最近の記事
カテゴリー
過去ログ
検索


このサイトについて
このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年12月18日

読者から市場へ『すぐに稼げる文章術』

すぐに稼げる文章術

ブログが流行った影響か、文章術についての本は需要が高いです。実際、うちのブログで本を紹介しても、文章術の本は購入率が高いです。これまで紹介してきた本はどれも、よりわかりやすく、より伝わりやすく、より上手く文章を書くための手引きでした。

しかしこの本は、まぁそういう文章作法的な話も載ってはいるのですが、基本的には文章をお金にする方法や心構えに重きを置いています。筆者の日垣隆氏が自分のサイトで有料メルマガをやっていたり、本以外の商品を売っていたりするため、「文章で稼ぐ」ことの説得力は確かなものがあります。

既存のマスメディアでも、「日刊ゲンダイ」は通販サイトを作り、読者にモノを買わせています。私もメルマガを通じ、これまでオーダーメイドシャツや塩や本棚や椅子などいろいろなものを売ってきました。私の場合、まだ小さい市場ではありますが、たとえ小さくても自分の市場を持っていれば、モノを売ることができます。
(略)
朝日新聞は購読者が800万人いると威張っていながら、その800万人の購読者名簿すらもっていない。購読者の名簿をもっているのは販売店です。こんなことは、モノを売る側にとっては異常なことだと知るべきでしょう。
(略)
サイトに日垣の本の注文が入ると、すぐに名前を検索してメルマガの定期購読者か否かを調べます。注文者が岡山の方でしたら、「岡山では昨日の台風はいかがでしたか?」など、何かしら個人に宛てた一文を添える。もし注文者がメルマガの購読者でなければ、メッセージとともに「よろしければ本が届くまでお楽しみください」とメルマガを2号ほどサンプルとして送ります。こうした工夫をするだけで、一度でも私の本を注文した人がメルマガの購読者になる割合は58%にものぼるのです。


マーケットを意識するトレーニングとしてのブログ

では、この本は文章で食べていく人以外には価値が無いのかというと、そうではありません。
そこそこの規模のブログを持っている人なら、アクセス解析やコメント欄での反応などから読者層の推定を行っているはずです。基本的にブログは無料でやっていると思いますが、初歩的なマーケティングに通じる行動といえます。

ボクもブログを割りと長いことやってますから、自分のブログでこういう話題を取り上げると、どれぐらいアクセスがあるかというのは大体読めるようになっています。ライトノベルの書評は人気が無いとかも、まぁわかるわけです(笑 発熱地帯ならではの売りもなく、踏み込みも浅い。出版やケータイ小説の「市場論」のほうがよっぽど人気が高いです。ただ、ボクが増やしたいのはゲームではなくてライトノベルなので、最近比率が増えているわけですね。「売りたい」商品と「売れる」商品の違いです(実際に売っているわけではありませんが)。

最近だと『薔薇のマリア』の紹介記事のアクセス数が飛び抜けてよかったのですが、これは単純に、『ウィザードリィ』と絡めた書評だったので、関心を引いたんでしょうね。うちのブログの読者層は、ゲームに関心があるファミコン世代の人が多いようなので、ふだんはライトノベルの記事をスルーする人の目にも止まったのでしょう(年齢構成を正確に分析する手段はありませんが、長いこと色々な記事を掲載していれば、大雑把な読者層は感覚的に掴めます)。

アフィリエイトをやっていると、さらに市場を意識することになります。全体に占める比率でいうと、映画のDVDみたいにまったく紹介してない物が案外、売れるんですけどね。要はそのブログがポータル的に機能していたり、アマゾン内部でのオススメ機能が効果的に機能しているということです。ただ、商品1個あたりの売上は紹介している物が高く、書評の質がある程度判断できます。

「市場」をもつという考え方は、何も本に限ったことではなく、PC美少女ゲームの会社では自社サイトで通販している所が多いですし、ファンクラブを運営したり、購入後のアンケートを送るとファンディスクを送付するなど、ユーザーを囲い込む努力をしています。ユーザー向けのイベントに熱心な会社がいくつもあります。一方、コンシューマーゲーム機は市場規模の大きさや、既存の流通システムに大きく依存していて、あえて悪く言えば、かなり甘えているので、そこまで「売る」ことに熱心になりきれてないし、「市場」を意識できてない感じですね。

参考1
日垣隆公式サイト 「ガッキィファイター」

参考2
人の心を動かす文章術

純粋な文章術の本としてオススメできるのはこちら。添削指導をしていた方だけあって、修正前と修正後の文章が載っていて、どこをどう直すべきか非常に明快で実践的な本です。

Posted by amanoudume at 2006年12月18日 06:31 個別リンク
TrackBack URL for this entry:
http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/438

Listed below are links to weblogs that reference '読者から市場へ『すぐに稼げる文章術』' from 発熱地帯.

コメント

前にPCパッケージソフトのマーケティングを手伝ったときに、ユーザー登録カードの返送率は15%くらい、という話をきいたことがあります。その後登録ユーザー限定での追加ダウンロードとかセキュリティパッチとかやるようになったので、若干はあがっていると思いますが思ったより低いなあ、と思いました。

コンシューマーゲーム界ではクラブニンテンドーが一応ライフサイクル見てますね。ハードユーザー登録→プロファイル把握→ソフト購入履歴把握→プレイ後アンケート→ポイントに応じたリワード、と頑張っている方だと思うのですが、あれでポイント登録率どれくらいなのでしょう。

クラブニンテンドー、あれだけユーザーのプロファイル知りたいんだから、直接売っちまえば楽なんぢゃないの?と思いますけど、まあやはり立場上そうはいかないんでしょうねえ。

一方プレステドットコムはニンテンドーですらしてない(ソニーマーケティングは介していますが)直販やって、購買動向を把握する素地を持っていながら、わずかなポイントリベート、あとは一切リワードなしだもんなあ。結局他のチャネルの方にすぐ浮気しちゃうので、全然ロイヤリティもライフサイクル管理も築けていませんねえ。

PSPなんか、このあたりちょっとちゃんとやってれば、小売りが在庫したがらないUMDを(処分売りでw)直販するとか、路線修正への基礎データ集めるとか、でもう少し良くなるところはなんとかなったような気がするんですが。


> ユーザー登録カードの返送率は15%くらい

まぁメーカーによってかなり差があるようなので、高いメーカーは
もっと高いと思いますが、意外と面倒がってやらないものです。
かくいうボクも、追加ディスクくれる所以外では、送った試しがありません。

> 直接売っちまえば楽なんぢゃ

確かに流通が扱いにくいもの(説明が必要なネット関連の周辺
機器など)を扱うぐらいですね。

まぁ直販は、手間と在庫とサポートが増えるので、ファブレス的な
考え方の任天堂とは合わない部分もあるんでしょうね。逆に
バーチャルコンソールのような在庫不要の商売には昔から
積極的ですが。

PS3の発売時にPS.comが取り扱いをやめたように、DSLiteが
任天堂直販だといつも潤沢、という状況が仮にあるとまずいですし。
バッティングしない部分で模索するのがハードメーカーとしては
常道でしょうね。

> 全然ロイヤリティもライフサイクル管理も築けていませんねえ。

ソニーは縦割り組織の悪い見本を地で行っていますからねえ・・・・。
PS Storeも、PT-TVも、PS.comも全部別だし。何だかなあ。
上っ面だけ、マイクロソフトと任天堂の真似をしたがるし。
まぁまともな分析力をもった人材がマネージャー層に欠けている
とは、常々思っていますが。見ればわかることをわからないのは
単純に無能ですよね。

バーチャルコンソールといえば、売上ランキングが掲載された
ようで、良いですね。そのうち売上金額も発表することを期待
しときます。最近の任天堂なら、さらっと公表しそうですね。
売上ランキング、ソニーとマイクロソフトも、ちゃんと掲載しろよ、
と思います。まあ掲載できるほど売れてないのかもしれませんが(笑

マイクロソフトも、無料込みのダウンロード総数は鼻高々に発表
するものの、有料件数や金額はもちろん、ランキングさえ不明です
からねえ。上手くいったら自慢したがるのは世の常だから、推して
知るべし、ですかね。

Live Arcadeも無料コンテンツのダウンロードとしてはうまく回っても、
有料ビジネスとしては、あっさりバーチャルコンソールに抜かれ
ちゃうんでしょうね。

 発熱地帯のライトノベル評ですが感想に近いモノが多いので、感想で返してみたいことはあままるのですが、”感想”をコメント欄に求めていない発熱地帯に何をコメントするのがいいのか分からないんで、特にコメントしなかったといったところです。
 というか正直、

コメントを求めてない記事なのかな

 と思ってました。 見せるのが目標といいますか、PC美少女ゲーム評にも同じモノを感じる時が多いです。 

 ”買う方はゲームだけをやってるんじゃないし、年齢は毎年あがるから嗜好もおこずかいも家族構成も変わるんだよ”とか”現状の娯楽マーケット、特にゲームマーケット全体を大きな括りで知る上でライトノベル、エロゲー、アニメ、同人ゲーを「勝手に別のモノ、ないし下のモノ」と扱って全く抑えていないのはどうよ? 数が多すぎるならチェックしておいたほうがよさそうなモノを抜粋”っていうマーケットを構成する人間の普通ゲーム以外の側面を意識させる記事なのかな、と。 専門オンリーの情報断絶症や、とにかくオタ的、性的な臭いは排除&魔女狩り的排除、とか潔癖性的な方が意外と言っては何ですが、業界には非常にたくさんいるので。 
 ノベルと携帯機が、ドラクエ9とDSレベルの本気結婚を果たしたりすると、送り手だけが意識しすぎてるゲーム境界意識を一気に自覚できるんでしょうけど、遠そうです。 

>Kenさん

> 特にコメントしなかったといったところです。

いや、別に、ライトノベル系の記事にコメントを求めているわけでは
ありませんが。単純に、記事を増やそうと思っているだけのことです。


> マーケットを構成する人間の普通ゲーム以外の側面を
> 意識させる記事なのかな、と。

んー。うがちすぎというか、過剰に裏を読みすぎです。

いわゆる1つの「エロゲーなんて作るヤツの気持ちがわからん」系
ゲーム開発者はいますが、そうした人たちに何か訴えたいわけでは
ありません。

ボクが面白いと思ったものを適当に書いているだけです。

確かにボクのライトノベル評はただの感想で、それ以上のものでは
ないですね。どういう軸で評を書くかのスタンスが定まってない、と
いうのが正直なところです。

まぁ、ゲームソフトなんかは感想さえ、ほとんど書いてませんけども。
1本1本のソフトを取り上げること自体が最近は無いですからね。

コメントを投稿

(コメントを投稿しても、管理人が承認するまでは表示されません。すぐに反映されない、最悪24時間以上かかる事もあります。ご了承ください。)