最近の記事
カテゴリー
過去ログ
検索


このサイトについて
このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年03月14日

ユーザーの”無料感覚”とオンラインゲームビジネスのズレ

「抱き合わせ」的言説のあふれるオンラインゲーム(3/14、加筆しました)

オンラインゲームについて語られる言説は、非常に「抱き合わせ」感の強いロジックが多く、大抵がうさん臭いわけですが、そのサービスは大雑把には3つに分けられます。

  A)オフラインのマルチプレイヤーゲームのオンラインへの拡張(数人〜十数人規模の対戦・協力・交換)
  B)データの更新(デバッグ以外のパッチ)
  C)コミュニティ機能(MMORPG)

この3つを「抱き合わせ」的に語る人は大抵、信用ならないわけですw

A)オフラインのマルチプレイヤーゲームのオンラインへの拡張
オンラインゲームのうちMMORPGを除く、いわゆるマルチプレイヤーゲームの延長線上にあるもの。現在スポーツゲームのネットワーク対戦や、FPSで実 現されている種類のサービス。これは、そう遠くないうちに普及するかなという感じです。子供の頃と違って、大人になるとなかなか集まれないから、「ネット ワーク越しのマルチプレイヤーゲーム」そのものには需要も価値もあるでしょう。 広がったユーザーの年齢層に対して、それぞれの生活スタイルに合った提案をしていくという姿勢はすばらしいことです。ただ、問題は所詮そんなもの、大多数 のユーザーにとっては特別なお金を払うだけのサービスで はない、ということです。それは忘れてはならないでしょうね。 通信系サービス(回線およびプロバイダ)が定額化、低価格化したこともあり、ほとんどのユーザーにとって、たかだか「ネットワーク越しのマルチプレイ ヤー」なんてものは無料でそれぐらいできるだろ、という感覚のものにすぎません。わざわざクソ高いHDDを1万数千円出して買ったり、マッチングサービス に月々数百円出すほどの価値なんてない。オフラインゲームのマルチプレイヤーが、オンラインに拡張される程度のことは、「当然の進化」で あって、余計なお金を払うような特別なサービスではないんですよ。 ユーザーのニーズとゲーム会社側の思惑のズレはそこにありますね。 ゲーム会社側はその「たかだかのオンライン・マルチプレイ」でお金を取りたいと思っているんですけど、そんなもん、子供の頃からゲームで育ってきた人間に とってみれば、当然の進化なわけですよ。そこで課金されたって「税金」取られているような気分にしかなりません。 実際、これは、国内におけるPS2のオンラインゲームの爆死っぷりによく現れています。特に「みんなのGolfオンライン」が顕著ですね。あれがやるべき は、PSBB Unitの抱き合わせサービスではなくて、単純なオンライン対戦だったはず。まぁそんなこと百も承知で、政治的にああいう仕様になった可能性は大ですが。 結局、FPSでオンライン対戦=無料が常識なのと同様、オンライン・マルチプレイ自体は無料が常識ということにならざるを得ないでしょうね。そのため、次の時代に求められるのは、ユーザーが勝手にサーバーを立てられるような仕組みをふくめて、限りなく低コストで「オフラインマルチプレイ→オンラインマルチプレイ」を実現することです。 ビジネスにせよ、技術にせよ、徐々に(遅々と)ではあれ、そちらに向かっていると思います。
B)データの更新

コンテンツ制作者がこれでお金を取りたいというのは当然の要求ですし、比較的ユーザーにも理解されやすいサービスだと思います。
もっとこちらに特化したオンラインゲームがあってもいいと思いますね。
サービスをややこしく肥大化させたゲームが多すぎますよ。

C)コミュニティ機能(MMORPG)
正確にいえば、MMORPGはA)〜C)のすべての機能をゲームプログラムと結合したサービスなんですよね。純粋な意味でのコミュニティ機能は、現状では やはり無料ですね。 これもまた、A)でのべた”ユーザーの価格感覚”と”ゲーム会社側の思惑”がズレている可能性はかなり高い。例えば、特定のゲームのファンサイト、メー カーの公式BBSは無料です。 また「Sims」や「どうぶつの森」のようなコミュニティ系ゲームでは、無料でコミュニティの場が提供されていますね。「Sims」のアルバム掲示板、 「どうぶつの森」の写真掲示板などの成功例は記憶に新しいところです。 現在のMMORPG系のビジネス的な問題の1つは、こうした”ユーザー的には無料感覚”のサービスをごちゃ混ぜにすることで、お金を取ろうとしていること にあります。きちんと分解してみれば、その大半が無料で提供すべきサービスであり、そうならない限り、大きなビジネスにはなりにくい、「永遠の可能性ビジネス」に陥る懸念があるわけです。

というより、実際日本を含めて、大多数の市場では、すでにβユーザー問題といった形で、この懸念が顕在化していますね。
これはTVゲーム機かPCゲームかという問題では、ありません。実際、欧米のPCゲーム界が縮小し、MMORPGが爆死しまくっているわけですよ。家庭用ゲーム機と家庭におけるPCゲームの文化が根づいた地域では、上記のような”金銭感覚”の問題が付きまといます。

ユーザーの”金銭感覚”にマッチするアーケード型ビジネス
さて、マルチプレイヤーゲームは無料で遊べないと……と書きましたが、例えばアーケードにおいては、「対戦」の場を提供することで、かなりお金を取れてい た時期があります(ゲームのプレイ料金に包含される形でしたが)。 中国でのオンラインゲームビジネスが好調なことを見ても、アーケード型ビジネス、ネットカフェのようなビジネスでは、ユーザーの金銭感覚と提供されるサー ビスがつり合いやすいですね。 だから中国でPCのオンラインゲームが成功したからといって、そのまま日本や欧米でもPCのオンラインゲームが同じような成功をおさめるとは限らない、と いうことです。それはあまりに貧弱なロジック。究極の牽強付会。”家庭用PCゲーム”と”アーケード的運営のPCゲーム”を一緒にするな、と。 また、現時点でさえ懸念の声が上がっているように、中国のオンラインゲーマーは年齢層がかなり限定されており、日本のアーケードがたどった紆余曲折を今後 たどる羽目になる公算は高いでしょう。対戦格闘ブームの時点でアーケードの未来を語っちゃうのが愚かなように、ここ2、3年の動向だけで中国のオンライン ゲーム市場の未来を語ってしまうのもまた馬鹿馬鹿しい(数年後には「失笑の極み」になっているかもしれない)。
サービスにおいては”金銭感覚”が重要
家庭用ゲーム機――TVゲーム機であれ、PCであれ、大雑把に は「家庭用ゲーム機」といって差し支えないわけですが、国家的な支援なくして、そこで普通に会費制のオンラインゲームビジネスを成立させた事例はほとんど ありません。わずかな成功例と無数の爆死タイトル。成功例にしても、それほど大きな旨みは上がっていません。 オンラインを絡めて成功したソフトは基本的に”会費無料”であり、ユーザーの金銭感覚にぴったりマッチしたものぐらいです。 参考: 切込隊長BLOG「オンラインゲーム市場概観」

補足:個人的には、A)のオンライン拡張されただけのマルチプレイヤーゲームは、ユーザーを維持するための「当然の進化」にすぎず、そこで
通常以上の特別な料金を取ろうという考え方はセコすぎると思います。供給者側の「取りたい」気持ちはわかるんですが。ゲームは2D→3D、あるいはより映
像表現を極めていく「当然の進化」で法外な特別料金を取れていませんし、それはオフライン→オンラインであっても同様でしょう。例えば、「みんなの
GOLFオンライン」などは、無理やりPSBBUnitを使うようにしたセコいサービスに見えます。
家庭において、オンライン・マルチプレイヤーゲームはいずれ当たり前のものになるでしょう。しかしそれは、「有料」オンライン・マルチプレイヤーゲームが
当たり前になるという意味ではありません。
MMORPGは、単純な「オフライン→オンライン」拡張とは異なるサービスですが、かといって1000円以上もの価格を月額課金しても、それほど巨大な市
場が築けるわけでもない、赤字にならないのがニュースになるぐらいショボいビジネスです。
TVゲーム機および家庭用PCの世界では、MMORPGビジネスは月額課金よりも、年会費ぐらいのシステムでないと、回りにくい気はしますね。ユーザーが
会費を払っていることを忘れられる期間、という意味でも。
月額課金できちんと回っているサービスは、基本的に電気料金などの生活に必要な料金と、フィットネスクラブや英会話スクールなどの実用性が高く、スポット
型のサービスぐらいです。それが大半のユーザーにとっての”当たり前の金銭感覚”じゃないかと思います。極端なことをいえば、単純に娯楽価値があるかない
か、だけでは、月額課金は成功しないとさえいえます。

Posted by amanoudume at 2004年03月14日 00:26 個別リンク
TrackBack URL for this entry:
http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/6

Listed below are links to weblogs that reference 'ユーザーの”無料感覚”とオンラインゲームビジネスのズレ' from 発熱地帯.

コメント

MMORPGにおけるコミュニケーションは抱き合わせの「足し算」ではなくて「掛け算」だと思います。コミュニケーションがあるだけでゲームの面白さは飛
躍的にアップしています。
ゲームの中のこと一つ一つが理解しあえる話題性。
ゲームの中の価値は数多くのプレイヤー同士でお互い理解しあえる価値。
これが無くしてMMOにお金を支払う価値などありません。
逆にいえばコミュニケーションが加わることこそお金を払う価値に繋がっているということでしょう。
実際、ゲームに現実価値を見出すRMTは常に活発に行われています。
ゲームの中のものにまで料金以上の価値を感じる。
金銭感覚で言えばMMOはユーザーによって異常な価値を見出されているというほうが正しいのではないでしょうか。
ビジネスとして失敗するのはユーザーの金銭感覚以前に、企業の技術的な問題や意識のほうがはるかに問題であるように思われます。
MMOは時間的に2本以上遊ぶというのはとても難しい。
にもかかわらず既に独占されているきわめて低いシェアに対して大したノウハウもなしに果敢に挑み自爆している企業があまりに多い。
現在のいくつかのゲームの独占からシェアを得る為にはそれらを越えなければならないわけで、僅差ではなく、より大きな較差をつけられるだけの技術やノウハ
ウ、アイデアを必要とするはずです。
いまさらOSを開発するのは自殺行為であると誰でもわかるのに、事情の全く異なる韓国のやり方に惑わされて劣化コピーしか作れないのに「自分こそは」とい
う意識からか、結局数撃って外れている日本企業。
こんなものは本当に「ビジネス」なんてよべるようなものでしょうか?
ベータ問題は優良なゲームほど期間が短くなりつつあり、「試用期間」としての役割を形成しつつあります。
結局ビジネスとしてどう転んだにしても、多くのユーザーの立場から見れば、MMOの是非は「是」でしょう。ニーズは尽きないし、わずかな企業がソレに対し
ての供給で幾分かの利益を得るていくのでしょう。

はじめまして。
個人的には、あまりMMOにハマっている人間や、MMO好きの意見を参考にはしないようにしています。そういう人でも多少の時間をおけば冷静な意見に変わ
ることは多いものです。
さて、ご存じかもしれませんが、
切込隊長BLOG 〜俺様キングダム「テレビゲーム離れで進む価格帯シフト」
http://kiri.jblog.org/archives/000500.html
たりがなかなか面白い文章だと思います。
>ゲームの中のものにまで料金以上の価値を感じる。
>結局ビジネスとしてどう転んだにしても、多くのユーザーの立場から見れば、MMOの是非は「是」でしょう。
本当に価値を感じている人がビジネス的な見地からして多ければいいんですけどねえ。あなたが感じていること、あなたの知人・友人が感じていること、世の中
の多くの人たちが感じていること、それらはすべて別の事象です。
ビジネス的な見地の乏しい”MMO好きの感想”をいくら投稿されても、そんな有象無象の意見はネット上には腐るほどありますね。まあ、ビジネス的な見地の
欠如した”素人感覚””ユーザー感覚””感想意見”をグダグダ書かれるなら、他にもっと適当なBBSなり何なりがあるんじゃないでしょうか。

脊髄反射で書き込んでしまいました。
申し訳ありません。
最近迷い込んだので知らなかったのですが
結構有名でマジメなサイトさんなんですね。
これは私の「主観的」な「感想」でしかありません。
ちなみにもうMMOは飽きてしまって1年ほどやってません。
明らかに書く場所を間違えたようです。
見苦しければ削除してください。
いえ・・・むしろケシテ。
ちなみに記事が長くなりすぎるとビデオカードの最高の解像度でも投稿用のウィンドウが入りきらなくて投稿ボタンが画面外に出てしまうので押すのが大変です
(笑

切り込み隊長さんのページ、おそらくリンクしたいページと異なってらっしゃったのではないかと思います。
別のページで関連記事を見つけ、それで初めて上記の文の意味を理解しました。
確かにものすごく素人くさい文章ですね・・・。
でも私の考えは変わりません。
ひとつの問題定義。
とあるFF狂のお話です。
彼は結構な稼ぎ手で、一食に1500円以上使うブルジョワです。
ですが彼はその一食を抜かしてでもFFをプレイしたがります。
そんな彼でも、FFの料金は高い、と感じているそうです。
例外だといわれてしまえばそれまでですが、かなりの矛盾を孕んだ例ではあります。
MMOユーザの料金に対する問題は、他のサイトではサービスにそれだけの実際価値が無い、と結論付けようとしています。
上記の例だと、金銭的にも問題なし、他に1500円以上の価値が見出せる何かがあってもおそらく彼は振り返らない。極端ですが。
1500円以上の価値をゲーム中に確実に見出しています。それはヘビーユーザーだから、ということではありますが、なのにお金を払うことに対して抵抗があ
る。ヘビーであるがゆえに、サーバーが落ちた日などはしきりに保障しろ!金返せ!などとわめいていましたが、日割りで50円かえってこられても困りますよ
ね・・・。
そしてこれは私がMMOをプレイしていたときに感じていたことでもあります。MMO推奨派なので料金はむしろ安い、とさえ言っていましたが、内心、料金の
支払いに対して確実な抵抗がありました。
ですから私はMMOユーザーはゲームに対して料金以上の価値を感じているが、料金の支払いに対して精神的に極めて強い抵抗がある、と考えます。
わずかな例と自身の経験則でしか在りませんけど。
逆に、どんなにアンケートをとっても、実際には料金が高い、としか返ってきませんし、実際にプレイしたうえで円満的に辞めることが出来た人にしか感じられ
ないのではないかと思います。不満をわめいて辞めた人やある日もしかしてクソゲー?と気づいて辞めてしまった人には否定的意見しか見出せません。その人た
ちでさえ、最初は楽しんでいたはずですが。
MMOユーザはいやいやながらお金を払っている。高い、だったらどれくらいがいいか、といえばアンケートでは1500円くらい、だそうです。1500円で
高い、でも1500円くらいでいい。ユーザ層はそれほど支払能力に事欠くような層ではないはずです。これは高いか安いかではなく、払うことそのものに対し
て抵抗があるのではないかと思われます。
だから無料ベータ?だとしても、無料ベータしか遊ばない、という人が多いという中、シールやリネージュ2は現在の無料ユーザ数十万人のうちかなりの量を有
料ユーザとして引き込むと見られています。課金されたなら結局払うのはイヤだけど仕方が無い、背に腹は変えられない?とイヤイヤながら料金を払い始める、
ということが発生することになります。本当に料金分の価値を感じていないのなら、また別のゲームにいけばいいにもかかわらずです。実際課金されてみたら誰
も残らなかった、とかなったら笑いますが。
他の多くの無料ベータMMOはそれらに至るまでの「踏み台」にされ、落ち着くところで結局落ち着いてしまう。結局ユーザのニーズをとらえ、クオリティの高
いものに落ち着き、それが作れなかった多くの企業が利益を出せなかった多くの企業であり、めぐりめぐってほとんどのユーザを数本のゲームだけで内包出来て
しまう程度の市場しか現在のMMOには無い、ということでもあります。だから素人くさいけど上の文章。
そして根本的な問題はどうして料金の支払いに異常なまでに抵抗を感じるのか、ということですが、感じている自分にすら完全にはわかりません。
買いきり型のゲームに慣れすぎてしまい、継続的な支払いに抵抗を感じている、という記事をどこかで見た記憶があります。ゲームをモノとしてではなく、サー
ビスとして買う。日本人は形の無いものの価値を軽視しすぎるとも言います。
支払わなければデータが消える、これもひとつの原因ではないかと思います。買いきり型のゲームに慣れてしまった人は、好きなときに辞められる、という恩恵
を常に受け取っていることになります。ゲームのひとつの側面として、やりこんでセーブデータを残す、というものがありますが、MMOだと払わないと消えて
しまう、というのは意識せずに自由に受け取っていた恩恵をいきなり否定されていることになります。
そして何よりもクレジットカードやウェブマネーといった面倒で大仰な支払い方法そのものにも抵抗があるのはよく言われることです。ゲーム料金をガス代や電
気代と同じように捉えることには確かに多少抵抗はあります。
ですが、それらのどれでもない、もしかしたら全てが混ざったのか、支払いを税金のように義務として命じられているような、そんな抵抗感が残ります。
結局それは何なのかよくわからないのですけど、料金に対する不満はニーズの無さの現れであり、市場としては未来が無い、という他のサイトでもよくある結論
を私は否定します。
市場に未来が無いのが事実だとしても。
ほぼ全て主観ですし、わずかな人の中だけで感じている”ユーザー感覚”かもしれないですし、どこまでを素人というのかわかりませんから”素人感覚”かも知
れません。
ですが迷惑だとわかっていても「きっとそうじゃない」と感じたら書かずにはいられない脊髄反射的性格なんです。
一人長文、一人相撲。
とてもはずかしながら「いいわけ」です。
もっと適切な場所に書けばいいはずですが、「いいわけ」なのでここに書かなければなりませんでした。
次からは十分気をつけます。
邪魔なら消してくださいね。

うっかり、別のページへのリンクを張ってしまっていたようです。つい確認を怠ってしまいました。こちらですね。
---------------------------------------------------
切込隊長BLOG「オンラインゲーム市場概観」
http://kiri.jblog.org/archives/000461.html#more---------------------------------------------------
(ボクのほうの記事も多少の追加説明が必要なようです)
Gさんの熱い思いは、よくわかりました。ただ、Gさんご自身が「矛盾を孕んだ例」「自分でもよくわからない」とおっしゃっているように、説得力のある言葉
で説明できていないとは思いました。
それが「MMOユーザーはゲームに対して料金以上の価値を感じているが、料金の支払いに対して精神的に極めて強い抵抗がある、と考えます。」という一文に
よく現れているように思いました。これをうまく自己分析し、明快な言葉で説明できるなら、Gさんのおっしゃることは非常に説得力をもつのかもしれません
ね。
ただ、MMORPGに価値がある/ないは見解が分かれるにしても、「月額課金」がビジネスとして大きくなりにくく、不満を解消しにくいという点では、ボク
もGさんも共通の認識をもっていると思いました。
上の記事ではやや書き足りませんでしたが、ボクが「無料」にすべきと積極的に感じているのは、数人〜十数人程度の「オンライン拡張されただけのマルチプレ
イヤーゲーム」ですね。例えば「みんなのGOLFオンライン」「バイオハザードアウトブレイク」といったソフトです。
オフラインでもできていたことを、オンライン拡張しただけでは、無料で遊べて当然だと感じています。あえて乱暴な例を示しますが、2D→3Dの進化をした
時に、だれも「3D化料金」なんて特別な値段の上乗せはやってないし、やれていなかったわけですが、「オフライン→オンライン」になると、途端に供給側の
認識が変わってしまうんですよね。
ただの「オンライン拡張」なんてものは、ビジネス的な可能性ではなく、ゲーム業界が安定してユーザーを維持するための「当然の進化」にすぎません。そこで
金を取ろうとしているゲーム会社がセコすぎるのですよ。(取りたい気持ちはわからなくもないんですが)

MMORPGは、オフラインゲームの単純な「オンライン拡張」とは異なるサービスですから、これを「無料」でやれ、とまではさすがにいいません。
ただし、ボクは十分適切な価格設定がされていないと感じています。それは上記の記事で書いたとおりです。
MMORPGの経営破綻は、欧米でも起きている現象ですから、必ずしも日本市場だけの現象とは言い難いですね。このビジネス的な諸現象をいまだ説得力を
もって語れた人はいないでしょう。
オンラインゲーム「ビジネス」推進派も、無数の失敗事例には目を瞑って、次々とわずかな成功事例を取り上げて見せて、「ほらほら、こんなに成功している人
たちもいるでしょ! ね、ね?」といっているケースが大半です。欧米の次は韓国、韓国の次は中国。さて次は?
 「成長の可能性」を語るのは非常に簡単なことなので、その人の話が信用に値するかどうかを見分けるポイントは、”自分が主張していた可能性が実らなかっ
た場合に、きちんとそれを分析して説明できる分析力と真摯な姿勢をもっている”かどうかです。
残念ながら、そういう人は非常に少ないですね。
(ちなみにβと有料会員の人数比だけでいえば、日本は優良な市場です。むしろ成功しているといわれる韓国のMMORPGなどのほうが、人数比は非常に悪い
です)
TVゲーム機および家庭用PCの世界では、MMORPGビジネスは月額課金よりも、年会費ぐらいのシステムでないと、回りにくい気はしますね。ユーザーが
会費を払っていることを忘れられる期間、という意味でも。
エロゲーメーカーが「会費制のファンクラブ」で年会費2000円程度とってたりしますが、そんな程度のうまさでしかないと思います。
月額課金できちんと回っているサービスは、基本的に電気料金などの生活に必要な料金と、フィットネスクラブや英会話スクールなどの実用性が高く、スポット
型のサービスぐらいです。それが大半のユーザーにとっての”当たり前の金銭感覚”じゃないかと思います。
極端なことをいえば、単純に娯楽価値があるかないか、だけでは、月額課金は成功しないとさえいえます。

はぁぁぁ。
小心者なのでものすごくホッとしてます(笑
文章で書くのがヘタなのですが、今まで「自分から理解をしようとはしない人たち」を相手に言葉で伝えることしかしてなかったので、「オマエはその程度だ
よ」って言われたみたいで、自分を強烈に否定されたようでかなりへこんでました(笑
そして重要なことを書き忘れていました。
まず、適度な料金が1500円のソースですが、これは既に存在していないのですが、とあるMMOの人気情報サイト(一日数万ヒット!)でのトップページで
行われた管理者からのアンケートで、インフォプランントの300人の回答に対して、有効回答がその数十倍に上る、「ナマのユーザの声」であり、はるかに高
い信頼があるものだと考えています。
そしてもうひとつ、ユーザが「高い」というにいたる理由として、MMOの品質がコンシューマと比べて非常に低いということが言われています。買いきり型に
なれたユーザにとっては、スターオーシャンに対する強烈な批判からもバグなど許容されないもので、逆にバグが必ずついて回るMMOなど信じられない存在の
はずです。よくMMOは「デバッグしてやってる」などというせりふがありますが、MMOユーザはバグを容認してはいません。常に不満に思っているのはとて
も明白です。それでも続けるあたりがニーズがあると感じられるところであり、同時欲求と不満がせめぎあい、かなりの苛立ちをユーザに与え、その苛立ちは開
発会社と料金へと向かう、というものです。MMOの開発企業はもう目も当てられないくらいの批判を既に浴びていますし、自分が顧客であり、正当なサービス
を受け取る権利を持っていると主張する為には料金に目がいくのも当然であり、「金かえせ!」などという発言はとても日本人的で極端な発想の表れだといえま
す。
この2つを抜いてしまうと極端に説得力がなくなってしまいますね・・・。
オンラインゲームの料金支払いですが、確かにネックであると思います。私の知る限りではパッケージ販売としては3000円程度のMMOがそこそこ存在して
いるという事実、一括払いならカード会社に対するマージンが減り、一ヶ月1500円のものが半年間で7000円程度の料金になるということから、9800
円半年パッケージで半年後にそれまでのパッチを含めたパッケージを最リリースする、等の方法で支払いを簡略化できないか、などと考えているんですけど
ね・・・。
提案できねば意味も無い、で、どこに?

インフォプラントのアンケートが話題になった最大の要因は、現在MMORPGビジネスがうまくいっているように見えないという現実を「説明」できているよ
うに思えたからでしょうね。
アンケートの結果すなわち現実ではなく、現実の補足説明としてアンケートが機能したのだと思います。
(生のユーザーの声という意味では、Gさんのおっしゃる通りだと思います。ただ、人気サイトの読者の積極的な投票と、インフォプラントのアンケートの信頼
性を評価するのは案外難しい部分はあると思います。回答者の層が異なっているでしょうし)
>MMOユーザはバグを容認してはいません
これは興味深いですね。
供給者側は、しばしば「不満があるなら遊ばないはず。金を払わないはず」と思いこみがちですから。
実際、「ラグナロクオンラインを始めとするMMORPGが画期的だったのは、ゲームの”開発中に”ユーザーからお金を取れるシステムを発明した点だ」とい
う極論さえ聞いたことがありますw
料金だけでなく、ここにも”ユーザー感覚と”供給者の意識のズレがありそうですね。
MMORPGというジャンルにとって不幸なのは、そのジャンルの新規性ゆえに、当初あまりにも市場規模予測が巨大すぎたことでしょうね。実際はそこまでの
規模ではなかったわけですが、過剰な資金をつぎ込んだ会社がビジネス破綻している。適正な規模が見えにくかったですね。
例えばRPGがいくら面白いといったからとて、日本でさえシェアは2割を少し越えた程度ですし、地域ごとにシェアは違います。例えば対戦ゲームがいくら面
白いからといっても、対戦RPG(?)が面白いかというと……。
ある1ジャンルが「オンラインゲームの代表」として、あまりにも過剰に語られすぎてきた感はあります。
あくまで、「オフラインゲームのオンライン化」という「当然の進化」の中で生まれた1形態なのに。
色々なモノをひとまとめにした意見が多すぎるのですよ。「無料で提供されるべき当然の進化」と「新しく生まれた特別な付加価値」の区別がついてないんです
よね。そういう混沌とした議論を整理したい、というのが上の記事を書いた真意と動機です。
-------------------------------------------------
個人的な認識を述べると、現在この地球上にオンラインゲームそのものを否定しているゲーム会社はただの1社も存在しません。
-------------------------------------------------
オンラインゲーム「ビジネス」の現在主流になっている方式を否定している会社はいくつもありますし、現在の方式に消極的になっている会社は無数にあります
が。
まぁ、今はまだファミコン以前の段階にすぎないんでしょうね。それまでは玩具屋のニッチ商品か、たまたま流行っている商品群にすぎなかったわけですが、
ファミコンという A) ”ユーザーの金銭感覚”に釣り合い、 B) 信頼性の高い商品が出てきたことで、巨大ビジネスが誕生したわけです。
(ボクは主に A) ユーザーの金銭感覚を議論しましたが、GさんのMMOのバグに対するご意見は B)
信頼性についての議論でしたね。この両輪がいまだ揃っていないのが大きな問題なのでしょうね)
娯楽の世界では、「先進性」などよりも、そういうことのほうが重要であったりはします。ファミコンなんて、カートリッジ式のTVゲーム機の中では、「最後
発」に入りますよねw 「認識」は半歩先を行き、「実装とビジネス」は半歩後を行く、ぐらいがおそらくちょうどいいバランス感覚かもしれません。