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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年09月14日

成功しているソフト企業の共通点その2

グーグル、アップル、任天堂の共通点は他にもあって、1つはプライスリーダー(を支える低コスト体制)、もう1つはハード、ソフト一体型の会社だというこ
とです。
アップルや任天堂については説明は不要でしょうが、「グーグルはソフト企業ではないか?どこがハード企業なんだ?」と思われる方もいらっしやるでしょう。
グーグルの競争力の源泉は、検索エンジンとその他のサービスを支えるサーバー群です。
ここでいわゆる「10分の1のコスト」を実現しているから、グーグルは圧倒的な競争力を
もつと言われているわけです。
最近、グーグルやアマゾンなどのAPI公開型のWebサービスがさらに勢いを増していて、その盛り上がりから「Web2.0」「インターネットOS」
「グーグルOS」論が台頭しています。インターネット全体を1つの生態系と捉えて、そうしたWebサービスを「OS」とみなすなら、グーグルのサーバー群
はまさに「ハード」そのものです。
グーグル、アップル、任天堂といった最近の成功企業はいずれも、低コストのハードウェアと高品質のソフトを組合せて、競合他社を凌駕する付加価値を実現し
ています。
ただしハードウェアといっても、1つパラダイムチェンジがあります。いわゆる「プロセッサ性能」を武器にしていないのです。
グーグルはあのサーバー群を組み上げるために、「ネットワーク性能に特化した特殊プロセ
ッサ」を設計していませんし、アップルもiPodにおいてカスタムチップの使用には消極的です。
日本製のオーディオプレイヤーのほうがiPodよりもプロセッナ院能が良いとしても、
そこに大きな付加価値は発生せず、十分な競争力になっていないのです。
むしろ高性能のカスタムチップを間発しようとすると、コストが重荷になるうえ、
 (チップ設計に時間がかかるため)製品投入のスピードが遅くなったり、
変化に迅速に対応できない、というデメリットが生まれます。
またDSとPSPの競争においても、プロセッサ性能が競争を左右していないことは
今のマーケットを見れば明らかです。
なぜこうなったのか?
それはムーアの法則によって、プロセッサの性能が向上し、大多数のユーザーの 「必要十分」を満たしてしまったからです。
それがいわゆる「チープ革命」につながるわけですが。
ある一時期、ソフト優位論という考え方が台頭してきました。
ハードウェアは中国に追いつかれるから滅びる。
ハード中心の産業は、もっと高付加価値のソフト産業に移行しなければならない。
例えば、ソニーの出井氏はソニーをAV機器メーカーから、
メディア企業化しようとしていました。
そのために出井氏と技術者の対立が深刻化し、ソニーは技術力が他社に追い抜かれてしまいました。
しかし今や、その考え方は古いわけです。ハードのコモディティ化が進んだだけでなく、ソフトのコモディティ化も急速に進んでいるからです。
・中国、インドの台頭によるソフト開発者の人件費の値下げ圧力
・日米のソフト開発者の仕事が長期的に減っている
・DVDを始めとする映像作品の低価格化
・DVD作品、ゲーム共に廉価版リリースまでの期間が短くなっている
・音楽ビジネスの変化
・娯楽コンテンツの総量が増大したため、消費がますます一過性になっている
 「ハード産業→ソフト&サービス産業」とか
単純に「ハードは低付加価値、ソフトは高付加価値」という考え方は古く、
ハードとソフトをつなぎ合わせて、低コストな高付加価値を生み出す
戦略が重要になります。

Posted by amanoudume at 2005年09月14日 13:41 個別リンク