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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年11月09日

テレビ画面のあちら側の進化まとめ

勢いのある、テレビ画面のこちら側のゲームデザイン

ここ最近のゲームの変化を「ゲーム2.0」と呼ぶとすると、それは主にゲームの外側、テレビ画面のこちら側で起きたゲームデザインの変化です。こちら側のゲームデザインとは

  • プレイヤーの遊んでいる姿を重視する(→周囲の人間に自分も遊んでみたいと思わせる)
  • プレイヤーとプレイヤー以外のコミュニケーションの促進(→周囲の人間と話題にしやすい)
  • ゲームを遊ぶ事の実用的な効能(→時間の無駄ではない)
  • ゲームの外でゲームプレイを評価する(→ゲーム内の評価では広がらない)
といった事です。

テレビ画面のあちら側のゲームデザインは急速に支持を失っています。
ゲーム内の世界をより大きく、深く、精緻に作りこむことで、開発費が高騰し、ソフトの価格が上昇して敷居が高くなりました。またゲーム内で消費する時間が多くなり、より深く遊ぶゲーマー以外は入り込みづらくなりましたし、年齢が上昇して時間の無い大人ユーザーは手を出しにくくなりました。

ゲーム内の箱庭世界を作りこんでいけば、ゲームはより面白くなる、だから表現力を増やすためにプロセッサの性能を高めよう、ゲーム開発者はプロセッサ性能を限界まで引き出すべき、という「プロセッサ性能至上主義」は崩壊しました。実際、表現力のチープなDSが大成功し、PSPが成功しました。日本だけの局所的な現象ではなく、日本→欧州→北米と変化は伝播し、もはや全世界の携帯ゲーム市場で、DSがPSPを圧倒しています。

このブログの関心は主に「テレビ画面のこちら側のゲームデザイン」に向いていますが、たまには「テレビ画面のあちら側のゲームデザイン」についても触れてみたいと思います。


テレビ画面のあちら側の進化

欧米のゲーム開発者は直球の進化を好みます。力技というか。箱庭の中での自由度を高める、多彩な乗り物を制限なく乗り回す。その方向を推し進めると、必然的に向かう方向は同じような物になっていきます。またゲーマー大国の北米のユーザーは、据置ゲームでは、まだまだゲーム内世界を作りこむ路線を支持しています。実際、Wiiについても、前人気の高さの要因は『ゼルダ』にあると思います。

PC、PS3、XBOX360はいずれも豊富なメモリ空間をもっているため、より広大な空間をゲーム機内に再現できます。現世代機では1つの街をゲーム内に再現していましたが、次世代ではより広い地域を丸ごと再現しつつあります。また、高い描画性能をもつため、一度に多数の建造物や地形を表示でき、地上を歩くだけでなく、フライトシミュレータ的に空を飛び、グーグルマップ的にスムーズに俯瞰視点に移動できます(それでもLODは当然必要ですが)。

最近の欧米ゲーム界の話題作は、こうした特徴を備えつつあります。『Test Drive:Unlimited』や『Just Cause』は次世代の箱庭ゲームがどういうものかを端的に示しています。今後のトレンドになる可能性は高いです。

『Test Drive:Unlimited』はハワイのオアフ島をほぼ完全に再現したMMOカーライフゲーム。俯瞰マップはグーグルマップ気分を味わえる出来(ただし、俯瞰マップ上で離れた別の地点に移動する時はさすがにロードが発生しますし、俯瞰マップと走行マップは別で、シームレスではありません)。XBOX Live!で体験版がダウンロードできます。製品版の数十分の一にすぎませんが、それでも現行機〜少し上程度の広さは備えていますし、片鱗を体感するには十分です。

『Just Cause』は上空を飛行し、パラシュートで降下。フライトシミュレータシミュレータ的な視点から、GTA的な視点までシームレスにつながります。こちらは体験版はありませんが、多数のムービーがXBOX Live!に上がっています。

まぁここまでくると、「箱庭」という言葉はおかしくて、どっちかというと「グーグルマップ感」という言葉でくくるべきですね。


「王道」と「邪道」

ただ、個人的には、オアフ島や南米の島国にそこまで魅力を感じません。
これがドラクエなら最後まで遊ぶんでしょうけど。
『ドラクエ8』を遊んだ時に素直に思ったのは、次はシームレスに空を飛びたいよね、ということ。地上はシームレスでしたが、船移動のマップとラーミアのマップは別マップでしたからね。鳥に乗って地上に近づいていくと、森が木の集まりになり、木々一本一本が見えてきて、そして枝の一本一本が見えてきたところで地上に降りる。もちろん逆もしかり。

次はこのまま空を飛びたいよね。『ドラクエ8』のような現行機の箱庭ゲームを遊んだ開発者なら、おそらく誰でも考えることです。直球進化ですから。広大な空間+スムーズなスケール移動+オンラインがそろう。これが箱庭ゲームの「次」でしょう。もっとも時間を大量に消費する方向になりかねないんで、そこに注意が必要ですけど。

PS3でもXBOX360でもPCでもいいんで、そういう王道のドラクエを遊びたい。
Wiiで外伝出すのはかまわないけど、剣振るだけのドラクエなんて邪道。正当進化とは思いません。そんなこと真顔で言ってるのはハード戦争というメタゲームに興じている人間だけでしょ。300万、400万のユーザーは支持しないよ、そんなの。
もちろん、たまには飛び道具的な、邪道な商品もありだと思います。ドラクエでチャンバラごっこしたい人もいる事はいるでしょうし(剣神の売上は30万でしたっけ?)。

ゲーム2.0というか、テレビ画面のこちら側のゲームデザインに注目が集まっているのは確かです。けれどもどこまで行っても、ドラクエは結局テレビ画面のあちら側に比重をおいたゲームでしょう。

一方で、最近のWiiのCMを見て思うのは、スポーツなんかは両手型のコントローラをにぎってスティック倒したりボタン押すより、リモコン振った方が王道に感じますね。今さら古いコントローラには戻れないよな、と。もちろん監督になってチームに指示を出すというゲームなら、また話は別です。要はゲームの面白さの本質がどこにあるかという事。それぞれのゲームにとって、どういう進化が「王道」か「邪道」か、クリエイターは見極める必要があります。まぁ「王道」を歩んだ結果、ユーザーが減ってしまうこともあるかもしれませんが、それはもう種としての寿命じゃないかなあ。

Posted by amanoudume at 2006年11月09日 01:01 個別リンク
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コメント

ちと疲れているので、短めに(と思ったら、案外長くなってしまいました。例のごとく、話はずれるわけですが)

箱庭で思い出しましたが、最近、『Second Life』が(主に欧米で)何かと話題になっていますが。
しかしながら、個人的には、散文的な現実のシミュレーターは、なにか味気なさを感じる部分もあります(まあ、私は元々シミュレーションゲームが苦手だし、漫画とアニメの影響も大きいと思いますが)。

矛盾した欲求かも知れませんが、私個人としては、モニターの向こう側には、非日常の「異世界」が広がっていて欲しいというか。そういう意味では、ゲームにおいても、非日常的な「ドラマ」性(=ストーリー性)にこだわる日本人の気持ちも分かるような。(まあ、単純な「娯楽作品」より、特に日本では「感動」させる作品のほうが評価が高い(あるいはそういう作品を作りたいクリエーターが多い)みたいな所もあるかもしれませんが)

まあでも、正直、年をとると漫画・アニメ文化の空想ファンタジー世界はついていくのがつらい部分も出てきたし(爺くさく、歴史ものには興味がわいてきたりとかする訳で)、その辺は考えはまとまっていませんけど(面倒なので考えませんけど)、ボリュームゾーンとしての団塊Jrも微妙なお年頃になっているかもな、とか(?)。

あるいは、「プリミティブな体験」で「感動」を引き起こすことが出来れば、そりゃいいんでしょうけど、とか(バーチャファイターを初めて見たときの衝撃とか。Wiiは感動を覚えるほどの体験を提供し得るんだろうか?)

まあ、方法論はともかく、「どうやって(プレイヤーの)心の琴線に触れる表現をするか(させるか)」ということが、ビデオゲームの歴史を見る上でのひとつの切り口として有効であるかも知れないな、とか、そんな感じのことをグダグダと思いました。

2D→3Dになった時に、クラシックな意味でのゲームはある意味
死んで、シミュレータ的な遊びが半分入ってきたわけです。

しかしPS3やXBOX360クラスになると、それがさらに進んで、
グーグルマップ面白いよね、みたいなinterstingな楽しさとゲーム
の楽しさのどちらの比重が大きいのかわからない世界です。

『Test Drive Unlimited』のレベルデザイン性は低いし、『Just Cause』
もゲームの密度の薄さが指摘されていますが、世界が広大になる
事で、制作側の労力的にも、プレイヤーの受容的にも、濃密な
レベルデザインを維持するのはほぼ不可能です。自動生成的な
ツールの導入なども当然必要でしょうし、職人的な作りこみの世界
とは少し違った所に達していると思います。

ゲームデザインとは、大した事のない絵でプレイヤーをひきつけ、
プレイ時間を持続するモチベーションを維持するためのデザイン
技術の総称でした。
しかし表現能力の向上にともなって、ゲームデザインの古い意味
での重要性は低くなっているのかもしれません。

テレビ画面のあちら側のゲームでも、こちら側のゲームでも、同じ
傾向が顕著になっています。
脳年齢という外部評価をもちこんだ脳トレや、料理という完全に
ゲーム機の外の行為を持ち込んだ(?)お料理ナビもまた、旧来の
ゲームデザインの重要性は低くなっているからです。

・・・・ああ、これは誤解を招きますね。
つまらない物を面白くするゲーム設計技術よりも、面白いものを
ゲームに持ち込む事の方が重要になっている、という事です。

無論、一方でWeb2.0との親和性が認知されるにつれて、Web側から
ゲームのインタラクション技術の再評価があったり、実用ソフトが
広がるにつれて、ゲームのUIやモチベーション維持技術について
の再評価があったりするわけですが。

10年ごとに、クラシックな意味でのゲームデザインはより目立たなく
なっています。これも興味深い歴史です。

さてWiiについては、個人的には「感動」をもたらすハードではない
と思います。まぁあの体感性を感動的という事は可能ですが、
いわゆる「感動」とは区別して、「感触」と表現したいところです。

あの「感触」性能によって、いくつかのゲームはもう後に戻れない
かもしれません。ゲームの歴史では、これを味わったらもう過去
のゲームは楽しめない、戻れない、という事があります。
あるジャンルのゲームについては、Wiiはそういう力を持っている
という気がします。そこが強さですね。

一方で、ゲームのあちら側での表現力という点では、ぱっと見て
GCと大差ないですから、そこは致命的でしょう。DSでさえ、GBAとは
ハッキリ違う表現力を持っていました。素人でも初代PS程度の
3D表現力があることはわかります。

DSはインターフェースの新鮮さ以外の武器をもっていますが、
Wiiはそこが心もとない、という評価をされているんじゃないかな。

浜村通信氏を引き合いに出すのもアレですが、「最初に売れるのは
Wiiだけど、後から売れるのはいわゆる次世代機だよね」という認識
が根強いのは、いやむしろ強まっているのは、そのせいでしょう。
「感触」性能ではWii、「感動」性能ではPS3とXBOX360、というのが
客観的な評価かな。

> 年をとると漫画・アニメ文化の空想ファンタジー世界はついて
> いくのがつらい部分も出てきたし

この辺の空気が国内でのDSの成功に結びついたんだと思いますが、
では「物語」や「異世界」といったものが本当に求められてないのか?
というと、ボクは違うと思います。ハリポタや指輪物語などのファンタジー
ブームがいい例ですが、一般人だってあちら側の世界にはハマるんです。

ただ、PS2の市場縮小が示すように、いまゲームの世界はおかしな事に
なっていて、あちら側の世界にのめり込むのはオタクだけ、こちら側に
いるのが一般人、という構図です。

あちら側にのめり込むのがオタクばっかりという状況は不健全で、
それを指摘し、それ以外の方法論(画面のこちら側のゲーム
デザイン)を提示した任天堂(DSとWii)はすばらしいけど、一般人を
あちら側に導くことは難しい。

じゃあ360なの?PS3なの?というと、プラットフォームホルダーが
無能すぎて(笑、お話にならない。彼らは何が問題なのかもわかって
ないでしょう。無能だし。
問題を解決する能力以上に、問題を見つける問題設定能力が
重要なんだけど、彼らは致命的にそれを欠いている。だからこう
なったわけで。

(PS3にしても、久多良木氏の暴走だけが問題じゃなくて、下にいる
人間に問題設定能力がないから、ああなるんだよね。
3年前のBBSの頃に、SCEの最大の問題点は、クタタン呪うしか
能の無い部下ばっかり、と書いたけど、ほんとにその通りになった(笑
あそこは本当にゲーム業界にとって「要らない子」になっちゃった。
きっと今でも、何もわかってないんでしょう。)

ま、話がそれましたが、「あちら側にのめり込むのがオタクばっかり」
という不健康な状況が、ボクが今年になってから時々口にする、
「次の次」の課題なんですよ。

「次」に関してはDSが答えを示したので、今回の据置ゲーム機戦争は
オマケみたいなもんです。

Test Drive:Unlimitedの4Gamerへの記事がJust Causeになってますよ

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