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このサイトは、ゲーム開発、およびゲーム周辺の周辺技術や動向について日々考察し、毒舌的に物を書き続けることを通して、「ゲームの未来形」という大テーマに対して、何か考えを深められるといいなあ・・・・・・というサイトです。

2004年12月11日

ラチェット3遊んでます。

「ラチェット3」を遊んでます。
「ジャック」シリーズは欠かさず買っているんですが、じつは「ラチェット」シリーズは1本も買ってないうえ、ほとんど遊んでなかったんですよね。せいぜい30分とか1時間ぐらいで、しかもゲームよりも技術面(Continuous LODの技術など)を確認するのが主でした。この年末は多数のソフトが出ることもあって、「どうせこいつやらねーだろ」と見抜かれたのか、ソフトが会社に送られてきました(w
今、少しずつ遊んでいるところです。

「銃+アクション」の見事な融合

3Dアクションゲーム(ここではいわゆるPlatformer系に限定しています)に銃の要素が入り始めたのは、99年に発売されたN64「ドンキー64」からだと思います。その後2002年夏の「スーパーマリオサンシャイン」、2002年年末の「ラチェット&クランク」シリーズへと続きますが、銃の要素については、明らかに「ラチェット」シリーズが一番良くできていますね。

「マリサン」はポンプの操作性が複雑なうえに、正確な狙いが要求されたり、微妙な操作を強いられる箇所があって、うれしさよりつらさが先に立ちます。銃を当てるというより、水を放射していたら的に当たる、という感触で、イマイチうれしさが薄く、爽快感より作業感が強い。とはいえ、水の表現はとてもきれいです。

ラチェットは銃がショットガン的で当たりが広め。一番最初の銃でもまあまあ当たりますし、ガラメカ(武器)が豊富なので、射程の長さや範囲、威力がパワーアップしていく楽しみがあります。銃周りの操作性がこなれているうえ、チュートリアルも段階的で非常に丁寧。おぼえたことを段々活かせる作りもあります。

「ドンキー64」や「マリサン」では、素手で戦うという従来の世界観と武器の要素がうまく組み合わさっておらず、ゲームの構造の中で中途半端な扱いになっています。一方、新しいタイトルのラチェットは、世界観、ゲーム設計ともに武器の要素をまったく違和感なく消化しており、完成度が高いです。武器を集める/使うゲームでは、プレイヤーがどこに快感や楽しみをおぼえるのか、きちんとゲームが設計されています。ゲームのアイデンティティがしっかり確立されていて、この点では「ジャック」シリーズをはるかに凌駕しています。
(「ジャック×ダクスター」はマリオとゼルダの影響を受けつつ、なんとなくゲームとしてのアイデンティティや存在価値があいまいでした。そして実際「ジャック2」以降、迷走の感があります)

現代的なアクションゲームの1つの解答=RPG的要素+対戦

武器の購入や、HPの最大値アップなど、RPG的な成長要素のおかげで、ゲームバランスに幅が出ています。ユーザー層の拡大によって、画一的なゲームバランスでは多くのユーザーに楽しんでもらいにくくなっていますから、アクションゲームへのRPG的要素の導入は現代的なゲームの1つの特徴といえます。(Platformer系ではありませんが)こうした要素は最近の成功作「ピクミン2」にも見られます。敵をコツコツ倒して借金を返せるし、スプレーをたくさん作ってゴリ押しすることもできます。
(関連:新時代の難易度

もう1つ重要なのが「対戦」。
去年、このBLOGの前身のBBSの頃、3Dアクションゲーム(Platformer)はいつの間にか、子供たちのコミュニケーションツールとしての機能が低下してしまった、と書きました。昔は2人が同時に同じ画面で遊べなくても、「2人モード」の選択肢が用意されていましたし、1機交代やステージごとに交代するなど、いっしょに楽しむことができました。「マリオ64」以降、3Dアクションゲームは残機やステージの概念がややあいまいになりましたし、より1人で没頭する作りになったため、友だちと一緒に遊ぶのが難しくなりました。友だちが家に遊びにきている時に、初代スーパーマリオを始めてもいっしょに楽しめますが、突然マリオ64を始めて一人で夢中になっていたら、友だちなくしますよ。

「1人でしか楽しめなくなってしまった」「子供のコミュニケーションツールとして弱くなった」点を解決する方法として、「対戦」モードを入れるのは良い案だと思います。先ほど例にあげた「ピクミン2」にも対戦モードがありましたし、GBAで成功している「マリオアドバンス」シリーズも必ずマリオブラザーズをつけていて、数人で遊べるようになっていました。そういえば、先日発売された「スーパーマリオ64DS」にも対戦モードが入っているようですね。

「ラチェット3」では、FPSっぽい対戦モードが入っていて、この点でも現代的なゲームといえます。日本版では海外版と違ってオンライン対戦ができないようですが、日本の子供たちのプレイ環境を考えると、妥当な決断でしょう。FPSっぽいのは日本のユーザーを考えるとやや厳しいものの、本編のゲーム内容からの自然な派生ですし、十分楽しめるのでは。案外、子供って適応力がありますから。N64「007ゴールデンアイ」は意外と子供に遊ばれていましたしね(値崩れしていてソフトを手に入れやすかったとか、当時あまりソフトが揃ってなかったせいもあるのでしょうが)。

補足1: その他
「マリサン」のポンプによるホバーと同じように、「ラチェット」もジャンプ後のホバリングが可能になってますね。DS「スーパーマリオ64DS」も、ヨッシーのふんばりや、ルイージのバタバタにて、ジャンプ後のホバリングが実現されているようです。もはや、ジャンプした後のホバリングは3Dアクションゲーム(Platformer)のジャンプの基本になった、といってよさそうです。3Dゲームはどうしても距離感がつかみにくいので、こういうフォローは必要なんでしょうね。

補足2: Continuous LOD
LODとはLevel OfDetail(詳細度)の略で、必要におうじて物体のディテールを変更し、計算処理を軽くする技術のことです。3Dのゲームでは、ポリゴン数の多いモデル、少ないモデルを用意しておいて、物体が遠くにある時はポリゴン数の少ないモデル、物体が近くにある時はポリゴン数の多いモデルを表示することが多いです。こうすることで、より少ない描画処理で、より多くのオブジェクトを表示することが可能です。

よく用いられる方法では、2〜3段階程度、ポリゴン数の異なるモデルを用意しておきます。が、ポリゴン数の多いモデルと少ないモデルは当然形が違いますから、切り替えた時にバレやすいです。そこで、Continuous LODの登場です。単純に粗いモデルを細かいモデルに切り替えるのではなく、粗いモデルから細かいモデルに「差分」情報を追加していくことで、なめらかに形状を変化させ、ポリゴン数の変化に気づきにくくなるわけです。考え方としては以上ですが、ハードの特性、そのゲームにおける効率的なやりかたを考慮して、プログラム的な実現方法は何通りもあります。

Posted by amanoudume at 2004年12月11日 00:47 個別リンク

コメント

うお、他のエントリーが盛り上がりすぎてて気が付かなかった。気になってたソフトなので参考になりますわ。他所じゃほとんど取り上げられないタイトルだ
し。

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