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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年03月21日

チェックゲームズその2

この記事はチェック・ゲームズその1
続きです。
街に出ると、いよいよ本編の始まり。
街を行き交う人間の数は多いし、建物も単調ではないし、見晴らしもいい。明らかにグラフィックは「GTA3」をぶち抜いてますね。さすがはNaughty
Dog。より完成度の上がったダイナミックLODは、LODの存在をほとんど感じさせません。この分野での先頭を突っ走っていますね。デザインの方向性に
ついては好みが分かれそうですが、この技術力をベースにゲームを作りたいと感じる開発者は少なくないでしょうね。

「ストーリーとアクション」の融合という夢
「ストーリーとアクションの融合」という夢を見るのも、う
なずけるところ。実際、「ジャック2」の世界観は「FF7」のミッドガルドの影響を受けている気がします。
デモシーンの数は前作とは比較にならず、キャラクターの表情も大変豊か。キャラクターもきちんと立ってますし、毒もあります。ただ、(狙っている年齢層が
比較的高いことを考えると)ストーリー自体の面白さや盛り上げ方という点で、まだまだという印象です。
まぁ「FF」も相当長いこともがいてましたし。「10」でようやく落ち着いたかな、と感じました。しかし「7」や「8」でさえ、一応テーマはあったわけで
す(当時は「自分探し」が多かったですね)。「ジャック2」はテーマがなかなか見えてこないのがつらいところです。後半は盛り上がるという噂をネット上で
目にしました。しかし、そういう構成でいいのかなあ……。
個人的な知識のおよぶ範囲で、アクションゲーム側の人間が「ストーリーとアクションの融合」を夢見て、成功した例はほとんど知りません。だからこそ挑戦す
る価値があるといえばあるんでしょうけど。「シェンムー」は壮大な風呂敷をたためなかったし、世界観も微妙でした。
また、「夢」までいかずとも、アクションゲームが全般的にストーリー性が強くなる傾向がたしかにあります。しかし評判を見ると、あまりうまくいっていない
ようですが。たとえば「マリオサンシャイン」は「マリオがなんで裁判なんだよ」という批判が海外であがってましたね。世界観レベルで、違和感を感じさせる
ものはうまくいかないんでしょうね。
「GTA」は1つの模範
システム的に「GTA」を取り入れるのはいいことですね。
あの規模の開発スタジオで街1つをゲーム内に実現できたという、割り切った設計は、学ぶところの多い「風呂敷のたたみ方」だと思います。昔は日本のほうが
「たたみ方」うまかったんですけどね。
「ジャック2」も、街の人と話せないシステムは成功していますね。こんなもん、いちいち会話する仕組みだったら、膨大なメッセージデータは必要になるし、
会話の時には専用のカメラがほしくなったり、そうしたらフェイシャルアニメをさせたくなったり、しゃべらせたくなったり、とめどがなくなっちゃいますか
ら。「シェンムー」はそっちに行って大失敗しました。
大体、別にそんなこと、ちっとも楽しくないし。ドラクエぐらいじゃないですか、今でもそれを楽しめるゲームって。勘違いするなよ、「お前は堀井雄二大先生
さまなのか」と。会話させているような作りのゲームは、ゲームのフィールドがある規模をこえたら、完成しなくなってますね。
乗り物は気持ちいいですね。SF的な世界のため、空飛ぶ自動車が交通手段になっていて、地上の道路(通行人が歩いている)と空中(車が走っている)の2層
構造になっています。空中はスピード感があがるし、爽快感があります。
街では、画面に「GTA3」そっくりのレーダーが出ます。このレーダーはもはや、3Dシティアドベンチャーには欠かせない要素かも。かなり便利。
「GTA」のシステムはあるが、「GTA」の楽しさはない
システム面では、「GTA」を参考にして、
うまく風呂敷をたたんでいます。さすがはNaughty
Dogという仕上がり。ただ、残念ながら「GTA」の楽しさを取り込めているとはいいがたい。街の中の移動がそれほど楽しくない。理由は3つ。
一番大きいのはBGM。「リッジレーサー」のようなレースゲーム、「GTA3」のような(本質的には)ドライブライフゲームはいずれも、BGMが移動を楽
しいものに変えてくれました。しかしこのゲームはBGMがショボい(よくおぼえてないが、前作もショボかった気がします)。サウンドがグラフィックに釣り
合ってないのはNaughty
Dogの伝統なのか? クラッシュバンディクーもそうだったか?(CMの音楽はかなり頭に残っていますが、ゲーム本編はおぼえてません)
日本の名作ゲームのほとんど、さらにいえばJason
Rubin氏がリスペクトしているいくつかのゲームはすべて、サウンドが非常に重要な役割をはたしています。ゲームの謎解きなど、直接的なギミックに使っ
たゲームは少ないかもしれませんが、ゲームの楽しさを演出する上で、サウンドはとても重要な役割をはたしてきました。Jason
Rubin氏は(日本のゲームに対して)勉強家だという認識でいたので、非常に残念。辛辣なことをいえば、”よく見ているが、なにも聞いていなかった”の
でしょう。
もうひとつは交通の密度と街路の複雑さです。なんでこんなにぶつかるんだろう?というぐらい、車とぶつかります。もちろんこれは、街のどのエリアかで変
わってきますが、一番最初に車に乗れる場所があの密度というのは、ちょっとつらい。まさかとは思うけど、「いっぱい出さないと技術的に恥ずかしい」とかい
う理由ではないですよね。まぁそんな意図ではなくて、素直に密度感を出したかっただけなのでしょうけど。その割に車が壊れやすいのが楽しさをそいでいま
す。
また、「GTA3」のアメリカ的な整理された街並みと違い、迷路っぽい街並みのため、なかなか街並みが頭に入りません。街中を軽快にかっ飛ばすドライビン
グというより、うまく車や地形をよけて走るレースゲームになっています。
最後に気になったこと。クリムゾンガードがすぐに駆けつける上、あちこちから銃で撃たれるため、しょっちゅう追い回されているような気分になります。犯罪
者に甘い都市ではなく、やたらと厳しい都市になっていて、自由にやろうという気になりません。時には、空中のクリムゾンガードと地上のクリムゾンガードから撃たれることもあって、理不尽な思いは強いです。俺、そんなにここにいてはいけないんですか? 

最初は銃をもたず、少し遊んでいると手に入ります。パワーアップもしますし、まぁ街中で暴れまくるのは強くなるまでのおあずけ、ってことなんでしょうが、その頃にはプレイヤーは淡々とゲームを進行させていくことになれきっています。

挑戦と完成度の狭間で
目的の付与と自由の提供って、むずかしいテーマですよね。「GTA」にしても、一歩まちがっていたら、ただのおつかいゲームになっていたわけで。ゲームに おいて、寄り道させるように作る、大らかに作るって、かなり厄介。ある意味、矛盾していますから。 従来のゲームは、できるだけ早く目的を達成させて、達成できたらごほうびをあげたり、「いい子、いい子」とほめてあげていたわけで、それはもはや完成の域 に達しつつあります。「ジャック1」もそういう意味では、非常に完成度が高いゲームでした。ただ、そういうゲーム作りでは、煮詰まってきているのも確か。 ユーザーから支持を得られなくなってきています。日本だけじゃない、欧米でもそう。 「無双」も、「GTA」も、そうした中で新しい流れとしてあらわれたゲーム。いまだ大半のゲームは、クラシカルな作り方から脱却していません。そうした状 況下で、あたらしい要素をどん欲に取り込もうとする挑戦的姿勢はすばらしい。凡俗の開発チームの凡俗なゲームとは比較になりません。けれども超一流という 水準で見た時、「ジャック1」に比べて完成度がかなり落ちているのは残念なことです。 とはいえ、その辺は当然「ジャック3」で修正されるのでしょうし、3Dアクションゲームの新次元を切り拓いてくれると期待しています。 Posted by amanoudume at 2004年03月21日 10:46 個別リンク