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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年08月23日

「かめはめ波」から「元気玉」の時代へ

アフィリエイトとチープ革命のもたらした変化

Life is beautiful 「AdSense と アフィリエイトが可能にする「チープ起業」革命」が非常に面白かったです。会社レベルでアフィリエイトで利益を出すという話は、世の中にはアフィリエイトで年商1億円という会社があるので、聞いてもびっくりはしませんでしたが、アフィリエイトによって起業が低リスク化したという視点はなるほどと思いました。

最も興味深かったのが、「『はてな』のビジネスがVCから全く資金調達せずに回っている」と言う話である。インターネット・バブルの崩壊後にGoogleやYahooが広告収入で黒字化した、というだけで偉いのに、「はてな」のような所が、(自分で広告主を集めるのではなく)Google の AdSense と Amazonのアフィリエイトでそれなりの売り上げが上がって、その資金でさらなる開発投資ができてしまうという事実は、私にとっては「目からうろこ」の衝撃であった。
10人前後の社員と会員30万人以上のホスティングサービスを支えるサーバーの維持費が、アフィリエイトで回るという事実は、説得力があります。それは「起業資金をためるなり、親戚からかき集めるなり、スポンサーを探して東奔西走しない限り、起業なんてできない」という既存のイメージを覆すからです。
今まで、「インターネット・ビジネスはそれなりの資金が無ければ始められないので、その点ではベンチャー・キャピタルからの資金が集めやすい米国のベンチャー企業の方が圧倒的に有利」と頭から信じ込んでいた私が、この事実を認識してから少し見方を変えた。こんなチープな(=巨額な設立資金を必要としない)ビジネスの立ち上げ方が可能であれば、日本の起業家たちにもまだまだチャンスはあるように思える。
これは単に金額だけの変化ではない、と思います。新しいビジネスを起こすことが、今の仕事を維持したまま可能になった、という点が非常に大きいです。思えば、GREEを立ち上げた田中良和氏にしても、大手IT関連企業の社員を続けながら、「趣味」でサービスを立ち上げたわけです(「それでいい、楽しいから」――7万人の町「GREE」を一人で作ってる会社員)。この時点のGREEはアフィリエイト単体ではコストを支えられなかったものの、「趣味」の金額と時間で、数万人規模のサービスを運営できていました。
7万人超のコミュニティサイト。企業が維持するのも大変な規模だが、開発やサポートは田中さん一人だ。田中さんはある大手IT関連企業の社員。といってもGREEは仕事とは無関係。作業は終業後や休みの日などに行う。サーバ費用などはすべて自己負担だ。
たしかにブログブーム以降のネット企業は、他の仕事を持っている人が個人の資金でサーバーを立ち上げて、サービスを立ち上げる例が多いような気がします。その背景には、ブロードバンドの普及と、サーバーコストの低下があります。

「かめはめ波」から「元気玉」へ

かつて「起業」というと、ご大層なイメージがありました。「挑戦」とか「飛び出せ」みたいなカッコいい言葉が目についた反面、リスクが高いという印象を植えつけてしまいました。一部の人が煽りすぎたため、逆にそれ以外の人が引いてしまったわけです。数年前の「週末起業家」ブームも、現在の仕事を辞める(いずれ辞める)という目標を暗黙の前提としていた感があって、やはりまだリスクが高い印象がありました。

今はもっと、その辺のリスク感が大幅にへって、もっとライトな感覚になってきたのかな?と感じています。「起業」「副業」まではいかずとも、アフィリエイトを始めとするネット副収入は一大ブームになり、ブログブームの大きな原動力になりました。「起業」ほどのリスクはイヤだが、趣味の延長戦上として「副業」してみようか、「副業」ほど重い負担は抱えたくないが、ちょっとした「小遣い稼ぎ」はしてみたい。もちろん「あわよくば・・・・」という気持ちをもつこともできる。

そういう風にローリスクになって、敷居が下がった分、参加者が増えたんじゃないかと思います。
2000年ぐらいまでは、ハイリスクを背負わせて、高い労力を引き出して、そのかわりハイリターンを与える、という「一定以上の能力をもった人を長く働かせて、大きな労力を引き出す」という仕組みがうまく回っていました。それは、大企業といってもいいですし、もっと広く捉えれば、ふつうの会社の仕組みそのものです。

ところが最近は、能力の敷居を下げて、個人のちょっと空いた時間と労力をネットで集めて、「塵は積もれば」で大きな力にして、利益を出す・・・・という仕組み(アフィリエイトなど)が成功するようになりました。

アマゾンやグーグルが構築したネットインフラは、「リアル元気玉」と捉えるとわかりやすいです。ネットの浸透にともない、「みんな、オラにちょっと力を分けてくれ」というリアル元気玉が実現しました。ネットの本質は弱くて小さい力(少しの労力、ちょっとした表現、少しの空き時間、少量の注文)を集積して、強くて大きな力(多大な労力、大量で多様な表現、大量の時間、ロングテール現象による大量の注文)に変換できる点だと思います。
(「元気玉」すなわちグーグルの技術革新については、梅田望夫氏のウェブ社会[本当の大変化]はこれから始まるを大いに参考にさせていただきました。)


補足?予告編?

クリエイティブの世界でも、「副業」「副収入」化現象は進んでいて、元々商業の世界にいた人が会社が潰れたのをきっかけにして、ふつうの会社に入って安定した収入を得ながら、空いた時間で同人活動するというケースが増えています。総制作時間はどうしても減ってしまうでしょうけど、不安定な会社にいて理不尽な指令で健康を崩しながら、自分が作りたいと思ってないソフトを下請けで作るよりも、よっぽどいいんじゃないか。・・・・という考え方が可能になっています。

それはつまり、クリエイティビティーを集積する仕組みとして、「会社」というものが説得力をもたなくなってきた、ということなのですが、長くなるのでまた今度書こうかな、と思います。ただ、「会社を通さなければ、世の中に作品を流せない」という時代には、働く人間のクリエイティビティーは半ば自動的に集積できていたわけですが、その大前提が崩れてしまうと、会社経営においても、「社員のクリエイティビティーを結集しつづけるにはどうしたらいいのか?」をつねに意識しなければならないのでしょうね。

Posted by amanoudume at 2005年08月23日 00:15 個別リンク
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