ライトから一般向けへ 人気作家の“越境”続々
若者向けで実力を磨き、大人向け小説で活躍する例は過去にも多い。80年代に全盛だったコバルト文庫などの少女小説から唯川恵、桐野夏生らの近年の直木賞作家が登場、森絵都、あさのあつこら児童文学のスター作家が一般小説に進出してきた。ライトノベル出身作家の活躍も、それに続く動きになるかもしれない。
まったくその通りで、ライトノベルから一般小説に舞台を移す流れがますます加速していくと思います。
ライトノベル出身の作家が高く評価されるようになった先例といえば、直木賞を受賞している
村山由佳や、
乙一でしょうか。村山由佳は『もう一度デ・ジャブ』で、「ジャンプ小説・ノンフィクション大賞」の佳作を受賞し、その後ジャンプノベルで『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズを執筆しています。乙一は『夏と花火と私の死体』で、同じくジャンプ小説大賞からデビューしています。2002年の『GOTH』で一気に脱ライトノベルに成功した感があります。
両氏とも、ライトノベル界の花道は歩んでおらず、もともと一般小説よりでした。ジャンプノベルというライトノベルの辺境出身なのは興味深いですね。まさしく「変革は常に辺境から起こる」の実例か。
橋本紡オフィシャルblog 「パスタと越境。」
今のライトノベルはパラダイスです。さまざまな「実験」が容認され、読者がそれをおもしろがってくれる。作家と読者の距離の近さ。市場の密度。ジャンルとしての熱気。ライトノベルで一定以上の支持を得た人間は、その外に出たくなくなってしまう。
僕自身、正直に言ってしまえば、ずっとライトノベルだけ書いている方が楽です。バカなことしてるね、とライトノベル関係者から言われることもあります。半分の月の続編を書いておけよ、と。
それでも外に出たがる作家が現れてきていることが、逆にライトノベルのジャンルとしての成熟を表しているのかもしれません。
越境する作家、橋本紡の一般小説第1作、『流れ星が消えないうちに』。ライトノベル的なケレン味を完全に捨てた作品で、一般小説としてもかなり地味。死者の思い出に浸っているという点で、似たようなセカチュー以上に感傷的な印象を受けます。ていうか、もっとずっと地味です。エアーズロックのような装置を持ち出すような派手さも無いし、童貞を捨てるまでの俗っぽいあれこれも無いし。もっと大人向けといえるかも。
Posted by amanoudume at 2006年03月23日 00:24
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