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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年07月01日

今週のファミ通は必読かも (コメント欄にも色々と)

(コメント欄の方もずいぶん色々と書いていますので、ぜひご一読を)

今週のファミ通は、スクウェアエニックスの和田社長と浜村通信氏の対談、宮本茂氏へのインタビュー、となかなか読み応えがある内容ですね。宮本茂氏のインタビューは、カートリッジ型のゲーム機が登場する以前から現在までのゲーム開発の歴史を振り返る内容。まさしく簡にして要を得るという感じです。必読級。

またスクウェアエニックスの和田社長が、これだけ長く熱く語るのはなかなか珍しい。これも過去からの発言の総括として読み応えがあります。ただ、同時に「やっぱり開発に理解されてないんだな〜」というのがよくわかります。ボクは以前から、スクウェアエニックスは経営と開発がズレているように見える、と書いていますが、問題を再確認できましたね。対談の中でも、理解されないもどかしさや、ゲーム開発者の頑固さに苦労している様子がうかがえます。

んー。厳しい言い方をすれば、社員を説得するのは経営者の重要な仕事なんです。でもそうは言っても、和田社長は開発者出身ではないですし、古くからいた人でもないので、説得に時間がかかるのは仕方ないんでしょう。無理に説得はできない、自分自身で気づかせるのが大切、という言葉通りでしょうね。

確かあれれさんも以前指摘しておられましたが、旧スクウェアが開発の暴走で経営破たんしたため、結果的にチーフ・クリエイティブが不在なのが尾を引いていますね。例えば、最近上り調子の任天堂にしたって、岩田社長と宮本茂氏の仲が悪かったら、とっくの昔に空中分解してるでしょう。経営と開発の歯車が一致して、うまく回り出すまでにあと何年かかるか? 成果が出てくるまでに仮にあと3年かかるとすると、かなりギリギリなんじゃないかな・・・・。

それはともかく、ちゃんと語るのはいいことですね。というのは、傍から見ていると、どうも発言がちゃんと伝わってないですし。メディアを通して記事になる過程で、発言が適当に要約されちゃうんですよね。これはもう、仕方のないことです。株主総会のレポートがネットに上がるぐらい、熱心なファンがいる会社ですし、任天堂みたいに発言をどこかにアップしたらいいんじゃないの、と思っちゃいます。

わかりやすい例なので、よくスクウェアエニックスを持ち出すんですけど、これってゲーム会社すべてに共通する課題です。「クリエイティブマネージメント」というのが非常に重要な時代になっているんです。何となく大切なことはみんなわかってるんですが、数字にしにくいから難しい。本当は「コストマネージメント」「リソースマネージメント」と肩を並べるぐらい大切。経営に近い部分で、どういう方面へ打って出るかという部分も含むし、モチベーション管理もそうですし、人材の育成も包含します。もちろん小野憲史氏の言うような「日本人によるノウハウの蓄積」も含むでしょうね。

Posted by amanoudume at 2006年07月01日 05:40 個別リンク
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コメント

お初です。少し興味が湧いたのでコメントしてみます。
一応、ただの一ユーザーです。

仰るとおり、そのズレが最近のスクエニのソフトラインナップにも如実に現れていますね。
FFXIIの端折りなんかもそうだと感じます。
読んでみるとこの人、八方塞がりというか、仲間である開発者からも良く思われず孤軍奮闘してるような印象ですね。
坂口氏のようなカリスマも持ってなさそうですし。
発言の後に「どうせ」と続いて人間不信に陥った人のようなことを言うのも舵取りをしてる人としてもどうかと。
ちゃんと校正したのかしら。
大体、今のスクウェア側の開発者はかつて坂口氏に憧れたり、旧スクウェア時代のコンテンツに感動して
今度は自分達の手でかつての感動を生み出そうとする人たちだと思いますね。
そういう人たちが集まる中でよく知らない人で証券会社出身の人間を信用できないのは当然でしょうね。

感情に任せて言ってしまえば和田氏は個性的な人達が集まるゲーム会社の舵取りを任せられるほどの人ではないでしょうね。
今のところ和田氏に忠実なのは北瀬、野村率いる第一開発くらいでしょうか。


個人的にちょっと感動したのは桜井氏のFFXIIの評価について述べていたことでしょうか。

>Albelさん

はじめまして。
率直な感想をありがとうございます。おそらく旧スクウェアのファンの
かなりの人が同じような印象を抱いているように感じています。
というか、ぶっちゃけ今年に入って、「FF7DC」「FF12」以降、Albel
さんのような「怒っているファン」が増えた印象を持っています。

でもボクはAlbelさんと違って、和田氏を割と好意的に見ています。

FFXIIの端折りも、そもそもプロジェクトが長期化し過ぎていましたし、
松野氏の降板もあったわけで、あれは経営の責任よりも開発
マネージャの責任が大きいと思います。

また当時のスクウェアが経営破たんしていたのは確かですし、
坂口氏に経営の才能が無かったのは事実でしょう。旧スクウェアを
救って、エニックスと合併したことは、第1ステージを見事にクリアした
と、正当に評価すべきだと思います。

最大の危機を脱して、今は第2ステージに入っていて、その段階で
足踏みしている状態だと、ボクは見ています。「窮地を脱出」の次の
「次なる成長」が課題なのですね。その段階では、第1ステージとは
異なる戦略、経営、人材が必要になるという事なのでしょう。

例えば、2002年頃の任天堂に似ているなという見方もできます。
あの年、マリオ、ゼルダ、メトロイドの3本柱を、それぞれ納期を守った
ものの、ファンから不満の声が上がり、勝負をかけるどころか、逆に
北米での敗北を決定的なものにしました。続く2003年は、E3で連動を
打ち出し、アピールができず、盛り上がりの欠けたカンファレンスは
「反省会」と揶揄されました。開発力が落ちたと開発が強く批判されて
いましたし、同時に納期を守らせてクオリティを守らせない経営にも
批判が集中していたと記憶しています。

その後、任天堂はDSをもって、急速な復活を遂げるわけですが。
DSのコンセプトも素晴らしかったわけですが、岩田社長と宮本茂氏の
間で、役割分担をうまく行ったのも密かに効を奏したのかもしれません。
http://www.nintendo-inside.jp/news/139/13941.html
> 宮本氏の担当変更については「開発での責任の担当に変更が
> あった。宮本氏だけでなく私自身も。今宮本氏に望むのはファースト
> パーティタイトルの開発に集中することです。特定のDSやGBAの
> ゲームだけでなく社内の全てのゲームに関与して欲しい。外部の
> コラボレーションタイトルに関しては新しい部課を作り、それは私が
> 直接指揮するようにしました」


>個性的な人達が集まるゲーム会社の舵取り

前述のように、ボクは経営者としての手腕は高く評価できるものだと
思いますし、『会社の』舵取りは十全にこなせる人物だと思います。
ただ、「天は二物を与えず」と言うように、『開発の』舵取りは難しい
でしょう。チーフクリエイティブの不在がやはり問題で、さすがに
そこまで1人で面倒を見るのは不可能でしょう。

1人の天才に依存することだけが解答だとは思いませんが、
遠からず何らかの補完は必要でしょう。

ゲーム開発=古い作り方にこだわっている人たち、とみなして、
彼らを説得しようという姿勢だけで臨むと、うまくいかないでしょう。
これは、その、この次のエントリーの内容とも少し絡むんですが、
説得というのはとても大変な事で、ついつい啓蒙するという姿勢
になって、かえって溝が深くなりがちです。ボクが一番危ういな
と思うのは、外部の会社を買ったり、提携するという手法に頼り
すぎていることです。

旧スクウェアも、旧エニックスも、若い人もいれば、ベテランも
いれば、かなり年季の入った人もいるわけで、色々な経験値を
持っているはずです。プレイオンラインが初期の構想から挫折
したのも1例ですが、眠っている種は結構あるはずなんです。
セガのムシキング→おしゃれ魔女の成功は見事でしたが、ムシ
キングを生み出したのは当時窓際とみなされていた部署です。
開発の方々が当時「脱出艇ムシキング」と呼んでいたという逸話は
興味深いものです。スクウェアエニックスも、あれだけの規模の
会社ですから、必ず種は社内にいくつも落ちているはずです。

そういうものが本当の力になるものであり、次の飛翔の原動力に
なるものなのです。マイクロソフトの例でいえば、90年代後半、
ネット版Officeとでもいうべきプロジェクトが社内で動いていたにも
関わらず、それを潰してしまったわけです。その後、Googleの
台頭を持って、マイクロソフトは過去の失敗を悟り、大幅な方針
転換を打ち出しました。忘れてはいけないのは、種はちゃんと
社内に落ちていたという事です。

外から会社を買うことも必要は必要なのでしょうが、まず第一に
すべきことは、社内から力の種を探し出し、時間の中に埋もれた
種を掘り起こし、育てることです。

まぁ当然そういうこともやっていると思うのですが、ゲームという
古いビジネスは社内にまかせて、新しいビジネスはベンチャーを
買って実行しようという風に見えがちです。それでは溝は埋まら
ないでしょう。新しい事をやろうとしている人たちからすると、古い
ビジネスをやっている人たちは頑固に見えるかもしれませんが、
逆に古いビジネスをやっている人たちから見れば、新しいビジ
ネスをやっている人たちはゲームを理解しない頑固者に見える
わけです。

社内のパワーをどう引き出すかという事と、新旧をどう融和させて
いくかという事が重要な課題なんじゃないかな。

ところで誤読している人はまさかいないと思うのですが、別に
ボクは現在のスクウェアエニックスの経営批判がやりたいのでは
なくて、うまく回ってない部分が露骨に見えるので、「勿体無いなー」
と思って、何がどう勿体無いのかを書いているだけです。

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