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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2003年12月28日

成熟して市場が十分大きくなった時代のビジネスロジック

ゲームは成熟産業になった

梅田望夫・英語で読むITトレンド
IT大手各社のデルへの対抗策

ルが例に挙がってますが、これはウォルマートもそうで、ウォルマートはDVDプレイヤーなどは自社ブランドで製品展開しています。つまり誰でも作れるよう
になったら、効率的な供給体制を作った者が勝つというビジネスモデル。
> デルはPCだけでなく、すべてのボックスビジネスにその低コスト事業
> モデルを展開しようとしていて、まだ誰もそれを迎え撃つ方法を編み
> 出していないという問題。デルは、96年にサーバーを売り始め、98年
> にストレージシステムを売り始め、2001年にネットワーキング・スイ
> ッチを売り始め、今年からプリンタを売る。成熟して市場が十分大き
> くなってスタンダードが固まった段階で参入して、PC事業で鍛え上げ
> た経営システムを新事業領域に応用して戦うのがデル経営である。
梅田望夫氏のBLOGを読んでいると、ソフトもPCのパーツと同様にコモディティ化するという主張です。それは一定の説得力をもちます。率直にいって、こ
の10年で、ソフトもコンテンツも同じようになる、と
いうのは極めて妥当な意見なのです。
もちろんハードとソフトは違うので、デルモデルとイコールではないでしょう。ただ、根本にある原理は同じ。全世界レベルで見れば、ソフト開発者の数は増え
ているし、E3の状況を見ても、着実に質が上がっています。中国、インドの安い開発スタジオも今後ますます立ち上がっていく。
すると全世界の開発スタジオのをつないで、もっとも安く(質の高い)仕事のできるパートをそのスタジオに投げる作り方が台頭してきます。
例えば、今3Dのモデルを作るコストが重くなっていて、ゲームのマップを作る時にやり直しが発生すると、それにかかるコストが重いわけです。すると「ゲー
ムを全部(生ポリゴンで)作って完成させてから、テクスチャを貼って絵的に完成させればいいんだ」なんて話が真顔でいわれたりするわけです。何だそりゃ!
と思う人もいるかもしれませんが、CG映画だったらそういう分業はむしろ普通なわけで。
そしてエンジンを作るのは中国スタジオ、デモシーンはハリウッドスタジオ、ゲームは欧州スタジオ、テクスチャは中国スタジオなんてことも。世界規模の分業
開発。もちろん、このやり方では根本的に新しい物はまず生み出せません。良く出来たものは作れるでしょうが

この方法論は、「市場の大部分は所詮、ゲームの大枠が定まった続編、キャラ物、スポーツ物じゃねえか」と割り切っているわけです。要は「ゲームは成熟産業」なんだからという論理。これに一番近いのがEAやUBI。だから彼らは強い。

日本のゲーム会社が今追い詰められているのは、欧米のゲーム会社のデル的なビジネスロジックに対抗する方法を編み出せていないから。その中でいくつかの会社は同じことをやろうとしている。でも多分、その中で生き残るのは半分にも満たないでしょう。

デルになれないなら、別の道でデルに勝たなければいけない

ちなみにハードの世界において、ソニーはデルが強いことを認めつつも、”ソニーはデルになれない”と自覚し、デルに対抗する手段を編み出そうとしています。デルになれないなら、別の道でデルに勝たなければいけない。

後藤弘茂のWeekly海外ニュース「久夛良木健氏が語る、ソニーの半導体戦略」
> ところが、そうなると、付加価値は全部流出してしまい、これはいい目の付け所だな
> と思う製品を作っても、他社が追っかけやすい構造になってしまった。これは、ソニー
> だけに起こったことでなくて全家電メーカーに起こったこと。つまり、家電メーカーの利
> 益率が低下しているのは、韓国、台湾、中国と含めた汎用化が起こって、他のどの
> 地域でも作れるものをやっているから。互換性のために規格化されるから、LSIひとつ
> とっても、似て非なるものをどこでも作れる。だから、何か出しても、あっというまに儲か
> らない価格になってしまった。
> (中略)
> あとは複数のメーカーが、みんなで戦って、コモディティになればいいと。見事な計算で
> 作り上げられたビジネスモデルだと思う。
> ところが、ここでシステムで成功するには、Dell Computerと同じことをしなければなら
> ない。Dellのサプライチェーンマネジメントはすごいけど、DellやAmazon.comが世界
> 中で100社も成り立つとは思えない。ごく限られた企業だけが残る。
ソニーはようやくそれに気づいた。それでこの3年で、デルに対抗できる体制に転換しようとしている。できなきゃデル路線に食い殺される。すでに食い殺され
かけているわけですが……それをはっきり見抜いて対抗手段を提案できたのが久多良木氏1人しかいなかったから、ソニーは今彼の所に権限を集めている。
まさしくソニー必死だな(藁
PSXの騒動を見ても、ソニー必死だな(藁
ネット上のあちらこちらで嘲笑の声が上がるのも無理はない。まさしく嘲笑の極みとはこのことよ。けれども日本のゲーム業界は、それを越える嘲笑の極みの極
み。
なぜならソニーは解答(少なくともそう信じられるもの)を手に入れたけど、日本ゲーム業界は手にしていないから。今は溺れ死んでしまわないように、必死に
バタ足し続けている状態にすぎない。
ゲームの部品化とディベロッパーチェーンマネージメントミドルウェアビジネスの台頭も、結局はゲームソフトの「コモディティ化」の一端に
すぎない。単純にそこだけを見て、欧米はミドルウェアがあるから効率的で、日本はミドルウェアを自作しているから非効率だなどと、世迷言のようなことを延
々と主張しつづけている人間もこの世にはいるようだけれども、今起きている変化は、そういう局所的な変化ではないのである。
例えば、この2年間で、欧米の(特に英国の)ゲーム開発会社がかなりの数、パブリッシャーに切り捨てられているけれども、これだって要はサプライチェーン
マネジメントならぬディベロッパーチェーンマネージメント
とって都合の悪い開発会社は切られていくというビジネスロジックなのである。
作家と出版社の関係で、作家が出版社から一方的に不利な契約を押しつけられているという構図ではじつはないのである。そうとらえるのは古い見方で、もっと
大きな流れの中で、ゲーム開発スタジオは作家からゲームの部品を担当する分業者になりつつあり、マネージメントの論理がきわめて強く働くようになってい
る。
(単純に”PCの技術”が有るとか無いとか、開発力があるとか無いとかではないのである。シリコンバレーの連中は時代認識を刷新しているというのに、一部
の”欧米PCゲームマンセー”人間だけがいつまでも認識が刷新されていないのである。)
(この記事は旧サイトから掘り起こしたものです。元々は2003/12/15(Mon)に書いたものです)

Posted by amanoudume at 2003年12月28日 06:09 個別リンク

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