日米ともに昨今、ゲームへのバッシングが強まっています。
米国は主にバイオレンスゲームの悪影響を中心に批判の声が大きくなり、日本では「ゲーム脳」(死語になったと思いきや、意外としぶとい)やMMORPGの
廃人問題を中心に批判の声が大きくなっています。(日本でも、米国のようにバイオレンスゲームへの批判が強くなりつつあります)
こうした中、神奈川県が「GTA3」を有害図書類指定するなど、ゲーム業界の外側からの規制の圧力が強まってきました。また神奈川県につづいて、埼玉県も有害図書指定の検討を開始したほか、11月の首都圏サミットでも有害ゲームソフトの規制が提案されるらしく、首都圏全域に規制が広がる可能性が出てきました。
> 大阪府・愛知県などでも“有害”としたゲームソフトを規制する方針が固められている。
> 今回の神奈川県の有害図書類指定への動きには、以前から石原慎太郎東京都
> 知事が協力したい旨を明らかにしている。11月に開催される首都圏サミットでも提案
> される方向とのことで、1都3県で共通の規制に及ぶものと推測される。
ゲーマーの方々のブログを見て回ったところ、冷静に事態を見ている方が非常に多いです。
こうした行政の動きに対して一定の評価をしている、あるいは「ゲーム業界が主導権を握って仕組みを作らないと、行政側にいいように規制されるだけ!」「言い訳みたいな現状のCEROではなくて、もっと説得力をもたせて自主管理してほしい」という論調が多いと感じました。
こうした中、流通サイドでも反応がありました。日本テレビゲーム商業組合が総代会において、CEROの18歳以上対象ソフトの19歳未満への販売自粛を呼びかけたようです。
今後注目が集まるのは、CESAの動きでしょう。ネット上でのゲーマー世論を見ると、期待の念を表明しておられますし。(表明したものの、「どうせダメだろ・・・・」と思われているのかもしれませんが)
こうした状況で、ゲーム業界が取り得る方法は3つあると思います。
○1つ目はCESAなどの業界団体が適切な自主管理の仕組みを構築すること。
ゲームに熱心でない人たちに対して、CEROの説得力をもたせる必要があります。
○2つ目はゲームの遊び以外の価値を知ってもらうこと。広い意味での娯楽
ということ、「ソフトの多面的価値」「ソフトの多様性」を知ってもらうこと。
○3つ目はゲームをしない人にゲームを知ってもらうこと。
1つ目は比較的、短期的で即効性のある対処。2つ目と3つ目は中長期的に効果のあらわれる対処といえます。
東京大学大学院情報学環教授 馬場章氏インタビュー前編 ボクらは「桃鉄」で日本地理を、「信長の野望」や「三国志」で歴史を学んだ ゲー
ムの純ゲーム以外の付加価値を再評価して伝える活動は、一面的なゲームバッシングに対して即効性は低いかもしれませんが、長期的にはプラスの作用をもたら
すはずです。また、かつてのエデュテイメントソフトに見られるように、商品企画の段階で「純ゲーム」以外の付加価値をこめた商品が増えていき、「ゲームの
多様性」が認知されれば、一部のゲームだけが大きく取り上げられてゲーム全体への批判が強まる傾向にも、一定の理性的な歯止めがかかると期待できます。
ゲーム業界の外からの規制は、その多くがゲームをしない人が中心になっていると思われます。ですから「ゲームをしない人」を少なくとも「ゲームを楽しんだ
ことのある人」に、できれば「ゲームをする人」に変えていくこと、ユーザーの裾野を拡大することも重要でしょう。そういう意味では、「諸兄、ゲームやろうぜ!」のような活動は、大変評価できるものです。