1bit Paper
話題になっている「1bit
Paper」。シンプルなインターフェース、必要最小限な機能、軽い動作、小さなアプリ。ここ最近のトレンドに合った素敵なソフトです。白黒2値しか扱わ
ないという割り切りはすばらしいですね。
昔は巨大ソフトウェア志向というものが流行っていて、その時代にはマイクロソフトが持てはやされました。その時代には、機能を盛りこめば盛りこむほど、ソ
フトウェアの付加価値は向上するという考え方が信仰されていました。多機能になれば、ユーザーにとって使わない機能が増えていきますし、初心者には不親切
になっていきますが、「初心者にはマニュアルやチュートリアルを渡せばいい」という思想が当たり前でした。
しかし今、「わたしはマイクロソフトが好きだ。すばらしいと思う」などという技術者がいれば、「あのおっさん、古臭いね。フェードアウト組だね」と蔑みの
目で見られることでしょう。「成功しているソフト企業」の共通点でも書きましたが、元気なソフト企業はどこも小さなアプリにフォーカスしています。
ソフト・ハード一体型の企業が好調
ところでグーグルにしても、アップルにしても、どちらもソフト・ハード一体型の企業です。
ソフト企業の適切なサイズとは?では普通のソフト企業はこれからどうなっていくのでしょうか?
1つ大きな流れとして、パッケージ→サービスヘのシフトが顕著で、仮にパッケージを売ったとしても継続的にアップデートしていくビジネスになりつつありま
す。直接的にはウイルス対策やバグの修正、メンテナンス料金で収益を得たいというソフト企業のニーズが要因です。
しかし本質的には、ソフト制作という仕事に、企業の大きさを維持するだけの根拠が無くなってきたからです。ソフト企業が巨大化するのは何故か? どうして
多数の開発者を雇う必要があるのか? 1つ1つのソフトウェアが巨大化している時代には、答えは簡単でした。
しかし時代が変わり、いまやソフトを作るのに大人数を囲いこむ必要が無いことがわかってしまいました。もちろんオープンソースの影響もあるでしょう。商用
ソフトウェアに匹敵するクオリティのソフトを制作するのに、会社なんて必要ないことが証明されてしまったのです。
20世紀はソフト制作者やクリエイターが会社という仕組みを利用せざるを得ませんでした。会社という仕組みを通さなければ、ソフトを流通させ、宣伝するこ
とが難しかったからです。ソフト企業の存在価値はなにか? ソフト企業は巨大化する必要かおるのか?ということの説得力が揺らいでいるのです。もちろん会
社という枠組みが突然消えてなくなったりはしません。完成度が高く、実績もあります。しかし説得力が揺らいでいるため、ソフト企業の経営にも変化が求めら
れています(ソフト企業に限りませんが)。
従来の予算とスケジュールのマネージメントに加えて、クリエイティビティーマネージメントという考え方が必要なのだと思います。それができる企業とできな
い企業で、ものすごい差がつくようになるのでしょう。
Posted by amanoudume at 2005年09月29日 14:58
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