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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2005年08月08日

PSPが越えられなかった常識、iPodが越えた常識

アップルのとてつもない可能性

ITmedia 「アップル、iTMSを日本で開始――100万曲・中心価格150円でスタート」
いに日本でも、ITunes Music
Storeがスタートしました。SMEが不参加など、若干楽曲の選択肢が制限されているものの、100万曲という大量の品揃え、90%の曲が150円、
10%の曲が200円という価格設定は、音楽業界への「黒船」として十二分にインパクトのある内容です。
実際、なんと4日間で100万曲の販売を達成
ました。
アップルは日本において、巨大なコンテンツ配信サービスを構築したことになり、これが音楽にとどまらず、映像、書籍、ゲームに範囲が広がる可能性はきわめ
て高いです。秋に発表されると噂されている動画再生可能のiPodが出れば、当然、映像の販売も開始するでしょう。
またそれだけの性能があれば、FLASHプレイヤーを動かすことも技術的には可能です。FLASHゲームが遊べるなら、短期間に数百万台クラスの携帯ゲー
ム機が立ち上がるかもしれません。しかもソフトはすべてiTMSで購入可能。流通コストがかかりません。パッケージ流通ではありませんから、販売価格も
100円程度から始められるでしょう。
(iPod
Linuxなんてものもありますから、専用のOSとネイティブアプリを供給することで、Macを超える新しいコンピューティング・プラットフォームを立ち
上げることも技術的には可能です。)

これから数年のプラットフォームホルダーは?

想像と予想をふくらませるなら、これから数年の主要なゲームプラットフォームホルダーは
  ○ドコモ (携帯電話キャリア)
  ○ハンゲームを運営するNHN (PC。オンラインゲームポータル)
  ○アップル (オーディオプレーヤー)
  ○ソニー (据置ゲーム機)
  ○マイクロソフト (Xbox Live!)
  ○任天堂 (携帯ゲーム機)
の6社になるでしょう。

このリストに対しては、「ドコモだけじゃないぞ、auもあるぞ」とか色々な意見が出てくると思います。もちろんこの6社だけが競争のプレーヤーになるわけではありません。あくまで、最低限どの辺りで視野に入れておく必要があるか?ということを示しただけです。

そして最初の3社はすべて
  1) オンラインでソフトを配信し
  2) 課金システムを持ち、
  3) 専用機ではないがゆえに暇つぶし(「ながら」)として強力で、
  4) フリーでコンテンツを配布されても困らない (ロイヤリティー以外に儲ける手段がある)
という共通点があります。

ロイヤリティーという古い制度に依存している「ゲーム機」ホルダーと、ゲームビジネスの古い常識にとらわれない「非ゲーム機」ホルダーの違いがよくわかると思います。

PSPが越えられなかった常識、iPodが越えた常識

今となっては、PSPを批判しているブログの1つとして認識されてしまいましたが、かつてはかなり肯定していた時もありました。2004年1月11日、まだPSPの具体的なプランが発表されず、憶測や噂が流れていた頃です。
「No Royaltyに近づいていくゲーム機ビジネス」

PSPの価格は39,500円に近い - ハードウェア単独で利益を出していく
SCEEのCEOクリス・デアリング氏のMCVに対するインタビューによれば、PSPの価格は300ポンド(59,300円)より200ポンド
(39,480円)に近いとのこと。またPSPのビジネスモデルは、ハードで儲けずロイヤリティーで儲ける従来のビジネスとは異なり、ソフトのロイヤリ
ティーを下げるかわりにハードウェア単体で利益を出していくビジネスになるそうです。

この頃のPSPはなんとも刺激的なプラットフォームでした・・・・。ファミコン以来20年のロイヤリティビジネスを破壊する弾丸になるのか、と思っていた
のです。ところが実際には、ハードの価格を無理に低くして、巨額の赤字を抱えこんだだけの変形ファミコンビジネスに落ちぶれてしまいました。
今の日本のPSPの状況を考えると、DSに対抗して無理に低価格にする必要はなかったと思います。同意見の人も少なくないのではないでしょうか。まあ結果
論といわれればそれまでですが。
梅田望夫・英語で読むITトレンド 「iPodはハードウェアビジネスの常識を越えるのか」
かみそりはただ同然で売って、かみそりの刃で儲ける。プリンタの消耗品ビジネスを代表に、コモディティ化したハードウェア事業の
ビジネスモデルを考えるときには、必ず出てくる古典的な「かみそりとかみそりの刃」の話。その逆をジョブズはやっているというのが、この冒頭の真意。
アップルの第1四半期(10-12月)の結果。平均400ドルで75万台のiPodを売り、99セントで3000万曲を売ったが、iTunesからの儲け
はほとんどなかなく、iPodこそアップルの収益性に貢献している。
どうもアップルは、ハードから儲けを出す方法を見つけ出したらしい。iTunesをロス・リーダーとして、iPodを売りまくっている。言い換えれば、デ
ジタルプロダクト(音楽)がコモディティになり、ハードこそマージンが出る場所。

ソフトでもうけずに、逆にハードでもうける。ソニーはある段階で、そういうビジネスを始めるチャンスがあったはずです。もし踏み込んでいれば、別にゲーム
が売れなくてもかまわない。音楽でも映像でもWebブラウザでも、エミュ需要であろうとも、とにかくPSP本体が売れるならかまわない。そういう展開に
なっていたんですがね。
なのに、ソニーは結局ゲーム産業の旧来の常識にとらわれて、トライしませんでした。アップルは音楽産業やソフト産業の古い常識など、あっさり超えてみせま
した。この違いがPSPとiPodの明暗を分けたのだと思います。

Posted by amanoudume at 2005年08月08日 00:18 個別リンク
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iTMS 日本で開始
Excerpt: http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/archives/000392.html ソフトが儲からないような書かれ方をしていますが、 実際は今まで高すぎた音楽ソフトを本来の価格相当で 売ってそれなりにソフトで
Weblog: リサイクルショップ安里
Tracked: 2005年08月08日 04:34
ホーム/2005-08-09
Excerpt: [[:]] PSPが越えられなかった常識、iPodが越えた常識(発熱地帯) どちらも欲しい自分って。 お名前: コメントはありません。 コメント/2005-08-09 ----- PING: TITLE: 深澤ネタ/web用小ネタ URL: http://casper/kikaku/pukiwiki/pukiwiki.php?%BF%BC%DF%B7%A5%CD%A5%BF%2Fweb%CD%D1%BE%AE%A5%CD%A5%BF IP: 61.211.252.171 BLOG NAME: PukiWiki/TrackBack 0.1 DATE: 08/09/2005 04:30:35 AM PlanningOffice 円周率 しゃるる&ぼいる http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/archives/000392.html Flash 用ゲームは iPod を通してビジネスになる可能性があるという件が興味深い。(記事自体は「ハードで儲ける」の文脈ですが。) 円周率 0〜9の数字が...
Weblog: とんかつ3号 隠れ亭
Tracked: 2005年08月08日 22:19
ハードウェアとソフトウェア
Excerpt: 発熱地帯さんのエントリが面白かったのでトラックバック。 ハードウェアベンダーが、ハードウェアで儲けるべきか、ソフトウェアで儲けるべきかのお話です。 PCゲーマーの世界では昔から、ゲームに金を払わない奴らがビデオカードやCPUには惜しみなく金を使うのが...
Weblog: 小心翼々
Tracked: 2005年08月11日 18:16