神聖マルチ王国 「メルブラACがアーケード業界にもたらしたものとは?」。
同人ゲーム「月姫」を題材にした格闘ゲーム「メルブラ」のアーケード版、「メルブラAC」(アクト・カデンツァ)が低迷するビデオゲーム市場でヒットして
いるようです(ここでいうビデオゲームは、大型筐体ものを含んでいません)。神聖マルチ王国さんがヒットの要因を分析されています。とても面白いので、ぜ
ひ元記事をあたってください。
一般化できそうな要因を抜き出してみると、3点あります。
●新規ユーザーの獲得
ふだんゲーセンで格闘ゲームを遊んでいないタイプのオタ層が「月姫」の
格闘ゲームということで流入した。
●競合相手の減少
大型筐体の導入が進み、大手を中心にそちらへのシフトが進んだ結果、
ビデオゲームの領域で競合相手が減っていた(近年はくそゲーが乱発
されていた)
●十分普及しているプラットフォームで、(相対的に)低価格なリリース
普及しているNAOMI基板で動き、数千万円の高価格な筐体は導入
できない中小のオペレータの救世主となった。
この3点はアーケードに限らず、割と一般的に耳にする「意外な成功」の要因だと思います。競争力というものは、他者と異なる点をもち、その点が市場で価値をもつことで
す。一番わかりやすいのは、これだ!という未来を見つけて、最先端に向かって突っ走ること。先頭集団を維持できれば、それがそのまま競争力につながりま
す。
ですから、世の中の大多数の会社は世間で「次はこれだ!」と騒がれると、いっせいに動き始めるわけです。ところが本当に先頭集団をキープできるのは、世間
では誰も騒いでいないし、へたをすると「そんなところに走っていって、どうするの?」といわれている時点で走り出した会社だけです。大多数の会社は遅れて
走り出して、満員電車のようなラッシュにみずから踊りこんで、たいした差別化ができない状況で、苦しい競争を始めます。
新しいことを始める→古いものが多い中ではユニークであり、今後価値をもつ→競争力が生まれる
新しいことを始める→競争力が生まれる
しかしみんなが最先端に向かいつつも、好んでラッシュに巻き込まれている一方、元々みんながいた場所には逆にチャンスが生まれているわけです。競合相手がいない、枯れた技術を基盤にしているため低価格である、といった成功の要因があるからです。
あえて遅れてついていくというのは、戦略としてはなかなか面白いのではないか、と思います。もっともあまりカッコいい感じはしませんから、先端的なイメージで売りたい企業や、常に前進を求められている巨大企業にはそういう戦略は難しいでしょう。
しかし小規模の会社、あるいは個人が成功を狙うなら、「みんな」が見向きもしなくなった領域をあえて掘ってみるのも面白いでしょう。「みんな」なんて、じつは世の中の半分にも達してはいないのです。