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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年09月03日

ソニーが松下とジョブズに降参した日

ソニーが松下に降参した日

VAIOシリーズの秋モデルが発表されましたが、「VAIO type T」において、ついにSDカードに対応するようになりました。デジカメ市場におけるシェアを考えれば、当然の判断です。しかしこれまでソニーは、ユーザーの利便性を犠牲にしてでも、「オールソニー」の方針を貫いてきたわけで、大きな方針転換が起きています。


ニーはこれまで、自社の規格であるメモリースティックにこだわってきたわけだが、記録媒体としてメモリースティックを採用しているのは、ソニーのデジタル
カメラやオーディオプレーヤーくらいで、他社から登場しているコンシューマ向けデジタルカメラの多くは、SDメモリーカードを採用している。

ソニーグループの戦略商品という点では、PS3もSDカードへの対応を表明しています。これもやはり、デジカメ市場におけるSDカードの圧倒的普及率を無
視できないからでしょう。SDカードに対応しないかぎり、デジカメで撮った写真データをあつかうプラットフォームとしてはガラクタに等しい、という現実を
ようやく認めたことになります。
戦略の松下、時代に逆行したソニー

なぜ松下が勝ち、ソニーは降参したのか。理由はいくつもあげられるでしょうが、松下の戦略性が非常に高かったのは確かです。

R30::マーケティング社会時評 書評:「中村邦夫 『幸之助神話』を壊した男」

石全体のつながりを読みながらどこに石を置くのかが、きわめて重要なのだ。中村を見ていると、非常に戦略的に判断して手を打っていることがわかる。「エンパワーメント」を鼓吹し、組織戦略に重点を置いているようでいて、ここぞというときは自ら果断に動く。

そしてこの後、社長就任後数ヶ月経った頃に敗退寸前のデジタルスチルカメラ市場への再挑戦を指示したエピソードが続く。

松下のSDカード・プラットフォーム戦略

松下の3Dバリューチェーンの中で特に重要な役割を果たすのはSDカードである。利用領域の広がりを見せるSDカードを使い、デジタル化された家電を「統一された・簡単な手段」でネットワーク化することで「分かりやすく・使いやすい端末機器」の実現を図る。

下は、デジタル家電時代において、どこが勝負を分けるのか、どこが高い付加価値を生むのかを見定めて、その普及のためにデジカメ市場をおさえにかかりまし
た。
一方、ソニーは、コンテンツからネットワーク、ハードウェアに至るまで、幅広い分野に進出しておきながら、グループ各社の足並みがまったくそろいませんで
した。「オールソニー」が足かせとなって、かえって付加価値を落としつづけました。
「オールソニー」という考え方は、ソニーの技術力、製品開発力が他を圧していた時代なら機能したかもしれませんが、出井氏の失策によって、ソニーはこの
10年で同業他社にくらべて、大幅に技術力を落としています。現在では、単に不便なものを抱き合わせているだけの、ユーザー無視の戦略にすぎません。
デジタル家電時代のプラットフォーム戦略

松下の中村社長は、時代をよむ見事な戦略家。一方、出井氏はユーザーと時代を無視した夢想家でした。ここでもう1人、偉大なトップを引き合いに出しましょう。もちろんアップルのジョブズです。
iPodはポータブルオーディオプレイヤーとして成功しただけでなく、リビングと車の間をつなぐネットワークの橋渡しで、重要なポジションを占めつつあります。
渡辺聡・情報化社会の航海図 「アップルは何ビジネスを営んでいるのか」


内の自動車メーカーからもカーステレオへのiPodサポートを発表されている。リビングと車を繋ぐネットワークの橋渡し機能で重要な役割をアップルが担っ
ていくことになる。
こうなってくると、携帯電話が単なる電話ツールでなくなってしまったのと同じように単なる音楽プレイヤーとは言い難い。車とPC(もしくはホームネット
ワーク)とのやり取りを行い、かつ単体でも持ち歩けるパーソナルストレージとなってくる。人によっては、音楽再生機能はおまけとなる。

iPodもまた、SDカードと同様、デジタル家電ネットワークにおけるデータの橋渡しの役割を果たすわけです。形態や使用シーンは異なるとはいえ、松下も
アップルも共に、ソニーが想像すらできなかった巨大な可能性を掘り起こすことに成功したのです。
iPodの成功要因は数多くの人が何回もくり返し語っていますが、その中で忘れてはいけないのは、iTunesをWindowsでも提供したことです。間
違いなくiPodにまつわるジョブズの「英断」の1つでしょう。これはもちろん、ソニーの「オールソニー」戦略の対極にある発想です。
松下のSDカード戦略、アップルのiPod、どちらもデジタル家電時代の一大プラットフォームに成長しました。それはなぜか。
    1)ユーザーの利便性を尊重し、
    2)すなわちユーザーの範囲を限定するのではなく、拡大する方向に仕様を定め、
    3)色々なデバイスとの接続性を重視し、
    4)自社製品以外の製品とつなげても、ユーザーに不利益をもたらさない
からです。

Posted by amanoudume at 2005年09月03日 00:31 個別リンク
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松下電器のSDプラットフォーム戦略
Excerpt: 松下電器のSDカード規格がほかの規格に勝った経緯。学ぶところが多い。 やっぱハイテク業界の人はスイスアーミーナイフが好きだなあ @ ZEROBASE CAST そういえばちょっとまえにソニーという会社がVAIOを中心にAV機器などがすべてつながるというコンセプトを発表した...
Weblog: ZEROBASE CAST
Tracked: 2005年09月09日 09:27