さまざまな人が書き込んで情報を蓄積できるWikiは「性善説」に基づいたツールだとよくいわれます。
ネット上の百科事典であるWikipediaは、多くの人の善意にもとづき、ネット上で共有される知的財産です。そうした善意の「知」の集合に、薄汚い「印象操作」の手が入ったようです。大いに悲しむべきことだと思います。
Wikipedia上のPSPとDSについての説明に、新しい記述がものすごい勢いで書き加えられており、それがかなり偏った見解(ゲハ板での信者論争を持ち込むような内容)になっています。
DSとPSPについての投稿記録
この報告はPSPがこの地獄から生還出来るよう真剣に考える★103でなされました。
問題となっている箇所は、そのスレを読んでいただければわかりますが、そのうち2つを抜粋しましょう。
DS音声認識この記述は今週追加されたものです(差分が残るのです)。
ただし、電車などで使用されることの多い携帯ゲーム機において
[[マイク]]は非常に相性が悪く利用価値が疑問視されている。
しかしながら、特殊な機能を持つハードの為、ソフトの開発が難しくソフト発売ペースはかなり遅い。特に2005年9月発売のソフト数はたった7本しかなく、14本のソフトがある[[PSP]]に、ダブルスコアで負けてしまっている。この記述もほぼ同時に投稿されています(差分情報はこちら)。
なぜわざわざPSPのタイトル数が勝っている9月だけ、参照しているのでしょうか? ファミ通の発売予定リストを見ると、8月も10月もDSの方がタイトル数が多いのですが?
また、2005CESAゲーム白書に掲載された「各ハードの平均開発費」を
見てみましょう。PSPは9000万円で据置ゲーム機PS2の9600万円に近い数字です。DSはGBAの5300万円よりも安く3700万円です。もち
ろんサンプル数にばらつきがありますから、これだけですべてを語ることはできませんが、こういうデータを恣意的に無視するのはいかがなものでしょう。
このようにして、他にもいろいろな改変をおこなっていました。このような薄汚い「印象操作」は、結果的には不毛な信者論争を深刻化させ、純粋にPSPを愛
好している人々の印象をおとしめる結果にしかなりません。投稿時間は昼間のようですが、会社員だとしたら、業務時間の可能性が高いですよね。本当に信じが
たいことです・・・・。
ところで、Wikipediaに悪意ある改変がおこなわれてから、短期間で発覚したのはなぜでしょう? 答えはじつにシンプルです。善意の中にたった1つ
悪意がまぎれこめば目立つからです。白い紙の上の黒いしみはよくわかりますよね。
思えば、PSPの初期不良もまた、多くの善意のユーザーによってきわめて早期に報告され、短期間のうちに批判の声が強まりました。久多良木氏の「それが
PSPの仕様だ」という発言も、またたく間に世界じゅうに広まりました。悪意というものは、常日頃はきわめて巧妙に世の中に潜んでいます。しかし人々が善
意を持って立ち上がるとき、悪意はハッキリ目に見えるのです。
参考:
現時点では、善意の人々の手によって、共有知は修正され、みんなが信頼できる情報に回復しているようです。
Wikipedia 「ニンテンドーDS」
Wikipedia 「プレイステーション・ポータブル」