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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年02月28日

スピード感の増した口コミ・ネットワーク

コアゲーマーが買い逃したゲームを追いかけなくなり、マニア向けのソフトが継続的に売れずに初週依存率が上がっています。この現象には2つの要因がありま
す。1つは中心購買層のゲーマー体力が低下したこと、もう1つは男性オタク市場がますます一過性のネタ重視になってきたことです。1つ目の要因については「変化する市場」の中で書きました。今回は2つ目の要因について、さらさらっと書こうと思います。

成熟したネットワークがもたらすスピード感
個人ニュースサイトやBLOGによって形成されるネット上の口コミネットワークが、一定の成熟段階を超えて、話題の流れるルートが完成してきました。その ため話題の伝播する速度がかなり早くなり、ネット上でアクセス可能なコンテンツが口コミで急速に盛り上がるようになりました。去年の夏から秋にかけて、実 質4ヶ月程度で爆発的に成長した『ひぐらしのなく頃に』は好例でしょう。 一方で、ネタ系FLASHの消費サイクルが短くなっています。「みこみこナース」を代表例とする一昨年の電波ソングブームの頃は、話題の立ち上がりから終 息まで2〜3ヶ月はあったのに、「きみしね」が盛り上がった去年の秋頃はサイクルが1ヶ月半ぐらいになっています。立ち上がりが早いものの、終わるのも早 い。新しい情報がどんどん出てくる一方で、少しでも古くなるとすぐに忘れられてしまいます。
新時代の口コミ
今の男性オタク市場では、コミュニケーションのネタにならない物はすぐに忘れられ、消 えていきます。ネット上での口コミ・ネットワークが成長した結果、口コミの意味が変化しています。良い品質だけれど地味なためにあまり注目されてなかった 不遇の商品が、じわじわと評判が広がって販売を伸ばしていく。それが古い時代の口コミでしょう。 新しい時代の口コミは、話のネタになりやすいか、ネタになる要素が多いかで、口コミ網に乗るかどうかが決まります。また、継続的にネタを創出していける、 可能ならばユーザー自身が勝手にネタを増殖させてくれる構造がのぞましい。そうしないと、あっさり話題が消費されつくして、短期間で消えてしまいます。
同人ノベルゲームは絵がうまくないほうがいい?

例えば、同人ノベルゲームについては、絵が下手なほうがうまくいっている、という事実があります。先日、同人ノベルゲームにくわしくない人に、TYPE-MOONの『月姫』の絵と、07th Storming Partyの『ひぐらしのなく頃に』の絵
見せたところ、「なんでこの絵で売れてるのかが理解できない」という反応でした。かといって絵が無いノベルゲーム(背景のみ、またはサウンドノベルのよう
なシルエット)は、シナリオの評判がいくら高くても、あまり広がりません。その時思い当たったのは、カラオケボックスが広がってから、カラオケで歌いやす
い歌のほうがヒットしやすくなったように、同人ノベルゲームでは絵を描きやすいほうが盛り上がりやすいんじゃないか、という仮説です。
元々の絵が上手いより、「これなら自分でも描けそう」「自分のほうが上手い」と思える絵のほうが、たくさんの人が絵を描きやすい。『月姫』や『ひぐらし』
は、ネット上のイラスト、漫画が大量に日産されているのはそのせいではないか、と。「隙」があったほうがみんなが乗っかりやすい。乗っかってもらえれば、
あとはユーザー自身が勝手にネタを増殖させてくれます。

Posted by amanoudume at 2005年02月28日 04:00 個別リンク
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Listed below are links to weblogs that reference 'スピード感の増した口コミ・ネットワーク' from 発熱地帯.
[マンガ][アニメ][小説][フィギュア] 稚拙なモノの需要
Excerpt: 昨日出会ったいろんなエントリー等からいろいろ感じたことをまとめてみよう。まず発端はファウストメールマガジン、現在最新29号の一節。まだバックナン バー化されていないので長めの引用失礼。 ==== [http://mm.kodansha.net/backnumber/index.html:title] http://mm.kod...
Weblog: 結婚未遂
Tracked: 2005年03月16日 02:16

コメント

ときメモやKeyのゲームも、そうですね。
記号として良く出来ていれば、同人受けする。
もっとも、是空とおる氏あたりが引っ張っていた頃は
同人創作そのものに熱意を感じたものですが、
最近の同人屋は金目当てというイメージしか無い。
市場規模もジリ貧のように思えます。

 ひょっとすると東方シリーズも
“絵の点では”そうした心理が
作用しているのでしょうか……。

ゲームじゃないですが「ほしのこえ」にも似たものを感じます。
「同人」という言葉の魔力とでも言うのか、同人と言われると優しくなれるんですよね。「どっかで見たことあるぞ」とか「女がかわいくねーな」とか眉間にし
わを寄せながらじゃなく、優しい顔して突っ込めると言うか・・・

『WHITE
ALBUM』までのLeaf作品の原画を手がけていた水無月徹氏の画風も、当時の、わりと整ったスタンダードな肌色絵に比べると、テンプレートに回収され
づらい、よりパーソナルな作家性を感じさせる個性的な絵柄だったように思います。
消費オンリーなライトユーザーの心性からみると、そこからくる違和感が逆に存在感として機能していたというか。絵の拙さを、意識的なリソース配分の結果と
してビジュアルが軽視されていると受け取ったとして、ではそれで浮いたリソースはどこに費やされたのかという意識から興味を引いた、というところも多少
あった気が。
あ、同人ゲームのビッグネームにおいては、DAKINI氏の言われる通り、二次創作意欲を掻き立てるファクターが圧倒的に支配的だろうと感じていますが、
意識の紹介として。

ホワルバの原画はら〜YOUさんでは?
それはともかく、作品の隙がある方が、
2次使用的な楽しみ方を好む人々、
それもかなり多くの・・に支持されるというのは
私も同意します。また、これは絵柄に限った話ではなく、物語や世界観の構造でも
同じことが言えると思います。
例えばエロゲーの傑作のYU-NOですが、
あれは完成度が高すぎて作品の枠が
ガチガチに固められているため、2次作品を
作ったりするのはかなり難しいと思います。

同人は使える労力の点から全般的に高いクオリティーを出すのは難しいという認識がユーザーにもあるのではないでしょうか。
あと月姫はリリースが2000年ということを考慮すると、それほどクオリティーが低いとはいえないのではないかと思います。
その当時は月姫のクオリティーに満たない作品が商業作品として大手を振っていたように記憶しています。

ゲームは当然絵を描けるファン以外にも受けていますよね。
だから絵が描きやすい。というのはないと思います。描けないファンの方が圧倒的に多いはずです。
 同人はファン熱の昇華の仕方の一つです。出来ない人は消費に走るしかありません。
では、ひぐらしはどこが面白いのか。
それは長いスパンに渡って継続することで、ファンに遊ばせる余地を与えていることだと思います。
つまり、ファン同士で作品を推理、語り合い、結論に至らせない。
 これはユーザーが勝手にネタ増殖させるということですね。
 完璧な作品はファンの入りこむ余地がなく、ファンはひたすら受け手である続ける為、メーカーに依存し更なるサービスを期待します。次回作への期待も計り
知れません。
 それに応えられないメーカーは自壊してしまいます。
 隙のある作品が良いのではなくて、完璧すぎるのが駄目なのだと思いますよ。
(完璧を求めるあまり発売時期を延ばしまくるメーカーもありますが、結果ヒットした試しがありません)

うむ、そうだな

かなりズレますが、このblog自体も発言に隙というか、かなり思い切りの良い割り切りっぷりというか、極端さというか…要するに突っ込みたくなるところ
があるから盛況なのかもしれないとか思いました。
もしくはシンヤさんの言う「魅力」なのかもしれませんが。

やけに盛り上がってますね。
1)絵に隙がある方が同人絵やネット上のお絵かきが盛り上がる。
2)同人絵やネット上のお絵かきが盛り上がった方が話題性があって、人気が継続しやすい。
というのがDAKINI氏の意見。
3)「ひぐらし」はネット上での推理が盛り上がって、話題が続き、人気が継続しやすい。
というのがMUSE氏の意見。
1)2)と3)は相対する意見じゃなくて、どちらも成り立ちます。
人気が出る理由は当然複数ありえるからです。
3)の意見は誰もが指摘してきましたが、1)2)の意見は珍しいので、議論になってるんでしょうか。
少し視点が広がった思いです。

昔から読んでるけど、DAKINIは定期的に
わざと言葉足らずに書いたり、
わざとメチャ煽りするからね。
その辺が嫌いな人は嫌いな理由なんだろうけど。
「魅力」があるというより、好き嫌いが分かれると思う。
「癖のある」blogだよ。

武装錬金などではお絵描き板やファンアートが活発なのに対し、
デスノートではコラ板の方が活発とかいうのも関係ある話っすかね。

シンフォニック=レインはあの絵の幼さ?が
作品にぴったりあってるよ アニメバリバリの絵じゃ逆に嫌だったかも

何か古い記事みたいですけどせっかく通りかかったんで。
同人屋の視点が一個もないなー。
同人が乗っかりやすい隙があったほうが盛り上がる
ってのには同意ですが、それと絵のレベルとはあまり
関係ないかと。
「ひぐらし」の絵が描きやすい?いやいや
やはりユーザーに受け入れてもらうためには、
ある程度は原作絵の面影を残す必要あるんですが
あれだけ特異な絵って逆に難しいんですよ。
同人屋としてあるジャンルに参入するってのは、
「話題になってるから描く」か、
「作品が好きだから描く」が主流であって、
「絵が描きやすいから描く」ってのはあまりないと思いますよ。
描きやすいって意味なら、絵的な記号として確立された
有名絵師の模倣のほうがずっと簡単かも。
ときメモや初期の葉鍵作品を見るまでもなく、
絵のレベルよりは、作品に感情移入させるような
エポックメイキングな要素と、同人屋がネタを膨らますことのできる
キャラ/世界観の構築のほうが重要かと。

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