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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年04月16日

モチベーションの危機? その2

続編の論理とモチベーションの維持

「CG World」今月号、じつは今頃読みました。制作の解説は正直それほど面白いとは思わなかったんですけど(注1)、
稲船氏のコメントは興味深かったですね。特に続編におけるスタッフのモチベーションの維持についての部分が。
鬼武者シリーズは2チームの並行開発体制で、「1」の開発中にすでに「2」の開発が始まっていたらしいです。「1」を出してから間をおかずに「2」を出
し、シリーズの定着を図るためだったとか。あの有名な、FFの偶数チームと奇数チームの並行開発が思い浮かびますね。
  1→→→→→→→3
     2→→→→→→→新作
納期厳守のため、「2」はあえて「1」の”ただの続編”に制限し、そのかわり「2」が終わった後はオリジナル新作の開発を約束。「1」のチームには3年の
期間を与え、フルポリゴン化などの新しい挑戦を許す。スケジュールを明確にし、与えるものをハッキリ提示することで、続編開発のモチベーションを維持す
る。
この考え方は、稲船氏がロックマンシリーズの開発でつちかったものだそうです。なるほど。確かに1つのシリーズを延々作っていると、どうしてもモチベー
ションは低下していきますし、新しいアイデアが出なくなってきます。
とはいえ、企業としては続編は必要。経営の論理と開発スタッフのモチベーションのつり合いの取り方は、続編と版権タイトルが急増し、パブリッシャーとディ
ベロッパーの対立感が高まっている欧米のゲーム業界に1つの指標を与えたといえるでしょう。
日本においては、ナムコやカプコンを筆頭に、続編主義の脱却を提唱する会社は着実に増えており、日本が続編の温床であるかのようなプロパガンダ・イメージは、徐々に現実にそぐわない過去のものになりつつあります。とはいえ、経営の現実とモチベーションの両立の一例として、大いに参考になるのは確かでしょう。

開発者の露出とモチベーションの維持

「鬼武者」といえば、開発者の露出に積極的だったことが印象的でした。
特に「CGWorld」においては、白黒ページにおける9ヶ月間の密着取材記事、4月号と5月号の2
カ月連続の特集が組まれており、露出の多い他社(ナムコ、セガ)と比べても格段の露出ぶりでした。一般に、専門誌への情報露出は、(ユーザーに対してでは
なく、人材市場に対して)企業のブランドイメージを高める効果に加え、開発者のモチベーションを高める効果があるといわれています。
現在のゲーム開発は大規模化しすぎており、なかなか作った実感を得にくい面があります。そういう意味では、パートの評価も必要になってきてますね。アニメ
や映画のような集団制作においても、監督や脚本だけが評価されるわけではなく、映画ではVFXなどの特殊効果制作班やカメラマン、アニメでは(声優は特殊
例としても)作監や原画が評価されることがあります。
もちろん、作品トータルの評価というのがもっとも重要視されるべきですが、今後ゲーム開発の分業化が進むなかで、部分の評価というものも自然と求められる
のでしょうね。(注2
(一方で、現在リリースされているゲームを俯瞰した時、トータルの完成度の低下が起きているのも事実。ボクのBLOGもどちらかというと、トータルの完成度を重視する傾向があります。)

雑誌への露出、CEDECやGDCへの講演参加はよく、「開発情報の共有」という大儀を掲げることが多いのですが、ゲーム開発者のモチベーションを高め、成長をうながす
いう側面があることも指摘しておきます。これはとくに開発マネージメントという観点で、無視できない効果があると思います。
昨今では、欧米流の開発マネージメントが流行ってきています。良いところは見習うべきですけど、すでに「パブリッシャーとディベロッパーの対立」など、あ
ちらでは大きな問題が表面化しており、後から追いかける分、単純に方法論をコピペするのではなく、改善された方法論を実施すべきでしょう。
特に、日本は開発者を会社組織内に抱えこむ文化ですから、モチベーションの維持は欧米以上に重要視されなければなりません。これは、製造業をはじめとする多くの他産業で組織改革をおこなった結果、全体的に士気が下がっていることを見ても、おおいに危惧されることです。

売れなければ不幸
この3年間、たびたび書いてきたように、ボクは個人的に稲船氏を高く評価し、尊敬しています。 というのは、売れなければダメということをちゃんといっているから。 > こういう業界ではよくクリエイターが言ってますよね。「こだわりがすべてです」 > みたいなこと。でもこだわっているのはあたりまえなんだから、口にするのは > やめようよ、と。こだわってます。お金も使ってます。そういうところはどうでも > いいんですよ。大事なのは自分たちが一生懸命作った作品をどうやってみんなに > 見てもらうのか。 > 売れなければ不幸です。 これはもうその通りで、売れないと不幸なんです。でもまぁ誰だって、自分が不幸だとは思いたくないから、目をそらすんですね。やれ、ユーザーが保守的だ の、タイミングが悪かっただの、ハードが悪いだの、作りにくいせいだの、世の中が悪いだの、景気が悪いだの、……。もっともらしい理由なんて、いくらでも ね、思いつくんです。それで納得しようとする。これは不幸な心理状態ですよ。 目をそらしたら、次もダメですね。直視しないと一歩も先に進めません。 そこを乗り越えられるかどうか。(注3) これはボクの想像がかなり入ってるんですけどね、「ロックマン」って最初は良かったけど、一時期すごくダメになってたじゃないですか。その横で「スト供 が出て、「バイオ」が出て、華やかなもんでしたよね。で、けっこう肩身が狭かったんじゃないかと、勝手に想像しちゃってるわけです。 挫折とまではいわないけど、かなり苦しい時代があったはずで、そういう時代があったから、モチベーションの話や、売れなきゃダメという話が出てくるんだと 思うんですよ。昨日、今日ゲームの世界に入ってきた人間が「金、金」いってるのとは説得力がまったく違う。 もちろん、勝手な想像です、これ。 一般論としても、苦しい時代を知っているのは強い。今の時代の経験がバネになって、次の時代の飛躍につながる。今の状態は世界産業としてゲームが一段階成 長するためのつらい経験値かせぎのようなものなのでしょう。 そしてそこを乗り切るには、売ること、売れることを重視しないとダメ。売れているから好きに作れるわけで、売れなくなれば結局好きには作れなくなる。当然 です。子供の遊びではないのですから。 注1フルポリゴンの3Dアクションアドベンチャーでどんなツールが必要になるかって、正直、どこが作ってもそう変わらないはずなんです よ。で、やっぱり変わらないなあ、と。もちろん作っている人間が違うわけだから、インターフェイス類やフローに細かな違いはあって、そこはちょっと興味深 く読みましたけど。比較として。 1つ疑問なのは社内での共有状況かな。鬼武者部署(第二開発部)で、ツール制作が各ラインから独立していて、複数ラインで共有されているのは、今時の制作 環境を考えれば当然。けど、他部署(バイオやデビルメイクライの部署)との共有はどうなってたのかな?という点。さすがに記事にはそこまで書いてなかった ので。まぁさすがに共有できてなかったら、ただの質の悪いジョークですけど。 注2詳しくは「その3」で書こうと思ってるんですが、最近一部のメディア、ライターに「あら探し」的な評価や、ファミコン懐古主義的な論 調が見受けられるのが気になるところです。論理的な文章というより、一過性の気分で物を書いているような。眉間にしわを寄せてゲームをレビューしてる顔が 見えるような、ね。手加減は無用(論理的なら)ですが、愛は必要でしょう。 注3商品としても作品としても、もっともいびつな印象を受けるのは、オープニングムービーの部 分。まぁ開発者病、CG屋病の目で見れば、すごいムービーですが……。鬼武者のオープニングムービーといえば、SIGGRAPHに入選したり、CG関係者 の間では話題になってますが、何だかそれが目的になってしまっている印象を受けます。結果として入選するのは素晴らしいことだと思うんですが。 ゲーム本編とほとんど関係がなく、ゲーム本編への導入としてプレイヤーの気持ちを高める役割があるでもなく、単体で完結しているような内容。これは、 SIGGRAPH入選予定ムービー(鬼武者3付き)か、鬼武者3(SIGGRAPH入選予定ムービー付き)なんでしょうか? ゲーム本編のプリレンダムービーを作った余力で、遊びでやったというならともかく、本編のプリレンダムービーのほうがレンダリング品質や映像の作りが悪 かったり。鬼武者シリーズって、元々そういう傾向はあったけど、輪をかけてひどくなってる。 # まさか、「CG村」で話題になることがゲーマーに対してアピールになる、と本気で # 思いこんでたりはしないと思うけど。もしそう思ってたら、ただの職業病だよ……。 映像重視にしたって、例えばスクウェアとか、ちゃんと本編に貢献する形で、というかゲーム体験そのものに貢献する形でプリレンダムービーを使っているわけ で。SIGGRAPH入選はしないけどな。でもどっちが娯楽として王道を行っているかは明らかだろ。 映像重視? ただのSIGGRAPH重視だろ。 内容も、くさった日本の特撮映画みたいだったし。なんつーか、「雨宮慶太にハリウッド級の予算を与えたら、ゴイスーな映画ができて、ハリウッド級の映画が 日本でもつくれちゃうぜ。らっぴー」みたいな痛い勘違い系だよな。メジャーな予算でマイナー作品つくってるような……。まぁ鬼武者3は全編そんな感じのセ ンスなんだけども。普通の人が見て、ほしいと思うような映像なのか、という。 Posted by amanoudume at 2004年04月16日 00:25 個別リンク