梅田望夫・英語で読むITトレンド
「米国のITエンジニアが直面する厳しい現実」
多少長い引用になりますが。
> アメリカという国は、好むと好まざるとに関わらず、変化をどんどん受容していく
> 体質を持つ。だから、誰でもできる製造業が空洞化したように、誰でもできる
> プログラミングを、国内の雇用維持のために残そうなどというドライブは働かない
> そしてこの厳しい雇用トレンドは、情報サービス分野に限らない。スタートアップ
> の世界でも「80%ルール」というのがある。エンジニアリングチームの80%を海外
> にもっていきコスト構造を下げることを投資条件とするベンチャーキャピタルの話。
> こうした緊張感の中からしか、高コスト構造でも見合う新しい雇用を含む新し
> い産業は生まれない、それが先進国の宿命なのだ、というのが米国の流儀な
> のである。
これはシリコンバレーの話だが、ゲーム産業においても同様のことが起こると思う。
娯楽に関しては”地域主義”という考え方があって、つまりその地域の市場の大半は、その地域の文化・嗜好性が強く反映された作品が占めることになるから、
その地域の人間が作ったほうがいいという理屈である。
まぁこれは確かにもっともな話ではあるので、だからシリコンバレーのITエンジニアほど、米国のゲーム開発者は追い詰められないとは思う。とはいえ、彼ら
の人件費は高いし、開発人員も単調増加しつつある。
そういう状況で、彼らがこれからどうなっていくのか。現時点では、北米市場の活況にともない、日本のゲーム会社が現地に開発スタジオを設立したり、拠点を
強化しつつあるので、雇用は余裕があるのかもしれない。
しかし英国でいくつもの開発会社がパブリッシャーから切り捨てられているように、時代のニーズに合わない開発会社はこれからシビアな現実に直面することに
なるのだろう。そこには、安易な米国優位論の入り込む余地など無い。
(この記事は旧サイトから掘り起こしたものです。元々は2003/11/11(Tue)に書いたものです)