自分を変えよう、新しい自分を見つけよう、生活を変えよう、・・・・というような本はいつも本屋に並んでいますし、割と人気の安定したジャンルのようです。その中でも、どんな本が売れているのでしょうか。ボクが上大岡 トメさんの『キッパリ!』を買ったのはこの本が30万部突破した頃ですが、第2弾の『スッキリ!』を買った時には115万部を突破していました。
『キッパリ!』では、5分間でできる自分を変えるための工夫を60個紹介しています。
1つ1つは「迷った時は勇気がいる方を選ぶ」「急いでいる時こそ字を丁寧に書く」「キレイな水を1日2リットル飲む」「夜空を見上げる」といったもので、実行は難しくない小さなこと。共通しているのは、やってみたら気持ち良いということ。ご大層な心理学も、コーチングも、理論もいりません。やってみたら気持ち良いことを、たくさん積み上げれば、それだけで自分を変えられる!という提案です。とてもわかりやすい。
本のタイトルどおり、中身もキッパリ!しているのが多くの読者から支持された理由でしょう。もちろん、本というのは内容だけでは売れません。『キッパリ! たった5分間で自分を変える方法』も『スッキリ! たった5分間で余分なものをそぎ落とす方法』もタイトルと表紙が魅力的です。
・わかりやすくてインパクトのあるタイトル
・タイトルは中身を簡単に説明している
・もっとも重要な部分は大文字で
・明るく、ポジティブで、楽しい表紙
また、ページのレイアウトもわかりやすく構成されています。1つのアイデアにつき見開き2ページを使い、右ページの右端に、アイデアを太く大きく書いていて、その隣に4コマ漫画が描かれ、その後に解説の文章が続きます。そして左ページの左端には、締めのコメントが簡潔に、これまた太く大きく書かれています。つまり中の文章をほとんど読まずにパラパラ見るだけで、書かれているアイデアがわかります。
売れている本からは、じつに多くのことが学べると思います。コンテンツを提供する側はついつい出し惜しみをしがちで、おいしい所はなるべく後半に取っておいて、ユーザーを最後まで引っ張ろうとします。また、できる限り自分の作ったものをすべて見せたいと考えるものです。
しかし今や、そういう種類のゲームは時代に合わなくなりつつあります。ユーザーは自分の望むタイミングで、望む密度の情報を得たいと考えているからです。コンテンツをどう楽しむかはユーザーの権利で、作り手の都合よりもユーザーの都合が優先されたほうがいい。ゲーム中のあらゆる要素にできるだけ簡単にアクセスでき、短時間で楽しみたい人にも、ディープに楽しみたい人にも、それぞれに見合った形で提供される。
売れている本がそうであるように、去年売れた携帯ゲームもまた、そういう構造になっていたはずです。