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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年03月20日

2003年度、日本国内シェア概観

2003年度はまだ終わっていませんが、ここらで2003年度の総括を。
コナミのサイトに2003年4月〜2004年1月までの各社のシェアが掲載されています。
http://www.konami.co.jp/cs/market/de-2003.html
(TAITAIさんからのご指摘を受けて、最後の部分を誤解されにくいように修正しました)

シェア概観
上位陣の顔ぶれに変化がなく、ゲーム業界の勢力関係が落ち着いてきたことをうかがわせます。 しかしコナミのシェアにやや失速感が見られるのが気になりますね。さすがに版権タイトルのマシンガン撃ちにも限界がきたのかもしれません。一方、ここ数 年、存在感を増しているのがバンダイ。「ガンダム」に続き、「ドラゴンボールZ」も成功させました。 国内トップは任天堂。「ポケモン」は別集計でこのシェア。両社を合算したら、25.8%で、日本のソフト市場の1/4程度をおさえている計算になります が……。他社が年末商戦から年度末商戦に移行する中、年末商戦に有力タイトルを固め打ちした戦略の成功が大きいでしょうね。
ファミリー市場の勢力変化
はっきりした数字は出ていませんが、ここ数年の市場動向を概観した限り、任 天堂はますます子供市場での占有率が上がっている印象があります。数年前には十分な地歩を築いていた他社、たとえばバンダイやSCEJは、子供市場での存 在感を失いつつあるように見えます。 バンダイは版権依存なので、「ONE PIECE」以降、これといった作品がないせいですが(「NARUTO」がどこまで育つかしだい)。SCEJはPS1の頃の面影はもはやないですね。原因 は色々考察できますが、元々新鮮なブランドとして登場したはずなのに、ここ数年、有力な新キャラクターを何ひとつ生み出せていないのが大きいでしょう。 一方、最近がんばっているのはナムコですね。「太鼓の達人」の成功以降、ファミリー層に安定して浸透しつつあります。まずは「太鼓の達 人」の成功が大きいところですが、「ミスタードリラー」「もじぴったん」などの親しみやすいタイトルが徐々に増えているのも見逃せないでしょう。また、こ こ2年程、任天堂との関係を急速に回復しつつありますが、任天堂のもつファミリー層へのブランド力を巧みに利用しつつ、GCとGBA市場における地歩を築 いています。 現状では、ラインナップの多様性が売上に結実しきっていないのが苦しいところですが、「ブランドを作るには最低でも5年かかるが、壊すには2年もいらな い」という名言が示すように、今は大きな繁栄の前の苦しみの時代にすぎないでしょう。しかし着実に期待感は高まっており、ムーディーズの格付けも上昇。数年後の繁栄がもっとも期待されるソフトメーカーですね。

ファミリー市場は任天堂、バンダイ、コナミ、SCEJの4強時代から、任天堂、バンダイ、ナムコの新3強時代に突入しつつありますね。

限界に達しつつある?外部版権ビジネス

冒頭でのべたように、コナミの失速感が気になります。コナミといえば、外部版権率を高めるソフト戦略を掲げてきたソフトメーカーの代表例。
しかし今となっては「遊戯王」の欧米での収益に支えられており、膨大な本数の版権タイトルの開発費を支えられる状況ではなくなりつつあります(それもさすがに来期は厳しい……)。
外部版権は売れているうちはいいが、売れなくなれば、ゲーム化権料の支払いが重くなってきます。全体予算に占める開発費が低くならざるを得ないから、開発費の高騰が続く現状では、クオリティの維持もつらくなります。

一方、「ガンダム」「ドラゴンボールZ」を擁するバンダイ、「鋼の錬金術師」をヒットさせたスクウェアエニックスは、完全な外部版権ではなく、自分自身が版権をもつタイトルを成功させていて、利益率が高い。

まだはっきりとは断言できないものの、版権料という形でゲーム業界の外へお金が流れていってしまう外部版権タイトルから、業界内にお金が還元される内部版権タイトルへビジネスの軸足が移ってきているようですね。

欧米においては、EAが外部版権率が高い会社です。映画の版権料はバカ高いので、EAもいずれ苦しくなってくる可能性は相当ありますね。
とはいえ、EAは単純にコナミと同一視はできない部分があります。N64当時の任天堂のように、ボリュームと品質の両面で優れたラインナップをそろえ、信頼感あるブランドを構築しています。この辺りのEAのソフト開発戦略は、「ゲーム市場(ユーザー)を把握しているEA」で書いたとおりです。まぁ、日本のゲーム会社の黄金期のソフト戦略をよく研究していますよね。うまくいいとこ取りをしている感じです。

今後は「ゲームのサブメディア化」の限界点がどこか?というのが注目点でしょう。ゲームが映画の世界観の補完物にすぎないのかどうか。ただ、サブメディアとしては、ゲームは価格が高すぎるわけですよ。それにみんなが気づいた時、崩壊してしまう。

# まぁ安易に現状肯定に走る輩、無思考的ゲーム開発者やライターは、
# サブメディア化を積極的に支持していたりしますが、きわめて近視眼的
# ですね。自分に自信が無い人間は、ついつい”現状に合わせて”物事を
# 考えたり、もっともらしい理屈をでっち上げたりしてしまう。
# おそらく彼らは10年後には、この業界からいなくなっているでしょうね。
# 所詮、その程度のビジョンしか持ち合わせない連中にすぎません。何を
# いうのも自由だが、10年後の自分自身をイメージしてからいってほしい。

ゲームのメインメディア化とサブメディア化
上では「ゲームのサブメディア化」について議論しました。 念のために確認しておくと、メインメディアのゲームとはドラクエ、FF、ポケモン、マリオ、ソニックのように、ゲーム自体が他のメディアの中心に位置し、 他のメディアはゲームの世界観の補完物になっているものです。サブメディアのゲームとは、EAの映画ゲーム、バンダイのアニメゲームのように、世界観や キャラクターは元々ゲーム以外のメディアで生まれたもので、ゲームが他のメディアの補完物になってしまっているものです。 作品論という意味で、メインメディアとサブメディアに優劣をつける意図はありません。 しかしビジネスとしては大きな違いがあります。メインメディアは周辺のサブメディアからお金が流れ込んできます。たとえば、ハリウッド映画の利益に占める 興行収入は、2割未満。1割に近い数字です。 ゲームのメディアとしての最大の課題は、ゲーム自体で100%近い利益を上げなければならないことです。 スクウェアはかつて自らをハリウッドたらんとし、あっけなく挫折しました。エニックスは「ドラクエ」を中心にメディア展開を試みたものの、それ程大きな成 功には至っていません。ほとんど唯一の成功例が「ポケモン」です。ここで初めて、ゲームは外部の多数のメディアからお金が流れ込んでくる構造を生み出せそ うになりました。 しかも、RPGのようなチマチマしたゲーム、記号的な表現のゲームが売れるのは日本のみ、という常識をやぶって、米国、欧州、中東、アジア、あらゆる市場 で成功をおさめました。ゲームが世界的な表現となり得る例として、歴史に記録されたといっても過言ではないでしょう。 しかし残念ながら、「ポケモン」を最後に、ゲームはメディアとして弱体化していったのです。ある地域で売れた物は他の地域では売れないといわれるようにな り、他メディアの補完物として機能するゲームが増えていったのです。(日本のみならず、欧米でも)
グラフィック技術の本来あるべき発展
理由は大きく2つあるでしょう。 まず携帯ゲーム機で、「ポケモン」の発展をさらにエンハンスするようなソフトは結局生まれなかったこと。携帯ゲーム機は歴史的経緯から、据置機のゲームを ポータブルにする、という意識で開発されることが多く、結果として続編とキャラ物の温床となってきました。これは、「ポケモン」という怪物的なヒットが出 たあとも、あまり変わることなく、続いてきた傾向です。 その間、携帯ゲーム機はケーブル通信→赤外線通信→無線通信(グローバルワイヤレスとローカルワイヤレス)と発展してきましたが、それをいかしたソフトも 今の所ほとんど生まれていません。 もう1つは、据置機のゲームにおいて、「技術の発展」が暴走したことです。 表現力が上がるのはいいのですが、「映画様、どうかわたくしめに映画様のゲームを作らせてくださいまし。映画様の補完物として、ゲームはなんと優秀なこと でございましょう」などといって、映画屋さんの靴の裏をなめたがる輩が増えてしまったのは残念なこと。 日本のゲーム全体を見てみれば、表現力の向上が自己目的化し、単純に開発費の増大だけをまねている例が目につきます。自己満足系開発者の手なぐさみです な。まあそういう、仕事にも、個人的な創造性においても、活かされない自己満足的技術というものは、いずれもショボいわけですけどね。 結局そういう技術者が幅をきかせているゲームはおおむねつまらないし、出来が悪いし、売れないものです。別に、技術者だけでゲームの面白さが決まるわけで はない!という反論もあるかもしれませんけど、要は個人のクリエイティビティーがチームのプロダクトに反映されないようなチーム運営、会社組織をやってい るようでは、結果などしれたものなんですよ。 逆に、表現力が上がることで強くなった好例はRPGでしょうね。日本人にしか受け入れられていなかった記号的表現から脱し、全世界での販売本数を飛躍的に 伸ばしています。「FF」「キングダムハーツ」の成功は記憶にあたらしいところでしょう。ドラクエも、いよいよ世界での展開をねらっているようです。 これこそが本来、技術の向上、そして表現力の向上の目的であるはず。表現力の向上が、世界的表現力の獲得につながったわけです。ブラボー!! これがグラフィック技術の本来あるべき発展のはずです。 表現したい作品のコアがあり、グラフィック技術は表現力の強化でそれを助ける。一部の自己満足系技術者が崇拝する「映画」では、基本的にその構造はしっか りしています。CG技術、特殊効果は軽んじられるものではない。しかし暴走させてよいものでもない。 グラフィック技術者が「技術の向上→表現力の向上→世界市場でのシェア拡大」という流れを作り出すのか、あるいは自己満足の極みに埋没していくのか。据置機のゲームの大きな課題のひとつはそこでしょう。 ゲームがメインメディアとして発展していけるかどうか。そこに日本のゲーム業界の未来、ひいては全世界のゲーム産業の未来がかかっているといっても過言ではないのです。 Posted by amanoudume at 2004年03月20日 00:21 個別リンク
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コメント

初めまして。ちょくちょく覗かせて頂いております。
どうしても気になる点があったので僭越ながら一つ質問をさせて下さい。

と言いますのも,
「「ポケモン」を最後にメディアとして弱体化する一方のゲーム」
の中で,最後に

●ゲームがメインメディアとして発展するには?
→「技術の向上→表現力の向上→世界市場でのシェア拡大」という流れを作り出す
→「FF」「キングダムハーツ」の成功は記憶にあたらしい
→これが本来あるべき

という趣旨のお話を展開されていますよね。
ならば,それが「本来あるべき流れ」だとして,最初に例として挙げたポケモン
というのは,DAKINIさんにとってどういう位置づけに当たるのでしょうか?

 「成功例「ポケモン」は外部の多数のメディアからお金が流れ込んでくる構造を
生み出した」とありますけど,これは"本来あるべき「技術の向上→表現力の向上→
世界市場でのシェア拡大」という流れを作り出した結果"によるものなのでしょうか?

こちらこそ初めまして。
ああ……なんとなく、おそれていた誤解をやはり受けてしまいました。やっぱり書き方が悪かったですかね。

まず勘違いしていただきたくないのは、別にボクは技術至上主義者ではないので、ゲームが必ずグラフィック技術によって発展しなければならない、などと主張したいわけではありません。

「本来あるべき」というのは、技術の発展が「本来あるべき」貢献の話であって、ゲームの進化の仕方がなにもグラフィック技術の発展のみによってなされるべき、ということではありません。

それこそポケモンのようなケーブル通信であれ、複数の色のパッケージを出すというアイデアであれ、あらゆるものをもって、ゲームのメディアとしての発展は達成されるはずです。

(携帯ゲーム機においては、ケーブル通信→赤外線通信→無線通信のように、グラフィック技術よりもむしろ通信技術の発展によって、ゲームに広がりが出てくるのかもしれません。)

昨今の据置機のゲームの状況、表現力が上昇しているにもかかわらず、メディアとしての価値が「映画の世界観の補完物」「映画技術のリアルタイム化実験場」みたいになっている状況を嘆く気持ちは大変強いです。

メディアとして強くなっていかなければ、高騰する開発費を支えることさえ難しくなっているのは昨今、誰しもが理解せざるを得ない状況です。

方向性としては、グラフィック技術の「本来あるべき発展」である「技術の向上→表現力の向上→世界市場でのシェア拡大」を目指すべきですし、あるいは「ポケモン」のように(当時としては)画期的な新しい方向性へ進むべきなのでしょうね。

以上がボクの意見なのですが、上の記事の誤読されやすい部分は修正しておきます。

ご返答ありがとうございます。
質問……と言うより確認に近い内容で申し訳ありませんでした。

>それこそポケモンのようなケーブル通信であれ、複数の色のパッケージを出すとい
>うアイデアであれ、あらゆるものをもって、ゲームのメディアとしての発展は達成
>されるはずです。

最近のポケモンに付属されたワイヤレスアダプタで素晴らしいなと思った点は,
新しい技術をちゃんと「自身の強みであるゲーム的価値の向上」に利用している
ところでした。"闇雲に(あるいはこじつけで)オンライン(ネットワーク)
化"するのではなく,ポケモンという作品の楽しみ方を広げる方法論として,
ワイヤレスネットワークという選択肢(技術)を選んでる……と言いますか。

この判断の良さこそが,今のポケモンの凄さなのではないかと感じます。

またスポットという機能にお店があれば,自然とお客さんがお店まで足を運ん
でくれるという効果も出てくるワケで,ゲーム小売/流通を地盤とする任天堂の
方向性にも合致。いろいろな意味で素晴らしい戦略だなぁと。
ワイヤレスアダプタの評判も良さそうですし,今後どのように膨らんでいくのか
楽しみですね。

これは別に批判というわけではないのですが,FF11にしても,別にオンライン
だからといって「FFというゲームブランドの価値」が上昇したワケではなく,
まず「オンラインゲームを作るという発想が先」にあって,その上でFFという
ブランドを利用しているだけに過ぎない……風に見えてしまうのがちょっと。

そもそも,オンラインゲームについての知識/教訓が深まってきたであろう
今の時期になっても,ドラクエがオンラインになったら! というような話は
良く聞きますよね。でも,それって本当にそうなのか?と
それこそ,北米におけるSims OnlineやMyst Onlineなどといったタイトル
と発想が大差ないというか,ついさっきの教訓から何も学んで
ないというか……。凄く疑問に感じるわけです。
 >ドラクエ・オンライン(仮名)が駄目だという話ではありませんし,
 >僕自身も期待感を感じないワケではありません
 >ただ短絡的に「有名どころをオンライン化すれば良い」という発想は
 >駄目でしょうと。……まぁ当たり前なんですが

ドラゴンクエストには,安易なオンラインゲームブームはスルーして貰って,
じっくりと腰を据えた"二重/三重の戦略"をとってほしいと思います。
 >まぁ実際そういう流れを感じるので安心ですが……

すいません,話が逸れました。

>方向性としては、グラフィック技術の「本来あるべき発展」である「技術の向上→
>表現力の向上→世界市場でのシェア拡大」を目指すべきですし、あるいは「ポケモ
>ン」のように(当時としては)画期的な新しい方向性へ進むべきなのでしょうね。

そうですね。表現力が高くなれば,2次利用,3次利用への転化がしやすく
なりますし,それはメディアという意味では"正統"な流れだと感じます。

そういえば,ライセンシング,マーチャンダイジングビジネスと言えば,FFと
コカ・コーラのタイ・インは記憶に新しいですし,少し昔だと,セガとペプシ
による展開を思い出しますね。他にはなにかありましたっけ?

映像的表現が上がった現在,この手のプロモーション効果は十分に狙えるハズ
ですから,ぜひ積極的な展開を試みてほしい感じです。
有名な所では,映画「007 Tommorow Never Die」がプロダクト・プレイスメント
(企業の商品やロゴを,作品の中に掲出させる戦略的提携)で1億ドルを売上げ
たと聞きますから,こういう分野もゲームが開拓すべきところだと思います。
それにゲームには,映画以上のブランディング効果があると思いますしね。
 >ユーザーが"注意深く"画面を見つめるという点において

個人的に凄く気になるんですけど,今のゲームって,映画のように"お金を
取りながら,プロモーションまでやってもらう"っていう状況は生み出せている
んですかね……。 >FFとか
やはりまだまだそこまでの"強さ"は持ち得ない感じなのかなぁ……。

>欧米においては、EAが外部版権率が高い会社です。映画の版権料はバカ高いので、
>EAもいずれ苦しくなってくる可能性は相当ありますね。

これは同意ですね。
時期は分かりませんが,僕は,いずれ必ず辛い時期が訪れると見ております。
そう考える理由として大きいところは,

●映画は10本中2本しかヒットしないのが実情(8本は外れ)
 →つまり,映画の恩恵(作品の人気やプロモーション)にあずかれるのは
  ほとんど一部しかない
 →映画は,その収益構造の深さから2本のヒットで8本の赤字を帳消しに
  できるが,果たしてゲームは? >そもそも開発費が高騰してるのに

●映画のゲーム化ライセンスの獲得時期
 →映画が成功するかどうかが分からない時期に決断を迫られる
  →映画自体がコケた時のリスクが大きい
 →映画会社的に見れば,権利を売りつけている時点でそれは利益になっている
  (膨大な制作費のリスクヘッジに成功)が,ゲーム会社の方はどうなる?

※ゲーム化しやすいタイトルは絞られるでしょうけど,それでも
※博打性の高さは否めない感じが

といった辺りでしょうか。もちろん,+版権料/ロイヤリティが高いというのもある
と思いますが。それに映画が大成功になったとしても,ゲームが一緒に大成功に
なるかどうかはまたちょっと違う感じもしますしね……。
映画ゲームの成功例といえばEAだと思いますが,EA以外だと結構微妙な感じ
なのが実情なんじゃないでしょうか……。Terminate 3なんかは壮絶にコケてた
みたいですし。

……どうなんですかねぇ。

ちなみに以前,欧米におけるバンダイはどこ? と仰ってましたが,
僕が知る限りだと,LucasArtsくらいかな?と思います。スターウォーズ物を
中心に,古くはインディージョーンズのADVなども手掛けてました。
 >一時期消えそうでしたが,最近復活してきたみたいです

#長くなって申し訳ないです。

大変洞察力の深さがうかがえる書き込みで圧倒されるばかりです。
TAITAIさんのような方に的確なご指摘を受けることで、記事の質が高まって、
うれしい限りです。
今年になってから、BLOGに移行したのですが、色々な方々に読んでいただく
ことが主眼です。記録に残るものですから、大変ありがたいです。

ドラクエオンラインについては、ボクもかなり懐疑的です。
オフライン時代のゲーム性とオンラインゲームにしてからのゲーム性が全然
異なってしまうのは、どうなのかなあ?と思います。「ポケモン」のように元々、
通信を前提とした世界観でもゲーム性でもありませんし。

ただ、堀井雄二氏は、ファミコン時代にすでに「いずれネットワークゲームを
作りたい」と発言されていましたし、ウィザードリィとウルティマのいいとこ取りを
してドラクエを生み出した方だけに、もしかするとすごい進化をさせることが
できるのかもしれませんね。

しかしまずは、完全3D化という大きな進化を成し遂げるのが先でしょうし、
それにはまだ1〜3年程度はかかるのでしょう。
TAITAIさんがおっしゃっているように、彼らは慎重にして、"二重/三重の戦略"
を採る人たちですから、オンラインゲーム化といっても、いきなりMMORPGには
いかず、まずはMORPGのような形から入るかもしれませんね。

MORPGではありませんが、多人数のRPGという意味では、去年スクウェア
から「FFCC」が発売されました。この作品の評価は色々わかれそうですが、
十数年後の後世の歴史家の視点から俯瞰すれば、あるいはドラクエ・
オンラインに続く道のりの1つには位置づけられるのかも……。
しかしその前に、トルネコシリーズのオンライン化がありそうですね。


>プロダクト・プレイスメント

非常に面白いアイデアだと思いました。
ゲームの中に現実の一部を取り込むゲームが増えている中、十分ありえる
方向性でしょう。ただ、ゲーム側がかなり気を遣っているのがおそらく現状
でしょうし、ゲームがそれを商売にできるようになるには、今しばらくの時間は
かかりそうです。


>映画ゲーム

サブメディア化は辛いだけですよね。日本も、セガやナムコがちょっと
手を出してますが、うーん……。「○○が成功してるから、うちもやれば、
おいしいかも」っていう話は、どうもねえ。机上の空論だけですよね、
うまくいくのは。
(そういえば両社ともPCゲームにまで手を出すらしいですが……。
何やってんだか。)

まぁナムコは今はとにかく色々あがいているモードだと思います。
まぁ、あがいた結果、良さそうな枝だけのこして、あとは捨てるのかな、と。
最近はファミコン時代の「ファミリー○○」を出していた頃の親しみやすさが
もどりつつあるので、先鋭的な部分とバランスが取れれば、うまく回りそうな
予感があります。

セガは迷走してる感じですね。
GCを切り捨てたのは短期的には正しいのでしょうが、将来的に「ファミリー層」
に食い込むという道を捨てたも同然でした。まぁ、明らかにセガの体質には
合わなかったんでしょうね。ナムコとは対照的に任天堂とのコラボレーションも
成果がまったく上がってませんでしたし。

(個人的に、セガの人すべてと話したわけではもちろんありませんが、
彼らはファミリー層には向かない印象でしたね。物の考え方、ソフトの
評価の仕方、短期的な戦略と長期的な戦略の立て方、……)

となると、家庭用部門でどうやって地歩を築くのか。
RPGはないし、キャラもナムコほど育ててないし、スポーツはちょっと頑張ってる
けど、EAやコナミには勝てないし。家庭用に注力しようというセガの路線はわかる
のですが、実際には「煮ても焼いても食えない」状態に陥りつつありますね。

してみると、サミーによる事実上の買収と、サミーのアーケード部門重視路線も、
わからなくはない。サミーはセガの開発陣に対して、「お前らが家庭用で大成功
するのは無理だ」って思っているんでしょうね。
現状では反論の余地はないかなあ……。

結局、原点に帰るしかないと思うんですけどね。煮詰まった時は。
自分探しです。
人であれ、企業であれ、自分という器、肉体から遊離して、あれこれ
やろうとしても、それは無理です。続きっこない。
今まで成長してきた枝はどれか?今後も伸ばせそうか? そういう
視点を欠いた経営戦略、多角化はすぐに枯れてしまうでしょうね。

申し訳ありません。話がそれてしまいました。

>ちなみに以前,欧米におけるバンダイはどこ? と仰ってましたが,
>僕が知る限りだと,LucasArtsくらいかな?と思います。

なるほど。ボクは、日本のガンダムゲーム=米国のスターウォーズゲーム
という主張をしている人間ですので、そのお話は納得の極みです。
Lucas Artsかどうかはわかりませんが、ボクは数年内にEAを脅かす
「内部版権ゲームメーカー」が台頭してくるんじゃないか、と予想しています。

そういえば、最近、「パブリッシャーとディベロッパーの対立」が欧米で
話題になっているようです。具体的な不満点、対立点はともかく、
潜在的には版権タイトルの増加が一因だと思います。行きすぎた
効率化によるモチベーションの低下や、大規模化した開発スタジオの
士気低下など、そろそろ色々な問題が表面化してきた気がします。

一時期蔓延していた「安易な欧米優位論」がそろそろ揺らいできた
かもしれません。1年以上前から、何十回も書いていることではある
のですがw
いずれ時間がすべてを証明します。

長い返信ありがとうございます。非常に参考になります。

>ただ、堀井雄二氏は、ファミコン時代にすでに「いずれネットワークゲームを
>作りたい」と発言されていましたし、ウィザードリィとウルティマのいいとこ取りを
>してドラクエを生み出した方だけに、もしかするとすごい進化をさせることが
>できるのかもしれませんね。

ふむふむ,なるほど。
間違い無く"切り札"と言えるカードですから,本当に期待したいタイトルですね。
最速で行くのであれば,FF11の推移を見守りつつ,そこからの乗り換え時期に
ターゲットを合わせるのが適切かなと思ったりします。
 >これだと結構早く来ちゃうかもしれませんが……

でも多分国内ってよりは世界狙いだとおもいますので >ドラクエ・オンライン
先進的なオンラインユーザーにはFF11でアプローチしつつ,ドラクエ5,8で
ブランド化の地ならし。その後でぶつける……とかですかね。

>MORPGではありませんが、多人数のRPGという意味では、去年スクウェア
>から「FFCC」が発売されました。この作品の評価は色々わかれそうですが、
>十数年後の後世の歴史家の視点から俯瞰すれば、あるいはドラクエ・
>オンラインに続く道のりの1つには位置づけられるのかも……。

ゲームとしてのオンラインの可能性という意味では,僕は,その中の一つに

 ・一つのコンソール機で複数が参加できるオンラインゲーム

という方向性があると考えてます。
要するに,例えば,最近ちょっと話題になってたカスタムロボを例にするならば,

 ・オンライン上で2vs2の対戦が可能
 ・チームは,直接家にいる友達同士で組む
   (GCにコントローラー二つ指して)

みたいな物(テニスのダブルスみたいな感覚)でも,そのゲームの面白さって
大分広がると思うんです。誰かの家に友達が集まって,1年3組仲良しチーム,
みたいなので戦っていく……そんな感覚です。
ネットゲーム = 端末の前には人間一人 と縛って考える必要はないですし,
遊ばせ方の提示次第で,独特の面白さはいろいろ見えてくると思うんですよね。
 >こういうタイプのオンラインゲームって何かありましたっけ……
ですから,最近のGBAを使った"多人数プレイ"という展開には,個人的に
凄く期待してますし,ぜひ今後に繋げていってほしいなぁと思ってます。

DAKINIさん的には,こういう方向性は如何がですか?

>まぁナムコは今はとにかく色々あがいているモードだと思います。
>セガは迷走してる感じですね。

まぁでも,今はいわば過渡期の時代ですし,いろいろやってみるというコト
自体は悪い選択肢ではないと思います。
実際にやってみなければ分からない盲点などもあると思いますし……

>してみると、サミーによる事実上の買収と、サミーのアーケード部門重視路線も、
>わからなくはない。サミーはセガの開発陣に対して、「お前らが家庭用で大成功
>するのは無理だ」って思っているんでしょうね。
>となると、家庭用部門でどうやって地歩を築くのか。
>〜〜
>「煮ても焼いても食えない」状態に陥りつつありますね。

ふうむ,なるほど。
ご指摘の通り,セガはタイトルが「中途半端」なのが厳しいところなんで
しょうね。やっはり,"戦略"レベルのタイトルが無いのは相当致命的なのかな。
国内は苦しいですし,海外でも,ソニック,クレイジータクシーくらい
なのでしょうか。
 >セガブランドで発売されたタイトルで結果を出せた奴は

バーチャにしろサクラにしろ,"戦略"レベルとはちょっと言えない感じですしね……

>サブメディア化は辛いだけですよね。日本も、セガやナムコがちょっと
>手を出してますが、うーん……。「○○が成功してるから、うちもやれば、
>おいしいかも」っていう話は、どうもねえ。

成功例をキッカケに/参考にすること自体は良いと思うのですが,結局はその
"からくりを解き明かして"いかないと駄目ですよね。
もちろん,先手必勝,スピードこそ命,と言う理屈も分かりますが,
好調ならなんで好調なのか,苦しいならなんで苦しいのか,どちらにしても
"マーケットの仕組み/状態"について真剣に考えなきゃ駄目なんだと思います。

真似ッ子の過程で,その"解明"に近づけるのであれば,その取り組みが
例え金銭的には失敗であっても,それには重要な意味があると思います。
逆にそれを"解明"しないと,その時は成功してウハウハでも,その論理を単調に
繰り返していくウチに,"引き際"を謝って大失敗!なんてことにも
なりかねないかなぁ……と。

>今まで成長してきた枝はどれか?今後も伸ばせそうか? そういう
>視点を欠いた経営戦略、多角化はすぐに枯れてしまうでしょうね。

プロダクト・プレイスメントや版権ビジネスなどなど,米の映画産業の
成功(膨張を支えたという意味で)の理由は,

 ・沢山の人が映画を見るということ"即ちそれがどういう意味を持つか"

という部分を考え,発展させているからなんでしょうね。
そして,いろいろな業界を"映画に巻き込んで"いった。
悪く言えば,「狸の皮算用を正当化させちゃった」って感じなんですけど(笑
それを押し通してしまったのが逆に凄いところだなぁと思います。

もちろんすべての作品で出来る方法ではありませんが,FFやドラクエ,そして
ポケモンといった安定度の高い作品は,十分に"正当化するだけの力"を備えて
いるのではないかな……と。僕も別にこの辺りの専門家というワケではないので,
これ以上は詳しく言えませんけれど……。期待したい分野だとは思います。

>Lucas Artsかどうかはわかりませんが、ボクは数年内にEAを脅かす
>「内部版権ゲームメーカー」が台頭してくるんじゃないか、と予想しています。

うーん,これはどうでしょうか。米国で版権が強そうなところは,
映画,TVドラマくらいでしょうし,そんなに候補はないのでは……
 >Lucas Arts以外だと……何かありますかね……

あと言い忘れましたが,映画ゲームが微妙でも,EAはまだ安泰だとは思います。
Sports系を制覇(しかけ)なのは,相当強いんじゃないかと。
映画のような当たりはずれもないでしょうし,安定すると思います。
 >ロイヤリティ交渉で喧嘩する可能性を除けば(笑
Sportsゲームがいきなり地に落ちるって図もあまり想像できませんし……
落ちるとしても緩やかな曲線を描くかな〜と考えてます。

まぁそれでも,最近の肥大化傾向は賛否両論分かれるところでしょうね >EA
最近もなんかどでかいスタジオをこしらえていたような気が。

>潜在的には版権タイトルの増加が一因だと思います。行きすぎた
>効率化によるモチベーションの低下や、大規模化した開発スタジオの
>士気低下など、そろそろ色々な問題が表面化してきた気がします。

なるほど。言われてみれば確かにそうかもしれませんね。
"作らされてる"感がありありと出てしまうと,先鋭的な人々の不満が募っていく
のは明らかでしょうし。ふうむ。勉強になります。

また長くなりました。ではでは。

>>ネットゲーム = 端末の前には人間一人 と縛って考える必要はないですし,

聞きませんね。「その場でのオフライン多人数」か「1人同士のオンラインプレイ」
しかないと思います。

そういう「欠けた面子を集める」という程度でも、十分なニーズはありそうですよね。
ただ、その場合、オフライン対戦とオンライン対戦を実装することが前提になって、
作る側の負荷の問題はちょっとありますが。

オフラインでの多人数対戦ゲームのうち、多分割画面のゲームって、けっこう面倒
ですから。実車系のレースゲームだと、画面分割の対戦モードがなかったり、
あっても専用のショボいコースだったり、かなり手抜き感が強いですね。1人用と
多人数用で、どちらも最適化して、素晴らしいグラフィックスを実現するのは、
案外厄介だったりします。(まぁニーズがあまり無いというのが大きいのでしょうが)

例えば、携帯機の場合なら、1人1画面という大前提がありますから、多人数
対戦でも、画面分割しなくていいので、そこは楽でしょうね。グラフィックの最適化に
割く労力がへって。

プレイヤーにとっての1つの理想は、その場にいても、離れた場所にいてもいっしょに
遊べることです。作る側にとっても、同じように組めたら、素敵なんですよ。
据置機ではそういうことがやりにくいです。

そういう意味では、携帯機のほうがそういう夢のような状況を達成しやすい
といえるでしょうね。「従来の多人数ゲーム→オンラインもオフラインも問わない
透過的な多人数ゲーム」という進化の流れを信じるならば、それは必然的に
携帯機のほうが向いています。据置機でも不可能ではないが、遊ぶ側と作る側の
負荷が高いし、ビジネス的な問題もからんで、スムーズな移行がしにくいと思います。

まぁ、これは、今の若年層が大学生〜社会人になって、市場の中核を担って
くれるようになるにつれて、どんどん顕在化してくる流れだと思います。ファミコン世代
にとってインプレッションのあったマシンはファミコン(据置機)かもしれませんが、
その下の世代にとってはGB(携帯機)ですから。「ドラクエ」ではなく「ポケモン」の世代。

この世代においては、今のファミコン世代が感じているよりも、ずっと「携帯機」は
ポジティブな存在です。ファミコン世代のおじさん(w、準おじさんがどういおうと、それは
揺るぎません。おじさん感覚で、下の世代を分析しても何もわかりはしません。

その時には、据置機というものは、携帯機を結ぶ中継点のような存在か、あるいは
ただの補完装置になっているかもしれませんね。ああ、まぁ、その頃にも、ファミコン
おじさんたちは一生懸命据置機だけを遊んでいるのかもしれませんが。

5年、10年という時間で物を考える時、「自分が歳を取る(うざいおっさんになる)」
「自分よりかなり下の人間が今の自分の年齢になる」ということは、忘れては
いけないポイントだと思います。ボクもいつも気をつけようと思っています。
でないと、いつの間にか、若いうちからおじさん論理を
振り回していることに
なりかねません。

>ご指摘の通り,セガはタイトルが「中途半端」なのが厳しいところなんでしょうね。

プログラマー(の権力)が強い会社は、ろくにキャラクターを生み
出せない……と決めつけるもなんですが、ボクがこれまで、
他社の方々と個人的にお話しして思い抱いた意見はそれですね。
といったところで、変われるわけでもないんでしょうけどね。
何事もバランスとはいえ……。考え方がねえ。

セガに限らず、キャラクター力の弱い会社のプログラマーはみんな
共通点がありますね(^^;
自覚してるのかしてないのか、知りませんが。そういう文化で
やってきたなら、言葉では納得しないだろうし。まぁそれぞれの
生き方、それぞれの成功・不成功。好きな道を好きなように歩んで
ほしいですね。生暖かく見守っていたいです。


>Sportsゲームがいきなり地に落ちるって図もあまり想像できませんし……
>落ちるとしても緩やかな曲線を描くかな〜と考えてます。

ボクが言いたいのも、今のコナミのようになる、という意味です。
コナミも「ウイイレ」と「パワプロ」の安定した売上でもっている
部分はありますね。

EAは映画系の版権タイトルがコケ始めたら、肥大化している分
やばいんでしょうね。そこでここ数年増員してきたスタジオを縮小
し始めるのかな……と予想しています。
肥大化は長くは続かないでしょう。というより、ゲーム業界って、
肥大化した後に必ずといっていいほど、失敗してるんですよね。

まぁ、そして失敗から立ち直ることで、一段階大きくなる(あるいは
衰退する)というパターンが……。