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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年07月25日

水をやり過ぎると、生えたばかりの芽をダメにしてしまう現象

過剰宣伝がマイナスの効果を生む?

先週末を振り返ると、『LocoRoco』(のプロモーション)が思ったよりも話題になってましたね。
7億で3万本という数字はやっぱりショッキングなんでしょうし、「これはひどい。」みたいなネタも上がってます。金かけて売れないのは、笑い話にされやすいですからね。広告費じゃなくて開発費の例ですが、シェンムーの70億円とか。
(今日現在、ネット上では早くも存在を忘れられて、『お料理ナビ』や『DSブラウザー』に話題が移っているように思えますが)

『LocoRoco』に始まった事ではありませんが、宣伝費のかけ過ぎがかえってマイナスの効果を生み出す、という認識がポツポツ出ていて、ゲーム業界にも健全な感覚をもった人たちが結構いるなあ、という印象を受けました。こういう(短期的には広告費が削られてしまう)事って、広告屋さんはふつう言わないですからね。なかなか理論化もされません。けれども企業側の認識として、しっかり持っておいた方がいいと思います。

水をやり過ぎると、生えたばかりの芽をダメにしてしまう現象について、最初に言及したのは忍さんかな?
背負わせる看板が重過ぎて不憫な「LocoRoco」|忍之閻魔帳

SCEが本作にかける意欲はハンパではなく、発売前後には、SCEの持つCM枠を全て「LocoRoco」に切り替え、春の戦略タイトルであった「カズオ」の2倍以上、「みんなのGOLF」「グランツーリスモ」並みのCMを投下して、PSPオリジナルのキラータイトルに育てたいとのこと。
(略)
正直、キラータイトルに据えるには荷が重いような気がする。「LocoRoco」に大規模なプロモーション展開は似合わない。こっそり発売され、口コミで話題になり、好きな人にだけ愛されるタイプの作品で良かったのではないか。(略)要するに「無理をさせると潰れてしまうぞ」ということである。
まぁSCEの担当がしゃべった一言一句をそのまま書いたわけではないのでしょうが、CMを投下して、キラータイトルを育てるという発想がそもそも前時代的だと思うのは、ボクだけでしょうか。テレビCMで可能なのはせいぜい認知を上げるぐらいですし、今は「知る」→「興味を持つ」の比率が大幅に落ちています。

こちらでも、同じことが言われています。
島国大和のド畜生 「ロコロコのプロモの話」

あと、一部で言われる「ゲームキラープロモ」(過大な期待をかけて逆にゲームの評価を下げる)ってのも実際あるとは思ってる。(評価が下がるだけで売り上げが下がるわけじゃないけど。採算分岐点が上がるので結果苦しい事にはなる。)
結果的に口コミが潰れて、長期的には売上にも影響が出そうな気がしないでもないのですが、この議論は危険か。「宣伝が足りなかったからゲームが売れなかった」ならぬ、「宣伝が多すぎたからゲームが売れなかった」って言い訳につながりますし。

『LocoRoco』は「知る」→「興味をもつ」の比率が極端に少ないソフトでした。
何と言ったらいいのか。マスプロモーションは、燃料がすでにある状態であちこちに火を放つ行為に似ています。燃料が少ない状態で、火をつけてもすぐに燃料を燃やし尽くして、すぐに火は消えちゃいますよね。本来ならジワジワと口コミで評判が広がって、中身の話(話題性の燃料)が増えていくはずだったのに、大量のプロモーションによって少量の燃料を使い果たしちゃったんじゃないかな。

Posted by amanoudume at 2006年07月25日 10:45 個別リンク
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コメント

7億という金額もそうですけど、使い方もおかしいですよね。
それくらいかけるつもりでプロモを組むなら、地味でも辛抱強く長期に渡って打ち続けるとかそういう方向でならこのタイトルとの相性もいいでしょうに。
「巨大な花火を打ち上げてお終い。」というプロモだとその花火が外れた場合のリスクも大き過ぎるわけで。
今後「プロモの失敗例」としてLocoRocoの名と共に語り継がれることでしょう…こんなプロモさえなければ…忍さんの予想通りになっちゃいましたね。

lokorokoはいいゲームです。が、確かにあれは塊魂と同じで「なんじゃこりゃ?」って思った人がやがてクチコミで広げるタイプのゲームです。

 わずかな金額で強烈なインパクトを与えるプロモといえば、つい先日のアイマス360イベントが思い出されますね。コンサートで会場が熱気に包まれている中、360の映像と新曲(しかも作曲家がハルヒの音楽を担当した神前氏)を初披露、という、まさに「金を出す相手だけを狙い撃ちにした」やり方だと思いました。

 ちなみに今、広告会社がひた隠しにしている事実としまして、昨年アメリカで一番売れた新型の日本製自動車、実はアメリカ国内ではTVCMを一切やっていなかったとか・・・

 普通、自動車CMといったらTV局にとってドル箱的な存在です。この辺でも効果と費用対価がつりあわなくなってきた業界なのかもしれません。

>BAN/ さん

んー。できれば、中身の話も語りついであげてください。とはいえ、
SCEにはそろそろ時代が変わった事を認識してほしいですね。

大規模なマスプロモーションというのは、それ以前にコツコツ火種を
仕込んでおいて、あるタイミングで派手に点火するようなもの。
事前のコツコツが大切なんだという事を忘れた議論は、本当に
危険だと思います。

例えば、「ライトユーザー向けにはプロモが重要」のような言説も、
非常に危険で。「長期的な仕込み」が重要ぐらいの言い方がより
妥当でしょう。


>kamoさん

そういえば、
『テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0』
なんて本が話題になってましたね。
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出版社/著者からの内容紹介
米国広告業界を揺るがした話題の書、ついに上陸!
「放送と通信の融合」への答えがここにある!
なぜペプシはテレビCMから撤退したのか?
マス広告の終焉と、来るべき新時代のマーケティング戦略について、10の解決策を提示する。
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まー、ネット側は「テレビは終わった!これからはうちの時代」と言い、
テレビ側は「テレビはまだ健在!ネットの時代ははるか先の事」と
言っている、という構図はあるんでしょうが、やはり年々ネットの
影響力は増しているわけですからね。

ロコ、最初に広告を見たときから、
「これ、ロングテールだろ。。。。」と思いました。商品の特性と広告戦略、まさしくプロモ、が完全にずれていると感じましたねえ。

でもPSPとの同梱パッケージが出ると知って、「ああ、PSPの出荷台数増やさなければいけない『悲しい大人の事情』かあ」と理解しました。

こういうの、広告代理店の営業担当にとってはお馬鹿なクライアントの典型としてウマい話なのですよねえ。なにしろ実力以上のものに必要以上の販促費を浪費してくれるのですから。

ロコの販促費がゲームタイトルの販促予算から出ているのではなくて、PSP本体の販促予算枠から出ているのぢゃないかと想像すれば、7億の数字も納得できたりします。

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