最近の記事
カテゴリー
過去ログ
検索


このサイトについて
このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年07月05日

iPodが携帯ゲーム機になる日

ポータブルオーディオプレーヤーが携帯ゲーム機になる日

iRiverがmpeg4再生機能をもつポータブルオーディオプレーヤー「U10」を発表しました。オーディオプレーヤーにカラー液晶が載れば、次に動画再生に行くのは自然な進化ですが、さらにFLASH lite 1.1
にも対応している点が見逃せません。FLASH lite
は携帯電話のような組み込み機器向けに作られた規格。携帯電話でもいまやFLASHゲームが増えています。
これでポータブルオーディオプレーヤーが携帯ゲーム機、携帯電話と並んで、ゲームプラットフォームとして立ち上がったといえます。iRiver製品だけで
は弱いものの、iPodでFLASHが動くようになれば、プラットフォームとしては強大。iPod Photoのカラー液晶が標準化され、iPod
PhotoがiPodとなった今、次は動画再生とFLASH再生に進むのは時間の問題でしょう(ジョブズはかつてiPod
Videoの可能性を一度否定してますが、必要な性能を十分なコストで実現できなかった時点での話)。
iPodに標準でついているゲームは数も少なく、画面もチープですが、FLASHが動けば、ゲームの数は飛躍的に増大し、画面もそれなりに豊かになりま
す。
(参考:iPod mobileさん 「iPodの裏技 ゲームを増やす」
iRiverの製品は、PSPに比べると画面が小さいものの、反面ポケットに収まりますし、動画/音楽/FLASH/テキストをすべて表示可能、とメディ
アプレーヤーとしてのキャパシティはPSPごときの比ではありません。UMDなどというつまらないフォーマットを作る前に、ソニーはこういう製品を作るべ
きでしたね。

ポータブルオーディオプレーヤーは「ゲーム機」ビジネスを崩すか
ポータブルオーディオプレーヤーは既
存のゲーム機とは異なり、ロイヤリティーを取らずにゲーム(FLASH)を提供できるという点も大きいです。もちろん、DSやPSPの市場を完全に食うに
は至らないでしょう。けれどもある種のユーザー、ひまつぶし目的でゲームを楽しむユーザーはこれぐらいでいい、と考えるはず。そこで少なからず、市場は縮
小するでしょう。
また本来ゲーム機の世界に入ってきて活躍するはずだったクリエイティブな才能も、FLASHの世界、ロイヤリティーの無い世界で自分の才能を展開できま
す。結果的にゲーム機ビジネスの世界を支えるクリエイティブパワーは減少し、もっと自由な世界が大きな力を得るようになります。
そしてゲーム版iPodなら、ROMカートリッジやUMDの「ゲームごとに差し替えなければいけない」というつまらない制約は存在しません。以前、「エレクトロプランクトン」の感想の中でも、のべたとおり、音楽並みに自由なスタイルを許容してほしい。それこそ進化です。
まぁそれと長期的な観点では、今のゲーム機というのはROMカートリッジやディスクを差し替えないとゲームを切り替えられないの
で、そこが不便ですよね。携帯ゲーム機といえども、ゲームを差し替えて立ち上げて・・・・遊ぶまでにけっこうかかる。乱暴な言い方をすると、今のゲーム機
はまさに「ゲーム」を前提にしていて、30分とか1時間とか、熱中して遊ぶタイプのソフトに向いている形態なんです。元々、玩具でしたからね。
ゲーム版iPodみたいにメディアレス配信を前提にしたハードがあって、音楽を切り替える感覚でゲームを変えられたら、この手のソフトはもっと可能性を発
揮すると思います。1分とか5分でいいよ、という感覚ですね。「未来のゲーム」はスタイルの変革によって幅を広げていくと思います。

さらに、1つのゲームの裏でもう1つのゲームが動いているという環境があれば、遊びの幅はもっと広がるでしょう。
「フォアグラウンドとバックグラウンド」より。

2年前にBBSで示した例の1つは、ゲームアプリとエージェントソフト(任意たんみたいなもの)を両方常駐させるという形態。他
の例を出すとすると、複数のペットゲームを同時に動かすという形態がわかりやすいかもしれません。たとえば携帯機上に、シーマンとピカチュウとペット動物
がいて、全部持ち歩けて、ボタン1つで別のペットゲームに切替えられるというプレイ環境。
実際、現時点でも、フォアグラウンド
とバックグラウンドの2つが動くことへのニーズはあると思います。たとえば、ネット上にある「nintendogs」の感想を読んでいると、他のゲームを
遊んでいる間にすれ違い通信できたらいいのに、とか、音楽を聴いている間にすれ違い通信できたら、という意見をたまに見かけます。
ゴールは明確であり、競争は始まっている
もはやボクらの目の前に見えているのは、こういう世界です。
すなわち音楽も動画もゲームも小説も、あらゆる種類の大量のコンテンツが1台の中に収まっていて、好きな時にそれを再生することができ、しかも組み合わせ
て再生することも可能なのです。例えば好きな音楽を聴きながら、電車の中で電子小説を読み、お気に入りの音楽を聴きながら、ゲームを遊ぶ。動画を観なが
ら、たまに電子ペットの餌のことを思い出して、少しだけ戯れる。
もちろん、いまだそれを実現するデバイスはこの地球上には存在しません。しかしやがて、存在するでしょう。それは時間の問題です。なぜなら、そういう娯楽
世界もデバイスも、いまや多くの人が容易に想像できるものだからです。
問題は、誰が一番最初にそれを実現するか。おいしい所を先に持っていくか。ゲーム機か、携帯電話か、オーディオプレーヤーか、あるいはそれ以外の機器か。
そういう大規模な競争が起こっているのです。
恐竜の時代から哺乳類の時代へ
21世紀になり、5年が経過して、ようやくクリエイティブ世界は、コン
テンツワールドは「爬虫類から哺乳類」の時代の変化を迎えようとしています。いまだ古臭い脳みそ、20世紀のクリエイティビティーしか持ち得ない人間は、
恐竜のロジックで未来を語ります。「俺のこの巨大な身体を見ろ」「俺の巨大な牙を見ろ」。そういう発想はたとえば、誇らしげに円盤を掲げてみせる前時代的
な発想に帰結します。恐竜が少ない脳みそで、鈍重な肉体を必死に動かしている一方、哺乳類が賢く、機敏に動き回り、新しい時代を築きつつあります。
もちろん、いずれ絶滅が定められた種であっても、明日すぐに消えてなくなるわけではありません。しかし彼らの絶滅という運命が変わることはなく、1年、2
年、5年、10年するうちに徐々にフェードアウトしていきます。
PCの価格破壊、ネットワーク流通、ロングテール現象、ロイヤリティ世界の衰退、口コミ網の形成、クリエイティブ産業のアウトソーシング。現時点でさえ、
新時代の兆候は着実に表れています。

Posted by amanoudume at 2005年07月05日 00:00 個別リンク
TrackBack URL for this entry:
http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/64

Listed below are links to weblogs that reference 'iPodが携帯ゲーム機になる日' from 発熱地帯.
ホーム/2005-07-06
Excerpt: iPodが携帯ゲーム機になる日(発熱地帯) iRiverのFLASH lite対応にみるポータブルオーディオプレーヤーの今後など。 再びJBAについて(ARTIFACT) 「Japan Blogging Association」という今は無い団体についての考察。 そんな団体があったことすら知りませんでした; ...
Weblog: とんかつ3号 隠れ亭
Tracked: 2005年07月05日 21:44