最近の記事
カテゴリー
過去ログ
検索


このサイトについて
このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年06月01日

高まるゲームバッシングと「ゲームをしない人→する人」への努力

日米ともに昨今、ゲームへのバッシングが強まっています。
米国は主にバイオレンスゲームの悪影響を中心に批判の声が大きくなり、日本では「ゲーム脳」(死語になったと思いきや、意外としぶとい)やMMORPGの
廃人問題を中心に批判の声が大きくなっています。(日本でも、米国のようにバイオレンスゲームへの批判が強くなりつつあります)

ゲームへの規制強まる

こうした中、神奈川県が「GTA3」を有害図書類指定するなど、ゲーム業界の外側からの規制の圧力が強まってきました。また神奈川県につづいて、埼玉県も有害図書指定の検討を開始したほか、11月の首都圏サミットでも有害ゲームソフトの規制が提案されるらしく、首都圏全域に規制が広がる可能性が出てきました。

> 大阪府・愛知県などでも“有害”としたゲームソフトを規制する方針が固められている。
> 今回の神奈川県の有害図書類指定への動きには、以前から石原慎太郎東京都
> 知事が協力したい旨を明らかにしている。11月に開催される首都圏サミットでも提案
> される方向とのことで、1都3県で共通の規制に及ぶものと推測される。

ゲーマーの方々のブログを見て回ったところ、冷静に事態を見ている方が非常に多いです。
こうした行政の動きに対して一定の評価をしている、あるいは「ゲーム業界が主導権を握って仕組みを作らないと、行政側にいいように規制されるだけ!」「言い訳みたいな現状のCEROではなくて、もっと説得力をもたせて自主管理してほしい」という論調が多いと感じました。

こうした中、流通サイドでも反応がありました。日本テレビゲーム商業組合が総代会において、CEROの18歳以上対象ソフトの19歳未満への販売自粛を呼びかけたようです。
今後注目が集まるのは、CESAの動きでしょう。ネット上でのゲーマー世論を見ると、期待の念を表明しておられますし。(表明したものの、「どうせダメだろ・・・・」と思われているのかもしれませんが)

取り得る3つの方法

こうした状況で、ゲーム業界が取り得る方法は3つあると思います。
    ○1つ目はCESAなどの業界団体が適切な自主管理の仕組みを構築すること。
     ゲームに熱心でない人たちに対して、CEROの説得力をもたせる必要があります。
    ○2つ目はゲームの遊び以外の価値を知ってもらうこと。広い意味での娯楽
     ということ、「ソフトの多面的価値」「ソフトの多様性」を知ってもらうこと。
    ○3つ目はゲームをしない人にゲームを知ってもらうこと。
1つ目は比較的、短期的で即効性のある対処。2つ目と3つ目は中長期的に効果のあらわれる対処といえます。

東京大学大学院情報学環教授 馬場章氏インタビュー前編 ボクらは「桃鉄」で日本地理を、「信長の野望」や「三国志」で歴史を学んだ ゲー
ムの純ゲーム以外の付加価値を再評価して伝える活動は、一面的なゲームバッシングに対して即効性は低いかもしれませんが、長期的にはプラスの作用をもたら
すはずです。また、かつてのエデュテイメントソフトに見られるように、商品企画の段階で「純ゲーム」以外の付加価値をこめた商品が増えていき、「ゲームの
多様性」が認知されれば、一部のゲームだけが大きく取り上げられてゲーム全体への批判が強まる傾向にも、一定の理性的な歯止めがかかると期待できます。
ゲーム業界の外からの規制は、その多くがゲームをしない人が中心になっていると思われます。ですから「ゲームをしない人」を少なくとも「ゲームを楽しんだ
ことのある人」に、できれば「ゲームをする人」に変えていくこと、ユーザーの裾野を拡大することも重要でしょう。そういう意味では、「諸兄、ゲームやろうぜ!」のような活動は、大変評価できるものです。

重要性を増す国内市場の回復
ゲームをあまりしない、例えば中高年の年代の方々にゲームを遊んでもらうには、2つのアプローチがあります。     ○既存のゲームのうち、中高年の方にも楽しんでもらえる側面をもったゲームを      取り上げて、興味をもってもらえる広報活動をおこなう。     ○中高年の方をターゲットに入れた新規ソフトを開発する。あるいは中高年の      方にとって、とっつきにくい部分をなくすなど、工夫をこらす。 前者のソフトの代表は「GT」や「みんなのゴルフ」でしょうか。また2003年に、SCEが「太鼓の達人」(ナムコ)を使って、老人と孫が一緒にゲームを 楽しむ光景をCM化していました。後者のソフトは現状ではほとんど無いと思います。ただ、今後は中高年市場への注目が高まっていくと思いますので、期待感 がもてます。 中高年市場の開拓は、バッシングへの対処とか、文化事業のようなものとしてのみ位置づけられるわけではありません。今後、少なくない日本のゲーム会社が生 き残るための「新しい市場開拓」です。 欧米市場で日本のゲームのシェアが低下し、次世代機では欧米の巨大パブリッシャー相手にさらに厳しい競争をしいられる中、日本のゲーム市場の復活は急務だ と思います。日本市場は海外メーカーにとって文化的な壁がありますから、日本のゲーム会社がかなり優位に立てる市場です。そこできちんと利益を出せれば、 世界的な競争でも力になります。輸出産業においては、良質な国内市場を抱えていることが競争力につながります。 もちろん、米国という巨大市場を無視するわけにはいきません。が、そちらに引きずられすぎて、足元が崩れているのに気づかないようでは、激化する一方の世 界規模の競争であっさり敗退してしまうでしょう。 最近よくいわれるように、日米のユーザーは関心の方向がかなり違ってきました。今後、関心の方向の違いはますます顕著になるかもしれません。正直日本の多 くのゲーム開発者にとって、ますます悩ましい事態になっています。まぁしかし、いつだってピンチはチャンスであり、危機ゆえにこそ冒険できるのだし、そこ で新しい市場を開拓するからこそ、未来は切り拓かれるのでしょう。 Posted by amanoudume at 2005年06月01日 00:26 個別リンク
TrackBack URL for this entry:
http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/53

Listed below are links to weblogs that reference '高まるゲームバッシングと「ゲームをしない人→する人」への努力' from 発熱地帯.
CEROのレーティングについて
Excerpt: 発熱地帯さんの「高まるゲームバッシングと「ゲームをしない人→する人」への努力 」という記事が素晴らしいです。わざわざリンクを貼らなくても、このBlogを読む人は発熱地帯さんを読む人だと思いますが、それでも念のため。中高年の 攻略こそが今のゲーム業界の目標の1つで
Weblog: ゲームのマボロシ
Tracked: 2005年06月01日 02:34
「頑張れCERO!」のコト
Excerpt: 神奈川県、残虐ゲーム「有害」に(日経新聞5月30日付) 神奈川県は三十日、カプコ...
Weblog: 六百デザインの「嘘六百」
Tracked: 2005年06月11日 07:39
「誤解されてるなあCERO…」のコト
Excerpt: 誤解されているようだが、CEROは、ゲーム業界を(流通を)規制する団体ではない。 自主規制の主体ですらない。むしろ、「我々メーカー・流通が規制しますから、その基準を作ってください」と依頼される側だ。昨日も書いたが、CEROは ゲームの内容を「rating(評定する)」...
Weblog: 六百デザインの「嘘六百」
Tracked: 2005年06月12日 15:11
[マジネタ ]物理シミュレーション技術で、年配者のゲーム人口を増やせないか?
Excerpt: オルタナティブ・ブログでの、本田雅一さんのPlayStation3試作機のレポートが話題になっている。どうしても話題はハードウェアやE3のデモ映 像の話題になっているようだが、本田さんが考えているのはCellが可能性として持つ、物理シミュレーションの性能のよう...
Weblog: あのに・すなる
Tracked: 2005年10月24日 07:42