最近の記事
カテゴリー
過去ログ
検索


このサイトについて
このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年07月16日

実は俺、プロモーションって言葉が大嫌いなんだよ

ゲームのマボロシ 「生活浸透型ゲーム(3)これからどんなゲームを作るべきか」
あれれさんがひさしぶりに更新しておられました。おおむね同意できる、よくまとまった記事だと思います。ボクみたいに煽らないし(笑、この内容と書き方なら、スッと納得できるという人も多いのではないでしょうか。
内容についてはリンク先をご一読いただくとして、これから先は本筋に関係の無いツッコミです。

(なんか誤読する人がいたようなので一応断っときますが、あれれさんの記事の大意には同意していて、瑣末の部分にすげー違和感をおぼえてるわけです。で、同意の部分は「禿同」の一語で済むんですが、違和感のある部分は長くなっちゃうんですね。)


比較する意味がわかりません

なぜ興味深いのかと言うと、一般に本編マリオよりも、マリオカートの方が売れるのが、過去のプラットフォーム(SFC、N64、GBA、GC)での実績だったからです。ですので今までの傾向に基づくと、Newスーパーマリオの売上は、マリオカートDS並に落ち着いていたはずです。そして実際遊んでみても、NewスーパーマリオとマリオカートDSは、ほぼ同レベルの仕上がりだと感じます。
■売れるソフトの要因その1:プロモーション 僕は両者の違いの1つはプロモーションだったと考えています。特に松島奈々子を起用したCMです。恐らくCM投下量も両ソフトには差があったはずです。
すげー違和感。 ジャンルも、1人用メインか対戦メインかも異なる「マリオ」と「カート」を比較。あれこれ語って、結論がプロモーション。それって、どうなんですか? まさか「Newマリオ」と同規模のプロモーションを打てば、「マリオカートDS」も「Newマリオ」と同じだけ売れた、という見解なんでしょうか?

大体、その「実績」と称された恣意的なデータは何ですか? 「Newマリオ」に関して本編マリオを持ち出すなら、そのコンセプトから言って、初代も持ち出さなければ無意味です。もっともファミコン時代にはマリオカートはまだ存在していませんが。だから比較は無意味なんですよね。

比較するなら、同じシリーズで比較した方が健全だと思います。初代とマリオワールドを比べて、「何故お客さんが半分になったんだろう?」とか、「Newマリオはマリオワールドぐらいまでお客さんが戻ってきそうだ」とか。マリオでいえば、最初はただ右に行くだけで良かったゲームが左へ戻れるようになったり、アクションが複雑になったり、わかりにくい物になっていましたよね。2D→3Dでは別物になりましたし、ついていけないユーザーも多かった。そういう所を謙虚に見返したから、2Dゲームで気合いの入った新作を出すという、あまりゲーム業界では類例の無いことをやれたのだと思いますし、操作も思い切ってシンプルに出来たのでしょう。

「カート」でいえば、「何故N64版はSFC版の半分になったんだろう?」とか、「GC版はN64版の半分になったんだろう?」と考える方が健全だと思います。例えば、GC→DSにおける、WiFiへの対応とミッションランはおそらく、そうした流れで出てきたものと推測できます。大人のユーザーは誰かの家に集まってゲームするなんて、なかなかできませんから。

ただ、SFC版との比較でいえば、あれれさんも指摘している女性ユーザーの取り込みが大きいのかもしれません。「女性のユーザーが友達と遊ぶ時の接待ゲーム」としては、今は「マリオパーティ」がありますから。ゲーマーにとっては退屈な作りだと思いますけど、誰でも遊べるという点では優れた面が多々あります(でも最近出しすぎですが)。

DS市場全体のトレンドを言うなら、実はDSで売れているゲームって、基本的に「1人用主体のゲーム」だってことも忘れてはいけませんよね。『nintendogs』『脳トレ』『Newマリオ』『テトリスDS』『ぷちぷちおみせっち』・・・・。携帯ゲーム機って個人の機械、プライベートなものだから、当然といえば当然なんですけど。『どうぶつの森』にしても、あのゲームは本来、タイムシフトのゲームで、異なる生活時間をもった家族がゲームを通してやり取りできる、家庭内掲示板のようなものでしょう。『おいでよ』でWiFiが入ったから、その点が少しぼやけてはいるものの、時間拘束型の対戦ゲームとは違い、同じ時間帯ずっと一緒にいなくてもいいわけです。

DSはコミュニケーション性がクローズアップされがちですが、ゲームデザインの基本構造は多人数同時参加型ではありません。もっとも、それって、ゲームに限りません。電話よりメール。若い世代では、自分だけの時間が欲しいという人が増えている。テレビ番組だって好きな時間に観たい。コミュニケーションもコンテンツもサービスも、時間拘束型よりはタイムシフト型が受け入れられています。


実は俺、プロモーションって言葉が大嫌いなんだよ

あれれさんに限らず、最近ゲーム開発者のブログを読んでいて気になるのは、成功の原因をプロモーションに求める論調が強くなってきたことです。DS、Touch Generations!、脳トレ、Newマリオ、たしかにどれもプロモーションは上手かったと思います。また、あの任天堂のプロモーションが上手くなったという事が、日本のゲーム会社にとって、どれほど驚異的な(脅威的な)ことかはよくわかります(笑

でも、俺、「プロモーション」って言葉、大嫌いなんだよね。うちのブログも、たくさんの記事がありますけど、プロモーションって言葉そんなに出てこないでしょう。開発者がその便利な言葉を使いすぎるのは危険じゃないですか。例えば、僕はNewマリオを女性ユーザー向けにプロモーションするのは違和感がありませんけど、カートDSを女性ユーザー向けにプロモーションしても、Newマリオほどの効果があったとは到底思えません。

何年か前に、コナミの上月社長が東大でゲームビジネスについて講演した事があって、1ついい事を言っていました。SCEや任天堂のようなプラットフォームホルダーとコナミのようなソフトメーカーのプロモーションの予算は全然違う。でもプロモーションは万能ではない。売れるソフトをもっと売れるようにする効果はあるけど、売れないソフトを売る力は無い。

例えば、『もっと脳トレ』は松島奈々子さんのCMが印象的でした。けれどもそれ以前に『脳トレ』は半年以上にもわたって売れ続けていたわけですよ。じわじわ浸透してきた土壌があって、あるタイミングで派手なことをやると、売上が一気に拡大する。これはよく知られた現象です。口コミで広がったゲームの続編が一気に売れるというケースもあります。『三國無双2』が口コミで伸びた後に、『三國無双3』が出ると、そのタイミングでさらに売上が伸びて100万本を超えました。

『脳トレ』の最初の半年間をロケットの第1段点火、松島奈々子さんのCMを第2段点火とみなすのはわかります。けれども、後から『脳トレ』に注目した人の中には、第1段点火のことを見逃している人がいるわけです。そして「松島奈々子のCMのおかげでしょ。結局、金かけてCMすれば売れるんだよ」と真顔で言う。やー、金かけても売れないもんは売れない例は、去年の年末、ソニーが証明してくれたと思うけどな。


オシマイの言葉

確かに今のゲームビジネスでプロモーションを無視することはできません。開発者が作ったものをただ出荷すればいいわけじゃない。けどね、百万言のプロモ言葉を並べようとも、無から有が生まれる事はありません。もし生まれると言うなら、それはクリエイティブじゃなくて、詐欺師の論法ですよ。

まー、ボクも作り手だから、作り手がプロモーションのせいにしたがる気持ちはわからなくもない。特に、売れない時にそういう誘惑にかられますよね。けど、それをやったらオシマイだよ、終わりの終わり。最低の最低。最悪の最悪。
ボクの身の回りでも、ソフトの売上が芳しくない例は過去にあって。で、そういう時に「プロモーションが良くなかった」「プロモーションが少なかった」「会社が売ってくれなかった」という開発者がたまにいるんです。ボクはそういう人たちが実に大嫌いで、一言でいえばヘドが出ます。そういう連中を見ると、「水でも砂でもぶっかけてやりたく」なります。

でも仮にプロモーションしやすい、売りやすいソフトを作るべきなんだとしても、「作る」のは開発の仕事です。開発と広報と営業が協力した方がいいのは確かです。3者が違う方向を向いていたら、うまくいくものもいきません。けれども最終責任は開発が負うんですよ。いくら今が混迷の時期だといっても、そんなことも見失っている人間が少なくないのだとしたら・・・・怖気が走ります。

以前、鶴見さんも同じようなことを書いておられたのを思い出しました。

やっぱり、メーカー/パブリッシャーは、流通関係の方に「強力な武器(商材)を渡している」ように確信させねばならんのだなあ、と、改めて気付かされた次第(もちろん、我々制作に関わる人間は、PR/マーケティングの人間に対して同様に「強力な武器(ゲーム素材)を渡している」ように思わせねばならない――というのは実は、この業界で尊敬する上司2人のうちの1人が云った言葉)。
そういえば、ボクの尊敬する上司も同じような姿勢を貫いています。売れなかった時に開発の責任だと認められること。売れなかった時にプロモのせいにしない。開発がユーザーに届かなかった、と考える。どこの職場でも、尊敬に値する人物は、根幹に通じるものがあるのかもしれませんね。クリエイターの矜持。やっぱり世の中には、どれだけ誘惑にかられたとしても、言ってはいけない、言ったらオシマイになること、作り手としての最終防衛ラインはあると思うんですよ。

最近のDSの大ヒットを取り巻く言説を読むと、10年前のSCEJを思い出します。SCEJはPSバブル→PS2で、最も売上の落ちた会社の1つです。売れていた頃、彼らのゲームには2つの評価がつきまとっていました。「宣伝がうまいから売れているだけ」「遊びやすい、お手軽な感じ。また普通のゲームとは違うゲームも、感性やアイデアが新鮮」。まぁ色々な評価があるとは思いますが、少なくともボクは後者の評価でした。パラッパやクラッシュが宣伝だけで売れたとは思いません。

では何故、今のSCEJは見る影もなく、売上が落ち込んでいるのか。それは、外野のノイズに負けてSCEJ自身が「宣伝が良かったから売れた」と信じてしまったからです。裏を返せば、「売れないのは宣伝が悪い、流通が悪い、ユーザーが悪い」という事になります。

世の中は常に変化しています。売上が落ち込んだり、思ったほど売れなかったり。そういう事はよくあります。百戦して百勝とはいきません。そういう時に、開発者サイドに正しくフィードバックがかかるかどうかが重要。PS2になって、最初つまずいた。それは仕方ない。ただ、もしもそこで「宣伝が悪い」とか「ユーザーが保守的」という理解をしたのだとしたら、そりゃズレはなかなか埋まらないでしょうね。

もし任天堂が同じ愚をおかせば、数年後の末路は知れたものです。成功こそ最上の猛毒の実例となるでしょう。SCEと任天堂以外の大多数のソフト会社、多くのゲーム開発者にしても、「プロモ」「プロモ」と念仏のように唱えるだけなら、そりゃたどり着くのは極楽浄土ならぬ、何とやらでしょうね。いやはや。

Posted by amanoudume at 2006年07月16日 14:12 個別リンク
TrackBack URL for this entry:
http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/301

Listed below are links to weblogs that reference '実は俺、プロモーションって言葉が大嫌いなんだよ' from 発熱地帯.

コメント

ゲームのマボロシのどこを見ても、「プロモーションだけで売れた」だなんて文言は見あたりませんし、その他の要因もしっかりと挙げておられるようですが。

「プロモーション」の一言にカチンときて脊髄反射的なエントリーを書いたとすれば愚かですし、自説の展開に都合の良い部分だけ恣意的に切り取って文意を歪めたとすれば悪質だと思います。


お二方とも「宣伝と中身の両輪が揃っていないと売れない」という当たり前の結論を出しておられるだけに見えるんですけどね、第三者の視点からだと。

>exorさん

勘違いしないでいただきたいです。
別にボクはあれれさんの記事を叩いちゃいませんが。

> おおむね同意できる、よくまとまった記事
>これから先は本筋に関係の無いツッコミです。

と断っている通りです。

ま、「同意している」という部分の文章量と「違和感がある」という
部分の文章量が全然違うから、そう思われても仕方ないかな?
内容は基本的に同意ですから、「禿同」の一語で済むんですよ(笑
長く書く必要が無いんで。

さて違和感の部分については、あれれさんはプロモーションを
成功要因の筆頭に上げておられるし、女性向け云々のくだりも、
「言い切る」「印象」「アピール」といった言葉遣いからすれば、
開発よりもプロモーションを念頭に置いて書いたものと解釈しました。

でも、あれれさんは、最近プロモーション、プロモーション、書く
ようになったなあ、とは思いますが、日々、良質な記事を書いて
おられると思いますよ。

最近、プロモ厨の開発者が増えてきたと思っていたので、あれれ
さん程の人でも、そっちに行きつつあるなあ、と思ったし、ちょうど
いい機会なので記事にしただけのことです。

それこそ100%プロモ厨のブログにリンクすれば、良かったのかも
しれませんが、ナントカにつける薬は無いんで。大体ボクは評価
しているブログにはリンクするけど、どうでもいいと思ったブログ
にはリンクしませんよ。

幸いにしてプロモ厨な開発者に会ったことは無いのですが、「記録に残るゲームよりも、心に残るゲームを作りたいですね」とか言う馬鹿と似たようなもんですかね?

ん〜、プロモには、
売れるソフトを売れなくする力もありますね(笑)

大抵のゲームは発売日過ぎたらパッタリとCMが止む中、脳トレは発売日以後もロングランで続いていましたよね。
ある意味、発売する前に宣伝するよりも、発売してから宣伝する方が非ゲーマー層にはアピール出来るハズです。(CM見てお店に買いに行ったらまだ売ってませんじゃ購入マインドも冷えちゃいます)

また、商品力だけでアピールできるのはゲーマーや店員レベルまででしょう。
ゲームに限らず、「こういう商品があるよ。」という最低限のアピールは必要なわけで、
その最低限すら満たしていないソフトが多過ぎる…からこそことさら「プロモプロモ」と騒ぐんじゃないですかねぇ?

>カリガリ博士さん
> プロモ厨
「心に残る」作品を作りたいだけなら、プロでいる必要はなくて、
アマチュアで作ればいいだけですからね。

「プロモ」という言葉については、本当に心底大嫌いなんで、大枠で
同意している文章でも、細部にそういう腐臭がすると、それだけで
エントリーを1個書いちゃうぐらい大嫌い(笑 今回の記事なんて、
「実は俺、プロモーションって言葉が大嫌いなんだよ」と100回書いた
ようなもんです。

まぁ腐臭の漂う物には、本当は触れない方がいい。触れると、
こっちまで同じ腐臭が漂うから。駄文が駄文を呼びわけです。
駄文に反応して駄文を書く不毛さ(笑 ますますプロモという便利語に
最大の嫌悪感が湧きます。

あまりに便利な言葉なんで、そこで思考停止しちゃうんですよ。
「私はこれから思考停止します」と言うのと同義。わかんないなら、
わかんないと言えばいいんだし、認めたくないなら認めたくないと
言えばいいんですよ。

それにしても、マリオ本編とマリオカートの売上比較という視点が
そもそも議論のための議論の視点です。机上の空論の極み。
そんなの、全然一般的な認識じゃないし。どうしても、その2本を
売上比較したいなら、「カート」が600万本売れてからすればいいん
じゃないの。
よりにもよって初代抜きで、都合よくサンプリングしたデータで語るとは。
議論のための議論の仮定をしたがるのは、ブログ書きの陥りがちな
罠の1つですが・・・・。

まぁどれほど普段、明晰な分析をしている方であっても、「プロモ」
なんつー、便利すぎる言葉に溺れれば、あっという間に空虚空理
空論のお城が出来上がるんでしょうね。

あれれさんのように、普段から物を考えているような人間でさえ、
容易に堕落させるほどの便利さなのだから、ましてや、普段から
大して物を考えてないような人間が使えば・・・・その毒性たるや、
推して知るべしです。

ボクが大嫌いなものは
  ・プロモーションで売れた/売れない論
  ・ユーザーが悪い論

どちらも思考停止を招くからです。ボクが知る限り、こういう事を
真顔で言っている人や、会社はすぐに駄目になりますね。SCEJも
名前忘れたけど、誰だったかくだらない人物が2、3年前にインタビューで
市場が保守的だとか何とか言ってて、案の定、その人の関わった
ものは売上が落ちてたはず。SCEJにはまだマトモな人、健全な人も
残っているはずですから、さっさと思考停止人間を追い出して、
立ち直ってほしいですね。

(あー。そういえば、2年ぐらい前だったか、メイドインワリオと
ビューティフルジョーがGDCのInnovation Awardを取った頃、
うちのブログのコメント欄に降臨して、「メイドインワリオはワリオの
キャラがなければ売れなかった」と言って、キャラ物扱いした人が
いたなあ。まさか、その人、今頃バイトヘルにワリオのキャラをくっつ
ければ、メイドインワリオ並みに売れるとか思ってるんじゃないよな・・・・。
まだSCEJにいるのかな? さすがに今は健全な市場理解、
ゲーム理解をしておられると考えたい。やっぱり謙虚にゲーム
デザインを見つめないと・・・・。)


>BAN/さん

商品の魅力を伝えるのはもちろん大切な事です。プロモーション
そのものが悪いわけではない。

ボクが嫌っているのは、開発者がプロモ、プロモ言うことです。
「商品の魅力→プロモーション」というのが本来の流れです。ところが
流れを曲げて、「プロモーション→商品」というような思考に陥る
罠があるわけです。因果が逆転してるんですよ。

わかりやすく言えば、美少女ゲームを女性に売ろうと思ったって、
無理があるし、ボーイズラブゲームを男性に売ろうと思ったって、
無理があるでしょう。
無いものはできない。無を有にしようと思えば、詐欺になる。そんな
ものはすぐに駄目になります。

ボクはマーケティングは肯定する人間で、「こういう層に売りたいから
こういうゲームを作る」はいいと思います。けれども「こういう層に売り
たいから、ああいうゲームだけど、こういうプロモーションをします」
は大嫌い。

開発の仕事は、因果の上流を作ることです。

因果逆転系の話は、ボクは全部嫌いなんですよ。最近失望した
という意見が増えているスクエニのポリモーフィックコンテンツとか。
因果逆転の話を始めると、やっぱり駄目になるな、と。

(そういえば、Web2.0関連の話で、ボクは噛み付かれた事がある
んですけど、何が一番腹立ったかというと、ボクが書いた記事を
勝手に「因果逆転話」だと電波に誤読した挙句、噛み付いて
きたことですね。よりにもよって・・・・。)

最近絶賛した『涼宮ハルヒ』にしても、あれはプロモーションが凄い
んじゃなくて、原作者とアニメ制作側が仲良く共犯で、あれだけの
事をして見せたわけで。あれは結局は、制作の勝利なんですよ。
だから最後には、きれいにジグソーパズルが完成するわけですし。

今はもう、ユーザーが露骨なのを嫌うわけです。プロモでユーザーを
騙すような事は敏感に見抜いちゃいます。ハルヒなんかは、
ユーザーと共犯関係になろうとしてるわけで。ハルヒの記事を書いてる
ブロガーはみんな、わかって踊ってたわけですよ。作品の中でそう
いうシグナルを出すのが上手かったですね。でも空気を読めない人は
あれと旧来の手法の区別がつかないみたいです。

物作りの立場にある人間が
「やべwwwプロモで売れたwww」
なんて自分で言ってたら、
間違いなく張り倒しますです。

どーしようもない商品作っておいて、
「大丈夫wwwプロモでカバーwww」
なんて言ってるやつ見つけたら、
間違いなくクビにしますです。

でもそういう人、多いんです。
ゲームだけぢゃないです!
そこらぢゅうにいます!!!!

>ぶらりんさん
> そこらぢゅうにいます!!!!

ですよね。人間って楽したい生き物ですから、簡単に思考停止の方に
流れていきます。
だからボクは神経質なまでに、強迫観念的なまでに(笑、思考停止語を
蛇蝎のように嫌っているわけです。

ゴキブリじゃないけど、思考停止が1つあったら、100個はある、
と思わないと。それぐらい人間って、考える事をサボる生き物ですよ。

例えば、脳トレは割と良いリトマス紙です。
ゲーム開発者で「良く出来ているけど、プロモーションだ」「ブームだ」
と書く人がいるわけです。で、ボクが不思議なのは、何が良いかは
一言も出てこないんです(笑
不思議でしょう?

わからないなら「わからない」と書けばいいと思うし、「俺は好きじゃ
ないから知らねーよ」でもいい。ところが「俺は知ってるんだよ」
という点だけは主張するわけです。でも何が良く出来ているかは
一言も書かないんですね。まぁ滑稽、滑稽。枕詞をどれだけつけ
ようと、結局わかってない人はわかってないと馬脚を現わすんです。

「良く出来ている」「わかっている」という言葉が出てきたら要注意。
わかってる人はそんな言葉、絶対に使わないからですから(笑

別に脳トレの成功要因の1つにプロモを挙げるのが悪いとは
いいません。けどね、まず第一にそれを挙げる人はほぼ例外なく、
「良く出来ている」「わかっている」と言い、そして具体的にはただの
1つさえ良く出来ている点を示せない。

あんまり典型的なんで、笑っちゃいます。プロモのおかげだなんて、
そこらのゲーム好きな中学生でもいえるよ。ホントにプロかと。
せめて「興味ないから知らん」ぐらい言えば、まだ一本筋が通って
いるなあ、と感心するんですがねえ。

ゲーム開発者はたとえそれが自分の価値観にそぐわない物で
あったとしても、まず第1に謙虚にゲームデザインに理由を求める
べきだと思います。神経質にそういう事を続けられる人が生き残る、
と思います。

例えば、小島監督は、脳トレ的な路線はたぶん好きじゃないんで
しょうけど、発言を読んだ感じだと、脳トレのどこがいいかは、説明
できるんじゃないかな。クリエイターって、「好きじゃないから、俺は
その路線に行きたくない」というのは、ありだと思います。タチが
悪いのは、最悪なのは、わかった振りして、もっともらしい理屈を
並べて否定する小利口な小物たち。自分の信じた事を素直に
表明することさえできない。

ワタシはDAKINIさんの今回の記事にちょっと違和感を覚えます。
いや、論旨そのものには概ね同意なんですが、
その前提というか切り分けに、引っ掛かるモノを感じるのです。

#同意の部分は「禿同」とだけさせていただき(笑)、
#違和感の部分だけを書きます。

えーと、云うまでもなくゲームがユーザーに届くまでには
大雑把に云って、次のような工程を経るワケですが、

企画
→ゲームデザイン・アート・プログラム・サウンド他
→QA
→マーケティング
→プロモーション

ゲームを商品として捉えるのなら、
極論すれば「ゲーム単体(QAまで)」も
それ以降の「マーケティング/プロモーション」も、
川の上流・下流という位置の違いはあれど、
同等に視るべきだろう、とワタシは考えるワケです。

「ゲーム単体」の中で、
アイデアがカスでもアートは神作画だったり、
プログラムはbuggyでもボイスに金がかかっていたりするように、

「ゲーム商品プロジェクト」の中で、
ゲーム単体が良くてもプロモーションがカスだったり、
その逆があったりする。

どれも、プロジェクトの中で各担当が十分協働出来ていない、
という意味で等価です。

それを、「プロモプロモプロモ」というコトバに反駁する為?にか
ことさら「ゲームデザイン」やら「クリエイターの矜持」等々を
DAKINIさんが強調するのは、なんだか違和感がありまくりです。


もっと云えば。
ゲームの開発者のみが「矜持を持つ『クリエイター』」
だなんて、思い上がりも甚だしい。
少なくとも、マーケティングやプロモーションの人間には
そう思われないようにしないとプロジェクトは上手く進まない(笑

#いや確かにワタシも企画出身で、
#「良いゲームはみんなの功績。悪いゲームは企画の責任」
#という矜持を諸先輩から刷り込まれてやってきた人間なので、
#共感は出来るのですが…。

ワタシの経験や見聞から云えば、よく売れるゲームというモノは、
開発のみならず、マーケティングにもプロモーションにも
(いわゆる)クリエイティヴが溢れているように思います。

自分の話でナニですが、
以前クラッシュ・バンディクーなんぞをやっていた時も、
プロモーション担当やCM制作会社がノリにノって
神がかった、キチガイじみたアイデアを出してきて、
それを面白がったNaughty Dogや我々ゲーム制作側が、
ゲームにそれをフィードバックさせ、
そしてまた、そのキチガイじみた反映のさせ方を見た
プロモーション担当&CM制作会社が、悪ノリして
もっと狂ったアイデアを出してくる…という
なんとも幸福な協働が出来ていた覚えがあります。

そういえば、今回の「松嶋菜々子」CMも、
広告制作のクリエイティヴが高いレベルで炸裂してますね。
ヒットゲームというモノは、プロジェクト内のあらゆるパートが
優れたクリエイティヴに溢れているんだと思いますよ。
上流下流とか因果とか見つめるまでもなく。

「ゲームも良い」「宣伝も良い」「店頭展開も良い」
ああ素晴らしい。

見習わねば。

鶴見さんのおっしゃる事は同意します。
そもそもボクにしても、以前から、「宣伝や店頭まで含めてトータルで
ユーザーへのサービス」といった事を書いてきた人間ですし。

(率直に言って、古参の読者の中には、今回のエントリーを読んで、
面食らった人もいらっしゃるでしょう)

>それを、「プロモプロモプロモ」
>というコトバに反駁する為?に

ボクが今回の記事を書いた最大の理由はまさにそこです。鶴見さんの
おっしゃる「各パートの協働」という点で言えば、どうも開発や企画が
自分の仕事を十全に発揮しようとしていない、安易なプロモ論が
出てきていることを懸念してのものです。

>#「良いゲームはみんなの功績。悪いゲームは企画の責任」
>#という矜持を諸先輩から刷り込まれてやってきた人間

そういう基本的な事が忘れられている言説をいくつか目にした
もので、やや強い論調になりすぎたかもしれません。

ただ、ご承知のとおり、ボクはかなり前から、開発と宣伝、マーケテ
ィングの連携を主張してきたし、書いてきた人間で、最近そういう
認識が広がってきたのは大歓迎です。けれども、同時に安易な議論
や認識がはびこってきた、とも強く感じています。

例えば、そうですね、『ピクミン』。日本ではCMソングが大きな話題を
呼んだわけですし、あの歌がピクミンという奇妙な世界に入りやすく
していたのは確かで、まさしく広報と開発がうまく協働して、1つの
世界を生み出した好例でしょう。

けれども、当時、ゲーム開発者のサイトを見ていても、売れた要因
の筆頭に『プロモーション』を挙げるなんて事は無かったと思います。

おそらく当時、ゲーム開発者のサイトで、「ピクミンが売れた要因は、
1にプロモーション、2に女性層の取り込みです」などと書いたら、
プギャー!扱いなわけですよ(笑 いや、その指摘は間違いではない
かもしれないんだけど、普通はそこを書く前に書く事があるだろう、
まずはゲームの内容を語ろうよ、ってな感じの理性というか空気は
健全に働いていたと思います。

ところが今は、もっともらしい顔をして、そういう文章を書ける時代に
なってきたなあ、と。

結局はバランスですよ。
開発が開発の事だけ考えたり、開発様でござーいなんてやって
いたら、一人よがりで、ロクなもんができないでしょう。けれども、
開発が開発の仕事をサボって、広報や営業の上にあぐらをかいて
いたら、やっぱりロクなもんはできません。
5年前は前者の風潮が強かったけど、今は後者の風潮が強くなって
きたと、感じています。


まぁそもそも、今や単純な広報が通じる時代でもない。金かけてCM
流せば、それでオシマイでもない。純粋にプロモーション論としても、
プロモ厨ゲーム開発者の語るプロモーションは安易ですし、時代
錯誤だと思います。

脳トレやnintendogsにしても、単純にテレビCMだけじゃなくて、
本を意識したパッケージ、店頭のポップ類、各地の体験台、山の手線
の電車内のCMなど、多様な手を打っているわけです。その辺まで
すべてひっくるめてプロモ論を語るならともかく、「開発費でなくて
CM費」「CM投下量が・・・・」といった安易な理屈を並べるブログ
を読むにつけ、ため息が漏れるばかりです。

あ〜、なんか、DAKINI氏の言いたい事が一言で表わせる気がしてきました。
「わからない(理解できない、したくない)事をプロモのせいにするな。」
おそらく、こういう事ですよね?
「プロモを第一に挙げる時点でゲーム関係者として思考停止している。」と。
プロモと騒ぐ時点で“自分はわかっていない”と垂れ流している。こんなに恥ずかしい事はないだろ、いい加減気付けと。

シンプルでカジュアルなRPGが欲しいです。
FF13をシンプル化したバージョンも出して欲しい。
従来のままのも当然出していいんだけど
要はアイテムの複雑化をせずに
攻略本は一切必要としない
自由度も相当制限して
裏技なんて論外
正にストーリー性を楽しみたい
FFにもってこいではないだろうか。
私はどうしてもRPGをすると
できる限り完璧にしたいという脅迫観念が
ゲームの購入をストップさせてしまいます。

RPG系
アクションRPG系
共にそういうのが受け入れられると思います。

>BAN/ さん
> 「わからない(理解できない、したくない)事をプロモのせいにするな。」

非常に的確なご指摘です。
つーかボクの記事が無駄に冗長なんですが。

まぁ、あれれさんにも大意は通じているみたいですが。歴史認識に
かなり隔たりはありますけども。旧スクウェアの一番の問題点は
坂口博信氏が連発していた「ゲームが一定のクオリティに達して
いるのは当たり前とした上で、映像や音楽といったものの質を高めて
いきたい」に凝縮されます。その後、ストーリー系ゲームがどのような
進化を『遂げなかったか』を、ボクたちは知っています。ゲーム制作者が
ゲームデザインから目を背けたり、逃げたりしたらどうなるか。
その良い例なんです。

ちなみにわからないのに、『ハルヒ』を引き合いに出しているのは、
もう、何と言ったらいいのか。

> 「涼宮ハルヒの憂鬱」も、深夜テレビアニメというある種のプロ
> モーション(DVDを売るための)があって、これだけの話題の爆発
> を引き起こせたと表現することも可能だと思います。
> ※凡百の話題が爆発しないテレビアニメがあっての話ですから、
> もちろんこれは極論なのですが。

なんつーか、脱力全開(訳わからんけど)。テレビアニメはそりゃ全部
テレビで流れますがね。ていうか、別に現象が理解できないなら、
わざわざ話題にしなきゃいいと思うんですが。議論のための議論
じゃないですか。自分で「極論」と書くぐらいなら、書かなきゃいい(笑

Life is beautiful 「見たい番組の存在は『放送後』に知ることが多い、だからYouTube」
http://satoshi.blogs.com/life/2006/07/youtube_1.html
ハルヒとYouTube・エウレカとGyaO、これはセットで考えていい。
http://mitaimon.cocolog-nifty.com/blog/2006/07/_cnet_japan_2f78.html
CNet Japan Blog - 渡辺聡・情報化社会の航海図 「”広告”はしばし一休み?」
http://blog.japan.cnet.com/watanabe/archives/002827.html
Life Between Silicon Valley and Japan 「YouTubeについて(1)」
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060628/p1

さて、この辺りの指摘を読むまでもなく、単純なテレビCM投下のような
安直マスマーケティングの効果が低下しているという認識は、もはや
常識だと思っていました。が、どうやら10年前から時間が止まって
いる世界もあるらしいですね。
議論以前の認識差が大きすぎるので、あれれさんとは議論する気は
ありませんが、うちのブログの読者の方々には、今挙げた記事を
読まれることをオススメしておきます。

『ハルヒ』もまたリトマス試験紙の役目を果たしています。わからない
なら何も書かなきゃいいんです。別に世の中、わかんない事の方が
多いんですから。どうして「わかっている」って言いたがるのか・・・・。
その言説が、「わかっていない!」と叫んでいるのと同じなのに。


>ししし さん

なんかマルチポストしまくってませんか?
熱意をもって伝えたい事があるのはわかりますが、そういうやり方は
誉められたものではないと思います。

ところでおっしゃる物は『FF13 アドベントチルドレン』でいいような気が。

ゲーム要素の薄いツール寄りの「DSお料理ナビ」が売れているようです。

・ツール系でもツールに寄ったソフトは売れない。

に代わる考察が必要ですね。

>BAN/ さん

以前書いたのですが、『えいご漬け』は『脳トレ』に比べて娯楽要素の
薄いソフトだと思っていて、それが100万本を超えている時点で、
「ツールに寄ったソフトは売れない」という仮説はやや説得力が落ちて
いたような気もします。

脳トレ ・・・・ ツールソフトの皮をかぶったゲーム
えいご漬け ・・・・ 脳トレの皮をかぶった実用ソフト
お料理ナビ ・・・・ 実用ソフト

Newマリオが売れてゲームらしいゲームも売れるという意見も出て
きましたが、徐々によりゲーム性の無い実用ソフトが売れるように
なっている、という見方も可能です。

売上という点でいえば、実用/非実用というのはあまり関係が無い
と考えた方がいいのかも。(この辺りにDS市場のバブル性を感じる
向きもあるかと思います。)

http://ameblo.jp/sinobi/entry-10014942667.html
最初から売れているというのは逆にいえば、出荷数が多い=
受注数が多いということです。流通がかなり強気になっているという
背景がうかがえます。あと流通のおじさん達に受けがいいもの、
つまり中高年にわかりやすいテーマは売れやすいんでしょうね。
料理本ブームはありましたし。料理ブームは、いくつかの年齢層に
受けているものですが、1つはヒマになってきたおじさん層が趣味で
というもの。
(あと当然、独身層にも。この層も今はPSPではなく、DSを買って
いますからね。)

PSP=厨房ハードですから、その辺りの嗜好を捉えたソフトが
売れていますよね。DSは逆に、大人向けか、子供向けのどちらかが
強くて、厨房向けゲームは売れていません。ターゲット層を年齢で
見た方が、やや実態を捉えやすいかもしれません。

少なくとも1軸(実用〜非実用)だけで今の市場を語るのは、誤差が
大きくなってきた、とは言えそうです。

コメントを投稿

(コメントを投稿しても、管理人が承認するまでは表示されません。すぐに反映されない、最悪24時間以上かかる事もあります。ご了承ください。)