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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年11月16日

ノベルゲームの位置づけとこれから

海外のFPSと日本のノベルゲームの類似性

海外のFPSと日本のノベルゲームが似ているという話は、時々見かけますね。
最近では「冬みかんとこたつ猫」さんの以下の記事を見つけました。
冬みかんとこたつ猫 2006-11-02  エロゲーは存在としては日本のコンシューマより海外のPCゲームに近い

エロゲーは存在としては日本のコンシューマより海外のPCゲームに近いと思うけどね。PCゲームなんてPatch当たり前の世界なの初回で買う&買わせるという商売がメインの時点でかなり矛盾している。同じ様なスタイルのゲームが出るって点では特にFPSにその存在形態が近いと思うがバグが大量に出るってのはゲームエンジンの貸し出しが行われないのが大きな原因の一つだろう。FPSではQuakeエンジンUnrealエンジンに代表される様な異常に技術力の高いチームが優れたゲームエンジンを作ればそれをベースに流用&改造する形でゲーム作るのが一般的だし。
会社間でのエンジンの共用は大切だと思いますが、オーバーフローの『Summer Days』が『School Days』のエンジンをそのまま使わずにアージュのrUGPに乗り換えたらしいという話をどこかで目にしたんですが、両社の関係を考えると妥当な話。どれだけ良いエンジンを使っても、ダメな所が作るとギガパッチゲームができてしまうという、イヤな実例を作ってしまいましたね・・・・。
(NScripterや吉里吉里ベースの商業作品はいくつもあります)

海外のFPSと日本のノベルゲームが似ているという認識はボクも持っていて、3年近く前、このブログを始めた頃に1度記事を書いています。
物語伝達の媒体としてのゲーム

「物語伝達の媒体」として捉えた場合に、ゲームがいまいち冒険のしにくいメディアになってしまったのは確かだと思います。実際、RPGとアドベンチャーゲームは、コンシューマーゲームにおいては、タイトル数がかなり減ってしまいました。

それに対してノベルゲームが少人数で開発できて、物語伝達の媒体として盛り上がったという指摘もうなずけます。(略)

実はこれと同じことが、欧米のFPSにもいえるんじゃないか、と思います。以前、「個人サークル的な開発スタジオの限界露呈」でもかきましたけど、ボクは欧米のFPS=日本のノベルゲームという認識をもっています。すごく似ているんですよ。どちらも低い開発費で制作できるゲームエンジンの文化が浸透していました。日本においてノベルゲームが恋愛やセクシャル性をテーマの中核にして物語を構築していったように、欧米においてFPS ゲームは暴力性と戦争をテーマの中核にして物語を構築していきました。(似たり寄ったりの作品が多いのも同じかも)

ノベルゲームとFPSは日米それぞれのPCゲーム文化を代表するジャンルですし、ゲームエンジンができていて、比較的少人数でゲーム開発できるという点でも同じでした(初期〜中期のFPSは可能でした。今は数十人単位の開発チームが必要になっていますが)。ノベルゲームは物語を表現することにかなり比重を置いた特異なジャンルですし、FPSはノベルゲームに比べてゲーム性が高いものの、様式が完成していることもあってか、ストーリーを重視するようになっていきました。

エロゲー界におけるノベルゲームがシナリオを重視し、エロを排除する方向で進化していったように、FPSもまた次々に現れる怪物を撃ち殺しまくる殺戮ゲーム的な路線よりも、ストーリーと映画的な演出を重視する方向に進化していきました。系譜としてはまったく繋がりませんが、進化の過程を比べると、似ている部分がいくつも見つかります。

一番の違いはビジネス的な大きさでしょうか。FPSは数十万本、数百万本クラスのタイトルも存在する巨大な市場を形成しています。一方、ノベルゲームは年間上位10タイトルでも数〜10数万本という状態です。タイトル数はFPSの比ではなく、異常に細分化が進んでいる、とも言えます。でもそれらを累積しても、やはり海外のFPS市場には及びません。まぁ日本市場と欧米市場では規模が違いますし、北米はマニア層のマーケットが大きいですからね。それにコンシューマー市場における存在感も大きいですから。


ケータイでノベルゲームという可能性

オタク向けの物語メディアの最前線(?)は小説→漫画→アニメ→家庭用ゲーム→PC系ノベルゲーム→ライトノベル→ケータイ?ときています。ノベルゲームは『ひぐらし』以降、同人市場で大量に作品が増えていて、正直追いかけきれないですね。あっという間に過当競争になって、なかなかヒットが出にくい状況な気がします。

そういう意味では、次はケータイでノベルゲームじゃねえ?的な話は、時々見かけるんですが、大きな話題はあまり目にしません。エロゲーの移植は割りと進んでいるみたいなんですが、現時点ではエロの部分に比重があるような印象。あとPCゲームの移植ぐらい。
携帯電話用美少女ゲーム製作ブランド Soft house seal (PC用公式ホームページ)

個人的に一番問題だと思うのは、携帯電話だとサウンドを楽しみにくいという点ですかね〜。イヤホンつければいいんでしょうけど、それもちょっと。携帯ゲーム機でも同じような事は言えるんですが、イヤホン装着率はまだ高いかなと思います。つっても音無しでやる人は多いですよね。

ノベルゲームは絵の表現力が限られているので、サウンドの演出がかなり重要です。『ひぐらし』も最初に遊んで感心したのはサウンドの演出でした。ノベルゲームの源流は『弟切草』『かまいたちの夜』のようなサウンドノベルですが、「サウンド」と頭に付くぐらい音の演出が大切でした。没入感を高める上で、非常に効果的にサウンドが使われています。携帯デバイスでノベルが盛り上がらない理由の1つは、ゲームデザイン的には、その辺にもあるのかなと思います。

Posted by amanoudume at 2006年11月16日 20:51 個別リンク
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コメント

海外のゲーム事情には疎いし
あまり日本とは関係ないように思っているのですが
向こうでFPSが人気があるというのは知っているのですが
それで思ったのは男性ユーザーは分かりますが
女性ユーザーにはどうなんでしょうか?
日本のノベルゲームは比較的他ジャンルよりも
女性ユーザーの割合が多そうに思うのですが
向こうではその辺はどうなんでしょうかね?

なるほど。男女比という視点は抜けてました。興味深い指摘です。

ちゃんとしたデータは見てませんが、レースゲーム同様、男性が多い
というイメージはありますね。
どこの地域でも、パズルゲームやテーブルゲームは女性比率が高い
ジャンルみたいですが。

よく電車内などで熱心に携帯メールを使っている女性の姿を見ますが、メールを使ったノベルゲーなんて女性に受けるかもしれませんね。
どうも私のような古い頭の開発&ゲーマーだと「画面が絵として動いてはじめてゲームだ」みたいなイメージがありがちですが、サウンドノベルよろしく変わった文字の演出で安価に&時間つぶし的に気軽に遊べる、といった需要はあるかもしれません。それこそ昔のゲームブック感覚にメールを連動させたような。

メール連動はまだいけるとは思います。
アイマスのメールも良かったですし。

DSのwifiにしても、携帯とメールできるだけで可能性は広がりますし。
まぁWifiの「安心」と矛盾する部分が出てきてしまいますが。

ケータイ小説の盛り上がっている所=SNSベースの小説投稿=
小説版You Tubeという見方もあるようですから、いずれにしても、
一方通行でコンテンツを送りつける形態ではなく、コミュニティ、
コミュニケーション比重を高めたやり方が良いのかもしれません。

それといろんな人が考えていそうな話ではありますが、「人狼」
みたいな遊びをケータイに持っていくというのも、あるといえば
あるのかもしれません。そのまま持っていってもマニアックすぎ
ますから、インターフェイスとかオブラートは必要でしょうが。

うーむ。ここからもそろそろフェードアウトしようと思っていたのですが、ちょっと思うところがあったので、コメントいたします。例によって、本題からは脱線気味の話になりますが・・・。

まず、個人的には、「海外のFPSと日本のノベルゲームの類似性」という話は、どこかで読んだような記憶がありました。もっとも、記憶にあるのは、「共に一人称視点だよね」みたいな話だったと思いますが。というか、その辺を考えていくと、PCというプラットフォームの特性の話につながるような気がします。要は、PC(の特にゲーム界)というのは、「ホビー」であり、「趣味の世界」である訳です。つまり、金がいくらかかるかよりも、自分の趣味性全開のファンタジー・妄想がいかに具現化されているかが重要な世界、であるのだと思います。(まあ、趣味とはそういう物、なんでしょうが)

で、当然、ハードもそういう部分がありますが、FPSやノベルゲームなどのソフトも、個人の趣味性全開のファンタジー・妄想を(主に一人称で)没入体験として浸りきってしまうような物が主流であるという面はあると思います。「自分の妄想世界を体現化させたい」、その願望がPCゲーム業界を突き動かしている、というのは言い過ぎでしょうか。

ノベルゲームの細分化に関しては、ぶっちゃけ、性的嗜好の差異(まさに趣味の世界な訳ですが)というのもあると思いますが、FPSは偏見だけで書くと、悪夢のような世界の中で、みんなで仲良く罵りながら、ゲラゲラ笑って殺し合っていれば、エロほど趣味趣向の違いはないような気もします(いや、こだわる人はこだわるでしょうけど。俺はベトナム戦争じゃないとダメなんだとか)。あと、FPSは、18禁じゃないのも大きいかも知れませんが。

どんどん話はずれていきますが・・・。野次馬根性で書かせていただければ、各地で話題の360の『Gears of War』も、趣味性全開のFPS文化の流れを汲みつつ、コンシューマ文化やニューテクノロジーを意識した良くできているソフトなんでしょう、多分。ただ、なんといったらよいのか、(正式に発売されていないとは言え、少なくとも日本では)一部のゲームファン層で話題になっているだけだよね、というか。

いや、『Gears of War』に限った話ではないのですが、例えば、『涼宮ハルヒ』にしても、結局、社会現象までにはなりませんでした。DAKINIさんの言うように、洋ゲーファンか・そうでないか、あるいは、アニオタか・そうでないかといった風に、人種・国籍問わず、ある層か・そうでないかの間にある断絶が非常に大きなものになっている感はありますね。

で、DAKINIさんの次の次のテーマともかぶってくると思うんですが、その辺の断絶をどうしていくべきか、というのが、(ゲームに限らず)、次の世代のクリエイターの一つのテーマになるのかな、と。もちろん、私はその辺の考えはまとまっていませんが、一つ思ったのは、「趣味性の面白さの壁を革新性の面白さでどう破るのか」という面が(一部にせよ)あるのではないかということです。

例えば、映画『スターウォーズ』にしても、緑の惑星が出るたびに「これ、地球?」と聞いてくるおばちゃんが見てしまう訳ですし、韓国製MMOにしろ、ゲーオタ以外は、世界観や設定は割とどうでも良い訳です。その辺は、ゲーセンで『ダライアス外伝』をプレイしていたおねーちゃんもそうでしょうし、会社のPCで『UO』をやっていたOLもそうだと思います。

要は、今後に関しても、社会現象になる作品があったとしても、プレーンで便利な工業製品みたいな作品とは逆のアプローチである、作家性全開で行く場合、例えば、「バタ臭い」「オタ臭い」などはあまり問題にならないのではないかと思うということです。どうせ、「趣味性」なんてものは万人が理解できるものではないでしょうし、「ファン層でない層」は、自分が理解できる「革新性」の面白さしか見いだせないでしょうし、それはそれで意義のあることではないかと思います。

もちろん、まず、上質な「趣味性」の面白さがあり、ファン層に認められるという前提条件はあるかも知れませんが、それを超える「(技術的だったり表現的だったり組み合わせ的だったり発掘されたものだったりする)革新性」の面白さがあるか、また、面白さを演出する環境を整えられるかということが重要な点の一つになるのではないかと思いました。(環境に関しては、今後、技法が洗練されていくんでしょうが)

つまり、言いたいのは、「ケータイ小説」も、新しい技法やシステムが生まれれば、また立ち位置が変わるかも知れないということと、MSKKはやる気ないですね、ということです(どちらも当たり前の結論ですかね(汗))。

>bin3336 さん

> 「共に一人称視点だよね」みたいな話

なるほど。確かにボクもどこかで読んだ気があるような、無いような。
鋭い共通点だと思います。

> 「自分の妄想世界を体現化させたい」、その願望がPCゲーム業界を
> 突き動かしている、というのは言い過ぎでしょうか。

据置ゲーム機とPCの境界が曖昧になっていることも考えると、
意味深ですね。特に、「画面の向こう側」の世界を作りこむ路線は、
PCゲームで培った技術も活かしやすいですし、ほとんど差がなく
なりつつあります。

DSやWiiのような「画面のこちら側」の関係を活性化させる路線は
明らかにPC的ではありません。

従来のテレビゲームの路線を引き継ぐという点で、PS3とXBOX360は
テレビゲーム機の伝統的継承者といえますが、PCとは異なる家庭
内のインタラクティブ文化を築き上げるという点で、テレビゲーム機の
精神を引き継ぐのがWiiなんでしょうね。
据置ゲーム機は、1台で多様なユーザーの需要を満たすことが
できなくなっていて、結果的に大きく2つの路線(PS3&XBOX360/Wii)
に分化したわけですが、どちらが正しいという以前に、衰退であり、
分裂だと考えています。

ユーザーの分裂をハードが許容できなくなったという事は、ちょっと
深刻な事態ですが、率直にいって、業界人の間ではこの深刻さが
理解されていない気がしています。

> FPSは偏見だけで書くと、悪夢のような世界の中で、みんなで
> 仲良く罵りながら、ゲラゲラ笑って殺し合っていれば、エロほど
> 趣味趣向の違いはない

FPSがジャンルとして保っている要因は1人用もマルチプレイも両方
いけた所だと思いますし、ご指摘のように、過度な細分化が起きな
かったせいでもありますね。


> 人種・国籍問わず、ある層か・そうでないかの間にある断絶が
> 非常に大きなものになっている感はありますね。

ですね。
よく言われる事ではあるのですが、そういう事ですね。

昨今のライトユーザーブームは、まあ要するに、比較的大きな層、
比較的大きな関心の泡を捕まえてきて、ゲームを作ろうという発想
ですよね。より多くの人の関心を引き寄せるテーマを探して、それを
ゲームに落とし込めるかどうか、という。先行者利益を狙って、新しい
テーマを求めて発掘していくか、それとも誰かが掘ったテーマを後追い
していって、小銭を稼ぐか。DSとWiiで起きているのはそういう現象
だと思います。

> 作家性全開で行く場合、例えば、「バタ臭い」「オタ臭い」などは
> あまり問題にならないのではないか

同意です。
CD-ROM時代のムービーブームの時には、『サクラ大戦』がミリオン
行ったりしましたし(笑 まあエヴァが当たった時代ではあるのですが。

ライトな客層は、それこそエルフだのドラゴンだの剣だの魔法だの
気にしませんからね。ファンタジーブームが良い例です。あれらも
オタク臭いギミックではあるのですが、それをオタク臭いと思わない
時代はあるんですよね。

ただ、現時点で、そこまで稀有なレベルの理解を得られるかというと、
ちょっとわかりません。今はどちらかというと、プレーンで便利な工業
製品というか、無味無臭の方がいいとされていますし。

いや、そういう路線はかなり正しいですよ。嗜好が細分化されている
時代ですから、「誰からも嫌われない」というWiiの戦略は巧妙です。
ホビー性を追随したともいえるPS3はWiiの真逆をいっていて、
嫌われやすく、スルーされやすい(笑

まぁ「次」(というかそろそろ「今」になりますが)の回答は、ほぼ出て
きていますよね。

> 「ケータイ小説」

一番ショッキングなのは、こんな内容でいいのか!という事です(笑
普通の小説とはかなり別物と捉えた方が的確かな、と思ってます。

ライブ・ノベルとかコミュニケーション・ノベルという理解の方が
いいかもしれませんね。

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