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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年11月22日

ゲーム制作者の無意識をデータ化する

まんがたうんにドラクエ8制作者インタビュー掲載
「ドラクエ8」大特集。ロングインタビューが掲載されています。
他のあらゆる続編モノが評価、面白さ、売上を落とし、「劣化続編」という言葉が当たり前のものになりつつある中、「ドラクエだけは堕ちない」という期待感
がいまや日本中にみなぎっていますよね。このインタビューを読むと、ドラクエの製作陣はスタジオジブリに通じるところがあると思いました。
> 今のゲームはハードが進化して、みんなが技術にとらわれ過ぎてしまい、面白いもの
> を評価する原点を忘れています。「何が面白いんだ?」ということをふまえないとダメ
> ですよ。ドラクエは堀井さんがいて、そこに着目しているから限界はこないと思います。
よくある「技術批判」ではないことに注意。やりたいこと(=面白いこと)があって、それを実現するために技術を惜しみなく使うということであって、技術が
あって、この技術を使うとこういうことができるよ、ではない。
> 現在のゲーム開発は大型化し、チームごとに複数のリーダーがいるのが普通ですが、
> ドラクエは堀井さんがすべてに目を通す昔ながらの作り方で、統一された世界観を
> 作り上げているんです。さらに堀井さんは素人の目線でゲームを作っています。
単純に古臭いやり方を継承しているだけ、というようなネガティブな受け取り方をする人もいるかも。でも、じつはやれることは徹底的にデータ化(マニュアル
化)していて、「感性」みたいなあいまいなものだけで、大人数を動かしているわけではない。
> ドラクエの開発で特徴的なのは、すべての開発工程で堀井が目を通すことだ。
> ゲーム機の性能が上がり、ゲーム開発が分業化していく中でもこれだけは変わ
> らなかった。そこで日野は「堀井さんの脳みそをデータにすること」に取り組んだ。
> 全作品をDVDで録画し、攻撃から敵がダメージを受けるまでの時間、コマンド
> が表示されるタイミングなどを記録。そのテンポの中でキャラクターの動きを映像
> 化した。日野は「テキストで表現されているものは、すべて作った」という。 >
私の役目は、堀井さんが無意識に作っていたことをデータ化することでした。
> 例えば、「じゅもん」を唱えて音がしてからダメージが至るまでの時間を計った
> 上で、そのズレがどこまで許されるのかを追究したりしました。
日本のゲーム制作者には「テンポ」や「リズム」を重視する人がかなり多い。他人のつくったゲームを分析する時でも、アイデアや骨格をあーだこうだ語るより
も、リズムやテンポをほめる発言が目につきます。ゲーム制作者が無意識にやっていたことを分析して解体してマニュアル化する作業は、次の世代につなげる上
ではじつは無視できないことなのかも。
マニュアル化については、欧米のほうが進んでいますが、一方で彼らは映画をマニュアル化した時の手法を元にしすぎているから、当然取りこぼしも多い。中途
半端に学術的な説明を入れすぎていたり(論文は書けても、モノはでてこない)、制作工程の効率化に比重を置きすぎていたり。工程の効率化という点では、彼
らから学べることはいっぱいあるんですよ。でも「ゲーム性」とか「面白さ」を作る部分は、まったく学ぶ価値がない。
ファミコン20年などといって、1つの時代が終わりを告げたかのように去年言われましたが、脈々と生き残っているものはまだまだあるわけで、「ゲーム性」
や「面白さ」という点では、しっかり日本の中を見つめたほうがいい。浮わついた目線を外へずらしているうちに、せっかくの秘伝のタレを腐らせてしまわない
ように。
(関連記事:我々はいまだゲームを知らない

Posted by amanoudume at 2004年11月22日 09:11 個別リンク
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コメント

昔は想像力で補っていたものをダイレクトに表現し、なおかつテンポも守られているというのはファミコン世代が当時夢見ていたことがほぼ忠実に近い形で実現
するということになるのでしょうか。 早くプレイしてみたいです。 でも夢に近づいたこれから先の未来はどう進化していくのでしょうね。 -----
COMMENT:
AUTHOR: ほり
EMAIL: IP: 219.107.191.160
URL: DATE: 11/22/2004 03:27:14 PM
>昔は想像力で
とはいえ、フィクションの世界である以上はどんなにリアルになっても想像力の入り込む余地はあると思いますよ。古美術なんかはリアルな現物を目にし手に
取って想いを偲ばせるものですし。
ドラクエも世界の構築という点ではまだまだ進化の余地があると思うので先が楽しみです。

>>ほりさん
リンク先のサイトの管理人さんから、
削除要請がありましたので、
該当部分を削除させていただきました。