1つは技術が高度化して、職種の専門化が進んできたため、舞台裏に回りがちなパートにも表に出る機会を与えないと、モチベーションを維持しにくいためです。また1つは、自社の特徴を表に出すことで、人材採用の点で有利になったり、パブリッシャーへのアピールを増す狙いがあるからです。
こうした記事は、情報共有という点で大変すばらしいのですが、ちょっと誤解を招きがちな部分もあります。日本の技術者の技術力は以前から高かったんですよね。ただ、それを表に出す機会があまり無かっただけのことです。「ようやく追いついてきた」というのは、商業記事ゆえの煽り文句であって、事実とは数千光年も離れた表現だと思います。
まぁボクが以前は3Dエンジンのプログラムをしていたから言うわけじゃありませんが、日本のライターさんは技術にうとい人が多いから、ついつい「欧米は技術が高い。日本は技術が低い」という安直なイメージで物を書きがちなんですよね。技術的な話は、機密保持契約に触れやすいから、積極的に表で話しにくい。だからおかしなイメージが広がっても、現場の技術者が手を挙げて、否定することが難しいんです。
ボクが聞き及ぶ限りでも、大手以外にも、中小の開発スタジオが自社のエンジンを持ったり、エンジンを共有化することは、そんなに珍しい話ではありません。共有化というより、使いまわしといった方がより正確かもしれませんが。小さな所ほど、開発に余裕がありませんから、1からツールやエンジンを作り直したりせず、同じエンジンを使っていたりします。
そういう誤解を招きがちな表現はありますが、ゲーム会社の技術紹介記事は基本的に好ましいです。誤解が早く解けて、正しい日本のゲーム産業の力が多くの人に理解されるといいですね。技術面でも「日はまた昇る」と言われれば、素晴らしいことこの上なし。
Posted by amanoudume at 2006年09月12日 00:15 個別リンク