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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年04月07日

「2.0」がますます浸透

MMORPG2.0って?

去年は、やたらめったら「2.0」が流行りました。Web2.0ブームの影響がありましたし、時代の変わり目を誰もが感じたためですし、古い時代との違いを明確に表せる表現だからです。ゲームの世界でも、例えばうちのブログでも「ゲームデザイン2.0」「ゲーム2.0」といった言葉を積極的に使っていました。

それぞれのブログで定義が異なっていたものの、論文を書く学者でもなければそういう細かい事はどうでも良いわけです。要は新しい変化の到来を誰もが感じたため、わかりやすくいキーワードが求められたということです。今年に入ってからも、アジアオンラインゲームカンファレンスの講演の1つで、「ゲーム2.0」=「Web2.0の考えを取り入れたオンラインゲーム」という説明があったらしいですね。

と思えば、いつのまにか「MMORPG2.0」なる言葉も生まれていたようで。
奥谷海人のAccess Accepted 「GDCで見たゲームの未来像」

MMORPG開発者達の喪失感は,「The Sims Online」「Star Wars Galaxies」「The Matrix Online」などが立て続けに失敗し“メインストリームになり得なかったこと”によるところも大きいはず。そこで,ユーザーを巻き込みながら成長する「Web 2.0」の概念をモチーフにして,訴えられ始めたのが“MMORPG 2.0”である。

 この流れの旗手として挙げられるのが,本連載でも何度か話題にしたことのある「Second Life」というMMOGである。プレイヤーがゲーム内で制作したコンテンツ(Player-Created Contents)の帰属をプレイヤー自身に認めることで,新しい形のゲームとして評判になった。その高い自由度からゲームだけでなく,教育などの分野でも利用されている。とはいえ,確かに開発者が強い自信をのぞかせるほどWeb 2.0的なサービス形態ではあるものの,Second Lifeはまだまだ一部のコミュニティに特化したものでしかなく,“MMORPG 2.0”としてブレイクするにはさらなる発展が要求されるだろう。

「2.0」という言葉が流行るかどうかはともかく、「2.0」的な考え方はじつに色々なところに浸透しつつありますね。mixi的と評価された『おいでよ どうぶつの森』が国内250万本に届こうとしていることを考えても、今後さらに「Web2.0」的な考え方への関心は強まっていくと予想されます。特にオンラインゲームの分野では顕著でしょうね。


流行ってるんだから使えばいい

まぁ去年の年末には、「ゲーム業界にはゲームデザインの言葉があるんだ」とか、「Web2.0なんてただのブームじゃないか」というような、チープな意見も一部にありました。しかし正直いって、言葉にこだわるのって、マーケティング屋と学者ぐらいじゃないですか。マーケティング屋はキーワードを散りばめたプレゼンをするため。学者さんは論文を書くため。そういうつまらないこだわりに、その他の人間が左右される必要は皆無です。

わかりやすい言葉を素直に使えばいい。「2.0」ブームが何年も続くとは思いません。しかし言葉なんて消えたっていいんですよ。言葉で金儲けする人じゃないんですから。面白いものをどんどん取り入れていく姿勢が大切。ゲーム発の言葉かどうかなんて、じつはどうでもいいんです。

例えば、去年最も話題になった『脳トレ』にしても、川島教授というゲーム業界の外の人の研究成果を取り入れているわけです。脳を鍛えるブームにしてもDSが生み出したわけではなく、元々脳ドリルがありました。口の悪い人なら、ブームに乗っかってゲームデザインしたゲームというかもしれません。それは正当な評価ではないでしょうが、1つの見方でしょう。

昔からゲームは、ゲームの外の色々な技術や面白いものを取り入れてきました。そして実際、今そういうソフトがライトユーザーをゲームの世界に引き入れているわけです。だから「2.0」がWeb屋の言葉だから・・・・うんぬんうんぬん・・・・なんてのは、心の狭い意見でしょうね。


おおらかに作って、おおらかに遊んでもらう

一般的に、1つの業界(市場)が縮小する時、2つの反応が起こります。
1つの反応はどんどん狭い世界に閉じこもろうとする動き。「ここからが○○の世界! 絶対」「外の流行り物を取り入れるなんて安易」「○○は高度化しているんだ」「○○の伝統を守れ」・・・・。やれやれです。もう1つの反応は、過去の常識、伝統といったものにこだわらず、面白いものはどんどんツモってくる動き。ある意味、いい加減きわまりない。でも面白ければそれでいいじゃないか。面白いが正義! 

前者の反応が強ければ、先鋭的なユーザーを残して、ほとんどのユーザーは離れていき、しだいに市場は先細っていきます。過去には2Dシューティングが、落ちゲーがそういう道を歩みました。
例えば、落ちゲーを作っている人にこう言ってみましょう。「連鎖ってわかりにくいじゃん。ついていけないんだよね。なくさない?」するとどういう答えが返ってくるでしょうか。「はぁ? お前はバカか?wwww 連鎖が無かったらゲームじゃねえだろ。シロウトかよ(プゲラ」ですかね? そういう反応ばかりが返ってくる世界がいずれどうなってしまうのか、ボクたちはいくつも実例を目の当たりにしているわけです。

ボクがよく言うのはできるかぎり「眉間にしわを寄せて作るのはやめようよ」ということです。作り手は眉間にしわを寄せてゲームを作り、遊ぶ人は眉間にしわを寄せてゲームを遊んでいる。ある一時期、ゲームの世界はそういう狭い閉鎖系になりつつありました。作り手はおおらかにゲームを作り、遊ぶ人もおおらかにゲームを遊んでいる。そういう世界で仕事をしたいのですよ。

とある人の名言ですが、「ゲームはバカが作ってバカが遊ぶもの」です。流行ってるものを取り入れるぐらい、軽く、素早く、チャラッと作ってもいいんですよ。実際、ゲームの外の世界の流行りを取り入れて、数ヶ月で作られたソフトがダブルミリオンに到達しようとしているわけでしょう。眉間にしわを寄せてどうするんですかねえ。
ボクは「お茶を飲みながら作って、お茶を飲みながら遊んでもらうのがいいねえ」って、ずっと言っているんですけどね。

Posted by amanoudume at 2006年04月07日 00:09 個別リンク
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コメント

自分も言葉遊びが好きな人間ですけど、
一番困るのは「わかった振りして使われる事なんですよ。」
もっと簡単に説明できるのに、言葉で煙に巻くみたいな使われ方が多いじゃないですか(苦笑)
わかり易いなら歓迎ですが、結局、発言者の自己満足になってるような気がするんですよね。

MMORPG2.0なんて言葉使わなくても
MMORPGでお花見しようぜ!の方がよっぽどわかり易い。

なかなか考えさせられる文章でした。

言葉の問題に関しては、まあ、立場が違えば、違う意見も出てくるだろうなあ、程度しか感じませんが、こだわる人はこだわるんでしょうね。

それはともかく、正直、私はパチモンみたいなものしか作らないのに売れているセガトイズは気に入らない存在でした。
が、あれはあれでありかも知れないと思うようになりました。
直感的な考えですが、「基本的に『一般人は』、ゲームに対して『(安価な)≪新しい≫おもちゃ』以上の物も以下の物も期待していない」のではないかという気がします。

つまり、生活に影響が出るほどハマるのは馬鹿馬鹿しいが、雰囲気は楽しみたい、みたいな感じです。
もちろん、コアユーザーというものは存在しますし、ゲームにハマってバカスカ金をつぎ込む人もいるでしょう。
でも、普段ゲームをやらない一般人とゲームとの距離感はその辺ではないかと思います。
要は大切なのは、『(未知の)わくわくする何か』なのかも知れません。

そこでちょっと思い出した記事があります。
http://go-yoo.seesaa.net/article/1937403.html
> 俺が知りうる限り、漫画家、アニメーター、ゲーム屋、オタ絵イラストレーターはArtist(芸術家)なのでは絶対にない。たしかに中には一部芸術性を追求しているモノもあるが、基本的には大いに商行為に関わり合いを持つ。漫画家、アニメーター、ゲーム屋、オタ絵イラストレーターはArtist(芸術家)ではない。我々はArtisan(職人)だ。

さらに言えば、エンターテイナー(芸人)的側面もあると思います。

過去記事のコメントで、表現者としてのクリエーターのモチベーションの話をしましたが、芸術的自己表現云々というよりも、芸人的・職人的なチャレンジがゲームクリエーターの大きなモチベーションの一つになっているような気がします。
(まあ、最終的にはDAKINIさんのおっしゃる通り、人それぞれなのかも知れませんが)

パチモンやハッタリも含めて、シャレになるかならないか分からないチャレンジというのは端から見ても面白いし、ゲーム業界の活性化につながるような気がしますね、と無責任に言ってみます。

>BAN/さん

まぁ基本的には言葉なんてものはすべて流行です。生き残った
流行と死んだ流行(死語)があるだけです。そういう意味では
とりあえず2.0と言っておけ的な考え方はボクは好きです。
その安直さが。


>bin3336さん

例えば、極端な話、普通の人はパクリかどうか、オリジナルかどうかさえ、
まったく気にしないと思うんですよ。パクリ問題なんかもワイドショー的な
話題、正義感ゲームとして消費されているだけで、本気で気にしている人って、
どれだけいるのかな・・・・。

実際カジュアルゲームにしても、フリーゲームにしてもほとんどがどこかで
見たような物なわけです。

面白きゃいいわけですよね。
ただ、そこまで堂々と言い切っちゃうと、あまりに混沌としてるんで、ゲーム
デザイン学だとか、クリエイター道?だとか、文化だとか、そういう紛い物の
秩序が必要になってきたんでしょうね。

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