィクトリカに萌えるべきです。

それにしても一弥のヴィクトリカへの献身っぷりが凄いですね。彼の従順な紳士っぷりとヴィクトリカの貴族っぽさが、2人の関係を微妙に格調高く、美しく、希少なものにしています。一弥の従順っぷりはライトノベル界でも屈指なんじゃないですかね。夏の炎天下、芝生の上で寝返りを打っている女の子のために、日傘を持って立ち続けるなんて、なかなかできないよ。しかも自発的にやってますからね。まぁ『とらドラ!』の竜児もかなり極まっている感じはしますが。

ヴィクトリカの生い立ちを始め、けっこう残酷な事もあるんですけど、全体にかわいい感じがするのは桜庭一樹の文章のせいかも。「つるつる」「つやつや」「ふるふる」「フリフリ」「もふもふ」「むきむき」「しくしく」「びしびし」等々、かわいい擬態語をよく使いますよね。

7.お留守バンシー2
前巻でぶっ壊れた城を直そうとして、街から職人を呼んだものの、城の住人(魔)たちが正体を隠すため人間のふりをする話。アリアの意外とワガママな性格も描かれていい感じ、お話のパターンも出来てきた感じ。ただキャラごとの掘り下げが浅いので、今のままだとあと2冊も続くと息切れしちゃうかも。しかしアリアは、ご主人さまであるブラド卿をどうしてそこまで慕ってるのか、イマイチ謎ですね。嫉妬するのはかわいい。

8.火目の巫女2
1巻から1年が経過してます。1巻の救いのほとんど無い終わり方に比べると、少し希望が見えているかな? 謎も少しずつ明らかになってきましたが、やっぱり最後は火目の犠牲の上に成り立っているこの国の仕組みが変わるんでしょうね。

それにしてもこのヒロインは、ホントに成長が鈍いというか、とにかく猪突猛進です。一人で絶対に勝てないのに、他の人を置いてきぼりにして、一人で勝手に突っ走っていく。秘められた才能とか、特殊能力もないんで、どうにもなりません。そもそもヒロインより年下の小さい童女のほうが天才的な才能を秘めています。

で、結局勝てないし、被害は大きくなるし、しまいには自分は何もできない、自分がいてもしょうがないよ・・・・って鬱になるし。スポコン物でももうちょっと早い段階で「きっかけ」を掴むと思いますが。ここまで情けない主人公もなかなかいません。まぁだから、周囲の人間は助けてあげたくなるんでしょうか。異能バトル物(主人公の頭が切れて、頭脳戦/心理戦で相手を倒す、逆転する)が増えた今では、珍しいですね。

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2006年04月12日

先週のライトノベル購入

1.とある魔術の禁書目録9

1つのエピソードが1冊で終わらずに次の巻に続くのって、今回が初めてですね。
しかし今回もあまり本筋の話が進みそうにありません。
いや、まぁ、そもそも本筋の話ってなんだ? って感じですが。
主人公に長期的な目的がなにも無いんですよね。巻き込まれ体質だから、いくらでも続けられますし。
でもパターンが飽きられてくると、厳しいんじゃないかなあ・・・・。

2.イリスの虹2

正義の味方の女の子とごく普通の少年が出会う物語です。
このヒロインが奥の手を使うと、年齢が若返ってしまうんですよね。
この設定でバカを貫くなら、新巻が出るたびに表紙の女の子が幼くなっていくという、スーパーロリィな小説が誕生しますが、残念ながらシリアスなお話です。ちっ。
まあ多分、『スレイヤーズ』と同じパターンかと。(1巻で最強の呪文使っちゃったけど、その後はラストバトルを除けば使わないで勝つ)

3.カーリー

評判が良いので購入。
ヴィクトリア朝時代のインドを舞台にしたラブストーリーらしいですな。

4.天使のレシピ

第1話のみ読了。
電撃大賞の短編部門で、入賞作品が出たのはひさしぶり。
期待して買ってみたんですが、思っていたより普通でした。

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2006年04月06日

天才のいない野球漫画『おおきく振りかぶって』

以前から書店やコンビニで見かけていたのですが、最近あちこちで話題になっていたのでついに買いました。
確かに面白いです。
高校野球を描いてきた漫画はそりゃ古今東西いくらでもあるわけですが、この作品で特徴的なのは登場する少年たちが誰も彼も必死で一生懸命なことです。なぜ一生懸命なのか、それはこの作品の世界には天才がいないからです。凡人だからこそ、彼らは一生懸命に野球をする。その必死さは、ボクたちが身近に感じる必死さですし、ひたむきさです。

そもそも、これほど暗くて卑屈でオドオドした主人公(ピッチャー)がかつて野球漫画に存在したでしょうか。
彼は中学時代、祖父の経営する私立学園に通い、実力が無いにもかかわらず、ずっと試合でエースを張り続けました。チームメイトのやる気は下がりまくり、チームの成績は3年間、低迷しっぱなし。自分のせいで、みんなの中学時代を台無しにした・・・・と、落ち込んだまま、彼は学園の高等部には進まず、他の高校に進学しました。

「経営者の孫だからってエースやらせんの? ヒッデエ監督だな」
「カントクのせいじゃないよ。自分から降りたって、部を辞めたっていいんだ。そう……しなきゃダメって、わ……わかってたのに。オレ、マウンド3年間ゆずらなかった!」
はっきりいって、彼は彼自身の言うとおり、最悪かもしれません。才能ないなら、やめろ、出てけ、どけ。そう罵られても仕方ないし、チームメイトの士気を下げてまでマウンドに執着するのもキモいかもしれません。

才能が無いかもしれない、下手の横好きかもしれない、自分の存在が足を引っ張るかもしれない。それでも彼はマウンドに執着します。この執着は、天才というよりは凡人の執着ですし、ボクたちの身近にあるものです。
ボクたちの大部分は野球選手ではありませんが、職場で学校で家庭であらゆる場所で、同じような思いをすることがあるでしょう。才能が無いかもしれない、下手の横好きかもしれない、自分の存在が足を引っ張るかもしれない。言葉ではっきりと「無能だね」と罵られたかもしれない、無言の圧力で「邪魔だよ」と責められたかもしれない、あるいは自分自身の心が勝手に自分を責めるかもしれない。

大なり小なり、似たような思いを抱いたことがある人はいるでしょう。凡人だもの、仕方ない。だからこそ、彼を始めとする少年たちの執着は、必死さは、一生懸命さは読む者の胸を打つのだと思います。

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2006年03月31日

米澤穂信を今頃読み始めています


米澤穂信『氷菓』を今頃読んでみました。
千反田かわいいよ、千反田。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・違う、そうじゃない、これはそういう小説じゃない。
さわやか風味のちょっぴりほろ苦な青春ミステリですよ。
いわゆる日常系ミステリというやつ。
人が死ぬような事件はまったく起こりません。
何ごとにも積極的に関わろうとしない、灰色の「省エネ」少年、折木奉太郎は姉の命令で廃部寸前の古典部に入部することに。好奇心旺盛にして活動的、「わたし、気になります」が口癖のお嬢様、千反田に頼まれて、日常のちょっとした謎を解き明かしていきます。
いつのまにか密室になった教室の謎。毎週必ず借り出される本の謎。あるはずの文集をないと言い張る先輩の謎。そして古典部員たちはやがて、『氷菓』という名の文集に隠された33年前の事件の真相にたどり着きます。

廃部寸前の文科系クラブ、部室にたまる高校生、なぜか舞い込んでくる事件、・・・・。
・・・・・・・うあ。
『涼宮ハルヒ』といい、『氷菓』といい、ボクはこのフォーマットに弱い。
だからやっぱり千反田、かわいいと思っちゃうんですよ。

思わず、続編の『愚者のエンドロール』と『クドリャフカの順番 ―「十文字」事件』を注文しちゃいましたよ。


・・・・・・・しかし。
桜庭一樹『GOSICK』にしても、ヴィクトリカはかわいいし。
『GOTH』の森野もたぶんかわいい。
森博嗣のS&Mシリーズにしても、西之園萌絵がいらっしゃるわけですし。
ライトノベル系ミステリにはかわいいヒロインが欠かせないのですよ。
それにどいつもこいつも、微妙にお嬢様入っている気が。

まあなんだ、本来なら無関係のはずの他人の事件に首を突っ込むような遠慮の無さは、世間からズレたお嬢様ぐらいしかあり得ない、ということなのかもしれませんが。

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2006年03月28日

BBBがアニメ化ってマジですか?

MOON PHASE 雑記 TVA「BLACK BLOOD BROTHERS」2006年放送予定。
おおおおおおおおおっ。
「あの、うそつきめ。」にして、「あの、うらぎりものめ。」なあざの耕平の吸血鬼小説『BLACK BLOOD BROTHERS』がアニメ化。一気に全巻読み返してしまいましたよ。


・・・・しかしどうせアニメ化するなら、原作の物語が佳境にも達していない『BLACK BLOOD BROTHERS』よりも、すでに完結している『Dクラッカーズ』のほうがいいと思うんですけどね。まぁ完結したシリーズよりも、現在進行形のシリーズのほうがアニメ化による売上拡大が見込めるし、色々と連動がしやすいんでしょうけど。

『BBB』は1巻ではまだ登場人物の数も少ないし、全体像が見えてこないでしょう。2巻以降、急激にキャラクターが増えますし、第一部にあたる3巻まで一気に読んだほうがいいです。とある事情の吸血鬼の兄弟が特区に上陸して数日の物語が第一部。過去編の4巻をへて、5巻からはいよいよ物語が本格的に動き出す第二部がまだ始まったばかり。完結はまだ遠いなあ。

『Dクラッカーズ』は麻薬と悪魔をめぐる少年少女の活劇モノ。なかなか尖がっていて良いです。この作家、ひねくれ者を描くのが上手で、悪役や好敵手が魅力的に描かれています。毎度毎度、主人公を食いかねな・・・・いや、食ってますね、正直。

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2006年03月23日

越境の時代

ライトから一般向けへ 人気作家の“越境”続々

若者向けで実力を磨き、大人向け小説で活躍する例は過去にも多い。80年代に全盛だったコバルト文庫などの少女小説から唯川恵、桐野夏生らの近年の直木賞作家が登場、森絵都、あさのあつこら児童文学のスター作家が一般小説に進出してきた。ライトノベル出身作家の活躍も、それに続く動きになるかもしれない。
まったくその通りで、ライトノベルから一般小説に舞台を移す流れがますます加速していくと思います。
ライトノベル出身の作家が高く評価されるようになった先例といえば、直木賞を受賞している村山由佳や、乙一でしょうか。村山由佳は『もう一度デ・ジャブ』で、「ジャンプ小説・ノンフィクション大賞」の佳作を受賞し、その後ジャンプノベルで『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズを執筆しています。乙一は『夏と花火と私の死体』で、同じくジャンプ小説大賞からデビューしています。2002年の『GOTH』で一気に脱ライトノベルに成功した感があります。

両氏とも、ライトノベル界の花道は歩んでおらず、もともと一般小説よりでした。ジャンプノベルというライトノベルの辺境出身なのは興味深いですね。まさしく「変革は常に辺境から起こる」の実例か。

橋本紡オフィシャルblog 「パスタと越境。」

今のライトノベルはパラダイスです。さまざまな「実験」が容認され、読者がそれをおもしろがってくれる。作家と読者の距離の近さ。市場の密度。ジャンルとしての熱気。ライトノベルで一定以上の支持を得た人間は、その外に出たくなくなってしまう。

僕自身、正直に言ってしまえば、ずっとライトノベルだけ書いている方が楽です。バカなことしてるね、とライトノベル関係者から言われることもあります。半分の月の続編を書いておけよ、と。

それでも外に出たがる作家が現れてきていることが、逆にライトノベルのジャンルとしての成熟を表しているのかもしれません。

越境する作家、橋本紡の一般小説第1作、『流れ星が消えないうちに』。ライトノベル的なケレン味を完全に捨てた作品で、一般小説としてもかなり地味。死者の思い出に浸っているという点で、似たようなセカチュー以上に感傷的な印象を受けます。ていうか、もっとずっと地味です。エアーズロックのような装置を持ち出すような派手さも無いし、童貞を捨てるまでの俗っぽいあれこれも無いし。もっと大人向けといえるかも。

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2006年03月19日

日曜日の読書

日曜日の読書。

1.ブラック・ラグーン5

ついに5巻が発売。ロックの日本里帰り編もこの巻で完結。日本の出来事とは思えないぐらいの銃撃戦。人が死にまくり。戦争マニアがやることはどこでも変わらないってか。

『ブラック・ラグーン』は、日本の商社のサラリーマンが運び屋兼海賊のラグーン商会に人質にされ、会社からは死んだ人間として見捨てられてしまったものの、機転とやけっぱちの度胸をきかせて生き残り、暴力と犯罪の世界に踏み込んでいく物語です。

拳銃マンガ大好き人間には間違いなくオススメできます。『ヘルシング』のような戦争狂気も存分にブレンドされていて、撃撃撃撃撃撃撃撃撃撃撃のアクションシーンは爽快の一言。その一方で、裏社会のやりきれない現実も描かれています。4月の新番組でアニメが始まりますが、どこまでそのまま描くんでしょうか。いやー、楽しみです。


2.C.M.B.

推理マンガの名作となった『Q.E.D.』シリーズの姉妹編にあたる新シリーズ。『Q.E.D.』が大好きな人は読み逃しのないように。どちらも読んだことのない人には、とりあえず『Q.E.D.』をオススメしておきます。基本構成として、1冊につき2つに事件を描いています。推理物としてなかなか読ませますし、1つのエピソードで巻をまたぐこともないので読みやすい。
『Q.E.D.』はちょうど最新刊23巻が出たところです。


3.サンダーガール

あ、ちなみにまだ買ってません。手を出そうかどうか思案中。
この作家の前のシリーズ『吸血鬼のおしごと』は、途中で読むのやめちゃったんですよね。すげー、ダーク展開に向かってたんで・・・・。ヒロインの顔、すり下ろしとか。で、今日本屋で最終巻をぱらぱらっと立ち読みしたら、やっぱりダークエンドでしたorz まぁ1巻の頃から、そういう「匂い」はあったんですけどね、ダークな終わり方しかできないタイプなんじゃないのか、この人。

『サンダーガール』も一見、元気の良さそうなタイトル&イラストですけど、あっという間に鬱展開になりそうで。いや、むしろ、いつ暗黒面に落ちるかドキドキの緊張感を楽しむのが真のファンなのか。今度は「グロ作家」の汚名(?)返上でがんばってほしい気が。ネットでの2巻までの感想を読む限り、今のところは大丈夫みたいですが・・・・。

別に、終わり方がバッドエンドな小説は嫌いではないんだけどね。ライトノベルの場合は、王道を外している感が強くて、イヤなのかも。馳星周あたりの暗黒小説はジェットコースターのように落ちていく感覚がたまらないんだけど、この作家の作品はそういう「落ちる快感」も無いしなあ。

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2006年03月18日

終わらない物語は読者の願望だが、同時に読者を疲弊させる

土曜日の読書。

1.とある魔術の禁書目録7
魔術と科学の2つが存在する近未来を舞台にした異能バトル物の第7巻。このシリーズは巻によって、魔術師が主体の事件と超能力者が主体の事件が起きます。この巻は魔術師がらみの話で、十字教の各宗派が色々と登場。イギリス清教、ローマ正教、天草式十字凄教の3つの魔術組織が1人のシスターを巡って争います。展開はあまり意外性は無いかな。それでも最後にみんなが教会に集まってくるあたりは、やはり盛り上がります。相変わらず熱い。

2.とある魔術の禁書目録8
3巻、5巻の続きの超能力者がらみの事件。
主人公がいつもと違う点が新鮮。熱い話ってのは根本的にはマンネリズムだから、飽きさせないで読ませ続けるのは大変です。しかし今の所は、なんだかんだで毎回読ませてくれます。

でもシリーズ全体の物語は、そんなに進んでません。ていうか、終わりってどんな感じになるのかもよくわかりません。学園都市の秘密が明らかになったり、学園都市理事長が表舞台に上がってくるのはまだまだ先の事になりそう。飽きないうちに終わらせてくれることを期待しておきます。

3.リアルバウトハイスクール13
番外編的な「サムライガール・天魔降臨編」が終了。大風呂敷を広げていた割にあっさり終わってしまいました。そして南雲慶一郎の妻、烈飛鈴(リー・フェイリン)がいよいよ登場。嫁が出てきたところで、ラブコメ分が足されたりしないのがこのシリーズらしい。

しかし本が薄い・・・・。166ページって。
物語全体としては、この間、中ボス京極を倒したことだし、今後はラストバトルに向かって進んでいくんでしょうが、20巻ぐらいまでは引っ張りそう。

4.まぶらほ 〜ふっかつの巻・ほくとう〜
富士見ファンタジア文庫は基本的に、長編でシリアスに物語を進行させ、(ドラゴンマガジン連載の)短編集で番外編的な読みきりを連発するスタイルです。その中で『まぶらほ』は長編がちっとも面白くなくて、いつのまにか短編が主体になってしまった例外です。短編のこの永遠のマンネリズムっぷりは凄まじい。たぶん作者は終わらせるつもりはなくて、人気が磨耗しきるまでずっとこのまま続けるつもりなんじゃないか、と思います。まぁマンネリというのも悪い物ではなくて、気楽に読めるんですが。

それはそうと、富士見の長編と短編の同時進行という方式は、もはや足かせになっている気がします。というのは、毎月短編を書くのに作家のパワーが割かれて、長編の進行が遅くなったり、短編があまりにもマンネリすぎるからです。

富士見に限った事ではありませんが、ライトノベルで一番問題なのは、物語がなかなか終わらないことです。人気が無くて3巻ぐらいで続きが出なくなるか、人気があって10巻を超えても全然終わらないか。人気のある作品はなるべく引っ張りたいのはわかるんですが、そのためにいつまでも付いてきてくれる読者しか残らなくなって、読者層が限られてしまうのは問題です。いつまでも終わらない物語はある意味で読者の願望ですが、同時に読者を疲弊させます。

きちんと終わらせたほうが作品の最終的な評価は高くなると思うんですけどね。例えば、あざの耕平『Dクラッカーズ』の評価が高いのも、いい所できちんと終わったからでしょう。今やってる『BLACK BLOOD BROTHERS』はかなり大風呂敷を広げているだけに、10巻は楽に超えそうなのが怖いですね。

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2006年03月14日

最近読んだライトノベル

先週末に読んだライトノベルはえっと・・・・。

1.とらドラ!
『わたしたちの田村くん』の竹宮ゆゆこの最新作。『田村くん』が面白かったという人は絶対買い。相変わらずテンションの高い、勢いのある文章です。エロゲーライター出身の作家(桑島由一、竹宮ゆゆこ、ヤマグチノボル)は、文章がどこか似ているなあという気がするんですが、何だろう、テンションかな? この3人では読みやすさでは桑島由一、テンション(ノリ?)は竹宮ゆゆこが優れているかな。

2.とある魔術の禁書目録(インデックス)
3.とある魔術の禁書目録2
4.とある魔術の禁書目録3
5.とある魔術の禁書目録4
6.とある魔術の禁書目録5
7.とある魔術の禁書目録6
「熱い話」とは聞いていたんですが、本当に熱い。ぶっちゃけそれ以外の部分は欠点だらけな気がしますが、ここまで毎回毎回熱いバトル話を書けるなら、それはやっぱり才能です。

8.リリアとトレイズ〈3〉イクストーヴァの一番長い日〈上〉
正直、『アリソン』で終わっておけばよかったと思うんですが。惰性で買ってます。いやー、でも次で終わるよねえ。さすがに。

9.半分の月がのぼる空 one day
5巻と6巻の間のエピソードです。
裕一と里香の退院する日、ふたりで花見に行った日の出来事が50ページほどの絵本として綴られています。

10.ROOM NO.1301 しょーとすとーりーず・つー
番外編のエピソードをおさめた短編集。あとがきでは、ついに9巻で鈴璃が登場する宣言がなされましたよ(本編の少し近未来を描いた1巻と2巻のプロローグで登場したのみで、本編の時間軸には未登場。それ以後、あとがきで作者とトークするだけの役目に・・・・)。ちなみに現在は7巻なので、あと2巻です。がんばれ!

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2006年03月11日

SOS

『涼宮ハルヒの憂鬱』のオフィシャルサイト
このサイトが大変話題になっているわけですが、原作を知らない人にはいったい何のサイトなのか訳がわかりませんよね、きっと。
そもそもSOS団ってなによ?という感じでしょうし。
カウンターが絶対に2桁なことや、ソース見ると generator が HARUHI HP EDITOR 0.1 になってることなど、あちこちクオリティ高いっす。

アニメは『フルメタルパニック』同様、原作者の谷川流氏が構成原案およびアニメオリジナルの脚本を担当。さらに京アニの『AIR』のスタッフが制作を担当。すげえ気合いだ! ライトノベル原作アニメの最大級の大物物件だけに、期待は否が応でも高まりますが・・・・。

4月からアニメが放映開始されるので、今のうちに原作を読んでおくのも良いと思います。ちなみに主人公のキョンがSOS団のサイトを立ち上げる話は、初短編集『涼宮ハルヒの退屈』に収録されている「ミステリックサイン」です。

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2006年03月08日

流れ星が消えないうちに

橋本紡の初めての非ライトノベル作品。恋人を失い、玄関でしか眠れない「わたし」。亡くなった恋人の親友で、現在の恋人の「僕」。3人の関係を描いた愛とゆるしの物語です。

『猫泥棒と木曜日のキッチン』と比べても、ますます物語の起伏が無くなっています。冒頭の一文が一番インパクトがあるんじゃないかなあ、というぐらい。さすがにここまで起伏が無くなってしまうと、たぶん売れ線からは遠ざかってしまうんでしょうけど。でもこういうのを書きたいんでしょうね、本人は。

橋本紡には、2つの作品の流れがあって、1つは『半分の月がのぼる空』のようにまだライトノベルの枠内にとどまった作品群。そしてもう1つは、『毛布おばけと金曜日の階段』『猫泥棒と木曜日のキッチン』のような文学的な作品群。『流れ星が消えないうちに』は後者の流れに属しています。

どちらの流れでも特徴的なのは、親の存在感が希薄だったり、親が情けなかったり、子供が親を捨てたりすることです。『半分の月がのぼる空』の主人公とヒロインは共に、父親を亡くしています。『毛布おばけ』の主人公も、父親を交通事故で失っていて、母親は心が折れて病院に入ることになり、残された「わたし」とお姉ちゃんは二人で暮しています。『猫泥棒』では、父親はいなくなっていますし、母親にしても小説の冒頭が「お母さんが家出した」です。『流れ星』の主人公である菜緒子は、九州に転勤した父親、母親、妹とは離れて暮しています。もっともこの本では、母親と喧嘩した父親が彼女の所に家出してくるのですが。

なんだろう、この親の不在感みたいなものと家族っぽい人間関係の両方に、妙に説得力を感じてしまいます。リアリティーというか、信じられる感じがするんですよね。昔っからボクは「擬似家族」モノには弱いんですがね。しかし「擬似家族」モノに弱いというのは、それはつまりリアルの家族を信じていないからかなあ、なんてことも思ったりするわけですが・・・・。

もう1つの特徴は、家の中の場所についての独特の感覚。『毛布おばけ』では、「わたし」とお姉ちゃんとお姉ちゃんの恋人は毎週金曜日、階段の踊り場にケーキやお菓子を並べて、ちょっとしたパーティをします。『流れ星』では、主人公は玄関に布団を敷いて寝ています。他の場所では寝つけないのです。階段にしても、玄関にしても、人が入ってきて出て行く場所であり、通過点です。おそらくずっとそこに居ることはできない。しかし少なくとも小説の開始時点において、彼女たちはそこにいないと生きていくことはできないのでしょう。

場所と機能のズレというのは、どう書くかによって小説家の感性が非常によく出ますね。橋本紡はどんどん上手くなっています。はたしてどこまでたどり着くのか。ぜひとも「曜日シリーズ」は続けてほしいですね。

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2006年02月27日

中世の経済小説?『狼と香辛料』


電撃小説大賞の銀賞受賞作。狼神ホロと行商人ロレンスの二人旅。ある銀貨が値上がりするという噂を聞きつけたロレンスは、そのもうけ話に乗るのですが・・・・。中世を舞台にしたファンタジーに見せかけながら、中身は経済小説というのが新しい。したたかな商人同士の駆け引きや、教会の勢力が増していき人が伝説と決別しつつある中世の世界観もしっかり描けています。しかし一番の魅力は自分のことを「わっち」としゃべる賢狼ホロですが。

『お留守バンシー』『火目の巫女』、そして『狼と香辛料』。今回の電撃大賞は総じてレベルが高くて、基本的にハズレがありません。どれを買っても楽しめます。そのかわり衝撃の作品も無いんですけど。ライトノベル全体がそうなってきている感じがします。去年話題になった日日日にしても、その若さと複数の小説賞を受賞したことで注目を集めたものの、良くも悪くも異様に既存のライトノベルに順応しすぎてますし。驚くほど、新しいものを感じません。

そろそろ『次』のトリガーを押すことが大切だと思いますが。
それができる人もなかなかいないのかもしれません。有川浩も、まだ『図書館戦争』は読んでませんが、結局自衛隊小説のようですし。もはやネタですよね。なにを書いても自衛隊小説になるという。笑って受け止められるのも3冊までが限界。次はちょっと時間を置いて、新しいものを書かせないとダメなんですが、編集が作家を潰す実例になるかも?

新伝騎にしても、誰も信じてないでしょう。真顔で信じている人がいても中の人ぐらい。流れを生み出すには、複数の作家が続けて本を書かなければいけないわけで、小説専業でない奈須きのこ氏、竜騎士07氏を引っ張ってきている時点で無理があります。

まぁ娯楽の世界なんてのは、大ヒットする話が無いねえなんて言ってる時に突然出てくるもので。遠からず何か出てくるんじゃないか、っていう気はしてるんですけどね。アンテナの数を2倍にするような感じで見ています。精神論っぽくなりますが、無いと思われている時にこそ「金脈」はあるんですよね。

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2006年02月12日

物語は終わっても、日常は続く

最近読んだ本のうち一部を紹介。

半分の月がのぼる空6

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シリーズ最終巻。基本的には5巻できれいに幕を閉じていて、この巻は後日談に当たります。作者の橋本紡が書いているとおり、物語としては完全に蛇足です。6巻の終わりにしても、5巻のきれいな終わり方に比べれば、平凡なものです。ただ、それでも書くというところに、橋本紡の作家性があるのかな、とも思います。あとがきから抜粋します。

ただ、どの時点だったかは忘れましたが、『半分の月』という物語を綴るうちに、僕はこの巻を書いておきたいと思うようになっていました。裕一と里香が生きる場所は、病院ではありません。病院とは通り過ぎる場所であって、裕一と里香はやがて日常に戻っていきます。たとえ蛇足であろうと、物語としての美しさを壊すことになろうと、その日常という名の舞台で彼らがどう生きていくかを書いておきたかったわけです。
次のシリーズは、「そこら辺にいる平凡な若者の平凡な日々をひたすら平凡に描くつもりです」と予告していますが、この作家、小説を書くたびに、ファンタジーやSFや非日常的な出来事が抜け落ちて、日常に近づいているんですよね。

面白いのは、女の子が宇宙戦艦だったり、最終兵器だったりする作品よりも、ずっと病院に入院している女の子との物語『半分の月がのぼる空』の方がずっと売れていることです。読者が受け入れている、少なくとも一部の読者が受け入れているのは、興味深い現象です。物語が終わっても、キャラクターたちの日常はだらだらと続きます。受け手がそういうものを認める、いやむしろ期待するところまで来ているんでしょうね。

ストーリーの小説の時代ではなく、キャラクターの小説の時代だから、という今さらな認識に至ります。小説というのは、割とストーリーの型とか完結性がきちんとしているメディアです。起承転結のような型も、割合しっかりしています。ノベルゲームの場合は、型が崩れているものも多くて、『To Heart』以降の作品を持ち出すまでもなく、ダラダラした日常を描くのに向いています。ノベルゲームには、ストーリーを重視するか、キャラクターを重視するかという潮流がありますが、とりわけ後者の作品では日常描写が重視されます。また、『Fate』のようなストーリー重視派でも、同人が日常分を補完し、ファンディスクが日常分を補充し、というケースが往々にしてあります。
ボクは何となく、そうしたノベルゲームの日常性がライトノベル(の主に読者)に影響を与えているような気がしています。


火目の巫女

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電撃小説大賞銀賞。和風伝奇もの。物語はオーソドックスですが、文章力が高く、面白い。すげえ鬱展開ですが。いや、「鬱」と書くとよくないですね。主人公は基本的に前向きですし、頑張り屋さんですし。ただ、努力しても報われないし、何の役にも立たないし、無力です。無力感小説というべきか(無気力感小説ではないので!)。

ある種のリアリティーがあって。それが普通のライトノベルとは違うところですね。ライトノベルでは「無能」や「平凡」な主人公がいても、何だかんだ理由をつけて、活躍させたり、役に立たせるじゃないですか。それが物語だし、小説だと信じられているような力場があって。それが帯の橋本紡のコメント、「電撃らしくない作品だと思う。いい意味でも、悪い意味でも、電撃らしくない」につながるんでしょうね。

この終わり方で続きを出すというのがすごいけど、ライトノベルは受賞作品をシリーズ化するのが当たり前になってますからね。電撃hpの作者インタビューによると、4〜5巻ぐらい続けて最後は希望を持たせたいらしい。『火目の巫女』という作品がどうなるかはともかく、これを書き続けた先に、この作家が化けるかもしれないし、ずっとこのままかもしれない。

(2chの創作文芸板のコテハンでもあるらしく、あとがきに隠された「どう見ても〜」とか、2ch系作家っぽさを発揮してます。すでにはてなのキーワードにも。作者の小説サイトはこちら

それにしても巫女といえば、火ですよね。どの作品も鬱っぽい展開や、復讐があるのも定番。まぁ日本において「神を祀る」という行為は、神の怒りや恨み、呪いを回避するための手段ですし、異能は恐れられ、隔離され、崇められるものです。一神教の世界での「信仰」とは根本的に別物ですからね。


お留守バンシー

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電撃小説大賞金賞。ライトノベルブームもピークに到達し、応募総数3022作品という未曾有の応募数に達した第12回電撃小説大賞の頂点を飾った作品。しかし3000というのはちょっと尋常じゃない。1次選考突破だけでも、他の小説賞の応募総数ぐらいはあるんじゃないの?

だじゃれなタイトル名というのは、どうかと思わなくもないですが、ほのぼの系で誰にでも楽しめるタイプの小説。完成度が非常に高いですね。深沢美潮(フォーチュンクエスト)の路線が好きな人なら、間違いなく楽しめるでしょう。巧い。ただ、新人らしくないとも言えます。良くも悪くも、化けるということはない気がします。


野ブタ。をプロデュース

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テレビドラマが話題になってたので、まずは原作本を買ってみたわけですが、確かに面白いんですけど、そこまで人気が出るほどかな? オチが明るくないしなあ。で、公式サイトを見に行ったら、テレビドラマは全然設定違うんですね。なるほど。ドラマって原作小説からの改変度が大きいですよね。いずれDVDで観ようかな。ボクはほとんどテレビを観ない人なんですよねー。

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2006年02月06日

キッパリ!そしてスッキリ!

自分を変えよう、新しい自分を見つけよう、生活を変えよう、・・・・というような本はいつも本屋に並んでいますし、割と人気の安定したジャンルのようです。その中でも、どんな本が売れているのでしょうか。ボクが上大岡 トメさんの『キッパリ!』を買ったのはこの本が30万部突破した頃ですが、第2弾の『スッキリ!』を買った時には115万部を突破していました。

『キッパリ!』では、5分間でできる自分を変えるための工夫を60個紹介しています。
1つ1つは「迷った時は勇気がいる方を選ぶ」「急いでいる時こそ字を丁寧に書く」「キレイな水を1日2リットル飲む」「夜空を見上げる」といったもので、実行は難しくない小さなこと。共通しているのは、やってみたら気持ち良いということ。ご大層な心理学も、コーチングも、理論もいりません。やってみたら気持ち良いことを、たくさん積み上げれば、それだけで自分を変えられる!という提案です。とてもわかりやすい。

本のタイトルどおり、中身もキッパリ!しているのが多くの読者から支持された理由でしょう。もちろん、本というのは内容だけでは売れません。『キッパリ! たった5分間で自分を変える方法』も『スッキリ! たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法』もタイトルと表紙が魅力的です。

    ・わかりやすくてインパクトのあるタイトル
    ・タイトルは中身を簡単に説明している
    ・もっとも重要な部分は大文字で
    ・明るく、ポジティブで、楽しい表紙

また、ページのレイアウトもわかりやすく構成されています。1つのアイデアにつき見開き2ページを使い、右ページの右端に、アイデアを太く大きく書いていて、その隣に4コマ漫画が描かれ、その後に解説の文章が続きます。そして左ページの左端には、締めのコメントが簡潔に、これまた太く大きく書かれています。つまり中の文章をほとんど読まずにパラパラ見るだけで、書かれているアイデアがわかります。

売れている本からは、じつに多くのことが学べると思います。コンテンツを提供する側はついつい出し惜しみをしがちで、おいしい所はなるべく後半に取っておいて、ユーザーを最後まで引っ張ろうとします。また、できる限り自分の作ったものをすべて見せたいと考えるものです。

しかし今や、そういう種類のゲームは時代に合わなくなりつつあります。ユーザーは自分の望むタイミングで、望む密度の情報を得たいと考えているからです。コンテンツをどう楽しむかはユーザーの権利で、作り手の都合よりもユーザーの都合が優先されたほうがいい。ゲーム中のあらゆる要素にできるだけ簡単にアクセスでき、短時間で楽しみたい人にも、ディープに楽しみたい人にも、それぞれに見合った形で提供される。
売れている本がそうであるように、去年売れた携帯ゲームもまた、そういう構造になっていたはずです。

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2006年01月19日

最近アニメ観てないな・・・・と思いきや

なんつーか、アニメも最後まで観るほど根気が続かないことが多いんですよね。
サイト巡回しながら、横目でBGVとして鑑賞している感じ。
なにしろ、去年は週0本のクールもあったんで。

しかし前クールに関しては『ARIA the ANIMATION』『魔法少女リリカルなのはA's』『Shuffle!』『ローゼンメイデン トロイメント』『ぱにぽにだっしゅ!』の5本。・・・・意外と観てますね。
無論、アニオタの方々には到底及ばない雑魚キャラレベルではありますが。

キャラ的には『ぱにぽにだっしゅ!』が割とツボにハマった感じが。
第1話だけで10回以上観てますしね。
レベッカ宮本ことベッキー。天才で知能指数が高くて、毒舌で投げやりな態度だけど、意外と子供っぽくて、いじられキャラだったり。こういうのが一番ツボです。
あと、アホ毛(姫子)。テンション高いバカキャラは大好き。
バカ代表日本一みたいのは最高。
『みなみけ』のカナとか。
エロゲーでいうと、『つよきす』のカニ(蟹沢きぬ)とか。

    ・はてなダイアリー - ぱにぽにだっしゅ!とは
    ・ぱにぽにだっしゅ! wikipedia

Posted by amanoudume at 23:21 個別リンク | TrackBack(0)

2006年01月18日

東野 圭吾が第134回直木賞を受賞!!

東野圭吾はファンなので、ようやく直木賞を受賞したのはうれしい限り。既刊はほぼ全て読んでます。
本来ならもっと早く受賞していておかしくないんですけどね。直木賞は実質的にはベテランの作家の実績と実力に与えられる賞ですが、受賞してもおかしくない作品が出てきたタイミングでなぜか受賞しないことも、たびたびあるんですよね。宮部みゆきも随分かかったし。


安定した実力をもった小説家なんで、どれを読んでも面白いといえば面白いのですが、あえてオススメするならこんな感じかな。

受賞作ということで、まず『容疑者Xの献身』。
代表作の1つ『白夜行』は欠かせない。東野圭吾らしい重さをもった作品。
ただ、入りやすさという点では『秘密』が一番いいかも。
『片想い』は個人的には好みのテーマですが、人によって少し変わるかもしれません。切ない話が好きな人には『秘密』の次にオススメ。
東野作品といえば、重いテーマを扱ったものが目立ちますが、『ゲームの名は誘拐』はテンポが良く、スピード感もあって、娯楽として楽しみやすい作品。重い作品を何冊か読んだあとに、こういうシンプルで面白い作品を読むといいのでは。

Posted by amanoudume at 23:02 個別リンク | TrackBack(0)

2006年01月11日

アマゾン売上2005

去年、うちのブログを経由してアマゾンで購入していただいた本の売上ランキングを掲載します。

1位 人の心を動かす文章術

一番売れたのがこの本で、56冊でした。ブログブームのせいもあって、もっと文章が上手くなりたいというニーズが強いのでしょうね。ブログをつけてない人は何でもいいから、毎日つけていると、文章力、分析力が上がります。これは確か。
(紹介エントリー:もっと文章力を

2位 ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

2005年はゲーム市場に大きな変化が起こった年でした。その変化の正体を知りたい、分析したいというニーズは大変大きいようです。この本を読む上では、実際に自分の戦略キャンバスを描いてみることが重要です。そういう能動的な使い方をしないと、なんだか当たり前のことを言っているようにしか思えないでしょう。自分の会社、自分のプロジェクト、自分のキャリア戦略における戦略キャンバスをぜひ描いてみてください。
(紹介エントリー:ゲーム業界人の間に広がる「ブルーオーシャン戦略」

3位 下流社会 新たな階層集団の出現

「中流→上流と下流」という市場の変化について。2005年は変化が誰の目にも明らかになった年でした。リサーチの範囲が首都圏に限定されているなど、多少データの偏りはあるものの、ゼロ年代のマーケットを理解する上で1つの材料を提示してくれていると思います。
(紹介エントリー:ゲーム市場における「上流マーケティング」と「下流マーケティング」

4位 わたしたちの田村くん

2005年の萌えの中心は「ツンデレ」でした。次は「素直クール」の時代だという話もありますが、実際どうなんでしょうか? ちなみに先日紹介した「ヤンデレ」は局所事象変異であって、萌えの主流にはならないと思います、ええ。虚ろな目をした女の子が好きだなんていうのは、人としてどうかと思いますがね、ええ。でもいいんです、人外で。しかし『ひぐらし』も微妙に、微妙にですが、ヤンデレ風味があると思いませんかね?
(紹介エントリー:脱稿っ! そして解禁っ!!

5位 イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

日本市場でのDSの急激な普及、北米市場でのゲームボーイアドバンスの圧倒的な売上。もはやプロセッサ性能で競争する時代ではなくなりつつある、という実感を多くの人が抱いたことでしょう。また続編ソフトの売上の低下、コアゲーマー向けソフトの売上の低下など、ゲーム業界のイノベーションのジレンマが顕在化してきました。
(紹介エントリー:ゲーム業界に広がる新潮流

6位 AQUA 1 (1)

「ARIA the ANIMATION」は好評のため、第2期放映が決定したようです。ボクは「ヤンデレ」とか言ってるくせに、一方でヒーリングコミックが大好きなのです。風景で見せる漫画やアニメはあれども、ゲームはまだありませんねえ。まぁ『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『ドラゴンクエスト8』の箱庭性という例はあるわけですが。
(紹介エントリー:どこまでも「萌え」の無い世界

7位 AQUA 2 (2)

天野こずえは本当にうまくなりましたよね。『AQUA』で自分のスタイルを確立した感があります。作家が成長するというのは、単純に技術が上がるのが1つ、そして自分自身のスタイルを発見するのが1つ。ある作家のファンになる、ある作家の作品を追いかける時にうれしいのは、作家が自分自身を掴んだ瞬間に立ち会うことでしょう。
(紹介エントリー:どこまでも「萌え」の無い世界

8位 ARIA 1 (1)

(紹介エントリー:どこまでも「萌え」の無い世界

9位 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

最悪の読後感を与えてくれる小説です。つまらない日常、退屈な毎日に確実に毒を与えてくれる一冊。表紙に騙されてはいけませんよ。
2005年のライトノベル界の話題といえば、1)アニメ化企画続々と立ち上がる、2)日日日(あきら)デビュー、3)ダブル桜(桜庭一樹と桜坂洋)台頭の3つが大きい。日日日は若さの割におそろしく上手なんですが、一方で上遠野浩平や乙一、西尾維新が出てきた時のような新しい何かを感じさせてくれません。数年後には「ただの多作な作家」になってしまうんじゃないかという不安も。腰を据えた作品を1つ書いてほしい。ダブル桜は順当に芸幅を広げている感じ。
(紹介エントリー:どこまでも「萌え」の無い世界

10位 猫泥棒と木曜日のキッチン

『半分の月がのぼる空』がアニメ化され、いよいよ今月から放映されるわけですが、一方で脱・萌えがますます顕著になった作家がこの橋本紡です。電撃のハードカバー戦略は微妙な結果に終わったようですが、ユーザー層を拡大するのはなかなか大変ですね。『毛布おばけと金曜日の階段』→『猫泥棒と木曜日のキッチン』ときて、曜日シリーズは書くたびに上手くなっているので、作品が続くことを期待したいですね。
(紹介エントリー:どこまでも「萌え」の無い世界

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2005年12月21日

人を選ぶ小説『ROOM No.1301』

年末年始といえば本を読むのにいい時期なので、良書を紹介するにはタイミングが良い。
わけですが、今回は別に役に立つ本を紹介するつもりは無いので、そういうのが必要な方は過去のエントリーを参考にしてください。
    ●ゲーム業界人の間に広がる「ブルーオーシャン戦略」
    ●ゲーム市場における「上流マーケティング」と「下流マーケティング」

さて、いつもは割と売れている本、話題の本を紹介しているのですが、今回取り上げる小説は「売れ筋のラノベ」では全然無いし、読んだからといって「萌えの最前線」とか「ラノベの最先端」を押さえられるわけでも無いのです。

純粋に面白いから掲載するのですが、まあただその「面白い」といっても、たぶんすごく人を選ぶんじゃないか、という気がします。ある意味、桜庭一樹 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』よりも人を選ぶでしょう。『砂糖菓子』は好き嫌いは分かれそうですが、誰が読んでも衝撃作でしょうし、誰が読んでも後味が悪いことが保証されているので、薦めやすい。

どんな本であれ、人それぞれ違う感想を抱くものです。とはいえ、多少の差はあったとしても、誰が読んでも、ある程度の範囲内で、同じような感想になると予想できるからこそ、他人に本を薦められるのもまた事実です。自分が読んで悲しくて泣けた小説を他人に薦める時、相手がげらげら笑い転げて読むと予想している人はいないでしょう。「保証」とまではいかないにしても、本好きが他人に本を薦める時には、何かしら「根拠」というか「自信?」のような物があると思うのです。気持ちの問題として。

そういう意味では、このシリーズほど、他人に薦めにくい本は無いのです。引っかからない人には本当に引っかからないと思うんですよね。人によっては何が面白いかさっぱりわからないでしょうし、全然つまらないでしょうし、どう読んだらいいかもわからないでしょう。

だから、まあせめて言えることは、たぶんボクと「小説感性」が近い人は楽しめると思うけど、近くない人は楽しめるかもしれないけど、楽しめないかもしれない。その場合の確率はよくわからない。ということ。でも楽しめたからといって、ボクと「小説感性」が近いかどうかはわからない。
まぁしかしボクは3回ぐらい読み返してるんですけどね。

ボクがこのシリーズに手を出したのは今年の春頃。きっかけになった書評にリンクして締めたいと思います。
Sometihng Orange過去ログ 新井輝「ROOMNO.1301(5) −妹さんはヒロイック?−」

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2005年10月18日

どこまでも「萌え」の無い世界『ARIA』

最近「ゲーム離れ」が顕著なボクですが、実はしばらく「アニメ離れ」もしてて、全然観てなかったんですよね。
で、今期ひさしぶりに観ているのが「ARIA The ANIMATION」
昔からの原作のファンで、アニメ化については期待半分不安半分でしたが、いやいや自称「原作厨」のボクも納得できる出来。原作2話をうまくつなげてアニメ1話にしてますね。スタッフがちゃんと作品を理解されているようで、とりあえず安心です。
心がいやされる作品、雰囲気を楽しむ作品が好きな人にはオススメです。わかりやすく言うと「ヨコハマ買い出し紀行」に近い方向性でしょうか。「ストーリー」とか「萌え」を求める人にはまったく受けないと思います、注意。

1話ごとにエピソードが終わる短編連載の形式で、1話ごとに必ず1枚、魅力的な風景(世界の一瞬)が描かれるのが特徴。そこに至るために物語があり、その余韻を味わうために物語があります。
天野こずえは「浪漫倶楽部」の頃はまだストーリーを作ろうとしていて、「甘いお話」を描くだけの人でしたが、「AQUA」以降描き方が変わって、スタイルを確立させた感があります。最初から完成された「作家」などどこにもおらず、あらゆる「創作」(クリエイティブ)は作家が自分自身を「発見」するまでの過程に他ならないのでしょう。

ついでにオススメのライトノベルもいくつか紹介。
まずは橋本紡 「猫泥棒と木曜日のキッチン」。この所、ライトノベルの読者層拡大が盛んになっていて、ライトノベル作品をイラスト無しのハードカバーで出したり、ライトノベル作家に一般向けレーベルで書かせるケースが増えています。この本もそうした中の一冊で、とても上品で、純度の高い、優れた青春小説に仕上がっています。

次はあの桜庭一樹の最新作「少女には向かない職業」。こちらはライトノベル作家が書いた一般向け作品。桜庭一樹といえば、富士見ミステリーの「GOSICK」シリーズが有名ですが、もう1つの顔があります。人力検索はてなで「最悪の読後感を味わわせてくれる小説」として挙げられた「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」。毒のある小説を読みたい人には問答無用でオススメできます。この本も「砂糖菓子」と同系統の作品ですが、「砂糖菓子」にくらべるとかなり読後感はマシです。

Posted by amanoudume at 00:23 個別リンク

2005年06月11日

もっと文章力を!『人の心を動かす文章術』

文章力をつけるには、やはり書いて書いて書きまくるしかないと思いますが、できれば良いやり方を学んで、早く上達したいものです。1つの方法を惰性的に続けていては成長はありませんから、たまには「もっと別の方法は無いのか?」と自分の方法を見直してみたほうがいいでしょう。

そのためには、文章術の本を買って読んでみるのも良い手だと思います。最近読んだ本を1冊紹介。

約20年小論文の添削指導をつづけて、6万通の文章を添削してきた著者が、面白い文章を書くテクニックをまとめた本です。精神論に走らず、実践的なテクニックをまとめています。添削を入れる前の文章と入れた後の文章が例示されているので、ちょっとしたテクニックでこれだけ文章が変わるのか!とびっくりします。
指導のプロの教える本物のテクニック。本物の1冊です。

Posted by amanoudume at 11:34 個別リンク