XBOX360の動向がなかなか面白い結果を示していますね。
北米ではたった数時間で数十万台のXBOX360が売り切れた一方、日本ではなかなか厳しいスタートを切り、一部の人々からは発売して数日で「惨敗」扱いされています。
日本で初週売上が低調だった最大の理由は『DOA4』が延期したせいでしょうが、仮に『DOA4』が間に合っていても、せいぜい初代XBOXと同程度の売上だったと思います。XBOX360を買った他の誰と話しても、「3月に延期して、日本の分を北米に回せばよかったのに」と言うのですが、マイクロソフトは日本戦略で大きな判断ミスをおかしました。
まぁファミ通のインタビューで、丸山氏は「3月までが長いローンチ」と語っていましたが、ソフト開発の状況がシビアで、本体の発売を3月に延期すべきだというのは日本側ではわかっていたのかもしれません。ただ、日欧米3地域同時に展開するという米国本社の方針には逆らえなかったんじゃないか、と思います。
発売を焦って失敗するというのは、去年のPSPもそうでした。ゲーム史上最大規模の初期不良騒動を引き起こし、その後のネット上のアンチソニーモードを決定付けたのは、わずか1年前のことです。ゲーム機メーカーの競争が激しくなるのはいいのですが、どうも最近はチキンレースの様相を呈していて、事故を起こしてユーザー、小売店、ソフトメーカーを派手に巻き込んでますね。
「驕り」「緩み」といえばそれまでですが、ゲーム機メーカーは「ゲームが黙っていても売れた時代」の感覚がまだまだ抜けていないのではないでしょうか。今の日本市場で新しいゲーム機を立ち上げるのに一体どれだけのエネルギーを必要とするのか。ちょっと甘く考えすぎでしょう。
任天堂にしても、ゲームボーイミクロは初週こそ好調だったものの、結局スーパーマリオ人気、ファミコン広報で売れただけで、その後はやや低い水準で推移しています。まぁ完全な新ハードであるPSP、XBOX360と同列に論じるわけにはいきませんが、「ファミコンIIコンバージョン」のフェイスプレートの件といい、DSの成功に油断した「驕り」「緩み」がゼロだったとは言いがたいでしょう。
●すーきー’s キングダム: ミクロユーザーをマジで舐めすぎ!! (*゚Д゚*)ゴルァ!!
●わぱのつれづれ日記: ゲームボーイミクロ用オリジナルフェイスプレート 「ファミコンIIコンバージョン」引き換え開始のご案内
話はゲーム機メーカーに限りません。ソフトメーカーにおいても同じ。年末の風物詩となりつつあるバグ騒ぎ。これも「驕り」「緩み」の表れでしょう。個人的な考えを述べれば、ハードでも、ソフトでも、新しい商品には「緊張感」がほしい。どれだけ全力を込めて作った自信があっても、本当に世の中に受け入れてもらえるかどうか、不安半分、期待半分で、発売前日の夜を眠れずに過ごす。新しい商品を世に出すというのは、そういうことでしょう。「売れて当然」という高ぶった気持ちが大半を占めるような商品は、決して新しいとは言えません。
しかし日本の悲惨な状況とは対照的に、北米ではXBOX360への熱狂は持続しています。実際、「日本で余ってるなら俺たちに売れよ」という声が。
●『日本ではXBox360 が売れ残っているらしい!』と報道する米国のメディア
●ABAの日誌: 余っているなら俺たちに売れよ360
日本での360ローンチの惨敗っぷりは海外にも伝わっているが
Why not send fewer units to Japan so you can SEND THEM WHERE PEOPLE ARE WAITING IN LINE TO BUY THEM?
なら日本に送らないで俺たちに売れよ!っていう叫びが。本当にUSだと足りてないんだなあ。ここまで温度差があるのはすごい。
そういう意味では、世界戦の状況はあまり変わっていません。ただ、日米の市場の違いがますます明確になったのは確かです。
うちのコメント欄にもいくつか投稿がありましたが、日本市場では「携帯機が伸び続けて、据置機は衰退する」という意見が日増しに強まっています。実際、DSは先週、実売30万台を超え、累計400万台を楽に突破し、年末年始で累計500万台もあり得るという勢いです。
また、名無しの芸能観察記「テレビでゲームする時代の終焉」で指摘されているとおり、1997年にはソフト市場全体の1割強にすぎなかった携帯ゲームが2004年には3割を超え、今年はさらに拡大して4割に近づきつつあります。
XBOX360の不調は、マイクロソフトのミスによるものが多いとはいえ、HDTVの普及がまだまだこれからなため、魅力が薄いという見解もあり、十分な説得力があります。また今時のゲーマーがゲーム機に出してもいいと考える価格は、それほど高くないでしょう。次世代据置ゲーム機は、現世代機ほどのスピードでは普及しないという見解が多いのも自然です。
一方、北米では11月の売上を見るとDSとPSPを足してもGBAに勝てない状況で、次世代携帯ゲーム機が盛り上がっているとは言えません。 XBOX360 の熱狂的な人気を見ても、「HDTV+次世代据置ゲーム機」への期待感は日本よりもはるかに高いといえます。 日本市場を重視しなくてすむ海外メーカーと違い、日本と海外を両方考慮しなければならない国内のソフトメーカーには非常に頭が痛い状況でしょう。しかしまぁ、日本が携帯ゲーム、北米が据置ゲームという構図は、ボクが以前から主張している「天下二分論」にも繋がります(シェア争いはこれからですが、市場動向という点では下地はできつつあります)。
それよりなにより、映画などのハイエンド・エンターテイメント(据置機)は最終的に米国が強く、日本はよりミニマムなエンターテイメント(携帯機)が強い、という構図がゲームの世界でも確立してしまう。これもまた文化的必然なのであろうか?という思いも少し。
とはいえ、現実の市場は少し慎重に見ていかなければならないものです。北米市場は9月以降、3ケ月連続で大幅な前年度割れを起こしています(9月は前年度比20%減、10月は24%減、11月は18%減)。11月についてはXBOX360の供給不足が主要因といえますが、PSPの失速などはアップルの iPodに食われたと分析できます。そしてポータブルを制したアップルは、来年はいよいよリビング向けの製品戦略を加速させると予想されています。
●デジモノに埋もれる日々: 「アップルの次の一手は何か?」だけで十分に話が弾む人たち
●デジモノに埋もれる日々: 遂に来るのか「ステレオラックiPod」 - MacWorld で何かがある?
北米の上流マーケットでは、来年末に「XBOX360 vs PS3 vs アップルのリビング向け新製品」の競争が起こる可能性があります。アップル次第では、北米の据置ゲーム機の未来にも変化が出てくるでしょう。
また、日本ではゲームに疲れたゲーマー層とライトユーザーを中心に「軽いゲーム」が好まれていて、DSソフト市場がにぎわっていますが、『nintendogs』『マリオカートDS』『おいでよどうぶつの森』と、据置機クラスの質と量を備えたソフトが要所要所で存在感を発揮している点は見逃せません。
新しいインターフェースを使ったミニゲーム集は最初の食いつきは良いものの、ユーザーが徐々に慣れてくれば、新鮮さは失われていきますし、2本目、3本目のソフトでは少し濃いものを遊びたくなるのは自然なことです。DSはミニゲームばっかりという見解は、まともに市場を見ていない人の早計な結論でしょう。
わずか1年の間に、市場の嗜好性にも変化が起きているわけです。プラットフォームごとの性格を分析するだけでは不十分で、ライフサイクルの中でユーザーの求める物の変化を考えなければ、マーケットを十分に理解することはできません。
コメント
あんま関係ない話ですが。
Xbox360のユーザーインターフェース(ブレードだけ)ってMSが全く新しく独自に考え出した(珍しい!)のもののはずですが、構造とか階層がいまいち直感的でないような、気がします。
このへん「MSセンスないな」と思ってしまいました。
エクセルの最初みたいな衝撃力が欲しいとこだなー
あと、Liveアーケードやマーケットプレースから、楽しいゲームの体験版やらちょっとした映像やらをガンガンダウンロードして遊べたりするんで、購入したユーザーは今までにない面白さを味わっているのかもしれないけれど、このへんがMSのCM戦略を通じてはまったく伝わってこんなあ。
でもプロレス・・・すげー楽しみ。
マニアの巣窟になるかな(^_^;A
投稿者: 永遠の三等兵 | 2005年12月17日 10:07
>永遠の三等兵さん
頑張ってるんだけど、微妙・・・・って感じですよねえ。UI周り。
Liveは良いですし、ダウンロードも「これは良いね」という意見をよく聞きますけど、戦略が微妙すぎるというか。わかりにくいのがねえ・・・。ゴールドとシルバーの違いが不明瞭ですし。
ゴールドはマッチングあり、シルバーはマッチングなしだと思ってたら、リッジはシルバーでもマッチングできますし。で、「シルバーでもマッチングできるタイトルってどれよ?」と思っても、どこにも情報が載ってないわけです。
まぁ「ゴールドになってくれればいいんですよ!」ってことなんでしょうが。あとゲーマータグ変えるだけで、ポイント取られるとか。なんつーか、微妙に「お金を払わせようとしてる」セコさ、うさん臭さが漂っていて、損しているなあ、と。Liveの登録も、郵便番号(7桁)とか、個人情報を打ち込ませすぎ。
機能は良いんだけど、「簡単」「安心」「無料」というわかりやすい任天堂のWi-Fi Connectionの対極を地で行っているのが。ネットゲームサービスについては、おいしい所を全部かっさらわれた感じがします。
まあ本来なら旧セガハードのシェアを確立すべきで、アキバに体験会場を開くべきなのに、青山にあんな物作ってますからねえ。すべてのオタクはここに集まる!的なハードを目指すべきなのに。
>NWさん
メールアドレスが虚偽なようなので、掲載不許可とさせていただきます。ご存じないかもしれませんが、ブログへの投稿では、大抵IPアドレスもログに残りますので、悪ふざけは程ほどに。
過去にもこのISPからの迷惑コメントを受け取っていますが、同一人物でしょうか? 暇があったら、同一サーバーかどうかぐらいは調べられると思います(例えば、県ごとにIPを振り分けているISPであれば)。もしそうであれば、複数回の迷惑行為ということですから、ISPへの問い合わせ等も検討したいと思います。
投稿者: DAKINI | 2005年12月17日 14:30
>なんつーか、微妙に「お金を払わせようとしてる」セコさ、うさん臭さが漂っていて、損しているなあ、と。
360の周辺機器の詳細がでたときもそんな事言われてたね。
どれも微妙に値段が高いって。
しかも他社が周辺機器を作るにはライセンスとらないと駄目で、たっかい純正品を売るためなんだろうなと思ったりしたよ。
>まあ本来なら旧セガハードのシェアを確立すべきで
セガハードにはセガファンがいたわけで
MSハードにはこれといったファンはいないと思う。強いて言えばDOAファンくらいか。
そういう状況でセガハードのシェアを確立するのは到底無理かなと。あくまで日本市場の場合ですけどね。
投稿者: JON | 2005年12月18日 12:33
> セガハードにはセガファンがいたわけで
> MSハードにはこれといったファンはいないと思う。
そりゃ、どんなハードだって、最初はファンなんてゼロですよ。米国ではそこを作っていけたけど、日本ではやれてないだけ。「現時点でファンが少ない→この先もシェアを取れない」は何の論理性もありません。
XBOX360はマニア層向けなのに、単純に日本のマニア層が好むランナップさえ、揃ってないのが1つの問題。例えば、ギャルゲーでさえ、DC→PS2と流れてしまった。
まぁXBOX事業部の人たちは「ファンを育てる」と数年間言い続けて、ほとんど育てられていない(的外れなことばかりしてる)のも事実です。
投稿者: DAKINI | 2005年12月18日 13:09
まま、MSの連中が既に勝ったつもりで事を進めているってのは、なんか感じるし、米国ならまだしも日本でも同じ調子でやったら、そりゃうまくはいかんでしょう。
Liveなんかは、明らかに出来ることなのに、自社プロダクトなんかとの兼ね合いで封印してあるところもあるし。そういった制限下での完成まで持って行くにもメディアセンターやビスタといったPC側のプロダクトがちゃんと揃ってこなきゃダメっていうところでしょうねぇ。
それにわかりにくいのも同感で、セコい以前にMSKKの連中もよく理解できてないんじゃないでしょうか(?_?
そそMSのサポートに電話すると360を起動しながら確認してるみたいだしなぁ。
2ちゃんとか見てるとGKの連中もスベってるような気がするし、GK=ソニー(いや、無理やり(^_^;)だとすると、賢いソニーに理解できないものがMSKKに理解できるはずも無いと・・・
そうすっとPS3も不安になってくるのですが・・・そーいうソニー製ですから(^_^;
ってリンク先読んだら。
360のサウンドビジュアライザーってJeff Minterが作ったの?ヽ(`Д´)ノ
GREAT! AWESOME!
うーん、愚民には売れないわけだ(^_^/
買ったオレは勝ち組。
でもジオメトリウオーズもミュータントストームもまた体験版がクリアできないorz
---ズマはクリアしました。
投稿者: 永遠の三等兵 | 2005年12月19日 21:00
DSが週間40万台を超えて、
月間販売数が100万台を楽に越えそう。
国民機としての地位を不動にしましたね。
ニンテンドーDS、12月の月間販売台数100万台突破確実
http://ameblo.jp/sinobi/entry-10007298227.html
年末、そして年始に向けて
http://ristretto.blog15.fc2.com/blog-entry-179.html#more
投稿者: ゲッコー | 2005年12月22日 07:20