『アイドルマスター』は久しぶりに現れた美少女育成ゲームです。
美少女育成ゲームは一度廃れたジャンルで、いわば『アイドルマスター』はその復活といえるわけですが、ネットでも議論が盛り上がってますね。
へたれゲーマー駄文:アーケード流対戦育成SLG『アイドルマスター』
最強の伊織派blog:アイマスの姿はときメモに似ている(アイドルマスターの萌え構造・黄薔薇革命)
90年代はギャルゲーがホットな時代でした。ハードの性能が向上して美少女と呼べるだけの表現力を獲得し、次にCD-ROMブームによる音声や動画の導入による影響もうまく働き、さまざまなゲームが生まれました。
●育成SLG: 『プリンセスメーカー』→『卒業』→アイドル育成ゲーム
●恋愛SLG: 『ときめきメモリアル』
●ナンパゲーム継承系: 『同級生』
●アドベンチャーゲーム発展系: 『EVE the burst error』、『御神楽探偵団』
●恋愛ADV?系: 『サクラ大戦』
●アニメーション系: 『やるドラ』
●ビジュアルノベル系: 『ToHeart』
おそろしく多様なゲームが出てきたと思うのですが、そのほとんどは衰退していき、おそらく一番強く生き残ったのは『ToHeart』の流れでしょう。なぜ『ToHeart』の流れが残ったのかという理由については、最強の伊織派blogさんのエントリーに書かれているとおりだと思います。
ToHeartは、インタラクティビティによるプレイヤーの主人公化をあきらめた。ToHeart型恋愛ゲームは新しいものを捨て、物語を読ませるメディア、旧来の小説やマンガと同格のものに戻った。この辺りの議論は、じつはここ最近続けざまに論じているストーリーとゲーム性の矛盾や、ストーリーとインタラクティビティーの矛盾にも通じる話です。年が明けてからの一連の記事がつながっていることに気づいていた人もいらっしゃるでしょうね。
しかし皮肉なことに、そのほうが技術的に身の丈に合っていた。
ときメモ型恋愛ゲームに選択肢を出すことを考えると、プレイヤーはそのときとる行動を無数に考えられるのだから、選択肢も無数に増やし、そのリアクションも無数に用意するという無限拡大によらなければ理想に近づけない。
ToHeart型恋愛ゲームなら、「この主人公だからここはこうする」という正解を用意できる。プレイヤーという無限に背を向けることで、これがストーリーの完成度を上げることにつながった。消費者は、ときメモ型の「インタラクティブなバーチャル恋愛」よりも、ToHeart型の「読み物として面白い恋愛物語」を選んで、今に至る。
世の中というものは面白いもので、直接は関係しない複数のメディアやジャンルで、同時に同じような現象が起きたり、似たような問題が浮上したりします。娯楽の「同時代性」とでも言うべきか。ボクにとっては、ゲーム離れも、連続もの低迷も、『アドベントチルドレン』の成功も、DSの大ヒットも、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』のヒットも、『アイドルマスター』の成功による美少女育成ゲームの復活も、『ToHeat2』の成功も、『電車男』や『生協の白石さん』の大ヒットも、Web2.0も、どれも無関係ではありません。
インタラクティブムービーとしてユーザーを満足させるべく、こういう環境で揉み込まれていっているのが、エロゲーなわけだ。まぁボクが「硬派」かどうかはともかく、数あるトラックバックの中で一連の記事の関連性を指摘したのはFLATLINEさんだけでした。わかりやすく書いてはいないのですが、わかる人にはわかるのですよね。
私は同級生以降のエロゲ―を知らず、どうしてDAKINI氏のような硬派(っぽい)開発者がエロゲ―を熱く語るのか今の今まで疑問であったのだが、なるほどこういうわけだったのかと思った。
今、娯楽の世界で何が起きているか。ちゃんと「皮膚感覚」を持った人ならある程度気づいていると思います。ですから1から10まで丁寧に書くつもりはありません。ところで、上にあげた様々な事例。意図的に書いてないものがあるんですが、お気づきでしょうか?
コメント
アイドルマスターの場合は、何が問題かって、これを成功と見なすと全国のアーケードオペレーターの怒りを買う結果になるので、正当な評価がしにくいことだと思う。
実際、このゲームで黒字のオペレーターは未だ存在しません。半額取り戻せれば万々歳ですか。2割程度もざらと聞きます。(筐体1セット870万円ですし。開店から閉店まで区切れなく人が入っていて、半年でやっと取り戻せるかどうかと言うところ。)ところが、報道記事などではアイドルマスターは出荷が好調でナムコの黒字に貢献となっています。これでは、失敗と断言されてもしかたないかと。
育成ゲームをアーケードで投入する時は、運と育成、プレイヤー自身の腕をいかに調整するかが必要になるかと思います。このゲームはこの辺で大失敗をやらかしています。端的に言うと、パワーゲームなのに、一度負けると取り返しが付かないほど弱くなるので、過去の蓄積が全て無駄になりかねない要素が強い事が弱点かと。
この辺は一度やり込まないとわかりにくいので、一度このゲームで一人目を引退されるまで染んでみることを強く推奨します。コミュニケーションの新しい方法を提案してゲーム化する等、新しい可能性を切り開いているのに、ゲーム自体の練り込みが足りずに全てを水泡に帰すような状況というのは実に惜しいです。
投稿者: うみゅ | 2006年01月29日 14:25
アイドルマスターのオペレーター側の問題はもちろん把握してますよ。
わざわざ触れてないだけで(w
ネットでも指摘は少なくないですよね。
知らないわけないでしょうに。わざと書いてないだけだって、わかりません?
(それとも、わかっててあえてコメントしたました・・・? アイドルマスター賞賛に一言いいたかった?)
ゲームバランスについては、まぁその辺の「緊張感」が受けている側面もありますからねえ。
その辺は、アイドルマスター系ブログでも、けっこう指摘されている所ですよね。
お金がかかるというイメージも強いですね。
しかし、そこで止めるようなやつは、所詮・・・・みたいな構造になってる気もします。
ユーザーが広がらない問題はありますし、ゲームバランスがおかしいのも確かなんだけど、ボクはそこをわざわざ書くつもりは無いから、書いてないだけです(w
ボクはアイドルマスターの悪い点を書くつもりはないので。甘いですね。はい、甘いです。
うみゅさんの意見も所詮、ハマってない人の意見ではありますからね。多少は客観的ではあるんでしょうが。でも「全てを水泡に帰す」というのは、オペレータ側に寄りすぎた意見でしょうね。
投稿者: DAKINI | 2006年01月29日 15:01
コメント乗せていただいてありがとうございます。
発売から月に1万円強、引退ユニット6ユニットになるまで、このゲームにつぎ込んでいてもはまっていないでしょうか。(^^;;それだけこのゲームを遊んだ上での意見です。
私は、アイマスはアーケードゲームなのでオペレーターへ寄りすぎた発言でむしろちょうど良いかと思います。アイマス系ブログは色々見ていますが、どうしてもオペレーターの立場を無視した意見と賞賛が多すぎて(ブログで指摘している人はほとんど無い。一部のオペレーターくらい。2chでもアンチ(隔離)スレ位か。)、このゲームを遊んでいない人が見ると誤解を招きかねない状況のように思えますので、釣られたことに気づかずに投稿させていただきました。・・・みんな、このゲームもっと遊ぼうよ、と言う魂の叫びと言うことで一つ。このままじゃ育成ゲームの復活じゃなくてトドメ刺しになりそう。
釣られて、すいませんでした。
まぁ不満の殆どは端末の値段が半分なら出なかった部類でしょうけど。はぁ、オペレーターとユーザー(ゲームそのもののプレイヤーと同人・グッズというアレンジャー)、制作者の4者で評価が全く異なるってのは難しいです。
ただ、このゲーム。コミュニケーションの解法丸暗記化によって、不思議と「読み物として面白い恋愛物語」に変わっているのが面白いです。その意味では、やはりこのエントリーで取り上げるべき作品ですか。
投稿者: うみゅ | 2006年01月30日 01:50
やりこんだ上での意見でしたか。
>一度このゲームで一人目を引退されるまで
と書かれていたので誤解しました。
失礼しました。
はてなブックマークやかーずSPさんに掲載
されているブログの中には、オペレータ側の
意見もありました。
でかい所にそういう意見のブログが掲載されれば、
見る人はちゃんと見ますし、目の無い人は勝手に
勘違いすればいいかなーと思ってます。
ですので、このブログではオペレータ側の
意見を書いたエントリーを紹介しようとは思い
ませんし、リンクを張ろうとは思いません。
うみゅさんは誤解が広まりそうな状況を放置して
おきたくないのかもしれませんが、ボクは逆ですね。
そもそも、アイドルマスターに限らず、ボクは
「意図的に書いてないこと」は結構多いのです。
アイドルマスターは露骨すぎたか、珍しく
指摘されてしまいましたが。
投稿者: DAKINI | 2006年01月30日 02:49