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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2006年01月06日

2005年はワイヤレスエンターテインメントの歴史に残る年だった

オンラインゲームプラットフォームとして急成長した携帯ゲーム機

オンラインゲームに適しているプラットフォームはどれか? という設問に答えるなら、1番はPCで、2番は携帯電話・・・・というのが普通の回答です。しかしここにきて、携帯ゲーム機が急激に伸びています。

PCの場合、かなり手頃な値段で定額制のサービスが受けられますし、ネットが生活に溶け込んでいる現状では、実質無料でオンラインゲームを楽しむことができます。実際、ハンゲームの成功を受けて、会費制のオンラインゲームが減り、無料+アイテム課金のオンラインゲームが増えています。PCは当分の間、オンラインゲームに最適のプラットフォームでしょう。

携帯電話はネットへの常時接続性という点ではPC以上です。持ち運びできることもあって、まさに「いつでも、どこでも」を実現したプラットフォームといえます。ただ、一方で、通信するたびにパケット代がかかるというビジネスモデルのため、携帯電話のゲームは長らくiアプリのダウンロードが中心でした。

定額制があるといっても、定額制の金額そのものが高いため、まだまだパケット代を無視したサービスは導入しにくいのが現状です。最近では、新規加入者の4分の1が定額制に入っているそうですが、ヘビーユーザーが中心のため、よりリッチなゲームをダウンロードするという方向性です。今後、キャリア間の競争が激化することで、定額制の料金も値下がりすると思いますが、3Gの携帯網に莫大な資金を投じたキャリアは、なるべく値下げしたくないというのが本音でしょう。

携帯ゲーム機は、携帯電話のようなグローバルなネットワークは持っていませんが、パケット代を気にしないですむのが利点です。また据置ゲーム機と異なり、持ち運びできるため、家庭にWiFi環境が無くてもホットスポットに行けばネット接続できます。専用機のため、インターフェースが統一されていますし、テストがしやすいのも利点です。

DSは国内500万台を超えて、なおも勢いが止まらず、とうとう国内の在庫が尽きてしまうほどです。出荷状況にもよりますが、1月中に600万台、年度内700万台というのも十分ありえる数字でしょう。ネットワーク機能を標準搭載したゲーム機が日本でここまで普及したのは初めてのことです。PC、携帯電話に続く、巨大なオンラインゲームプラットフォームが誕生したといって差し支えないでしょう。

携帯電話に向いていること、携帯ゲーム機に向いていること

グローバルなネットワークをもつ一方、パケット代が発生する携帯電話と、ローカルなネットワークを主体とするものの、無料ですむ携帯ゲーム機。現状では、それぞれに向き不向きがあります。
例えば、すれ違い通信はパケット代を気にしなければならない携帯電話では実装しにくいものです。また、DSの「ピクトチャット」はタッチパネルが標準搭載されていない携帯電話では実現しにくいアプリです。タッチパネル搭載の端末はあっても多種類ある中のいくつかの機種に限られているため、専用のアプリを開発するメリットが薄いし、ユーザーも限定されてしまいます。

携帯電話のネットワークゲームの問題点とWiFiベースのネットワークゲームの優位性については、去年の5月に書いた「ワイヤレス・エンターテインメントという未来」にまとめています。

当時は「携帯電話では実現しにくい娯楽」という切り口で書きましたが、逆に携帯電話側からすれば「携帯ゲーム機では実現しにくい娯楽」を追求したほうがいい、ということになります。携帯電話のほうが向いていることを携帯ゲーム機でやる必要は無いし、携帯ゲーム機のほうが向いていることを携帯電話でやる必要もないわけです。

では、携帯電話の優位性は何かというと、主に3つです。
    ●100%ネットワーク常時接続 (→Web経由でのデータベースへのアクセス性)
    ●位置情報 (2007年以降、3G携帯は原則GPS機能搭載へ
    ●カメラ

PCは現時点で最強としても、携帯電話と携帯ゲーム機のどちらがよりオンラインゲームに向いているかを論じる気はありません。携帯電話のようなグローバルネットワークだからできる娯楽、携帯ゲーム機のような無料のローカルネットワークだからできる娯楽。それぞれの優位性を伸ばす形で、いろいろなアプリケーションとサービスが生まれることを期待します。

もちろん、将来的には両者の差は縮まっていきます。しかしどちらにしろ、ワイヤレスエンターテインメントについては、日本は欧米よりも圧倒的に先行しています。例えば、ピクトチャット、すれ違い通信、WiFi Connectionは国内のライトユーザー市場の拡大に大きく寄与しました。娯楽産業における世界戦が激化していく中、日本の優位性はどこか?ということを認識しておくのは重要なことです。

Posted by amanoudume at 2006年01月06日 19:32 個別リンク
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