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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年10月26日

そろそろ見えてきた「本の次」と「テレビの次」


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成長めざましい「電子書籍」マーケット

携帯電話での物販が急速に伸びているそうですが、電子書籍の市場もまた急成長しています。その原動力は携帯電話の電子書籍市場の成長にあります。
ケータイWatch 「携帯版の成長で電子書籍は45億円市場に」

調査では、2005年3月時の国内における電子書籍の市場規模は約45億円、前年比2.5倍となっている。内訳は、パソコンやPDA向けが約33億円、携帯電話向けが約12億円。また、市場を牽引する端末が従来のパソコン・PDAから携帯電話にシフトしつつあるとしている。
音声通話よりもメールでのコミュニケーションに慣れ、ケータイで文字を読み書きすることに抵抗感の少ない「ケータイ世代」の年齢が上がってきたことや、定額制が浸透してきた(新規加入者の4分の1が定額制)おかげでコミックの配信がやりやすくなったことが要因でしょう。

今年だけでも、小説とコミックを配信するサイトはかなり増えていますし、ケータイ小説を公募する文学賞もいくつか立ち上がっています。しばらくは成長が続くのではないでしょうか。また、上記の記事でいうところの「電子書籍」の分類には入ってませんが、Touch Generations!の「DSトレーニング」や「楽引辞典」も電子書籍といえるかもしれませんね。実際、通常のゲーム流通とは別に、一部の大型書店などで販売されています。

「電子書籍」というと、一般的には、単に紙データをPDFやテキストファイルの形式に電子化した物を指すことが多いわけですが、この記事ではもっと幅広い意味で「本」を捉えています。


メディアの溶けていく領域

電子化やインタラクティビティーの付与によって、小説、漫画、アニメ、ゲームの境界が溶けていくと考えている人は少なくないでしょう。Webマンガ、Webアニメーションの盛り上がりについては、竹熊健太郎氏が熱心に語っていますね。
    ●コラム「たけくま月評」第1回  デジタルマンガの現在(いま)
    ●コラム「たけくま月評」第2回  デジタルマンガの現在(いま)−2−

個人制作アニメとして大ヒットした新海誠の「ほしのこえ」なども、その止め桧を多用した独特の演出はデジタルコミックの延長的表現と考えることもできる。今後はマンガ・アニメ・ゲームの垣根がなくなり、それらが融合した地点に新たな表現が生まれるのだと思われる。
デファクトスタンダードになるフォーマットが何か? 既存のパッケージ流通からネット配信にどういう風に移行していくのか? などの議論はあるでしょうが、「本」レベルの価格帯と多様性を持ったデジタルコンテンツ市場が生まれつつあるという認識は、かなり広がっていると思います。

今は既存メディアの人たちがそれぞれの領域からそこへ突入している状況です。
出版の人たちは電子書籍から、ゲームの人たちは携帯電話ゲームやオンライングーム、低価格ソフトから、映像の人たちは動画配信から。そして草の根のクリエイティブの人たちがノベルゲームやFLASHを通してクリエイティブを発揮し、そこに商業の人たちの熟い目線が注がれています。

講談社、『ファウスト vol.5 奈須きのこ、竜騎士07対談より
脚本から演出から絵からすべて一人でやっている、というのは竜騎士07さんの世界を表現できる人がいなかったからなのかもしれないんですけど、一番大きい理由は一人ですべてをつくるためのツールとしてノベルゲームが最適だったからだと思うんです。映画、アニメ、マンガ、色々と表現方法はあると思うんですけど、ノベルゲームが一人でやるには一番適しているんじゃないかと思いますね。一人で作品をつくる、という点では、『ほしのこえ』の監督の新海誠さんが竜騎士07さんの立ち位置に一番近いと思うんですよ。


「テレビの次」を定義したアップル

この1年、日本ではテレビ局周辺が騒がしくなってますね。ネット企業によるテレビ局の買収、HDDビデオレコーダーの普及による「視聴率神話」の崩壊、国民のマスコミヘの不信感、地上派デジタルの是非、ビデオiPodの発売とiTunesでの動画配信開始など、話題に事欠きません。

「テレビの次」といえば、久多良木氏が一時期はそのような夢を語っていたこともあったと思いますが、e-distribution構想の失敗(始まりすらしなかった……)、PSBBの失敗、PSXの失敗、と何度も失敗してきました。またPS3にルータ機能をつけるのを諦めたことも、「家庭の娯楽の中心にPSがある」という思想からすると、情けない話。ビジョナリーが夢が枯れてどうするのか。枯れたビジョナリーに価値は無い。

家電の中にCELLを溶かしていく話にしても、久多良木氏がソニー本体に及ぼせる影響力が制限されている現状では、説得力がありません。そもそもソニー自体がデジタル家電の分野で負け続けている状態では、普及も何もないでしょう。

今やソニーに代わり、アップルこそが次々と新しい「未来」を切り拓いています。
ビデオポッドキャスティングが既存のテレビ放送、地上派デジタルを代替する選択肢になり得るという、Life is beautiful 「アップルにして欲しい次の革命」は非常に刺激的でした。(ポッドキャスティングはアップル自身が生み出したのではなく、iPodを中心としたエコシステムが広がる過程で、ユーザーから生み出された、という点が非常に現代的な現象だと思います)

またアップルがテレビに接続可能なMac mini を出す可能性を指摘しておられますが、ボクもHDDビデオレコーダー的な製品をアップルが出してくれないものか、と願ってやみません。 あるいは日本の家電メーカーがiPod対応してくれてもいいのですが、自分たちの領域が脅かされることを恐れて、やらない気がします。

テレビに出力できないPSPと違い、iPodはドックを通してテレビ出力できるのも良い点ですね。現時点で絶対に必要な機能ではないものの、布石としてはかなり重要。 PSP がテレビ出力できない最大の理由は、おそらく映画産業への配慮なのでしょうが、既得権保護に寄りすぎて中途半端な製品を作ってしまうのは、ウォークマンと同じ失敗パターンです。


おまけ:ついでに「ゲーム機の次」も

昨晩、ビデオiPodが届いたのですが、思っていたよりも薄くて驚き、想像以上に液晶が大きくてうれしい。HDDの中に自分のライブラリーを詰めていく作業が楽しくて仕方ない。気持ち悪いぐらいニコニコしながら、電車に乗ってましたよ。持っていてうれしくてしょうがない、それが「本物」ですよ。単純な大きさの比較なら、PSPの方が上ですが、あんな重い物片手では観られませんからね。 iPodで液晶画面の比率がもっと大きくなるなら大歓迎ですが。

ソニーはさっさとUMDを外して、別にゲーム機能も要らないので、ボタン類もはずして、小型HDDを積んでタッチパネルになってるPSPを出してほしい(見た目的には、液晶画面しかないようなシンプルなデザイン)。重さもやはり200gは切ってほしい。

ボクはUMDもBlue-RayもHD DVD も全部どうでもいい。ディスクという時点で古臭くってしょうがない。映画産業の「既得権保護」のためだけに存在するメディアに思えます。以前から何度も書いてますが、早くディスクレスにしてほしい。アプリケーションを切り替えるたびに、ディスクを入れ替えないといけないなんて、プアな体験をユーザーに強制するのはそろそろやめにしてほしい。自分が「原始人」になった気がします。

ボクはじつのところ、XBOX360もPS3もレボリューションもどれも要らない。まあゲーム業界にいる身としては買っておくかなあ……ぐらいの気持ちで買うだけ。 XBOX360 の「ハイデフ」もPS3の「映画みたいなゲーム」もレボリューションの「革命的なインターフェース」もどれも素晴らしいとは思いますが、なんでデイスクなんだ?という思いがしてしょうがない。3社ともそれぞれ方向性は違うものの、最新技術を使って一生懸命、「石器」を作っているようにしか見えません。そろそろ原始時代から先に進んでもいいんじゃないの?

PCや携帯電話と違ってゲーム機のネットヘの接続性が低いとか、今のネットの帯域では大容量を供給するのは厳しいとか、互換性を保つためとか、「理屈」はわかるんですけどね。所詮、既得権サイド(ゲーム機メーカー)の論理です。ソフトメーカーにしてみれば、そんな「理屈」は知ったこっちゃありません。大手ソフトメーカーがPCや携帯電話への重心シフトを表明したり、ゲーム機市場が崩壊していると発言しているのが現状。

ゲーム開発者にしても、会社という枠、ゲーム機ビジネスという古い枠に囚われてはいるものの、新しい世界にソフトを送り出したいという思いを抱いている人は少なくないでしょう。
クリエイターズファイル南治一徳さん

今は、iPod とかにもゲームが入っていますけれど、たとえば iPod用のゲームとか作れたら面白いなとか思いますね。
この発言は共感の極み。(参考:ゲームクリエイターは次世代ゲーム機の夢を見るのか?

  Posted by amanoudume at 2005年10月26日 20:16 個別リンク
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