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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年06月19日

とりあえず感想

梅田望夫氏の「ウェブ社会[本当の大変化]はこれから始まる」が非常に面白いです。以前からちょくちょく書かれていたことを統合された記事で、梅田氏の思い描く「次の10年」の世界観が提示されています。

その世界観は大半のプロフェッショナルにとって、都合が悪い、きびしい話ではあるのですが、しかしながらボクは大いに共感し、同意し、肯定し、絶賛します。事実、ボクがこれまで書いてきた記事も、その大半がこの世界観にもとづいたものです。

外の圧倒的で膨大な開発リソースを生かすには、「ゲーム機」ビジネスの変化が必要

ボクが「ゲーム機」ビジネスに否定的
のも、それでは広がりが足りないからです。もっと広い範囲からクリエイティブパワー、開発労働力を短期間に集めるためには、オープンな環境を作らないとい
けない。
ただ、そうすると、プラットフォームホルダーにとっての旧来のおいしいビジネスが回らない。今はまだクローズドなほうがもうかるでしょう。第一、クローズ
ドを大前提にしたビジネスをしていますから、いきなりオープンにはできません。
ただ、永遠に保つわけもなく、しかも崩壊点はさほど遠くない。となると、それがいつごろなのか? 誰が最初に決断し開放するのか?がとても興味深いのです
よ。
けれども、それは既得権者にとってあまりに残酷な決断です。結局、誰も決断できないまま、「ゲーム機」業界そのものが地盤沈下していった挙句、ある日唐突
に外の世界からの侵攻によって開国させられる、という可能性もあるわけです。むしろ、ボクはそうなるんじゃないかという気がしています。まあ「ゲーム機」
メーカーが凋落するのも、悪いことじゃない。ロイヤリティーのみでしか食っていけない企業なら滅びてしまえばいいし、それ以外の手段(ハードそのものの利
益、ソフトの収益)で食えるなら十分サバイバルできるでしょう。ブタなら死ぬし、オオカミなら生きる。それだけのことです。

地球上からあなたが消えても、地球の重さは1gも変わらない、という現実

また、グローバルに労働力が移動する時代のため、プロとして食い続けるのがますます大変になります。プロの作品とアマの作品の境界は年々あいまいになってますから、プロの価値をより強く意識しなければいけないでしょう。

ゲームの二極化の果てはパブリッシャー/スタジオ/作家の3階層モデル?

ノベルゲーム、パズルゲーム、2D格闘ゲーム、2Dシューティングといった「枯れたジャンル」は、ゲーム会社という商業土壌から
スタートする優位性がほとんど失われつつあります。(ここでいう「枯れた」とは製作技術的に「枯れた」という意味で、人気が無いという意味ではありませ
ん)
製作技術的に「枯れた」以上、商業土壌と非商業土壌の開発面での優劣の差はかなり小さくなっています。商業土壌では、よりたやすく物量に走れるため、内容
を豪華にしたり、ボリュームをふくらませやすいです。けれどもこれら「枯れたジャンル」では、豪華主義やボリューム主義が有利に働くわけではありません。
むしろより買い求めやすい値段で提供したほうが、よほど売上につながる傾向があります。

ここ7ヶ月間のゲーム業界シェア(国内)の地球上でどれだけの人間がゲームをつくっていると思っているのか

一昔前はともかく、今はもう欧米でも、中国でも、韓国でも、台湾でも、インドでも、中東でも、世界中のあちこちでゲームが作られ
ているわけです。地球上でいまどれだけの人間がゲームを作っていると思っているのか。「普通」なんてものは、別に日本人が作らなくたって、もっと安く他の
地域で作れるわけです。「どこでだって作れるようなゲーム」はまさしくどこでだって作れるんです。そんなもの、日本人の開発会社にふらずに、もっと安い地
域の開発会社にふればいい。
日本がゲームを作らなくても世界は何も変わらないのであれば、その会社がゲームを作らなくても何も変わらないのであれば、お前1人がゲームを作らなくたっ
て何も変わらないのであれば、本当に仕事なんてなくなっちゃうんです。いまや、それが可能な時代になったんですから。
これはボクの人生論ですが、ボクらは「地球にいったい何人の人間がいると思っている? お前1人がいなくたって地球の重さは変わらない」という言葉を突き
つけられて生きているんです。それに抗って生きられないなら、さっさとフェードアウトしたほうがいい。生きてたって何の意味もない。数十億の人類なんても
んより、人間1人のほうが重い。そのありえない価値を立証してこそ、人生は意味をもつ。

もっとも、ゲーム産業にいる人の多くは、食べていくことの大変さを実感されていると思います。梅田さんが書かれている例で言えば、
My Life Between Silicon Valley and Japan「これからの10年飲み会」で話したこと、考えたこと

でも勉強が好きな少年は、何だかずっと勉強みたいなことをする仕事をして一生を送れるのではないかとこれまでは思ったし、ここ数
十年はそういう仕事がけっこうたくさんあった。そういう状況自体が今後厳しくなって、勉強が好きな少年も、野球好きの少年や将棋好きの少年や音楽好きの少
年と同じような「人生の厳しさ」に直面するようになる。

ゲーム開発者は「野球が好き」「将棋が好き」「音楽が好き」に属しますから。ただ日本のゲーム業界は、コンテンツ制作業界の中ではもっとも「会社」がしっ
かりしているため、「勉強が好き」に属している人、「ゲームがちょっと好き」な人も混じっています。そういう人たちはここ数年で、割と消えていったと思い
ますけど、たぶんもっとふるいは激しくなって、こぼれ落ちるプロの数は増えるんじゃないか、と思います。

Posted by amanoudume at 2005年06月19日 01:04 個別リンク
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みんな軽く、みんな重い
Excerpt: やはり発熱地帯さんは素早い反応でした。「とりあえず」と前置きが付いているので、これから更に掘り下げていくのでしょう。楽しみです。ただ、たとえプロ という立場であっても所詮自分は軽いのだ、と認識するのはとても大事なことだと思うのですが、それと同時にアマチュア.
Weblog: ゲームのマボロシ
Tracked: 2005年06月19日 15:30