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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年11月08日

「自分」を埋没させる場と「自分」を表出する場

いつの間にか、こういう指摘
受けていたので、少し補足が必要かな?と思いました。2chとBLOGの意味的関係についての考え方は、自分の中ではあまり変化していないつもりですので
(正直、表層的な言葉だけ捉えられても困ります……。まぁ実際、リンク先の記事も、「印象」というあいまいな言葉で表現されてますが)。

「自分」を埋没させる場(2ch)と「自分」を表出する場(BLOG)
2chは大雑把にいって、「自
分」を埋没する言説空間であり、過剰に「自分」を表出する書き手を嫌う傾向があります。長文書き込みもうざがられることがかなり多いし、スレの「空気」も
重要な要素です。2ch流のまったり空間は、「自分」を過剰に表出する者、「空気」を読まない者を排除することで成り立っているといえます。
文章の書き手には、「自分」を表出したいという欲求が大なり小なりあります。2chの擬似匿名性(無名空間性)は、発表の場として、ある種の魅力がありま
す。しかし一方で、過剰な「自分」露出は嫌われるため、2chでは生息しにくい書き手もかなりいるわけです。
で、そういう人たちが2chを出ていって、向かったのがBLOGでしょう。あるいは、人によっては、最初から2chになじめず、2chに乗り遅れたという
コンプレックスを抱えたまま、数年間を過ごし、BLOGに真っ先に飛びついたのでしょう。
(ボクはBLOGに真っ先に飛びついた人ほど、2chへの敵意が激しいのではないか?という推測をしています。2chはBLOGの書き手を分類するリトマス紙になりえるかもしれません。それが2月の記事で指摘したことです)。
この理解は今も昔も変わってはいません。また、そのあまりロジカルとは思えない「敵意」に当時からウンザリしていました。

> 実際、有名なBLOGの人の中には、(直接否定的な記事を書くのは避けるけれども)
> 2chに対してネガティブな言い回しをする人がかなりいるんですよね。「もう2chは古い」
> 「2chから新しい物は生まれない」「2ch=性悪説」「2chのようなところから」「2chで
> 性善説的なツールが使われるとどうなるのか」などなど……。

(真っ先にBLOGに飛びついた層の2chへの意識を鋭く分析した文章としては、世間虚仮 唯萌是真さんの「自意識キモイ」とblogの隆盛が参考になります。)


情報発信者の移住と、影響力の変化

さて、そして時間が経過し、BLOGがさらに普及していきます。すると、2chになじめなかったという理由よりも、流行っているからとか、便利だからとか、そういう理由でBLOGに移行していく書き手が増えていきます。

> この1年ほどの間に、ネット上の言説活動は2chが空洞化しつつあって、積極的に
> 情報を発信する人たちはその外に移住して、BLOG網をきずいている。

現在では、書き手の移行がかなり進んでいるように思います。積極的に情報を発信する人々がBLOGに移っていったため、ネット上の「意見の趨勢」に対するBLOGの影響力が増大し、2chの影響力が相対的に落ちている、とボクは観察しています。
ただし、比較的あたらしい書き手は、2chへの敵意というかルサンチマンのようなものはあまり持っていない
と思います。出力の比重はBLOGに移っていますが、別段、2chに敵意があるわけでもないし、どちらにも関わっている人も少なくないでしょう。
2chは1次情報源と2次情報源の両方の性質を備えています。ここでいう1次情報源とは、直接2chへの投稿のことです。2次情報源とは、ニュースサイト
やBLOGの文章を貼り付けて、それを元にああだこうだいっている文章のことです。1次情報源と2次情報源の比率は実際には、板ごとに異なりますが、たと
えばゲーム系に関しては2次情報源としての文章がかなり多いといえます。BLOG→2chという流れが最近強いから、BLOGが言論を形勢する素となりや
すいのでしょう。逆にいうと、2chの住人が情報源とするようなサイトがBLOGに移行した
いうことです。
BLOGの影響力が増している要因は他にもあります。その道の専門家がBLOGを書くようになったためです。2chにしろ、BLOGにしろ、どちらも匿名
で書いている人が多いのですが、書き手への信頼性はかなり違うようです(メールアドレスの公開など匿名レベルに差はありますし、BLOGには書き手の人格
の一貫性がありますね)。例えば、ゲーム開発者が2chに文章を書いた場合は、「自称開発者」などと呼ばれることは珍しくありませんが、BLOGの場合は
そういう風にいわれることはほとんどないです。まぁ、さすがにわざわざBLOGを立ち上げてまで、詐称する人間はあまりいない、という理解でしょうか。
2chの「匿名多数派」的な影響力と、BLOGのオピニヨンリーダー的な影響力。以前は2chを読んで、BLOGの書き手が「みんな、こう思ってるのか
な……」と思い込むことが多かった。しかし今はBLOGの文章をもとに、2chの住人が「みんな、こう思ってるのかな……」と思い込むことが多いんじゃな
いか。
まぁ、大雑把にいえば、意味的な関係は変わってないけど、情報の流れ方に変化が起きつつあるということです。だから、広報戦略にも変化が必要、と書いたわけです。情報の上流を説得しなければ、下流も説得しきれない、ただそれだけのことです。


補足
初期においては、BLOG界隈と2chの間の情報の流れは、かなり疎だったと思います。その一例は、世間虚仮 唯萌是真さんが上記記事において指摘されて
いる「ファウスト」についての温度差です。
> 何故「ファウスト」について語る人がはてなダイアリーには多いのに2chでは
> 冷め切っているのか。

Posted by amanoudume at 2004年11月08日 09:52 個別リンク