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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年06月03日

神話の崩壊

「ライトユーザーには強いが、ゲーマーには弱いDS」という神話

また君か。「ゲーム系オタオタジャーゴン」
日本国内のゲーオタ系ブログの分類をしておられますが、納得できる部分が多いです。しかしこの分類を見ると、携帯ゲーム機のゲームを純粋に面白いと思っているゲーオタがどこにもいませんね。いや、本当にいないのかもしれませんが。ゲーオタという生き物は本質的には、ゲームの内部世界に埋没していく願望を持っているので、最近のライトゲーム路線にイマイチ乗れないのは自然な反応です。

(もちろんDS支持派というのはしっかりかっちり存在しますが、彼らの多くは任天堂ファンとして分類した方が良いでしょうね。ゲーオタといっても、重いゲームに付いていくのに疲れた人も増えてきているので、そういう人々をゲーオタと呼ぶべきかどうかはさておき、どこかに分類した方がいいかもしれませんが)

まぁDSが大人気といっても、ネット上のゲームマニアは自分たちの遊べるゲームが無いという不満をたびたび表明していました。例えば、「逆転裁判しか動いてない」とか。DSはライトユーザーには強いものの、ゲーマーには比較的弱めでした。実際、任天堂もそれは自覚していたのでしょう。ライトユーザーに加えて、ゲーマー層も引き込む努力が表面化していました。

WiFiコネクションは、ネットワークゲームの裾野を広げる意味があると同時に、集まって対戦ゲームをしにくい社会人・独身ゲーマーにアピールするサービスでした。さらに3月以降はソフトメーカーと協力して、『聖剣伝説』『ゼノサーガI・供戞愿軍伊盒供戮覆匹RPGをプッシュ。ファミ通にも、有名タイトルを並べただけの悪趣味な広告を掲載しました。
しかしほとんど効果はありませんでした。まぁ据置機のゲームを単純に持ってくるなら、やはりPSPの方が向いていますからね。


そして、神話は崩壊する

けれども『テトリスDS』からは少しムードが変わります。『どうぶつの森』で大量に参加したライトユーザー層にとって、WiFiで気軽に遊べるゲームは魅力的です。『マリオカート』よりもはるかにライトなゲームとして、『テトリスDS』は大ヒットしました。そしてライトユーザーが大きく動くと共に、マニア層も動き始めました。昔燃えたゲームだからという理由はあるでしょう。単純なゲームだから燃えるという理由もあるでしょう。WiFiコネクションの参加ユーザー数が巨大なこともあり、対戦相手に困らないのも大きいです(そこはXBOX Live!に対する明確な優位点)。

さらに『Newスーパーマリオ』が大ブレイクしました。去年の『ファミコンミニ・スーパーマリオ』再販、パルコのドット絵マリオ宣伝など、ありとあらゆる機会でドット絵のマリオを浸透させてきた成果ですし、昔スーマリを遊んだ人をうまく刺激した成果ですし、ライトユーザーがそろそろゲームを遊びたくなる頃にタイミング良くリリースした成果ですし、『マリオアドバンス』シリーズで2Dゲームを遊ぶ子供層を育ててきた成果です。そしてここでも再び、ライトユーザーが大きく動くと共に、マニア層も動いています。

『脳を鍛える大人のDSトレーニング』→『おいでよ!どうぶつの森』→『テトリスDS』→『Newスーパーマリオ』。ゲームらしくないゲームを入口に、徐々に軽いゲーム、歯ごたえのあるゲームへ、ライトユーザーを誘導していく流れが明快です。最初はまず、何でもいいからゲーム機にさわってもらう。そして抵抗感をなくした所で、みんなのコミュニケーションに使ってもらう。人の輪が広がったところで、気軽に楽しめるものを遊んでもらい、徐々にゲームらしいゲームに熱中してもらう。そこには、かつてのファミコンブームのように、人々がゲームに熱中し、ゲームを話題にする光景がよみがえりつつあります。

マニア層だけを狙った展開が不発に終わる一方で、ライトユーザーを取り込む展開の中で、ゲーマー層が少しずつ巻き込まれている点がとても興味深いです。8月24日にはいよいよ『FF3』が満を辞して発売されます。おそらく、ライトユーザーよりもゲーマー層をより多く引き込むでしょうね。ここまでくれば、ライトユーザーとゲーマーの両方がゲームを楽しめる世界になっているんじゃないか、と大いに期待します(しかし『FF3』は不安要因が無いわけでもないんですが)。


「ライト層にはライト向け、マニア層にはマニア向けマーケティング」の罠

さて、今回の記事はあえてマニア層の取り込みに焦点を当てて書きました。ふつうに書くなら、ライトユーザーの取り込みだけに絞ればいいわけです。では何故そうしなかったか。それは、「ライト層にはライト向け。マニア層にはマニア向けマーケティング」という従来のやり方が通用しなくなりつつあるからです。実際、有名タイトルを羅列してみせるという悪趣味な宣伝は効をなさず、ライトユーザーが大きく動く時にマニア層も一緒に巻き込まれていくという現象が起きています。「xxxはハイデフへ」という、タイトル名を羅列するだけの広報宣伝を行ったXBOX360が、初代よりも大きな失敗をしたことも、記憶に新しいところです。

「ライト層にはライト向け、マニア層にはマニア向け」というマーケティングは、従来なら当たり前のやり方です。ライト層を取り込むには、価格を低くして敷居を下げよう。マニア層はたくさんお金を払ってくれるから、プレミアム価格をつけよう。これは間違いではありません。浅く入っている人からは少しずつ、深くハマっている人からより多く取るのは理にかなっています。実際、多くの会社がこういうやり方をしています。

しかしその正しいマーケティングにひびが入ってきたというのがボクの印象です。
古い神話
    1.ライトユーザーはお金を出さないが、マニアはいくらでも出す
    2.1人のユーザーをマニア化するコストは高いので、拡大よりも囲い込み、維持が基本
    3.マニアは一般にコミュニケーション能力に欠ける
    4.マニアはコンテンツの深さを愛する
新しい神話
    1.お金を出さないマニアが増えてきた
    2.マニア層のメディアへの疑いが高まった
    3.コンテンツの深さよりも、コミュニケーション、ブーム、祭りを重視するようになった

メディアの記事や広告、企業の1次告知に対して、おそろしく疑り深くなっている割に、祭りに巻き込まれることに対しては無防備ともいえるほど大胆になっています。オタクが「巻き込まれやすい」というと、違和感をおぼえる人がいるかもしれませんが、大多数のオタクは別段、人の動きに鈍感なわけではありません。自分が関係しないと思った動きに対しておそろしく無反応になるだけで、少し関われるものであれば、簡単に参加していくのです。

企業の側は、釣りと祭り(に対するユーザーの反応)の違いに注意した方がいいでしょう。「ライト層にはライト層、マニア層にはマニア層」という割り切りすぎたマーケティングは、結果として維持したかったマニア層も減らしてしまうんじゃないか、と思うんですよ。

Posted by amanoudume at 2006年06月03日 21:07 個別リンク
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コメント

DSを強く支持しつつも
ライト路線には個人的にはノリ切れずに居たマニアとしては、
図星を突かれてイタタな気分ですw
「これは今ライトを引き込むのに必要な手順なんだ」
と、任天堂や国内クリエイターさん達を信じて待っておりますが。

最近書かれるようになった「釣りと祭り」の話、非常に興味深いですね。
DS支持者としては今回のマリオブレイクが
マニアに向けてはハルヒと違って
任天堂の意図を越えた物に近い事が不安にさせますね。
ライト層には工夫を重ねたプロモで訴求してるけどマニアに対しては手抜きというか、
従来の宣伝手法で十分とタカをくくっている油断があるのかも?
FF3への不安要素の一つもその辺でしょうか。
(スクエニがコテコテの「釣り」プロモーションをして引かれそう?)

自分の中では濃いエントリが続いているんで、自分の頭の中を整理する意味でコメントさせて下さい。

まず、エントリ中の『古い神話』と『新しい神話』。
これは、ネットがインフラ化する前の話と後の話という風に分けると非常に分かりやすいですね、いろいろな意味で。ハルヒの例を出すまでもなく、基本的にマニアはネットをやっているという前提(また、一般人でも携帯などでネットをやっているという前提)、ネットがインフラ化しているという前提にしたコンテンツ展開がゲームにおいても求められるということだと思います。

> さらに3月以降はソフトメーカーと協力して、『聖剣伝説』『ゼノサーガI・供戞愿軍伊盒供戮覆匹RPGをプッシュ。ファミ通にも、有名タイトルを並べただけの悪趣味な広告を掲載しました。

任天堂もこのときはまだネットの存在の大きさに気づいてなかったようですね。(今も自覚的にはやっていないかも知れませんが)

で、ゲーオタ関連ですが。

> ゲーオタという生き物は本質的には、ゲームの内部世界に埋没していく願望を持っているので、最近のライトゲーム路線にイマイチ乗れないのは自然な反応です。

これはあると思いますね。もちろん、前提にはなっていると思いますが、ソフト的だけでなく、携帯機のハード的な軽さもありますね。(個人的な感想を言わせていただくと、DSで『応援団』とかを遊んでいても、何か物足りなさを感じます。もっとも、それは私がファミコン世代だからであって、ゲームボーイ世代だと感じないかも知れないという疑問はありますが。)

ただ、ちょっと思うのは、団塊Jrを中心にしたゲーオタの場合、一人暮らしならともかく、家庭持ちになると、据置機の場合には、テレビを占有してしまう問題というのが出てくると思います。そういう意味では、携帯機用のギャルゲーがもっと出ても良いような気がしますね。(日常ゲームという相性問題も考えてもいけると思うのですが)

また、携帯機市場の有望さについて。
結局、過去のエントリなども含めて考えると、機動力の優れた携帯機で一次メディアとのしてのゲームを作り、他のメディア/プラットフォームで二次的展開をしていくような戦略がかなり有望のような感じではありますね。当然、この有望な市場にアップルやMSが入り込んでくる予想はされていますが、マニアのデジタルガジェット止まりで終わるのか注目している人は多いと思います。(ジョブズに期待している人は多いと思いますが)

あと、気になった点をいくつか。まず、据置機について。
上にはテレビを占有してしまうことが問題とは書きましたが、逆に言えば、リビングという人が集まる場に置いてある機械としての強みを生かせれば・・・−要は、直接的なリアルコミュニケーションを促進させるような−展開が出来れば、また流れは変わるかも知れませんね。

最後に蛇足。サードパーティについて。
最近感じているのは、(日本の)サードパーティの元気の無さですね。
私が言うのも不遜なんですが、あえて言いますと、『時代を作ろうという意識がない』ような気がしますね。
売り上げランキングを任天堂が占めているのも納得がいきます。

>i-sayさん

FF3の不安要因というのは……。
まぁスクウェアエニックスの最近のマニア向けのマーケティングに
対する不安です。

http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0605/24/news095.html
ただいま業態変更中――スクエニ決算説明会

> コミュニティについても、ユーザー数を広げる方向では考えず、
> コアユーザーを大事に、その層のみに訴えるとのこと。
> 「ユーザー数を広げるのは新規コンテンツの役割。既存コンテンツ
> のコミュニティについては、むしろ“濃くしていくこと”で長く生き
> 残っていける。たとえば、キングダムハーツシリーズを大人向けに
> 出したりすることは決してない」と和田氏。

これって・・・・FFはマニア向けのゲームだから、ユーザーを増やそう
として変にいじってファンを減らすより、今のファンからもっとお金を
出してもらった方がいい、という事ですよね? 当時キャッチーな
技術だったCGを積極的に取り入れて、FFユーザーを一気に拡大
した坂口博信氏の10年前の戦略とは対極にありますね。なんつーか、
ちょっと「割り切りすぎ」な印象が拭えません。

ネット上の色々な意見を見ていると、どうも最近スクウェアエニックスの
経営方針について、批判的な意見が微増しつつある気がしています。
任天堂ファンサイトが多いようなので、少し割り引いて考えるべきかも
しれませんが、GBA版『FF4』のバグ、『FF7 ダージュ・オブ・ケルベロス』
の出来が酷かった事など、悪い材料がちょっと目立ちます。『FF13』の
携帯電話版が学園モノになっちゃってる件は、FF10-2』でファンが
全力で引いたゆ・り・ぱの悪夢の再来でしょうか?

コアユーザーを大事にすると言いながら、ファンを食い物にするような
展開が最近目立ってきています。要は愛が無いという事なんですが。

それと、マニアから高く取るという考え方は間違いではないんですが、
ファンを早々に食い尽くしてしまうケースも多いわけです、現実には。
やはりユーザーの拡大という事を念頭に置かないと。ガンダムに
しても、ファーストにおんぶしている部分は強いものの、不断の努力で
ユーザーの拡大を行ってきたわけです。

FF3にしても、5980円という価格設定はいかにも高いです。まあ安く
売るのがいいとは思いませんから、本文中では書かなかったんですが。
でももしも「どうせ懐古ファンしか買わないよ。だったら5,980円でいい
じゃない」的な発想だったら、自称コミュニティの末路も知れたものでしょう。

「この製品はマニア向けだから。マニアに向けて売ればいいんだよ」
的な”割り切り”が過ぎるような印象が気になってるんです。コンテンツ
商売はそんなに単純じゃないんですが。

>私がファミコン世代だからであって、ゲームボーイ世代だと感じない>かも知れないという疑問はありますが。)

そうですね。ポケモン世代も大人になって続けている人もいますし、
また君か。さんの分類も基本的にはファミコン世代的な視点で
あって、ポケモンオタクは含まれてませんからね。

>携帯機用のギャルゲーがもっと出ても良いような気がしますね。

その辺はPSPが補完しつつあるような気もします。つっても、現状では
萌えやエロ、そしてバイオレンスは中高生が飛びついているもので、
この層がPSPを支えています。いわゆる「任天堂を卒業する」層です。

もっとも今のファミコン世代の流れを見ると、大人になると結局、
任天堂に戻ってきているのですが。ゲーマー層のうち、大人を
取る方がまだ簡単で、おそらくDSが中高生を取るのは、けっこう
難しいでしょうね。
「大人じゃないけど、大人になりたい」背伸び層にとって、小学生の
頃からずっと使っていたものから離れるのは自然の欲求でしょうから。
任天堂がエロやバイオレンスを推進するとも思えませんしね。
そこがソニーPSP砦の最後の牙城でしょう。PS3の問題点は、
PSPを買ってくれた中高生に手が出せない価格帯だという事です。

>リビングという人が集まる場に置いてある機械としての強み

一家団欒の中での位置づけは重要でしょうね。『どうぶつの森』に
しても、WiFiの成功に目がいきがちですが、親子で2個買っている
という話がちらほら上がっていましたが、リアルコミュニケーターと
しても買われているんですよね。

見知らぬ誰かと一緒に遊ぶためより、見知っている誰かと一緒に
遊ぶための方が、より強い購入動機になるわけです。

真面目な話、家族もちのゲーム開発者の人は、自分の作った
ゲームがリビングで一緒に遊べるものかどうか、という視点を
一度は持ってみてもよいですね。
中高年を意識するなら、自分の親に遊ばせた時の事を考えて
みるといいでしょうし。ボクも親には遊ばせてますね。下手な
マーケティングなんぞより、そっちの方が100倍も有益です。

>『時代を作ろうという意識がない』ような気がしますね。

全ての会社がそうだとは思いませんが、全体的に余裕の無さは
感じます。ファミコンブームの頃はブームに乗っかるにしてもまだ、
色々やってみようという意識があって、他がやってないチャレンジが
出てきて、ジャンルが広がっていったもんですが。今は脳系が
当たれば、みんな脳系ばっかり。その間に任天堂は『えいご漬け』を
当てているわけで。『旅のゆびさし会話帳』『大人の常識力テスト』
といい、積極的ですよね。

・実用ソフトが当たっているのに、元ネタを探す努力が乏しい
(元ネタが本、というケースが多いのに・・・・本読んでない?まさか)

・無理やり既存のゲームとくっつけた物が多い。素直に直球を
投げた方がいいと思うけど・・・・。

はじめまして。いつも発熱地帯を拝見致しております。一応業界の人間です。

えーと、最近ゲームをプレイしていません。DAKINIさんがオススメするライトノベルばっかり読んでて、ちっともDSを立ち上げるヒマがなくて(苦笑)。大作RPGどころか携帯ゲームすら面倒なこの頃です。ライトノベルなんて、と昔は読みもせず馬鹿にしていたのですが。紙媒体って便利ですね。まず電気代が掛からないですし。

神話崩壊…言い得てますね。

それでも古い神話にすがろうとする人(ゲーオタや業界?)は
時代の流れを認めようともせず、崩壊した神話にしがみつく。

新しい神話では自分達が切り捨てられかねないのを本能的に察知しているのかも?

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