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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年04月16日

小利口と蛮勇と

ビジネスの世界はマイクロソフトの猛攻を率直に評価

マイクロソフトとの競争激化懸念で、ソニー株が6日続落
営陣刷新で、一時期は持ち直していたソニー株が6日間も続落。
ソニーの今後の成長においては、ここ数年精力的に推進していたCellの成否が重要な判断材料になるみたいですね。Cellは元々、プレイステーションシ
リーズの莫大な需要をてこにして、デジタル家電への搭載を狙っていたもの。最初の大きな需要PS3が順調に立ち上がらなければ、Cellビジネスそのもの
が大きく揺らぎます。
そういう理解が株式市場にある中、このところのマイクロソフトの猛攻はソニーにとって大きなマイナスと判断されたようです。記事中にもあるように、坂口博
信氏という固有名詞よりも、「FFの生みの親」というわかりやすい言葉が大きなインパクトを与えました。そして、それはかつて、ソニーがタイトルとクリエ
イターを引き寄せて、任天堂からトップの座をうばった出来事のメタファーにもなっています。

タイトルかクリエイターか
マイクロソフトは今回、タイトルとクリエイター両方ではなく、クリエイターを取り込みにかかりました。その点が弱いといえば弱いかもしれません。けれども ねえ、最近、「続編が多すぎる」「ゲームに飽きてきた」という意見があちこちで立ち上がっているわけですよね。ですから今回マイクロソフトがあえてクリエ イターを重視したのは、むしろ「続編の呪縛」からクリエイターを解き放ったと いうポジティブな見方が普通でしょう。 単純にタイトルを金で囲い込む戦略がうまくいくとは限りません。我々は現にPSPという実例を見ているわけです(そのあたりの事情は、切込隊長のネットラ ジオでの暴露話で明らかにされました)。まぁ他にも「ソウルキャリバー3」がマルチプラットフォームからPS2独占に切り替わった裏で、色々な憶測と噂が 流れているわけです。北米において、GC版がPS2版に並んですごく売れましたからね。お金でタイトルを囲うのが大好きな企業がうごめいた、という憶測と 噂が流れるのも自然なことでしょう。しかしそういう戦略がいつまでも通用するのでしょうか? タイトルを囲い込むのが賢明で、クリエイターを囲い込むのは「バカ」。はたしてそうでしょうか? 例えば、北米において圧倒的な成功をおさめた 「Halo」シリーズ。これを手がけたBangie は名のあるタイトルをもっていたスタジオではありませんでした。元々PCゲームを開発していたスタジオで、コンシューマーの経験も浅い。しかしマイクロソ フトはあえてそのスタジオに、初期の大きなタイトルをまかせました。それは一見とても「バカ」げて見えました。発売当初はGCとXboxではGCが有利と いう評判があったのです。しかし結果として「Halo」は大ヒットにつながったのです。 一方、多くのユーザーが知っている「名前」「タイトル」を前面に出した、利口なはずのGCは北米で完全に失敗しました。企業ではなく人、といってクリエイ ターとのコラボレーションを強調しながら、出てくるのはかつての自社タイトルばかり。クリエイターよりも「タイトル」を取った小利口な戦略は、新規ユー ザーも食いつかず、旧来のファンも失望する結果に終わりました。
「小利口」の敗北と「蛮勇」の勝利
ボクは思うんですが、「小利口」な戦略を取り続ける限り、競争は小 利口な結果にしかならないのです。小利口な選択をするなら、トップシェアのハードにだけソフトを供給し続ければいいわけですし、ユーザーだって一番安心で す。今現在強いやつ(PS2)がもっと強くなって、今現在弱いやつ(GC)がもっと弱くなる。台数シェアという点で、現世代機の競争はまさしくそれを証明 したのです。 ファミコン20年の歴史において、ゲーム機競争で敗北する企業は、1歩踏み込むべき所でその1歩が踏み込めず、小利口な選択をしているのです。勝利あるい は大きな成果をあげた企業は、肝心の1歩を踏み込んでいるのです。その1歩をして「蛮勇」と呼ぶ人もいるでしょう。もしかすると別の言い方、「クリエイ ターの名前なんて、ライトユーザーには訴求しない」という言い方をする人もいるかもしれません。北米でBangieは知る人ぞ知るスタジオから出発しまし た。今でも開発者の名前はほとんどの人が知らないでしょう。しかし今や多くの人が「Halo」の名前を知っています。 小利口な選択をした任天堂も、市場の鉄槌を受けて、性根が叩き直されたのか、DSでは「蛮勇」ともいえる大胆な選択をしました。その結果はみなさん、よく ご存知でしょう。スマートなビジネス、スマートなソフト戦略だったはずのPSPはどうなりましたか? もちろん「蛮勇」が常に勝つわけではありませんが、 しかし通ぶった小知恵をはたらかせて、「小利口」だけを評価するすれた人間、すれた業界人にはなりたくないものです。 Posted by amanoudume at 2005年04月16日 03:43 個別リンク
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Listed below are links to weblogs that reference '小利口と蛮勇と' from 発熱地帯.
メーカー経営についての雑感
Excerpt: 直接は関連しないのだが、発熱地帯ブログに触発されて書いてみる。雑感なのでまとまってないかもしれないが
Weblog: 技術屋稼業@サラリーマン
Tracked: 2005年04月17日 15:24
今の【少女】漫画について思うこと場外戦「総論反対、各論反対」
Excerpt: 売れない漫画誌 作品の複雑化が要因、新人育成に障害 今の少女漫画について想うこと 今の少女漫画について想うこと? 今の【少女】漫画について想うこと? の場外戦。 まさにタイトル通り(それでは総て反対じゃないの?ということなんだけれど)、問題意識は同じなのに...
Weblog: 冬枯れの街
Tracked: 2005年04月26日 13:00

コメント

BangieはMacの名作FPS「Marathon」を作ったPCゲーの世界では古くから有名なスタジオです。
HALOもあのBangieが作る久々のFPS、しかもWinとMac同発ということで鳴り物入りで発表。
FPSファンからの圧倒的な反響や期待が当時からあったんです。
そのリアクションを見たMSがしばらくしてBungieごと買収してXbox独占販売にしたわけです。

誤解のないような書き方をしたつもりですが、それでもやはり
予想したレスがついてしまいましたか(笑

知る人ぞ知るスタジオ・・・PCゲームをよく遊んでいる人々なら知っているスタジオ

という意味です。

名作を作っている良質なスタジオだったのはもちろん知っていますよ。
古くからの読者ならご存知でしょうが、ボクはXBOX発売当初から
「Halo」やBangieの話題にふれていますしね。

ここでポイントなのは、それがマニア層に知られていた名前なのか、
幅広いユーザーに浸透していた名前なのか、ということです。

期待といっても当初はマニア層からのものでした。
それがあれだけ広範なユーザーに浸透し、大成功をおさめたわけです。
マイクロソフトは当初、マニア層を橋頭堡にして、その後米国市場で
「Halo」をブランドとして高め、あれだけ多くのユーザーを獲得したわけです。

つまり、今回の日本での戦略も、同じ結果になりえますよ、ということです。
クリエイターの名前を知っているのはマニアだけかもしれませんが、
それはマイクロソフトの成功を否定する材料にはならない、ということですね。

>DAKINI様

一応BangieとHALOとMSの関係を一言書いておこうと思いまして
無粋な突っ込みをしてすみませんでした。

今後とも良質なエントリー楽しみにしております。

いえいえ・・・。
Keeさんと同じツッコミをしたい人も
おそらくいらっしゃるでしょうし、
結果的に、良い補足になりました。
ありがとうございました。

正直、?ですね。
北米のGCとXBOXの勝敗を分けたのは、単にアメリカ人が好むFPSゲームの最高のものがXBOXにできたからとしか思えません。
PSに対して北米では健闘していたN64の時も、ゴールデンアイ007等がありましたが、GCでは最高のFSPを用意できなかったためにシェアを奪われただけなのではないでしょうか?

任天堂の自社タイトルが軒並み販売を落としたのは紛れもない事実。
また任天堂がchildishというイメージが強まったのも同時期の現象。

ではなぜ「最高のFPS」を用意できなかったのか?そこが問題なわけだ。

自社の続編としてFPSを開発させた任天堂と
マニアに定評のあったディベロッパーに開発してもらい、
新しいタイトルを開発したMS。

その姿勢が結果に現われた。
ゴールデンアイ007も版権付とはいえ、レアにとっての新作タイトルだった。

保守的なチャレンジャー(言葉からして矛盾してるw)が負けるのは当然でしょうな。
任天堂のGC然り、ソニーのPSP然り。

名のあるクリエイターが問題と言いますが、それだけではないでしょう。
その人物だけを見ると、空虚な看板に思えるのかも知れないけど、その周辺の人材、人脈、ノウハウを、どちらがどの程度掌握するかも重要でしょうね。
 結果的に要人が居なくなった場合、前の組織のコピー体制といえども、容易には再建できないでしょう。(同様の方針を理解できる、めぼしい新人が居なければ劣化コピーになるわけですし)
 首に縄を付けられるわけもないので、風通しと、待遇と人心掌握に優れた側を選びますよね、それを納得した上で、将が移籍したののならば、やはり大きい事なのかも知れないですね。

http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050411/xbox.htm
この記事が出てから、MSはソニーに勝つ事しか考えてないと難癖をつけてる所があったが、
いずれもGKと妊娠ブログなんだよな。

ソニーはPSPで任天堂に勝つ事しか考えてなくて、新規タイトルよりもPS2タイトルの移植に走った。
任天堂はソニーに勝つ事しか考えてなくて、自社タイトルを安売りしてGCが失敗した。
その点には触れないのが何ともね。。。

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