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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年07月08日

恐竜の時代から哺乳類の時代への変化を予感させるハリウッドの衰退

などと、ちょっと煽りっぽいタイトルをつけてしまいましたが、あくまで「予感」
すので、強力な根拠があるわけではありません。変化の兆候をどう捉えるかは人それぞれ。自分が数十年間生きてきた常識にとらわれてこれからやってくる大変
化を無視し、大きなチャンスを逃すのか、それとも時代の変化をピリピリと感じ取って、変化の波に乗るのか。どちらも自由なのです。
ボクの情報チェック網が広がったのか、それとも事態が深刻化している証左なのか、ハリウッドの低迷を指摘する記事をあちこちで目にします。
産経新聞ENAK 「米映画「寒い夏」 興行収入が過去最低」

米国で今年に入っての映画の総興行収入が18週連続で前年割れとなり、ハリウッド史上、過去最悪の記録となったことが28日、明らかになった。米国以外の国でも不調が続いており、世界的な興行低迷の様相を呈している。

産経新聞ENAK 「アニメ、純愛で邦画好調」

米国の映画人口減少が顕著になる一方、日本映画界は昨年の興行収入が新記録を樹立するなど好調だ。牽引(けんいん)役はハリウッド映画ではなく、アニメ人気や純愛ブームが続く邦画だ。
(中略)
ある洋画配給会社は「米映画が流行の先端だった時代は終わり、身近な邦画の面白さが理解され始めた。リメークや続編ばかりのハリウッドのネタ不足も深刻だ」と指摘した。

哲0701の日記 「アメリカの興行不振が我々の町を直撃する!」

アメリカでは映画の興行成績が長期にわたり低迷している。「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」が記録破りの興収を記録しているにもかかわらずである。この傾向は世界的なもので、前年同時期に比べて日本でも10%減となっているとのこと。

さて次の企画は 「ハリウッドも中国を目指す 」

アメリカでは、映画の興行成績の不振が相変わらず続いている。ちょっとソースが見つからなくなった(ブックマークをもっと多用しようっと)が、スピルバーグは宇宙戦争の工業収益の伸び悩みでこれから大規模作品は作らないと発言したという話もあった。

narinari.com 「ハリウッド映画の興行収入が過去最低に。」

最近では「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」という記録破りな作品がありましたが、それ以外は軒並み低迷。今年に入ってから総興行収入が前年と比べて減少し続けるという、全体的に不調気味の米映画界です。

narinari.com 「低迷ハリウッド映画を尻目に、邦画の興行成績が絶好調。」

これまで日本の映画産業の興行面を支えてきたのはハリウッド映画であり、邦画は長い冬の時代を過ごして来たなりが、近年は徐々にアニメや新世代の監督による邦画が台頭。時にハリウッド映画を凌駕するほどのヒットを記録し、すっかり復権してきたなりね。


要因は色々あげられていますが、ハリウッド自身の問題(深刻なネタ不足)と消費者の嗜好の変化(より身近なテーマを求めるようになった)の2つが大きそう。また、身近なテーマのほうがネットの口コミに乗りやすい
という傾向があるのかもしれません。
中国市場が代表例ですが、長期的に考えると、従来の市場とは異なる新しい市場が次々と立ち上がっていきます。市場のパイが拡大するときは、ビジネスの根幹
を支える戦略思想や、コンテンツの発想土台がくつがえされることがしばしばありますから、旧時代の支配勢力がしだいに影響力をうしなっていくことは十分あ
りえるシナリオです。

「予感」で動く人と、「理論」で動く人と、「常識」で動く人

こうしたハリウッドの衰退を目にして、どう反応するかは人それぞれでしょう。
米国娯楽産業の衰退と捉える人もいるでしょうし、恐竜的制作→哺乳類的制作への変化の兆候と受け取る人もいるでしょうし、同じことがこれからゲーム産業でも起きるのでは?と考える人もいるでしょう。いろいろな意見があると思います。

なぜなら現段階では多くの人が変化の「予感」を感じ取っているものの、それはまだ「理論」にまで至っていないからです。しかし現象(現実)は常に「理論」に先行し、成功をおさめる者は「理論」ができる前に変化の波に乗り、みずから「理論」の体現者となるのです。

たとえば、最近流行っている「ロングテール現象」についても同じことがいえます。ロングテール現象で引き合いに出されるのはアマゾンですが、アマゾンはロングテールという理論が発表されるはるか前から、変化の波に飛び込んでいた
です。
どれほど先端的な人物が口にしたものであれ、「理論」はつねに現実より遅れる。ボクも理屈好きですから、自己への警句としたいです。ふだんは「理論」や
「理屈」を書いていますが、今回はあえて「予感」を書くことにしました。たまにはいいでしょう。
世の中には3種類の人がいます。
変化の「予感」の段階で動く人(この例では、アマゾンの創設者等のイノベータ)、「理論」の段階で動く人(ロングテール論の提唱者。ロングテール論を布教
する人々)、「常識」の段階で動く人(あるいは最後まで動かない人、ともいう)。どの時点で動くかは人それぞれの判断であり、生き方であり、スタンスであ
り、人生です。正しいも間違いもない。
ひとつ残念なのはゲーム業界では「常識」の人が意外と多いということ。
20世紀的な発想からいつまでも抜け出せない感性の持ち主が、「ハリウッドは最強だね。これからはゲームもそうなるよ。それが発展というもので、ゲームは
ますます繁栄していくんだ」とか、「米国の娯楽産業はすばらしい。現在もそして未来も。だから彼らのやり方をまねればいいんだ」などと、わめき散らしてい
ることです。
ハリウッドの衰退という現象が目の前で起こり、先端的な消費者においては、ハリウッド的なるものへの関心が低下している状況で、ネットであれリアルであ
れ、そんなようなことをわめくセンスはおよそ理解しがたい。世の中には色々な人がいます。5年はもつが、10年はもたないだろう船に嬉々として乗り込みた
がる人もいます。

Posted by amanoudume at 2005年07月08日 00:56 個別リンク