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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年01月08日

企画的感性と映像的感性の両方が高いレベルで結合した、極めて現代的な成功

NEED FOR SPEED UNDERGROUNDの成功はおおいに励まされる出来事

ryuo webさんの「GTの対抗馬?」によると、「NEED FOR SPEED UNDERGROUND」の売上が大変好調なようです。全世界での販売本数が400万本。リアルな車を使ったレースゲームは、「GT」の一強皆弱状態が続いていましたが、一気に第2位の地位まで登り詰めたことになります。

昨今、「GT」と張り合うような方向のリアルな車ゲームはどれもあまりうまくいっていません。
このゲームは、改造車による夜間の公道違法レースという素材の選び方、そして夜の街の雰囲気が見事。 企画的感性と映像的感性の両方が高いレベルで結合した、極めて現代的なゲーム
あり、優れたソフトといえそうです。ああ、またもEAですよ。こんちくしょう。いいゲーム出しすぎ。
息の長いシリーズ物ですが、とりわけ高評価を目にしたのは今回からです。単に綺麗とかそういう水準ではなくて、描くべき世界を把握した上でのグラフィック
が何ともすばらしい。ライトのエフェクト、路面の反射、モーションブラー。夜の街のあやしい雰囲気がしっかり表現されています。ブラー系の高速感に興味が
ある人は必見。
また、すでに王者ともいうべきタイトル「GT」が一強皆弱状態の中で、成功を収めたことは、多くの開発者にとって、励まされる出来事でしょう。成功する余
地はまだあるのです。

(ゲームの紹介はここまで。以下、開発についての意見が続きます)

現代的な開発へきちんと狙い(企画)があって、世界観と作風があり、それを実現するためにグラフィックがあり、デザイナーとプログラマーが
努力する。本来そういうものですし、日本はそういう作り方ができていたはずです。ところが、最近は(まぁ一部ですけど)単純にフォトリアルにしただけの、
いったいどういう狙いがあって、どういう作風で映像を作り出そうとしているのか、作り手自身が全然考えていないような良く出来ているだけのタイトルが目に
つくことがあります。海外にもそういうゲームはいくつもあります。
今後はシェーダーだといわれていますが、シェーダーの時代というのはそれぞれのタイトルが狙いと作風をもち、その作風を実現するだけの自由度が与えられる
いう点が重要なわけです。昔はnVIDIAもそういうことをきちんといっていました。
GPUメーカーのサンプルシェーダーをゲームに組み込みましたとか、誰もがやっているようなシェーダーを入れてみましたとか、しかも自分じゃできないの
で、nVIDIAから人を派遣してもらいましたとか……。どうしてそういう本末転倒の極みのようなことになってしまうのか。
お勉強しかできない人間はすっこんでろ、と。どうも最近は変な風潮があって、やれゲーム開発者に必要なのは数学だとか物理だとかそういうお勉強だ、という
議論があります。そんなもんは、いずれ外に出せばすむものなんですよ。実際、今PCゲームの世界ではGPUメーカーにやらせているでしょう。かなり乱暴的
な書き方をしますが、そんなもんはどうでもいいんです。
重要なのは、どういう狙いでどういう作風で作るか。そしてそれを実現するために何をどう使うかということであり、その応用力なわけです。お勉強に一生懸命
です→とりあえず教科書的な実写的表現です→無個性です→でも納期あるし、疲れちゃったし、そのままGOです→労力いぱーいかけて完成→市場に埋没。
企画的感性と映像的感性の高いレベルでの結合、あるいは企画的感性と技術的感性の高いレベルでの結合こそ、現代的なゲームづくりであり、求められているこ
とではないですか。そのための方法論はいくつもありえますが、スタッフがマルチスキル的にならざるを得ないと思います。映像をわからないプログラマーと、
技術をわからない企画と、そういうことではだめ。
もちろん、そりゃプログラマーはうまい絵は描けませんし、企画はプログラムを組めません。それはいい。そこまでは必要ない。そこまでスキルが無くとも、感
性は養えるはずです。やれ企画がヘボだの、やれプログラマーが技術不足だの、そういうつまらない罵りあいは論外。自分自身が
ルチスキル的に感性を養うという努力を通して、はじめて高い水準にたどり着ける、と覚悟すべきです。

Posted by amanoudume at 2004年01月08日 12:11 個別リンク

コメント

昨日、東京オートサロンの関係者日に行って来ました。EAは、NFS-UGのこぢんまりとしたブースを出していましたね。ドラッグレースコンテストなんぞ
を、これまたこぢんまりとやっていましたよ。(隣りにナムコも出展していましたな)。
スバルと共同開発の可動筐体を2台出し、大量のコックピット型試遊筐体をメイン通路2カ所に出していたGT4に比べるのも酷な話ですが、もう少し予算をか
けてくれたらなあ、と思ったものです。
というのも、オートサロンと云えばモーターショーに比肩しうる大イベントであり、モーターショーと比べてコンパニオンも高い露出度で美を(媚を)競って
――その猥雑な雰囲気は、NFS-UGの雰囲気と非常に親和性が高いワケです。客層も、NFS-UGのターゲット層に大ストライクです。
何より、会場で見るNFS-UGの画面はとても魅力的に見えたわけですよ!(私見ですが)
重ねて云いますが、「もう少し大きいブースで出展しても良かったのではないか?」。
そして願わくば「コンパニオンのコスチュームも、もっと露出度の高いモノならば!」。
――まだまだ、車ゲーム市場には付け入るスキがありそうですな。

EAが金かけてないおかげで助かっている日本のソフトメーカーはいくつもありそうなので、金かけろとはいいにくいものの、金かけてほしいですw
でも、今までの市場的結果からすれば、金をかけるという判断にはならないんでしょうね。今週末の体験イベント「EA
Day」みたいな形で、地味に浸透を図っているようなので、当面は口コミレベルで……ってことを期待します。「GTA3」の成功が海外ゲームの日本での販
売を後押しする効果は期待します。
>車ゲーム市場には付け入るスキ
ですね。
実際、ボクにしても、ここを狙ったらいいんじゃないか、という市場的「隙」を1つ2つは温めてます。
もちろん「狙い」だけあればそれで成功するわけでもありませんがw 
意外に”まだまだ掘れそう”というのは、それだけ車文化が層も広く、厚いということかな、と思ってます。

おっしゃる通りだとは思うのですが、
企画的感性は「文化的な味が付いてしまう」という
諸刃の剣の性格もあるのではないでしょうか。
文化的な味わいがプレーンで薄いGTが日本を
含めて世界で売れる反面、NFS-UGが日本で売れない
のは、そういう文化的な味わいが各地市場での嗜好差に
阻害されているという面もあると思うのです。
日本におけるNFS-UG的な企画ポジションは、イニDとか
首都高バトルとかでしょうか…。

イニDや首都高バトルに比べると、ローカル性は薄いと思います。リッジと、イニD・首都高の中間ぐらいの味つけではないでしょうか。
NFS-UGが売れないのは単純に、認知度が低いせいではないかと思います。映画タイトルは少しマシとはいえ、EA全般にいえることで、文化的味つけが原
因で売れないというのはちょっと即断かなという気もします。
もしこれがEAではなく日本のメーカーから出ていれば……。メーカーのブランドと、認知度、広報展開次第では、4,50万本クラスのソフトに成長する可能
性はあると思います。
味つけの話は、全世界的な文化性かローカル性が強いか、という話で、個人的には十二分に「GT」も文化的味つけの濃い作品だと思います。ローカル性は薄い
のですが。
(車好きの感覚をうまく持ち込んだことが「GT」の企画的センスの鋭さだと思います)
逆に現在の大人市場では文化的味つけがないと、なかなか売りにくい傾向があります。
ワールドワイドで共通の文化をもってくるのも一手なのでしょうが、逆に”味も素っ気もない”ゲームができてしまう危険性は相当高いと思います。日本のゲー
ム(の一部)が海外で陥っている罠の1つではないか、と。
ローカル性の高さについては確かに難しい問題ではあるのですが、きちんと「翻訳」したり、海外でも理解できるような工夫をすることで、ちゃんと売れるとい
う例も少なくないと思います。
「GTA」が日本で一定以上の売上を納めたことや、FFシリーズが日本的でありながらも海外でミリオンを超える売上を残していることなど。

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