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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年07月26日

ただの世代間の違いのような。

ARTIFACT@ハテナ系 「アニメーターのわずかな個性も許さないアニメファンに絶望した!」
おー、kanose氏対『なのは』ファンの激突!
『魔法少女リリカルなのは』のDVD版での修正をめぐって、両者の見解が分かれてますね。
修正が多すぎるし、違いなんてほとんどわからないよ、こんな違いも許容できないなんて!というkanose氏。求められていない個性を発揮する場じゃないし、DVDを買うファンが喜んでいるならそれでいいんじゃねえのという『なのは』ファン。

最近のアニメファンは統一感ばかり重視していて、個性を許さないよなあと思っていた。うつのみや理作画騒動とか。二次元のキャラクターに感情移入するためには、アニメーターの個性は邪魔なもの。更科さんがよく言う「ノイズ」扱いされてしまう。
確かにそういう傾向は感じます。京アニ人気の高まりも、アニメオタクの作画・動画へのこだわりが高まってきたから、という話をよく聞きます。

で、↓これがその作画修正箇所です。
魔法少女リリカルなのはA's DVD版第12話作画修正比較
テレビ版とDVD版を見比べてどう感じるか、って事なんですよね。
俺、この話を何回観たかというと、100回は超えてるんですよね。正確に言うと、劇中歌の『BRAVE PHOENIX』が流れる闇の書のコアとの戦闘シーンを何百回と観てます。まー、Web閲覧しながらとか、ブログ書きながらといったBGVとしてですが。当然、修正箇所はすべて見覚えがあります。全員集合してド派手な必殺技ぶちかましていくこの部分、古きよき時代のFFっぽいんですよねー。

ボクはそれでもDVDを買ったりしない、愛の足りないファンなわけですがorz
ファン以外の人から見たら細かい違いでも、数百回観る人からすれば、大きな違いに思えることもあるんじゃないかな。個人的な印象としては、違いはかなり大きいと思います。

修正ポイントの1つが「ベルカ式作画」。このネタ元はなのは的時空間さんの第00話「ベルカ式」。キャラ修正をある程度度外視して、戦闘シーンに特化した作画のことを指しています。戦闘のかっこよさを重視するか、萌えを重視するかの違い。ボクはかっこいい方がいいんで、テレビ版のはやての方が好みです。ただ、ボクのはDVD買わない客の意見なんで。ちゃんとDVDを買ってくれる萌え重視派の意見を聞いた(と思われる)製作スタッフの判断は適切だと思います。

まぁなんか結局はオタクの世代間の価値観の違いじゃねーの?という気がするんですよね。
  旧世代オタ: 作画の違いに個性と価値をも見出せる能力とセンスを持つ
  現代オタ:   作品全体の統一感や,十全性(安定)を強く意識し、それを壊すノイズを排除したがる

kaienさんの「知識のオタク世代」→「感性のオタク世代」という分析が的確かも。
Something Orange 「萌えカルチャーと教養主義」

 このことについてもう少し深く考えるためには、「昨今のヲタクカルチャーや萌え文化」が、「教養」を重視する岡田斗司夫的なオタク趣味とはあくまで別物だということを理解しておく必要があると思います。

 そもそもあるキャラクターに「萌える」ということは、きわめて感覚的な行為であるわけです。過去10年間の美少女キャラクターの変遷を理解した上でなければ萌えられない、とかいう性質のものではない。

 萌えカルチャーをたのしむためになにより大切なのは、そのキャラクターに深く感情移入しうる感性であって、間違えても知識ではない。

 岡田さんの「オタク学入門」では、オタクには上下があり、それはかれの知識量や作品に対する探求度によって測ることができる、という思想がはっきりと打ち出されている。


補足

まぁ金を出している側の意見にしたがうのが客商売ですからね。もし制作者の人たちが本気で嫌なら、他の商売したらって感じ。つーか結局アニメオタク相手のビジネスは、アニメに「依存」しているヘビーユーザーに「依存」しているわけですから、いずれこうなるのは自然でしょう。アニメ依存者を食い物にするのやめたら、いいんですよ。できるもんなら。ライトユーザーを獲得する努力をしないでいると、こうなるという良い例かと。

Posted by amanoudume at 2006年07月26日 22:56 個別リンク
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コメント

ん〜、ゲームでも移植の際に同じような現象がおきますよね。
元のままがいいのか、修正された方がいいのか。

アニメの場合、作画の修正というレベルなら全体が破綻する事もないから両方収録してマルチアングルにすりゃ解決なんじゃね?

ゲームの場合、ちょっとしたバランス調整が大きくイメージを崩しかねませんし。

まー、ゲームの場合は伝統的には、「技術的に完全移植が無理」という
ケースが多いような気はしますが。

単純に難易度であれば、2モード入れるのは開発費に見合えば、できない
話ではないでしょう。

kanose氏とファンの激突言う割に、kanose氏の意見しか取り上げていないのは恣意的だとおもうんですけど。
元のコメントを読むと、旧世代と新世代のおたくの対立”ではない”とわかります。

総作監の外れる回はヘタレて当たり前なガンダムブームの頃、作画監督の個性を楽しむ「うる星やつら」「北斗の拳」、「絶対無敵ライジンオー」に於いて「ゆうのキャラデは、竹内氏より菊池晃作監の絵面がデフォルト」という共通認識が、ファンの間で形成されたりするのを見てきた年寄り(℃_゜=)ヨボヨボ。
「ベルカ式」と言う言葉は知りませんでしたが、自分も12話は「なんか独特だな。ちょっと金田チックで好みだけど、若い人にはツライかもなぁ」と、ちょっとだけ気になりました。
最近のアニメでは、ユーフォーテーブル製作「住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー」にて、予算&スケジュール上どうしても枚数を割けない回を乗り切るために、「作画監督の個性」を利用した例がありましたが、現状では少数ですね。
1話完結もので、「このエピソードは、いつもとは趣向を変えた変化球勝負の話である」という合意が作り手と受け手で得られなければ、許されないのか。
アニメがオモチャの30分CMから、映像作品そのものが商品として販売されるようになり、「ブルーシード」の「表現規制された部分を修正」を端緒に、以後「放映スケジュール上、質が低下した」「尺の関係上カット」された部分の修正・追加をウリにする作品が目立ちましたが、それが昂じて「パッケージとして販売する以上、作画を均一化せねばならない」ということに行き着いたと。
「ぱにぽにだっしゅ!」に至っては、全編作り直し同然のエピソードが目白押しでしたね。これは「なのは」1期も務めた、新房監督のサービス精神発露とも取れますが。

「動き」か「顔」か、という議論は時々起こりますね。
アニメのナルトの133話はもの凄いアクションをしてる回なんですが、
そこでもサスケの顔が違う、ヘンという感想が結構あったりしました。
アニメーターの中でも動かし屋と呼ばれるような、アクションの得意な方は
往々にしてキャラの顔が似ないという傾向にあって、このケースのように
叩かれたりします。
萌えを軸に評価される作品などでは特に。

ハルヒなどは、正直センスを感じる絵はほとんど見られないんですが、
枚数増やしてとにかく丁寧なビジュアルを心がけてファンの心を掴んだんだと思いますね。
現在のRPGなどもそうですが、やはり萌えファンに受けるためには
まずはキャラクターの顔、ビジュアルということなんでしょう。

 萌えらーとシューターは、市場を狭めてしまうという意味で、良く似ている気がします。それ自体はいいんですけど、制作者がその人向けだけに注力すると滅びに向かってしまう。
 そんなわけで、世代間の格差ではないように思えます。

P.S.トリガーハートがちらりと浮かびましたが、それはそれで。

>しゅんさん

ブログ間の論争というより、ブログへのコメント欄に反論が群がっている
形だったので、このような紹介の仕方を取りました。kanose氏のエントリー
のコメント欄を見て、しゅんさんがどのような感想をもたれるかはわかり
ませんが、ボクは「対立」という感想を率直に抱きました。それとも「釣り」が
適切でしょうかね?
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20060726/animator


>とんびさん

「萌え」重視派が増えたのは、若い世代の特徴という意図です。

kanose氏のその後のエントリー
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20060727/animator2
http://artifact-jp.com/mt/archives/200607/uniteduser3dcg.html
でも軽く触れられていますが、ゲーム世代以後は、表現の揺らぎに
厳しいユーザーが増えているのでは?という見解が提示されて
いますね。

まあ、「ゲーム」を軸に説明するのが適切かどうかはともかくとして、
昔のアニメファンと性質の異なるアニメファンが増えている、という
認識はボクも抱いています。

リンク先の修正点だけみてると、
ベルカ式?のしょぼい絵が、萌え絵になってますね。

問題は動画の方でしょうけれども、動画見れませんからわかりません。はい。

>表現の揺らぎ
表現の揺らぎってどうしようもないんじゃないんですかね?

むっかーしのセーラームーンの頃によくアニメ見てましたが、
作画監督ごとに絵柄がぜんぜん違うのが当たり前でした。
中村スタジオのしょぼいのから、ステキなのまで。

今もそこんとこ変わってないんじゃないですかね?
消費者がガタガタ騒いでも無駄な気がしますw

この騒動は、「影響力のあるブロガー氏が、通常の作画リテイクを独自の視点でぶった切りかましたことで、萌えアニメのありようやらオタクの世代間論争にまで話が発展した」といったところではないか、と現時点では解釈しております。

とりあえず、旧世代オタが、毎回の絵柄が違うことに魅力を感じていた気分は、「メダロット」を見れば、若い人にも理解していただけるでしょうか(「現状はナッチョラン」なんて言うつもりでなく)。元の絵があっさりしていて解釈の幅が広いので、その辺の抵抗も少ないし。

立体解釈に定評のある湖川作監
コメント欄の、ナルト133話にも参加している松本作監
マクロスの納豆ミサイル板野作監
他、トップアニメーターの梁山泊といった風情で、たっぷり芸を堪能できます。お話も面白いので、とりあえずお勧め。

ただ、14話の今石作画は、放映中も物議を呼びましたが。私は好きです。

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