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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年06月09日

PS3のMMORPG軽視は裏目に出るのか?

PS3のHDD標準搭載の可能性はゼロになった!
後藤弘茂のWeekly海外ニュース SCEI 久夛良木社長インタビュー(下) 「PS 3のHDDにフル機能Linuxを搭載」E3 後、「XBOX360に確実に勝つにはHDD標準搭載が必要」という意見が一部のゲーム業界関係者からも上がる中、久多良木氏自らがHDD標準搭載の可能 性を完全否定しました。ゲーム機では後付けのデバイスは浸透しないという法則があり、本気で普及させたいなら標準搭載が大前提になります。 そもそもHDDの必要性を最初に言い出したのはSCE。PS2初期からコンテンツのネットワーク配信「eDistribution」を提唱してきました。 PSX発表時は、むしろこれで「PS2+HDD」の環境が広がる、という発言さえありました。ところがPSXの大失敗以後は、急にトーンダウンし、薄型 PS2ではHDDスロットを完全に失くしてしまいました。 後藤弘茂のWeekly海外ニュース「新型PS2で明瞭になったSCEのネットワーク戦略転換」
裏切られたゲーム開発者たちはどこへ行くのか?
SCEのフラフラ揺れ動くネットワーク戦略の最大の被害者は、なんといってもスクウェアエニックスでしょう。PSBBは中途半端に終わり、薄型PS2ではHDD前提の「FF11」は完全に切り捨てられてしまいました。PC版を開発しておいて本当に良かったですよね。

Game Spotがスクウェアエニックスの田中弘道氏にインタビューしたところ、FF11チームはすでに次世代ゲーム機向けのMMORPGの開発に取り掛かっているそうです。機種は明らかにされていませんが、スクウェアエニックスがFF11に関連したテクニカルデモをマイクロソフトのカンファレンスで流したことは記憶に新しいところです。
FF11チームの次世代機映像は公開されています。

またXBOX360は次世代ゲーム機で唯一、HDDを標準搭載しています。MMORPGをPCだけでなく、ゲーム機でも展開したいと考えるソフトメーカーにとって、最良のプラットフォームなのは確かです。

こちらは「リネージュ」シリーズで知られる韓国NC Soft のCEO、Kim, Tack Jin氏へのインタビュー
すが、コンシューマ機への進出について興味深いコメントをしています。いつかは進出したいと考えているものの、韓国内でのゲーム機の普及台数が少ないこと
もあり、今一歩積極的になりきれないようです。またどの機種に参入するかも悩みの種みたいです。韓国内で最も普及しているのはPS2ですから、PS3へ参
入するのが自然な判断ですが、やはりHDDが標準搭載されてない(スロットのみ)点がネックになっているようです。
> うーん,難しいですね……。プレイステーション3はHDDが標準でついて
> いないようですので,NCsoftとしてはオンラインゲームを開発には向いて
> いない気がします。やはり,デフォルトで付属するのか,追加で買わなければ
> ならないのかは,大きく違いますので,作る側からすれば,そこが重要に
> なりますね。まぁこういう話をすると,メモリースティックでもいいんじゃないか
> ということになるんですが,容量とスピードをクリアするものが出てくるには
> あと10年くらいはかかりますしね(笑)。
ここでもやはり、HDDの非搭載がネックになっています。PS3の最大の隙はそこで、MMORPGブームが再燃した場合、XBOX360がかなり優位にな
りそうです。

コアユーザー向けジャンルをそろえるXBOX360
XBOX360は、FPS、RTS、MMORPG
というゲームマニアをひきつける3ジャンルで、PS3より優勢です。FPSはXBOXに引き続き、有力タイトルを集めましたし、自社で「Halo」という
強力なシリーズを抱えています。RTSはこれまでPCゲーム中心に盛り上がってきましたが、HDTVで解像度が上がり、オンライン対戦も容易になるため、
コンシューマ機への移植が成功をおさめる可能性が高いです。マイクロソフトはPCゲームの世界で強力なパブリッシャーであり、優秀な開発スタジオを引き込
みやすい立場にあります。自社で「Age Of」シリーズを抱える強みもあります。MMORPGはHDD標準搭載がキーになります。
ゲーム機は最初はコアユーザーが購入し、徐々にコストダウンが進むにつれて価格が下がり、ライトユーザーが購入するようになります。したがってゲーム機の
普及台数競争では、最初はコアユーザーの取り合いになります。
また、年々PCゲームの市場が縮小しています。次世代機では、さらに多くのPCゲーマーがコンシューマーゲーム市場になだれ込んでくると予想されます。そ
うした客層をXBOX360がガッチリ取り込む。HDD非搭載のPS3では、PCゲームをリプレースできません。米国市場のシェア争いはとても面白いこと
になるでしょう。
ゲーム業界の次の発展に必要なこと
可能性として高くなってきた「米国でXBOX360、日本で
PS3」。ねじれ構造になった時、より低コストでマルチプラットフォーム対応できる会社は生き残れますが、できない会社、コストのかかりすぎる会社はつら
いことになるでしょう。しかし結果的に、プラットフォームホルダーが弱体化して、巨大ソフトメーカーの立場がより強くなるはずです。
それはゲーム業界の大多数を占めるソフトメーカーの人々にとって、歓迎すべき未来です。「くたばれ!ハードメーカー」などと叫ぶ必要はありませんが、デカ
い顔がもうちょっと小さくなれば、多くの人々にとって輝かしい未来が待っているでしょう。PS3とXBOX360が世界市場を半々に分け合う未来こそ、
ゲーム業界の次の発展に必要なステップなのです。
(参考:「次世代で加速するマルチプラットフォーム」

Posted by amanoudume at 2005年06月09日 21:13 個別リンク