メディアプレーヤー競争で存在感を増す携帯電話
「1000曲ケータイ」秋登場 東芝の超小型HDD内蔵
この所、携帯電話のポータブル音楽プレーヤー志向が鮮明になっています。
去年のサムソンの携帯電話に続いて、東芝もiPod携帯を発売。4GBの容量を持ち、1000曲入るそうです。
関連する話題をいくつか挙げてみます。
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状では、携帯電話を音楽プレーヤーとして使うユーザーは、「手軽さを重視」「手持ちの音楽の一部を持ち歩くだけでいい」という人たちでしょう。したがって
最初はまずフラッシュメモリー型のポータブルプレーヤーとニーズを食い合うのだと思います。その後、HDD搭載の携帯電話が浸透するにつれて、HDD型の
ポータブルプレーヤーとの競合が激化するのでしょう。
「21世紀のウォークマン」を自称したPSP、「プレイやん」によって動画と音楽を楽しめるようになったGBA。ゲーム機もメディアプレイヤー競争に参加
していますが、どちらもガジェット愛好家が購入しただけで、そのうちどれだけの人が継続して音楽を視聴しているかは疑問です。着実に盛り上がりを見せてい
る携帯電話には到底勝てそうにないのが現状でしょう。
携帯電話のHDD搭載、およびネットワーク配信(および課金システム)は強力です。音楽プレーヤーとしての競争では、携帯ゲーム機の利点や存在感は乏し
い。おそらくiPodのようなポータブルプレーヤーと携帯電話が市場を二分すると思います。
ただ、映像ビューワとしては、ゲーム機(PSP)の側にもまだ勝負する余地が残ってはいるかもしれません。
携帯デバイスで映像を楽しむ行為はまだニッチ
とはいえ、そもそも携帯デバイスで映像を楽しむ行為自体がいまだニッチの域を出ていません。携帯できる音楽プレーヤーはすでに市場が存在しますが、携帯できる映像ビューワで成功した商品はまだ1つも存在しないわけです。
携帯電話にTVチューナーを載せてもヒットしませんでした。放送がアナログで、場所によって品質が激変する問題がありましたし、ぶつ切りの時間で視聴するスタイルにTV番組の内容が合っていないという問題もありました。
ゲームソフトが売れなくても、なぜかハードが売れ続けている、といわれたPSPにしてもやはり根幹はゲーム機。ソフト不足の表面化(売上トップ30に1本も入ってない)とともにハード販売台数が減少しています(今では週間2万台)。UMDも盛り上がっていません。まぁPSPは、いよいよエロUMDが発売されるので、もしかすると息を吹き返す可能性もゼロではありませんが……。
しかし日本では、PCで普通に見られるフォーマットを変換せずに見られるようにしたほうが、よほどニーズはあると思いますが。
WEBブラウザ端末としても携帯電話が優位最近のフルブラウザ市場の盛り上がりを見ても、携帯端末で
WEBを見たいというニーズは確実に存在することがわかります。この点ではグローバルなワイヤレスネットワークをもつ携帯電話が圧倒的に有利。携帯ゲーム
機はローカルなワイヤレス機能しか持っていません。
(ただし無料というのが良い点。ゲーム等の限定された目的であれば、限定されたスポット数でもある程度のサービスは実現できるはずなので、ゲーム専用の
ネットワーク端末という点では可能性は十分あります。)
料金については、そう遠くないうちに値下げ競争が激化するのは目に見えた話で、ナンバー・ポータビリティがまず第一の口火を切るでしょう。そしてソフトバ
ンクとイー・アクセスの2社が新規参入してくれば、さらに競争が激化するでしょう。また後発のソフトバンクはおそらく高速性を売りにしてくるため、グロー
バルな範囲でのワイヤレスブロードバンドがついに実現すると思います。
WEBブラウザ端末としては、議論の余地がまったくないほど、携帯電話が圧倒的に優位です。
日本では勝負がつきつつあるが、米国ではまだ可能性がある?音楽はiPodと携帯電話が二分し、映像
はニッチ、WEBブラウザは携帯電話が圧勝となると、携帯ゲーム機が専用機市場の外に出るのはなかなか厳しいといわざるを得ません。ただ、これは携帯電話
大国たる日本の話で、遅れている米国であれば、まだ可能性はあるかもしれません。
PSPが米国で携帯ゲーム機として成功するかどうかは、おおいに議論の余地がありますし、ボクはしばらくすれば日本と同じになると予想しています。です
が、ソニーピクチャーズが存在するため、米国では映画=ソニーというイメージは強く、UMDビデオが日本より売れているのは確かのようです。
もちろんDVD市場ほどには到底育たないでしょうが、一定の市場を築く可能性はゼロではありません。日本ではUMDほどの画質は(携帯端末で見る場合に
は)オーバースペックの感がありますが、米国ではリッチな映像に対するニーズは確実に存在します。また、高性能な携帯電話の普及率を考えれば、携帯電話は
しばらくは大した競合相手にはならないでしょう。
そういう意味では、米国限定ならPSPは映像プレーヤーとしてなら、一定の成功をおさめる可能性が「ゼロではない」でしょう。iPodの代替はもちろん
ジョークの世界。ソニーのネットワークウォークマンがiPodのシェアを超える可能性のほうが1万倍も高い。
ただ、いつまでも旧態依然のディスクメディアでは説得力がありません。なるべく早いタイミングで、HDD内蔵型のPSP1.5を出したほうがいいでしょ
う。ゲーム機としての性能がこれ以上上がっても、「PS2並みの開発費がかかる」という状況をさらに悪化させるだけですから、CPUとGPUは同じままで
HDDだけ積めばいい。携帯デバイスはチップの演算性能で競争する世界ではなく、端末の機能性で競争する世界でしょう。(だからチップの演算性能をてこに
使う戦略のSCEはうまくいかなかった)
もちろんこれは可能性の議論です。
ただいずれにしても、据置ゲーム機に限らず、携帯デバイスにおいても、日米のユーザーの関心の方向、嗜好差、市場ポテンシャルが違ってきている、という予
感があります。何か変化が起きたとき、それが日本と米国どちらか一方のみで起こる現象なのか、両方で起こる現象なのか、注意して見ていく必要があるでしょ
うね。
Posted by amanoudume at 2005年06月06日 20:00
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