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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年05月24日

次世代で加速するマルチプラットフォーム

プラットフォーム競争の激化によってマルチプラットフォーム化が進む
ゲーム機の最初の2世代の与党は 任天堂、次の2世代の与党はソニー。では今度の2世代は・・・・?と尋ねられたとき、「マイクロソフト!」と答える人もいれば、「ソニー!」と答える人も いるはず。しかしいずれが勝つにしても、PS1やPS2でソニーが圧勝したほどの、圧倒的な市場シェアを占めることはなく、6:4とか5:5とか、ほとん ど半々に分け合うのではないか、という予想が多い。 その結果、日本のソフトメーカーも本格的にマルチプラットフォーム化を検討しなければならない時代がいよいよやってきた。例えば、日本でPS3、北米で XBOX360がトップシェアを握った場合、マルチプラットフォーム展開に慣れている欧米のソフトメーカーはほとんど困らないが、日本のソフトメーカーは (部分的にはマルチプラットフォームのタイトルがあるとはいえ)慣れないマルチプラットフォーム対応で苦しむことになる。結果的にベースのエンジンを構築 するコストが増大して、市販のミドルウェアの採用が現世代よりも進むと予想される。少なくとも社内での共通エンジン構想など、省力化の方向に向かう必要が ある。
ゲーム機がPCに近づいたことでマルチプラットフォーム化が進む
また、XBOX360もPS3も、 GPUの開発がATIとNVIDIAになり、共にPCゲームの技術が通用するようになった。XBOX360は初代XBOXに比べるとPCから少し離れた が、PS3はぐっとPCに近い構成になった。 久多良木氏は先行発売するXBOX360を恐れるあまり、必死になって「XBOX1.5」と連呼し、XBOX360はただのPCで、PS3はPCとはまっ たく異なるアーキテクチャだと主張しているが、まともな技術者が取り合う主張ではない。ソニーはPS3の開発途中で、GPU開発を東芝からNVIDIAに 切り替えたといわれている。その開発の遅れを埋めるべく、PCの構成(CPUとメインRAM、GPUとローカルVRAM)を流用せざるを得なかった、とい うのが現在の定評だ。実際、ここ数年自慢していた組込みDRAMは影も形もない。 堕ちた技術者の戯言は無視していい。 DirectXとOpenGLの両対応はPCではそれほど珍しい話ではないし、PS2とXBOXの違いに比べれば、些細な問題にすぎない。そもそもシェー ダーの重要度が比重を増している。シェーダーの方言差など、さらに些細な問題だ。マルチプラットフォームのエンジンを構築するコストは前世代よりもぐっと 下がる。また異なるプラットフォーム間で高いクオリティを維持しやすくもなる。
オンラインゲームの浸透でマルチプラットフォーム化が進む
オンラインゲームで重要なのは、各端末では なく、アクセスされる先にあるコンテンツでありサービスだ。そこに付加価値があり、ソフトメーカーにとってはサービスへの入り口は多いほうがいい。すると マルチプラットフォームが自然な形態となる。理想をいえば、あらゆるプラットフォームに供給するのがベストだが、実際には各プラットフォーム上でのプログ ラムを開発するのにコストがかかるし、ロイヤリティーの問題もある。そのため、短期的にはオールプラットフォームとはいかない。ただし長期的には限りなく オールプラットフォームになる。 例えばスクウェアエニックスは、XBOX360に「FF11」を供給する。PS2、PCに続き、3つ目のプラットフォームとなる。PS3は標準でHDDを 搭載しないこともあり、MMORPGの供給先としては若干面倒だ。XBOX360を選んだのはリーズナブルな判断といえる。 (J.アラード氏へのインタビューで 改めて確認されたように、マイクロソフトはPCとXBOX360をプラットフォームとして近づけていくことを目論んでおり、主にPCで育ってきた MMORPGはXBOX360向きだ。PS3はあまり向かない。ソニーのHDD非搭載の判断は、日本でPSBBが失敗したことが遠因だろうが、MMORPG熱が再点火した場合には致命傷になりえる。)
ソフトメーカーの4つの選択肢
今後、ソフトメーカーが選択しえるリリース形態は以下の4種類だ。   1)同時発売のマルチプラットフォーム   2)発売時期を少しずらしたマルチプラットフォーム   3)期間限定独占供給   4)完全独占供給 1)はもっともポピュラーなマルチ展開で、今後日本のソフトメーカーでも増えていく。2)はトップハードでの発売が1週間早いというようなケース。日本の マルチタイトルでたまに見られるパターン。政治的配慮。3)は半年~1年程度の期間、他のハードに出さないと約束する場合で、初代「Splinter Cell」がその好例。年末商戦に投入されたのはXBOX版のみで、おかげでXBOXは大いに台数を伸ばした。 今後は4)の完全独占供給が無くなっていって、3)の独占供給が増えるのではないか。独占供給のかわりにプラットフォームホルダーから優遇してもらうの は、そのプラットフォームが圧倒的に勝てばおいしいものの、プラットフォームが負ければリスクが甚大になる。国内の例ではカプコンの「バイオハザード4」 が好例だろう。また独占供給を宣言していなかったが、ナムコの「テイルズ・オブ・シンフォニア」はGC版から約1年の時間を置いて、PS2版が発売され た。これも3)に分類してよいかもしれない。 リスク回避以外にも、魅力的な条件を出されて、独占供給から期間独占供給に変わった例もある。PS2独占だった「GTA」はXBOXに供給されるように なった。 全体的に4)から1)へと比率がシフトしていく。 すると、わざわざ専用タイトルとして作っておいて、それから移植するのは無駄になる。今後は「同時に出せるようにマルチ対応で作っておくが、プラット フォームホルダーとの契約でタイミングをずらす」というケースが増えてくる。 各パブリッシャーがマルチプラットフォームを大前提とした体制を築くことで、リスク回避しやすくなるのはもちろん、プラットフォームホルダーに対して条件 交渉をやりやすくなる。ただしディベロッパーにとってはつらいことになるかもしれない。「移植」仕事が無くなって、(従来とほとんど変わらない額で)「マ ルチプラットフォーム開発」を強制される可能性が高いからだ。 (ただ、逆に開発プラットフォームごとに、開発スタジオが分かれるケースもある。その場合は各スタジオがデータ共有できる体制が不可欠だし、パブリッ シャー側にかなり高度なマネージメント能力が要求される)
マルチプラットフォーム前提の時代がもたらすもの
マルチプラットフォームが浸透していくことで、プ ラットフォーム競争はある意味ダイナミクスを失う。任天堂からソニーに政権交代したときは、まだシングルプラットフォームが当たり前だった。スクウェアの 移籍によって、勝ち組に乗らなければすべてを失うという恐怖感が多くのソフトメーカーをPSに走らせた。しかしマルチプラットフォームでリスク分散されて いると、こういう恐慌は生じにくい。これは現在勝っているソニーにとって良いことだ。しかし悪いこともある。 どのプラットフォームでもほぼ同じゲームが遊べるということは:   A) 先行発売のプラットフォームが有利になる   B) ファーストパーティ、セカンドパーティのソフトが重要度を増す   C) 純ゲーム機以外の付加価値(サービス、デザイン、価格、・・・・)が相対的に重要になる A) XBOX360でEAのソフトが潤沢に供給される影響は、前回の「三者三様E3 」で のべたとおりだ。先行発売によって、マルチタイトルの顧客を自分の所に引き寄せやすい。 B) またファーストパーティタイトルが重要になるため、PS1時代からの衰退シリーズに拘泥しているソニーよりも、独立系クリエイターによる新規タイトルの育 成に努めているマイクロソフトのほうが優勢だ。現在もっているキラータイトルは、ソニーが「GT」、マイクロソフトが「Halo」。全世界で見れば、ほぼ 互角の効果だろう。だが北米に限定すれば、「Halo」のほうがよりキラー度は高い。 C) ゲーム機以外の付加価値については、ソニーとマイクロソフトのどちらが有利か、判断は難しい。PS3はブルーレイが付加価値だし、XBOX360はオンラ イン配信が付加価値だ。とりあえず互角と判断しておく。 このようにXBOX360にプラスに働く効果がかなりある。重要なのは、シェアの早期確保とプラットフォームの差別化だ。
我々は歴史の証人になろうとしている
個人的には、ドラクエは置いといても、「FF11」以外のFFがマルチプラットフォーム化されたとしても、驚きはしない。FF は欧米での売上も大きく、欧米でのプラットフォームの勢いを無視できないからだ。XBOX360の北米での勢いしだいでは、マルチプラットフォーム化もあ りえる。あるいは日本はPS3版のみ、北米はXBOX360版のみ、という変則独占供給もありえなくはない。 もちろん現時点では、PS3オンリーの供給が大前提だ。ただし、今後はこのようにパブリッシャーが色々な選択肢を持てるようになる。独占供給するにして も、より良い条件を引き出しやすい。例えば、こんな想像をめぐらしてみよう。 東京ゲームショウにおいて、PS3のカンファレンスで発表した「FF7テクニカルデモ」をXBOX360上でリアルタイム動作させたらどうなるか? 開発 費はマイクロソフトもちだ。もちろんXBOX360へのFF投入は表明する必要がない。それでもソニーはかなり動揺するし、平身低頭でより良い条件を差し 出してくるだろう。マイクロソフトは少なくとも、XBOX360がPS3と同等以上の性能をもつとアピールできる。宣伝効果としては悪くない。(まぁ和田 社長は「FF7テクニカルデモ」がPS3上のリアルタイムデモではないと明言しているが) もちろん、これは「想像」にすぎない。しかし以前は「想像」さえありえなかった。今はありえる。この違いは大きい。 スクウェアエニックスの和田社長は常々、ハードメーカーに対して、微妙な距離を取っているようにも見える。旧エニックスの時代には、単一プラットフォーム 主義だったが、最近はXBOX360への「FF11」供給、レボリューションへの「FFCC」供給など、全方位外交の姿勢に転換しつつある。 ゲーム機の最初の2世代の与党は任天堂、次の2世代の与党はソニー。では今度の2世代は・・・・? その答えはマイクロソフトかソニーのどちらか、という のが常識的な判断だろう。だが、次の10年で起きる変化は、単純な「与野党の政権交代」にとどまらないかもしれない。 もっと巨大な政変、政治のルールそのものの変化が起こるのではないか。なるほど、与党はマイクロソフトかソニーだろう。しかし与党のもつ影響力が、はたし て過去20年と同等のままなのだろうか? 王様の椅子は今はまだ黄金色に輝いている。だが5年後、10年後には粗大ゴミ置き場のソファー程度のものになっ ているかもしれない。我々は今、歴史の証人になろうとしている。 Posted by amanoudume at 2005年05月24日 15:14 個別リンク

コメント

私も現段階ではマイクロソフトかソニーが覇権を握るだろうということに特に異論はないのですが、
仮にマルチプラットフォーム化が予想以上に進んだ場合、任天堂が最有力候補に急浮上すると思うのは私だけでしょうか。任天堂は日本ではいまだにソフトに関
してはトップシェアですし、海外でもそれほど悪いポジションではないです。GTA、FF、スポーツ系がマルチプラットフォームで同時発売なんてことになっ
たら・・・この先大どんでん返しがありうるかも。

ゲームタイトルのマルチプラットフォーム化が進むという点については同意です。
すでに現行機でもはっきりと増加していますし。
私が考える理由としては
①単一の機種が市場の大部分を制する時代の終焉。また、市場が大きくなった事で、20%の市場でも十分利益を上げる事が可能に。
②ゲーム開発におけるミドルウェア、ライブラリの活用が進み、移植性が非常に高くなったこと。次世代ではすべてPowerPCファミリ+PCベースの
GPUであり、この傾向は更に高まる。
開発費と、移植の手間を考えた場合、
開発費>>移植費となってきていることもマルチ化を促進している。
③単一の機種にリソースを集中する事へのリスク。開発費の増大、開発期間の長期化により、ハイリスクハイリターン化が進んでいるためリスクも大きくなって
いる。
ってなとこでしょうか。

URL欄をタイトル欄と勘違いしていました。すいません。

RPGのマルチなんて聞いたことがないけど
本当にそんなこと可能ですかね。

 ムービー多様・グラフィック偏重という重厚長大一辺倒なRPGの進化に加えて、さらに性能の上がった次世代機となると、開発費がこの先もどんどん増えて
いくのはわかりきってる。利益を得るには当然ながら大量に裁いてナンボなので、一人勝ちハードがなくなってユーザーが分散すると、必然的にマルチで出さな
いと回収が難しくなる。可能・不可能じゃなくて、やるしかない。

かなりネガティブですが反対意見です。
いままでの世代交代期にくらべて、
あきらかにその雰囲気が異なってるような気がします。
ゲーム市場全体がなにかを見誤っている、そんな印象です。
ゲーム市場をささえる購買層が20代30代に移り、
ゲームプレイスタイルはハッキリ変化しています。
それなのにいまだ腰をすえて遊ぶスタイルをもとに
ハードが作られている印象が強いからです。
据え置き型ハード市場を制したモノが主役となる時代は終わった。
私の周りの声はもはやそんな流れになっています。
政治と違って、かならずや議席数をうめる必要がないなかで、
今回の世代交代において与野党自体の存在を問うという考えは、
過ぎた憂慮でしょうか。
かつてはマルチプラットフォームで行えていたリスク回避にしても、
その前提からくずれる可能性だってあると思います。
メイン・サブの両方で損失を生み出す可能性すらもはや、
一笑に付すようなことではないと思います。
それを防ぐ方法の1つとして、技術提供をふくめ、
メーカーへのケアやサポートに注力することが、
(シェア競争があるとすればですが)
1つの大きな鍵になるのではないでしょうか。

>porokeyさん
>据置論争
今後10年間の予想ではなく10年後、20年後の予想に属すると私は思います。
まだ全体の市場を腰をすえて遊ぶハードが占めている以上、いきなり大政奉還はありえないでしょう。

任天堂がレボリューションの開発を発表した段階で、異質なゲーム機を作るので万人に受け入れられることは無いかも。と発言していたのを覚えてる方はどのく
らいいるでしょうか。任天堂はトップシェアの抗争に関わる気は無いのかも知れませんね。まぁ取れるなら取るに越したことは無いんですが。DSの時もそうで
したが、既存のユーザー層よりも新規ユーザー開拓に重点を置いている感じがします。個人的に言ってしまえばソニー嫌いなんで頑張れMSって感じなんです
が。トゥルーファンタジーライブオンラインとか開発中止になったゲーム出されたら迷わず買うんですがね。