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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年03月26日

外道、堕つ

(2006年7月6日追記。
ボクは記事が増えすぎると管理が面倒なので、半年、1年経過した時点で、一時的な話題、ニュース、時事的な話題のエントリーは消して整理しています。ただ、この記事は読みたいという方もいらっしゃったので、復活させました。

ソニーはPS3で振動を外しました。小島監督のようなクリエイターがその決定を批判しています。本当の理由は、裁判で負けたからだ、という推測が非常に有力です。そういう視点で今あらためてこの記事を読むと、当時もっと多くの業界人が適切な批判をしておけば、ソニーがその批判に耳を貸していれば、「振動を外す」という最悪の選択をしなくてもすんだのではないか、と痛感します。)


米連邦地裁、プレステ販売中止命じる ソニー側は控訴へ

ブラボォー!!
イマージョン社がソニーによる特許侵害を訴えた裁判で高らかに勝利。特許侵害企業ソニーは、PSとPS2の販売差し止めと約96億円の損害賠償を命じる判決を受けました。イマージョン社は振動コントローラやフォースフィードバックコントローラの技術を積極的に開発し、ゲーム業界に多大な貢献をしてきた企業。DirectXにも採用されており、少なくともハードメーカー程の規模の会社であれば、存在を知らないはずがありません。

今回の特許はサブマリン特許的なものではまったくありません。最近の「過剰な特許訴訟」を嫌気するムードを利用して、この悪辣な特許侵害を正当化・擁護しようとする人々が一部にいますが、そういう人々に騙されてはいけませんね。悪質な捏造を許してはならない。

昨年、DSの発売時期にあわせて、あるいはPSPの初期不良の発覚にあわせて、ゲーム開発者のBLOGがいくつも立ち上がりました。それらは当然のように「GKのBLOGではないか?」と疑いの目を向けられたわけですが、彼らは必死になって「そうじゃない」と否定していました。

もっとも、中には「管理人」としてコメント欄に書き込んだ際、会社のIPが表示されて、正体が露見していたBLOGもありました。どことはいいませんが、滑稽でしたね(つーか、自分の使っているBLOGがIPを表示するタイプかどうかも知らんで使ってたというね・・・・)。新規BLOGの中には、年が明けてから物の見事に1度も更新されていなかったり、ほんの1、2回更新しただけで、やる気を失ったとか何とかつぶやいている所もあります。

そういうBLOGの一群が、実際に特定の企業に所属している人物によって書かれたかどうかは問題ではありません。別段、会社員がBLOGをつけてはいけない、という法はないですから。しかしネット上の騒ぎに乗じるためだけに、そんな時だけ頻繁に元気よく更新するようなBLOGを、その書き手をはたして信頼できるでしょうか? 継続は力であり、何より雄弁だと思います。

なぜこんなことを書いたのか。それはゲーム機の進化に対して多大な貢献をしてきた企業をおとしめるBLOGが出てくるのではないか、と心配しているからです。イマージョンに対しては、同じハードメーカーの任天堂も、マイクロソフトも快くライセンス契約を結んでいます。サブマリン特許とは違い、知らなかったでは済まないのですよ。
いまやゲーム産業は成熟し、技術も高度化しています。ゲーム産業だけでは、ハードにしろソフトにしろ、先進的な技術の開発はおぼつきません。周辺の、外の産業の人たちから力を借りなければいけません。手を取り合う必要があります。そうすることで、ゲームに新しい技術を導入して、ユーザーに新しくて楽しい体験を提供できるわけです。

よく想像力を働かせてみましょう。
ゲーム産業の外に非常に技術力のある会社があったとします。それはセンサーの技術が優れている会社かもしれませんし、出力デバイスの技術が優れている会社かもしれません。そうした会社には、今回のソニーの行動はどう見えるのでしょうか? ゲーム産業はどう見えるでしょうか? ゲーム産業の会社や人々が、勝手に自分たちの技術をパクり、何年にもわたっていけしゃあしゃあと販売を続け、巨額の利益をかすめ取り、そのうえ「これだからサブマリン特許は・・・・」とか「この特許だったら、なんでもかんでも引っかかる『気がする』」とか「だからアメリカは・・・・」とか、つばを飛ばして悪口雑言を繰り広げる。

技術泥棒がでかい顔をし、擁護される世界に発展があるでしょうか? そんな外道な所業が許されるなら、誰も新しい技術をゲーム産業に提案しようとは思わなくなるでしょう。

よみがえる過去

今回の振動コントローラの1件が根深いのは、任天堂がN64で先に発表した「振動パック」を、SCEのPS振動コントローラがパクったといわれていたからです。かつて良心的なゲーマーが声高に指摘しましたが、現実の競争の中でかき消えてしまいました。

まぁ娯楽の世界の競争というものは、所詮売れた者が勝ちます。負けた者がウダウダいうのはみっともない。ですから任天堂は特に騒ぎ立てませんでしたし、すべては良心的ゲーマーの記憶の中に、ゲーム業界の歴史の底辺に刻まれるにとどまりました。競争はシビアなものですから、ある時期において、そういうことが起きるのは仕方ないでしょう。

それが今になって、こういう形でソニーに鉄槌が振り下ろされた。これだから世の中は面白い。因果応報。ソニーは今、PS1、PS2と続いたソニーの10年のツケを払っているわけです。

10年の清算を迫られているソニー

PS2においては傲慢の極みに達し、開発環境をおろそかにした結果、マイクロソフトにつけいられる隙を作ってしまいました。北米ではXBOX2への支持が予想以上に大きくなりましたし、烏合の衆にすぎなかったマイクロソフトスタジオは独立したクリエイターと協力することで、有望な戦力に変化しました。

暴走ぎみだった半導体工場への投資は、いまやソニーの経営陣が回収に悩まされるお荷物となりつつあります。PSシリーズだけで楽に回収できるはずだったのに、PSXやPSPの失敗によって、他の用途で埋めなければなりません。もはや、計画当初に想定していた「想像上の利益」は無残に崩れ落ちました。

ソニータイマーへの潜在的な怒りに火がついたからこそ、PSPの初期不良は大きく騒がれたのです。それまで故障の多さを放置してきたツケを払ったわけです。つながらないサポートセンターにしても、ふだんから体制を整えていなかったから、いざ事が起こると、とんでもないことになったわけです。この10年間、誠実なユーザーサポートを怠ってきた結果、ああいう騒ぎになりました。

ソニーは昨年来、10年の清算を迫られているといえます。
結果的に経営陣はほぼ総入れ替えになりました。
ゲーム部門に限っても、悪質なパクリ、特許侵害、楽観的すぎた投資計画、怠惰な開発サポート、ユーザーをないがしろにした品質管理とサポート、・・・・。競争を「戦争」にたとえるなら、まさに数々の「戦争犯罪」が表面化し、ソニーに裁きの鉄槌が下っているのです。

戦犯の王は失脚し、敗残兵の王となった。戦犯の王、久多良木氏は失脚しました。社長の最有力候補だった人物が、じつに無様に階段から転げ落ちました。みなが失笑し、冷笑し、嘲笑しました。もはや古巣のSCEに逃げ帰り、PSPの失敗の責任でさらなる鉄槌が下るのを怯えつつ、XBOX2にPS3のシェアを奪われていくのを見つめるしかできない。彼が帰った場所はもはや処刑を待つ囚人たちの群れ、滅びをおそれる敗残兵の群れでしかない。敗残兵の王が何をわめいたところで、もはや歴史の大局は変わりません。

PSPの初期不良と盛大な失敗は鉄槌の第一撃、そしてイマージョン社による特許侵害訴訟は鉄槌の第二撃です。さあ次は第三撃、そして第四撃が振り下ろされます。ズタボロのミンチになるまで、さらなる鉄槌が、さらなるさらなる鉄槌が、振り下ろされるのです。鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌、鉄槌が、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされて、振り下ろされるのです。

かつて任天堂という会社が増長し、慢心し、ファミコン、スーパーファミコンと続いた10年の清算を迫られました。
10年分の鉄槌を振り下ろされ、据置ゲーム機のシェアを失い、惨めに、ぶざまに、滑稽に、据置ゲーム機の競争で今なお敗北を続けています。

では、この10年の鉄槌が振り下ろされるソニーには、どれだけ惨めで、ぶざまで、滑稽な運命が待受けているのでしょうか。
ブラボォー、ブラボォー!
さあ清算だ、清算だ。
愉快で滑稽なショウタイムはすでに始まっています。

Posted by amanoudume at 2005年03月26日 20:11 個別リンク
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